そして遅くなってしまった…
そこからの展開は早かった。
迅がラッドを本部に持って帰って2時間たたないうちに本部隊員だけでなくC級隊員まで総動員してラッドの掃討が昼夜を徹して行われた。
*
現在、迅、修、遊、遊真、レプリカの一行は高台の公園にいた。
そこでレプリカがラッドの反応を探る。
『反応は全て消えた。ラッドはこれで最後のはずだ。』
「よーし、作戦完了だ!みんなよくやった!お疲れさん!」
迅が出動していた全部隊に通信をいれ、労いの言葉を口にする。
「これで、もうイレギュラーゲートは開かないんですよね?」
「うん、今日からまた通常運転だ。」
迅はそういうと伸びをしながら盛大にあくびをする。
「よかった…。」
「しかし本当に間に合うとはな。」
「さすが、数という最大の勢力を使っただけのことはあるな。」
「なに言ってんだ。間に合ったのはお前らとレプリカ先生のおかけだ。お前らがボーダー隊員じゃないのが残念だ。表彰もののお手柄だぞ。」
「いや、おれはなにもしてないっすよ。やったのは遊真とレプリカだ。おれはただ遊真に朝飯作って届けただけですので。」
「おれにとっては朝飯は表彰もののお手柄だぞ」
「なーに言ってんだか。」
まるで本当にの兄弟のように会話する2人をみて、迅は微笑ましい気持ちになった。
「ふむ、じゃあおれの手柄はオサムにつけといてよ。そのうち返してもらうから。」
遊真の言葉に修は目を点にする。
「あーそれいいかもな。メガネくんの手柄にすればクビ取り消しでB級昇進まちがいなしだ。」
「ま、待ってください!僕ほとんどなにもしてないですよ⁈」
「貰っとけって。別に損するわけじゃないんだから。」
「そうそう、貰っとけ。おれの手柄ナシになっちゃうし。」
修は遊兄弟の言葉に絶句する。これはもう何をいってもムダだと思ったのだろう。
「B級にあがれば正隊員だ。基地の外で戦っても怒られないしトリガーも戦闘用のを使える。おれの経験からいって、パワーアップは出来る時にしとかないと後悔するぞ。それに確かメガネくんは、助けたい子がいるからボーダーに入ったんじゃないのか?」
「…!」
「ふむ?」
「へぇ…。」
*
ラッド掃討の次の日、学校は普通にあるので普段どおりの時間にでる。
今日からテスト故に普段とは違う雰囲気が漂っている。やべーだの勉強してねーだのいろんな声が飛び交うなか、遊はテスト用の出席番号順の席に座る。前の席は出水であるが、まだきていない。
珍しく米屋は既に来ていて、友人と談笑している。勉強しなくていいのだろうかと遊は疑問に思った。
テスト範囲の問題集に手を動かしていると米屋が声をかけてきた。
「よー遊。ここきて初めてのテストだな。どんな調子だ?」
「おお、米屋か。まぁ問題ない。文系科目は得意ではないが、定期テストレベルなら問題なくとける。」
「え!お前頭いいの⁈」
「でなきゃ編入できないだろ…。そういえば出水は?」
「あーあいつはボーダーの長期任務についてる。しばらく来ねーよ。テストも追試だってさ。」
「へぇ…。ああ、そうだ。那須とか出水とかと点数勝った方にジュースおごるってやつやる予定なんだが、お前もやる?人数多いほうがいいだろ?」
「マジ⁈今回おれ珍しく結構勉強したから自信あんだよな!おれも混ぜろ!」
「オッケー。じゃあ結果、楽しみにしてるぜ?」
「こりゃ面白くなってきたな!」
そんな会話をしていたらすぐにチャイムがなり米屋は席へ帰っていった。
テストは、もう始まる。
*
チャイムがなり、その日のテストは終了する。まだ何日かテスト期間は残っているが特に問題はない。過去に父親に叩き込まれた知識のおかげで苦手な文系科目も問題なく高得点が取れるだろうと遊は確信していた。
そこでテスト中は切っていたスマホの電源を入れる。すると修から一通のメールが届いていた。内容は今度の休みに相談したいことがあるから遊真と河川敷まで来てくれ、とのことだった。
なんだろと思いつつ了解とだけ書いて返信する。
「遊!どうだった今日のテストはよ」
米屋が声をかけてくる。
「まぁ問題ない。あれくらいならいい点取れるだろう」
「マジか!おれも今回は結構いいと思うぜ」
「…と、思うじゃん?」
「それおれのセリフ!」
明日もテストだどいうことでその日遊と米屋は学校に少し残り勉強していった。
*
休日になり遊と遊真は修が指定した河川敷まで来ていた。遊真がそこで最近買った自転車の練習をしている。が、なかなかうまくいかない。遊は自分が乗ってるのを見せたりしていて教えていたのだが途中で面倒になって今は遊真が練習してるのをぼんやり眺めている。
遊真が再び自転車からすっ転んだとこをみていると1人の女の子が目につく。ぴょんとたったアホ毛、身長は遊真と同じくらいだろうか。見た感じ小中学生くらいかと思われる。
(誰だ?)
そう思い眺めていると遊真がまた自転車で転ぶ。
「なーにやってんだか…」
そんなに難しいだろうか。よくわからん。
そこで遊真とその女の子がなんか話してる。何話してるかはわからないが、話が終わると遊真は女の子に自転車押して貰っていた。おれもあれやればよかったのかと思っていたら遊真が川に落ちた。
「あのバカ!」
ーーー
「いや危なかった。せっかく買った自転車が川の藻屑となるとこだった」
「もうちょい自分でどうにかしようとしろ。まっすぐ川に突っ込んでったろお前」
「あ、あはは…」
遊真に説教していると女の子が苦笑いしている。そういえばまだ名前を知らない。
「そういえばまだ名前言ってなかったな。おれは空閑遊真。そんでこっちが遊だ」
「神谷遊だ。まぁこいつの兄貴みたいなもんだ。義理だけど」
「遊真くんに遊くんね。私は千佳。雨取千佳。あ、でも遊くんは年上ですよね、えっと、神谷さんの方がいいですか?」
「ああいや、気にしなくていい。好きに呼べ」
「じゃあ遊くんで」
千佳はホッとしたように笑う。
「チカの服ずぶ濡れじゃん。風邪ひくぞ」
「お前のせいだろアホ」
「あはは、遊真くんの方がずぶ濡れだよ」
「ふむ、そうか?」
「落ちた本人なんだから当たり前だろ…」
「そういえばチカはこんなとこで何してんだ?」
「あ、ちょっと待ち合わせしてるの」
「ほう、奇遇ですな」
そこで千佳が突然何かを感づいたように後方を振り返る。
そこで警戒区域から警報が聞こえてくる。
「お、警報だ」
「ごめん、私いくね!」
そう言うと千佳は足早に去って行ってしまう。不思議に思っているとレプリカから声が聞こえる。
『彼女、警報がなる前にネイバーに気づいたようだ』
「マジか」
ゲートの発生は遊の気配感知でもゲートが生成されるまでわからない。それなのに千佳はそれより早く感づいたというのか。
「遊、行って見よう」
「そうだな」
二人は警戒区域へ走り出した。
*
ついてみるとやはりトリオン兵がいた。あれは確かバンダーだったかなと思いながら遊真と警戒区域にはいる。
そこで携帯の着信音が鳴り響く。
「あ、やばい。遊真、千佳助けに行け。おれあいつひきつけっから」
「了解」
とりあえずそこら辺に落ちてた鉄棒を掴みバンダーにむかって走る。
千佳の方へバンダーが突っ込むが遊真がすんでのとこで救出する。
「遊真くん⁈」
「おうチカ、とりあえず離れよう」
遊真は千佳を抱えたままその場から離れる。遊はそのことを確認すると鉄棒をぶん投げバンダーの注目を引く。
「おいウスノロ、こっちだ!」
鉄棒が当たりギロリと目がこちらを向く。
「レプリカ、修はまだか?」
『もう到着する』
「よし、じゃあとは任せるか」
適当に飛び回りバンダーを撹乱する。突っ込んできたバンダーの頭を飛び越えると修の姿を視認する。
「おう修、あとよろしくな」
「神谷先輩⁈なんで⁈」
「いいからあれ、とっとと始末しろ」
そう言うと修はトリガーを起動。前の隊服とは違う隊服の戦闘体になっている。戦闘用のトリガーになったのだろう。
それからレプリカのサポートのもとすぐにバンダーを倒した。
ーーー
「おーやるじゃん、さすがB級隊員」
「千佳!なんで警戒区域に入るんだ!バカなことはやめろ!」
「お?」
この会話の様子から二人は知り合いのようだ。恐らく今日呼ばれたのは彼女についてのことなのだろう。
「ごめん、街にいたら危ないと思って…」
「二人は知り合いなのか?」
「ああ、今日は千佳に会わせたくて二人を呼んだんです。空閑、神谷先輩、レプリカ、みんなの知恵を貸してくれ。こいつはネイバーを引き寄せる人間なんだ」
「ふむ…?」
「ネイバーを引き寄せる、か」
『話をするなら場所を変えよう。付近にボーダー隊員がいる』
「そうだな、移動しよう」
*
「しかし、なんでみんな一緒にいたんだ?」
あの現状をそのまま伝えてもわからんだろうなと思いながらもどう説明したものか考えていると先に言われる。
「えっと、待ち合わせの橋の下で知り合って…」
「自転車押してもらって川に落ちた」
「……」
「さっぱりわからん」
まぁわからないだろう。むしろこれでわかる方がすごいのだから。でも他に説明のしようがない。
「まぁ、とりあえず自己紹介だな。こっちは雨取千佳。うちの学校の二年生。ぼくが世話になった先輩の妹だ。」
「よろしく」
「それでこっちが空閑遊真。最近うちのクラスに転校してきた。外国育ちで日本についてはよく知らない」
「どもども」
そこで千佳が驚愕したように目を開く。遊真の容姿からまさか年上とは思わなかったのだろう。
「え⁈年上⁈ごめんなさい、てっきり年下だと…」
「いいよ別に年の差なんて」
「最後にこの人が神谷遊。空閑の兄のような感じで外国育ちだけど日本に何度か帰ってきてるから空閑とは違い日本のこともよく知ってる。確か高2でしたよね?」
「そ、高2だ。よろしくさん」
「あ、よろしくお願いします」
「タメ口でいいよ、気にしないから」
「あ、うん」
「で、本題は何だっけ?ネイバーを引き寄せる?」
「あ、そうです」
「ふーむ、しかし狙われる理由なんてトリオンくらいしか思いつかんな」
「トリオン?」
「あー、トリオンってのはトリガー使うためのエネルギーみたいなもんだ」
千佳はボーダーの人間ではないためトリオンを知らず、遊がトリオンについて適当に説明する。
「なんで、トリオンが関係してるんだ?」
「関係あるも何も、大体こっち来てる理由はトリオンだよ。捕らえた人間のトリオン能力が高いのは生け捕りにして、低いのはトリオン器官だけとってく。そんでそのトリオンを向こうの戦争で使うんだ。千佳がしつこく狙われるならそれだけトリオン能力が高いということかもな」
「そうなのか、しかしどうすればいいんだ…」
「ふむ、なら試しに測ってみるか?なぁレプリカ」
『そうだな、そうすればはっきりする』
遊真の指輪からレプリカがにゅうっとでてくる。
「わ!」
『初めましてチカ。私はレプリカ。ユーマのお目付役だ』
「は、初めまして」
そしてレプリカの口からパッチみたいなのがでてくる。
『この測定策でトリオン能力がはかれる』
「どうぞご利用ください」
千佳は驚きと不安が入り混じったような顔をしている。当たり前だろう。こんなよくわからん炊飯器みたいなやつが急にでてきたらビビるであろうし。
「ま、いきなりは不安だろうしさ、ちとおれが手本見せるよ」
遊がそういうと測定器をもつ。そうして僅かに時間たつとレプリカの頭上に1.5メートル近くの立方体が現れる。
『測定完了。これはユウのトリオン能力を視覚化したものだ。キューブの大小がトリオン能力のレベルを示している』
「ほう、さすが遊だ。なかなかのトリオン能力をお持ちで」
「まぁな。ほら、大丈夫だ。千佳も測ってもらえ」
「うん、わかった」
そういうと千佳は測定器を手に取る。
『少し時間がかかりそうだ。楽にしていてくれ』
遊はそのことに若干ひっかかりを覚えた。遊もかなりのトリオン能力を持ってるがそれでも大した時間はかからない。それでも千佳は時間がかかるというのだからもしかしたらすごいトリオン能力なのかもしれない。
「なぁオサム。オサムはチカと付き合ってんのか?」
遊真が爆弾を投下した。
いきなりなに聞いてんだこのバカは…。
「⁈ばっ…!ち、違う!全然そんなのじゃない!」
とはいっても態度で修が千佳にそれなりの好意を向けてるのはバレバレではあるが。
「なんだ、そうなのか」
「だが修。あの手のほんわか系の子は意外とモテるぞ。伝えるなら早めであることをお勧めするぜ」
「先輩も冷やかさないでください!千佳はお世話になった先輩の妹で、それで知り合っただけです!」
「ま、いいけどさ。でもそんなネイバーに狙われてんならボーダー頼れよ。折角あるんだし」
「それが、ボーダーには頼りたくないらしい」
「「は?」」
「あいつ、過去に友人と兄が攫われててさ。昔からトリオンすごかったんだろうから昔から狙われてて、でも昔はボーダーなんて無かったし頼れる人がいなかったんだ。それでも相談に真剣に乗ってくれる友人がいたんだけど…」
「その子が攫われた、ということか」
「はい…」
「それで人を巻き込みたくないということか」
「まぁ、そうなる」
「ふーむ、あれ?おれとユウはいいの?」
「二人はネイバーだし、巻き込んだのは僕だからいいんだ」
「そか。しかし千佳よく逃げ切れたな。トリガー無しで」
「あいつは、ネイバーの場所がわかるらしいんだ。今まで半信半疑だったけど…」
「なるほど、サイドエフェクトね」
「ええ、多分そうでしょう」
確かに測定にこれほど時間がかかるトリオン能力があるのなら十中八九サイドエフェクト持ちだろう。それにまだ計測が終わっていない。多分、もともとレプリカの持ってる測定量を超えているから処理に時間がかかるとかだろう。
「なるほど、オサムはチカを助けたくてボーダーに入ったのか」
「別に、そうじゃない。僕は街を守るために…」
「お前つまんないウソつくねー。別に誰かを助けるってのも立派な理由じゃん」
「…違うよ。僕がボーダーに入ったのは、何もできない自分に腹が立ったからだ」
遊はその言葉に溜息をつく。いや、正確には修の言葉ではないが、今のこの現状の後処理を考えると気が重くなる。
後ろで待機してる二つの気配をどうするかの後処理だ。
『計測、完了だ』
レプリカの声とともに現れたのは、2メートル以上ある巨大なキューブだった。遊の記憶にもこれほどまでのトリオンを持った人間はいない。いや、厳密には一人いるのだが。
「すっげー…」
「でっけー!遊より多いじゃん!」
『尋常ではないな。これほどのトリオン器官はあまり記憶にない。素晴らしい素質だ』
「ネイバー狙われるわけだ…」
「そうじゃなくて!問題はそれをどうするかだ!」
『ボーダーに保護を求めるのが一番現実的であるが』
「チカはそれやなんだろ?」
「うん、あまり人に迷惑かけたくないし…」
「向こうはそれが仕事なんだし、別に気にしなくていいと思うけどなー。むしろ喜んでやるかもしれんぞ」
「でも、今までも逃げれたし、これからも多分大丈夫だよ」
「お前そんなわけないだろ…」
そんなことを話している中、二つの気配が動くのを遊は感じていた。そしてさらに遠くに二つの気配が増える。
溜息をつき、遊は声をあげる。
「そこの二人、コソコソしてねぇで出てこいよ。ストーカーは犯罪だぜ?」
そういうと二つの学ランを着た学生が物陰から出てくる。ひとりはマフラーをしていて、もう一人はカチューシャをつけて飲み物を飲んでいる。
「やっぱ米屋か…」
「遊、まさかお前とはなー」
「陽介、知り合いか?」
「うちのクラスの編入生だ」
「そうか、だがネイバーである以上処理するしかない」
「「トリガー、オン」」
ふたりの学生はトリガーを起動し戦闘体へと換装する。完全に臨戦態勢だ。
「さて、ネイバーは誰だ?まさかお前か?遊」
「今トリガーを使っていたのはそちらの女だ」
「⁈」
「え…?」
千佳がレプリカでトリオンを測っていたとこを見たのだろう。二つの気配が近くに来た時と千佳がトリオンを測っていたタイミングが運悪く重なってしまったのだ。
「初の人型ネイバーが女の子かー。ちょっとやる気削がれるな」
「油断するな。どんな姿でもネイバーば人類の敵だ」
「待ってください!こいつは…」
修が弁明を始めようとするがそれより早く遊と遊真が声をだす。
「違う違う、ネイバーはおれだよ」
その言葉に三輪は表情を僅かに歪める。
「お前がネイバーだと?」
「うん、そう」
「間違いないだろうな?」
「間違いないよ」
遊真が声をだすと同時に三輪は手にしたハンドガンで遊真を撃ち抜く。なんのためらいもなく、的確に遊真の頭を狙ってだ。
「な、なにしてんですか⁈」
「ネイバーを名乗った以上、抹殺する。それがボーダーの務めだ」
さも当たり前かのように三輪はいう。様子からネイバーに恨みでもあるのかもしれない。
「おいおい」
「!」
遊の言葉に三輪は驚愕する。当然だろう。殺したと思ったのだから。
「おれの弟に何すんだよ」
遊の目の前には透明な剣が幾つも浮遊していて、その剣が結晶のような光を撒き散らしている。
「それに、遊真がうっかり一般人だったらどうすんだ。責任負わされるぞ」
「うお、まじか。この距離で防いだ!てか遊、お前マジでネイバーなのか?」
「ま、そうっすね。それと人類の敵だとか言ってたけど、おれらもちゃんとした人間だよ?人類の敵とか言ってるけどさ、お前らにはおれらが宇宙人にでも見えんのか」
その言葉に一気に三輪の視線が鋭くなる。何か思うところもあるのだろうか。
「あのさ、迅さんってさ知らないか?知り合いなんだけど」
迅はボーダーの隊員であるからその人が知り合いならある程度の懐柔策がとれるだろうと踏んだ。だが
「迅?…やはり一枚噛んでたか。玉狛の裏切り者連中は」
(裏切り者?)
「退け、三雲。俺たちは城戸司令の特命で動いている。邪魔立てするなら実力で排除するぞ」
「退きません!僕は「すっこんでろよ修」…でも、先輩!」
「そうそう、下がってろよオサム。こいつらとは…」
「「俺たちだけでやる」」
そういうと遊と遊真はトリガーを起動。戦闘体へと換装し、臨戦態勢へと入る。
「オサムはチカについててくれ」
「…わかった」
すると千佳が遊と遊真を見ていることに遊は気づく。
「わりーな、千佳。巻き込んじまって」
「…!」
「うひょー!遊、お前強そうだな!なぁ秀次、遊とはサシでやらせてくれよ!」
「米屋お前軽いな、それでいいのか…」
「ふざけるな、遊びじゃない。こいつは二人掛かりで確実に仕留めるぞ」
「へぇ、お前、面白いウソつくね」
遊真の言葉に三輪は驚愕の表情を浮かべる。とはいっても遊真はサイドエフェクトで二人ではないことを見抜いただけだ。場所まではわかってないだろう。
「やっぱ増援いたか。多分スナイパーだろ。んで、片っぽ今気配が揺れたから遊真の言葉聞いて動揺したな?後ろの方の、距離は400と350ってとこかな」
「‼︎」
(この距離でスナイパーに気づくだと⁈そんなばかな!)
「ま、位置が割れてる以上スナイパーはほぼ意味ないよ。せいぜい牽制がいいとこだな。さて、それじゃ、
やろうか」
そして、二人のボーダー隊員が二人の黒ずくめに向かって飛んだ。
すげぇ中途半端な終わり方…
でもこれ以上続けたら文字数大変なことになるのでここで…
次に遊のトリガー機能が明かされます。