ブラック・ブレットから絶望引いてみた(い)-凍結-   作:上やくそう

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やっとこさ投稿。気になる所を添削しまくってるとどうしても時間がかかってしまいます。すみませんがご了承ください。


原作前2

ぐっはああああああああ( ^ω^ )

 

や、やっぱし現実は甘くなかった。いやわかってたよ?わざわざこっちが技名言い終わるのを待ってくれる敵キャラなんてのは幻想だって。そんな奴いないって...。

 

俺も昔はドラ○ンボール読みながら思ったものだ。

「かめはめ波長えよw」と。

 

ああ、これが報い()なのか...

キャスター付きの担架みたいな物に運ばれながら漠然と思う。

 

「輸血をーーー急いーーー血液型はーーー」

 

........でも、でもよぉッ、夢くらい見たっていいじゃねぇか...!

 

つかあれだね、やっぱ技名長いのが悪かったんだ。何だよ「天童式戦闘術○の型○○番○○」って。長えよ。まったく、誰だよ技名叫んでから殴りたいとか言った奴(怒)

 

ゆっくりした結果がこれだよ!

 

クソがもう許さんぞ。帰ったらツインズジジイとクソガキ(兄貴)ども纏めてぶっ飛ばーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

腕 が ね え !

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

足 も ね え !

 

 

 

 

 

 

あァァァんまりだァァアァ!!

 

「心拍数ーーー急激ーーー脈拍ーーー血が足りまーーー」

 

ちょ、痛い痛いマジでやばい、体がものすごく軽い。まるで天使の羽が生えたようだ。

いやそれ死んでるわ、軽いんじゃなくて完全に天に召されてるわ。

もう駄目かも(諦め

 

そういや木更ちゃんが心配だ。だって俺開幕死よ?

こんな感じで2秒くらいでポイされたからね。

 

 

俺「いくぜ...天童式戦t」

 

ガ「うるせ( ・ω・)っ≡っ」ぺち

 

俺「」

 

 

っべーよやべーよこれ絶対召使いクビだよ。木更ちゃんに愛想尽かされたかもしれん。

 

だって俺が前に出た時木更ちゃん「何してんのこいつ」て顔してたし、そりゃそうですわ。よく考えたら木更ちゃんあの年で抜刀術初段だからね。

出しゃばってマジすいません。

6歳で有段者とかどんなチート使ったらそうなんの?

つーかそもそも天童家がなんなのアイツ等。人外魔境だよ。

 

ちなみに、今の俺がどのくらいやばいかと言うと、頂上戦争でズタボロにされた白ひげくらいやばい。

 

あれ...?もしかして結構平気...?

ワンピースのキャラって殺しても死なないよね。

 

やっぱダメじゃん。これワンピースじゃないし。むしろバイオハザードですしおすし。ゾンビじゃないけどね!

 

「蓮太ーーー君!ーーー里ーーー郎君!?ーーー聞こえーーーか!?ーーー先生!」

 

さっきからうっぜーぞボケ!!こっちは右手足無いの!痛いの!そこらへん分かってんのかゴルァ!

 

「こふ......ぁ...ぅあ...」

 

声出ねー。

喉に血が溜まってアホみたいな音しか出なかった。

いいからメディック早よ。おれしんじゃう。

 

 

「やあ」

 

 

やあ(´・ω・`)

じゃなくて。気が付けば、白衣にゴム手袋、マスク、給食帽子みたいなの、と。

小学校の給食係みたいな格好の巨乳の人が俺を覗き込んでいた。

 

「里見蓮太郎君だね」

 

どうやらこの人が俺の主治医らしい。巨乳の先生が付いてくれるなら安心だ。視覚的にも精神的にも。

 

「はじめまして。そしてもうすぐさようなら」

 

前言撤回。喧嘩売ってるとしか思えないセリフを両手に一枚ずつ紙をつまみながら言ってきた。

 

「私が右の手に持っているのは死亡診断書だ。あと5分もすれば私がここに一筆入れて手続きを終え、君の名前は速やかに戸籍から抹消される。

そして左の手に持っているのは契約書だ。

こちらは君の命を助けられるが、君には命以外の全てを差し出してもらう

 

さあ、選べ」

 

うぇええぇー。これ選択の余地無くない?

つかこいつさりげに俺があと5分で死ぬみたいな事言いやがったんですけど。時間ないのになんで患者にこういう事やらすかな。

 

 

 

いやー、思い返せばこの人生...

 

この人生...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ....?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仏像しか彫ってねえ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死ねるか!仏像彫って終わる人生とかふざけんなァ!まだ木更ちゃんとお風呂にも入ってないのに!7、8歳までのこの時期が唯一のチャンスなのに!

「私将来は里見くんのお嫁さんになるー!」をまだ聞いてないのだ。こんなところで死ぬわけにはいかない。

 

おら契約書よこせ!

 

「...ぁあ.......ぁ...」

 

俺は力を振り絞って医者の左手の紙を手にとった。

 

よっしゲットだぜ!ふははは、もう返さねえぞ。この契約書は俺のもんだ。

 

「ーーーーー」

 

あ、けど命以外の全てって具体的に何を差し出すんだろう。

 

こう、「命以外の全てと言いましたよねぇ?契約書をちゃんと読みもせずに取ったあなたの過失を私に押し付けられてもねぇ...フヒヒ」とかだったらどうしよう。

 

 

や、やっぱやめようかな(´・ω・`;)

 

 

「ーーーよく選んだ」

 

 

いや、ちょ、あの〜やっぱり右の方がいいかな〜、なんて...

 

ああけど死にたくはないしだからと言って命以外全部とかロクな結果にならない気しかしないしだったらいっそここで死んだ方がいいかもしれないんだけど木更ちゃんとお風呂入りたいからどっちにしようか決められーーー

 

 

ーーーあ、ちょ意識がががが

 

 

 

 

 

 

 

 

 

う〜ん、いてて.........はっ!

ここは...天童(ウチ)の大浴場...だと...?

そうだ、俺は確か病院で給食係服の巨乳に契約を迫られて...どうしたんだっけ。

あ、「契約を迫る」ってカッコいいよね。

 

「起きたのかい?」

 

で、出やがったな巨乳給食係!

あのゾンビの様なオーラ、死人の如き顔色の悪さ、地獄の底から這い上がってくる様な声だ。それを聞いて振り返る。

会った時間はごく短いが、見間違う筈もない。

 

 

 

俺の前にタオル一枚の巨乳美人がいた。普通に見間違った。え?誰こいつ、超眼福なんですけど。つか声があの医者じゃなかったら分からなかいレベル。

 

 

ーーーお前は...なぜここに...?

 

「おや、忘れたのかい?私は言った筈だよ、『命以外の全てを差し出してもらう』と」

 

ーーーな、何を

 

「ふむ、どうやら状況が理解できていないようだね。いいだろう、おいで、木更ちゃん」

 

「......」

 

巨乳がそう言うと、巨乳の背後からタオル一枚の木更ちゃんが姿を現した。

 

ーーーな、き、木更...

 

どゆこと。なぜ木更ちゃんがここにいる。アイツと同じくタオル一枚で。うーむ、ロリは好きだけど、こういう時ばっかりは普乳以上はボリュームがないとなぁ...見応えというか、ね。

ま、足拝めるのは変わらないから無問題だ。おみ足ペロペロしたいでおじゃる( ^ω^ )

 

「まず手始めに君からは木更ちゃんとのお風呂を頂いちゃおうかと思ってね」

 

....................は?

 

コイツイマナンツッタ?イタダク?キサラチャントオフロイタダク?

 

「だ、か、ら、言っただろう?命以外の全て、と。アレはそのまんまの意味だよ」

 

言葉の意味を数秒かかって理解した瞬間、俺は激昂していた。

 

ーーー貴様ァ!

 

「ファハハハハハハァ!そう!それ!その顔だよ蓮太郎君!ああ何て甘美なんだ!これが寝取りという物なのか!愉☆悦!」

 

げ、ゲスい、なんてゲスいんだコイツ!

何処の麻婆神父だこの野郎!!クッソおおお!

 

「里見くん...」

 

木更ちゃん助けてえ!

木更ちゃんがこちらにペタペタと歩いてくる。顔は俯いていて髪が垂れ下がっており、表情が見えない。

 

ーーー木更?

 

木更ちゃんはサッと顔を上げ、満面の笑みを浮かべて言った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「弱いからチェンジで!」

 

 

 

 

 

▂▅▇█▓▒░(’ω’)░▒▓█▇▅▂うわああああああああ

 

 

 

そこで俺の意識は途切れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十数時間にも及ぶ大手術を終えた執刀医は、手術室から出もせずに、眠り続ける患者の少年の側に立ち尽くしていた。

 

(もう引き返せないな......)

 

室戸菫。『神医』と謳われる程の医師であり、また『世界最高の頭脳』の一人で、機械化兵士計画日本支部『新人類創造計画』の最高責任者を務める『四賢人』の一角だ。

 

彼女はガストレアに恋人を殺され、憎悪のままに計画に参加した。当初は睡眠も食事も取らず、その人類最高峰の頭脳を感情に任せて、どうガストレアを殺すか、より確実に、効率よく殺戮できるかを追い求め続けた。

 

 

 

もうあの時に一生分悲しんだ。

 

もうあの時に一生分哀しんだ。

 

もうあの時に一生分憎悪した。

 

もうあの時に一生分絶望した。

 

 

 

彼女はその短期間に感情を燃やし尽くしてしまった。

そうして灰になった時に思うのだ。

自分はこれからどうすれば良いのだろう、と。

 

首に掛けたロケットペンダントに触れる。

かつての恋人の写真が入っている時代錯誤な代物だ。

が、これ(ペンダント)が最早自分にとって大切な物なのかすら分からない。あの時、感情を燃やし尽くしてから、これにも懐かしさ位しか浮かばない。

 

菫は今までの人生で「迷い」というものを経験したことがなかった。

決して猪突猛進という訳ではない、むしろ彼女の性格は怠惰極まりない。

 

ただ、迷うまでもなく答えを導けただけの事だ。

 

視線を手術台で眠り続ける少年に向ける。

 

その右手足は深く光を吸い込む漆黒に輝き左のまぶたを開くと、瞳には蒼く美しい幾何学的な装置が不規則に回転している。

 

彼を存命させるためには、左眼はともかく、必ずしもあの義手義足が必要という訳ではなかった。

他の医師には分からないが、少なくとも菫には血を止め、手遅れにならない内に適切な処置を施す事が出来た。だがそれをしなかった。

 

(私が、この子を...)

 

四賢人の誓いである「生命の尊重」を聞いた時は、綺麗事を、と嘲笑した。奴等(ガストレア)に復讐する為ならばどんな手段でも取ろうと、人の道を外れる事も厭わないと思っていた。

 

だが結局、菫は「外道」にはなりきれなかった。

 

最後に蓮太郎に選択肢を与えたのだ。実際、彼女は蓮太郎が死亡診断書を取っても治療するつもりだった。

子供は大人より本能的だ。選択肢を提示された時に、蓮太郎が心の底から苦しみ生を諦めていたのなら、彼は()を選んだだろう。

 

自分の話を理解できずに契約書を取ったという可能性もあるが、菫はそれは無いだろうと考えていた。彼は残った左眼を動かして話を聞いた順に左右の書類を見ていたし、声が出なかった様だが、それは口の中が血溜まりだったからだ。

 

彼に迷いは無かった。

 

まるで選べと言われるのを待っていたかのように、彼は契約書を取ったのだ、紙を握りつぶす程に強く。

 

(どうかしているな、私も。こんな小さな子供に縋っているなんて...)

 

他人には小さい出来事だが、あの時見せた蓮太郎の迷いのなさ、意思の強さは、人生が無意味なモノとしてしか映らなくなっていた菫に、微かな色を齎した。

 

感情を燃やした彼女に、燃やしたモノの代わりに羨望を覚えさせ、希望を抱かせる程の衝撃となって。

 

 

 

ーーーうーんお風呂怖いよおおぉ、木更ちゃん助けてぇ後おみ足ペロペロさせてぇ...。

 

 

(このアホ)が後に、自分を救い、罪から解き放してくれるとまでは今の彼女には知る由もない事である。

 




次か二話後くらいには原作前が終わる予定です

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