その至高、正体不明【完結】   作:鵺崎ミル

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正体不明の決着

 最初に槍で結界を作り出したのは、誰の技だったか。今、ぬえの槍捌きは先ほどは手加減していたという言葉が偽りでない証明のごとく、鬼神のような冴えを見せる。紅い軌跡は何重にも帯びて残り、攻撃の残滓がそこにあるかのごとくアインズの斬撃を弾き飛ばす。弾かれた隙を突いて、ぬえの槍が漆黒の鎧にいくつもの傷をつけた。

 

 傍目から見れば、オーエン1人にモモンが完全に押され、追い詰められているようにも見えるだろう。それは、本来の計画ではない光景だ。2人がかりで互角以上、それをも跳ね除けてモモンが勝つ。そういうシナリオだからだ。プレアデス達が演技も忘れて「おやめください!」などと言っているのが聞こえてくる。

 だが、火が付いたぬえは止まらない。というよりは止まる必要がない。プレアデス達がこれでモモンが敗れると思っているなら寧ろ不敬だと思う。アインズとぬえが過去にどれだけギルドメンバー用PvPで遊んだと思っているのか。そもそも本気でいくなら高位UFOを召喚して集中砲火を始めている。この技は、文字通り、斬撃結界であり球状に展開されるそれは距離さえ取ればさほど恐ろしくはない。見た目が派手なだけなのだ。

 

 それを知っているアインズが距離を取る。そのまま巨剣を投げ飛ばした。砲弾よりも恐ろしい一撃だが、今のぬえはそれをなんなく弾き飛ばし、距離を詰める為に一瞬だけ、槍の速度を緩める。

 

「!」

 

 紅い翼(他者からは触手に見える)が1枚、貫かれた。背後の建物が完全に破壊され、荒れ狂う衝撃波がぬえの全身を叩く。剣に意識を向けたのは失敗だった。アインズは2連続で投擲したのだ、まずグレートソードを、続いてぬえの持つそれに酷似した真紅の槍を。しかも頑丈なだけのぬえの槍とは違い、炎属性を有した属性武器だ。

 

「当たるものだな」

「おかえし! 神槍『スピア・ザ・グングニル』!!!」

 

 今度はぬえが全力で槍を投擲する。大妖怪の膂力で放たれたその一撃は、文字通り紅い光線となって世界を切り裂く。さすがのアインズもこれを避けることは不可能だ。避けられないなら迎え撃つ。両手で握った巨剣で、点となる一撃を真っ向から防ぐ。凄まじい衝突音に衝撃波、激しい火花も散るが槍も剣も砕けない。新たな刃毀れを起こしながらも、アインズの巨剣がぬえの槍を弾き飛ばした。

 

「今のは、危なかったな」

「あははは!」

 

 傷ついてなお、攻撃を防がれてなお、ぬえは楽しく笑う。対戦相手の隙を決して見逃さず、自身の隙は決して見せないアインズが最高に誇らしく、なによりも楽しい。『封獣ぬえ』というよりは『フランドール・スカーレット』のような様子だが、次に用いた武装でますますそれが酷似することになる。弾き飛ばされた槍がさも当然であるかのようにぬえの手に収まるが、ぬえはそれをそのまま地面に突き刺した。

 

「属性武器ならこっちもあるんだよ!! 『禁忌剣・レヴァ』」

 

 先の槍のように、柄から切先まで全てが真紅に染まった剣がぬえの手に収まる。距離があるままに、上段に構えた。剣から噴き出すように紅い光刃が伸びると同時にアインズ目掛け振り下ろす。

 

「!」

 

 剣の十数倍にも伸びた真紅の光刃が直撃した全てのものを焼き払い、更に火球を大量にばら撒いていく。とっさに横に回避したアインズを追うように、続けざまにぬえはレヴァを薙ぎ払った。それをも避けるが、幾つもの火球がアインズの鎧に直撃し、僅かながらに熔解させる。まき散らされた火球はアインズだけでなく、周囲の家屋に燃え移っていき、戦場はすっかり地獄絵図と化していた。

 

「火球に直撃しても効かないか」

「はた迷惑な武器を使う」

「じゃあ冷やしてあげようか? お前はここで終わりだがな!」

 

 レヴァを収納させると、どこからともなく取り出したのは氷のような両手剣。氷壁から切り取ったような、無骨なデザインだが纏われた冷気は先ほどの攻撃で生まれた熱波をかき消す程だ。ぬえは一気に距離を詰めて、アインズに斬りかかる。剣と剣がぶつかるたびに冷気が噴出し、アインズの剣を凍らせていく。

 

「この威力は……!?」

「あはは! どう? 世界最強の氷精の剣は!?」

 

 神器級はありえない。だが伝説級だとしてもやけに高い性能にアインズは疑問を抱き、ある答えにいきついた。記憶にあるのは、ユグドラシル時代、もったいなくて使わなかったレア素材の在庫の帳尻が合わなかった事。周囲に聞こえない程度に、だが若干ドスのある声でぬえに問う。

 

「るし★ふぁーさんが珍しく身に覚えがないとか言ってたが……おい、氷属性の希少金属ちょろまかしたのお前だな?」

「……」

「没収」

 

 動揺した隙など見逃さない。一気に踏み込み、ぬえの右手に剣を叩きつける。斬撃耐性をかなり高めているようで斬り飛ばせはしなかったが、氷の両手剣を手放すには十分な威力だった。

 

 相手の武器を奪うには通常盗賊系職業を高める必要があるが、ユグドラシルの運営がそんな限定的状況を許容できるはずもない。戦闘において、武器破壊の一種として攻撃による武装解除という状況はある。より効果をあげるにはまたスキルなども必要なのだが。

 

「使わせなど!」

「使いたいのはこっちじゃないんだ」

 

 無手となったぬえに拾わせる隙など与えるわけもなく、さらに斬りかかることでわざとぬえに距離を取らせた。落ちた氷の巨剣は無視する。ぬえが再度真紅の槍を装備する瞬間を狙って、最初に投げた自分の剣を回収した。

 

「はぁ!!」

「くっ!」

 

 勢いに乗せた一撃でぬえの猛攻が始まる前に押し留める。状況は振出しに戻ったようだが、先程の突っ込みのおかげで暴走していたぬえのテンションも落ち着いてきたようだ。おそらく後数十合も打ち合えば、この戦いもお開きだろう。アイコンタクトはお互い取れないので、首の動きでこれが〆だと合図する。ぬえが頷いたのをみて、最後の剣舞を開始した。

 

 先程の暴風雨のような槍捌きではない。だが十数合目を打ち合った時、嫌な音が2人の耳に届く。凍りついていた方の剣にヒビが入ったのだと気づいた時には遅く、ぬえの槍が巨剣を破壊する。伝説級武器の全力投擲を防ぎ、さらに神器級に迫る冷気を受けた剣だ。武装レベルの差が生んだ悲劇、必然の出来事だった。

 既にぬえはモモンの身体に槍を向けている。このままだとアインズはともかくモモンを殺す状態だと気づき。

 

「あ、ごめっ」

 

 この流れで寸止めなどできやしない。ぬえの間抜けな謝罪は砕け散る音にかき消された。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 何度希望と絶望が塗り替えられただろうか。イビルアイは戦闘も忘れて2人の戦いに見入っていた。互角だったはずのモモンが、オーエンの槍に押されている。時折聞こえる高笑いから、オーエンがなんらかのスキルを使用し強化している事は疑うまでもなかった。

 

「いけませんぬ「駄目ですオーエン様!!」」

 

 あれ程の強化だ、やはりデメリットがあるのだろう。悲痛な部下達の叫びが聞こえる。隙だらけだった自分に攻撃をしかけるどころか此方に意識を向ける余裕もないようだ。あのナーベすら表情に動揺を浮かべている。今のモモンはそれだけ危険だという事だ。

 

 チャンスは一度。練れるだけの魔力を込める。

 

 オーエンの武器で周囲が次々焼かれていく。だが今は火事も火の粉も気にしてはならない。イビルアイは集中する。魔法攻撃が通用しないことは最初の戦闘で痛感している。これも無駄に終わるかもしれない。だがそれは諦める理由にはならない。刹那の隙でも生み出せれば、それが勝機に繋がると信じて。

 

 炎刃の剣も氷の巨剣も押しのけられたオーエンが構えたのはまた槍だった。やはり、あれが一番の得意武器なのだろう。モモンも投げた愛剣を拾い上げると再度双剣で切結ぶ。心なしか、オーエンの槍の冴えが鈍った気がする。チャンスは近いとイビルアイが確信した時、その表情が凍り付いた。

 

 モモンが右手に持つ剣に、ヒビが入っている。目に捉えたことなど奇跡だった。幾度も2人の死闘を目撃した、そしてずっとチャンスを窺っていたイビルアイだからこそ、気付けた奇跡。直感する。今しかないと。

 

「〈魔法抵抗突破最強化(ペネトレートマキシマイズマジック)水晶の短剣(クリスタルダガー)〉!!」

 

 過去最高の速度と硬度を持って放たれた水晶の短剣。イビルアイの直感は正しく、放たれた直後にモモンの剣が砕け散った。ひたすらに祈る。あれがオーエンに届いてほしいと。愛する彼を助けたいと。

 

 イビルアイの前で奇跡が起こる。

 

「っ!?」

 

 今まで無効化されたはずの魔法が、オーエンの側頭部を直撃する。硬直は一瞬、だがあの英雄からすれば十分すぎるものだった。

 

「いけええええええ!!!」

 

 思わず張り上げる声と共に、モモンの剣が吸い込まれるようにオーエンの身体に叩き込まれ、鮮血が飛び散った。会心の一撃。オーエンの背にある奇怪な触手も1本、完全に切断され、ついにオーエンが膝をつく。

 

「馬鹿な、勝てたはずだ、勝てたはずだぞ……!」

 

 信じられないと言った様子で傷を押さえ、オーエンはモモンを見上げる。表情は窺い知れないが、憎悪の感情に満ちているのはイビルアイにも伝わった。漆黒の英雄は、追撃をするまでもなくただ静かに見下ろすだけだ。勝った。勝利と、英雄を助ける事が出来たのだという実感が歓喜となってイビルアイの心を埋め尽くした。主を追い詰める一打を放った彼女に、メイド達が報復行動に移らない違和感など、今の彼女にはわからない。

 

「私の仲間を侮りすぎたようだな。放置は愚策だぞ?」

「そうだな……これは私の失態だな……おい、英雄」

「なんだ」

「アイテムは諦めるよ。今日はこれで撤収だ」

 

 一瞬、オーエンの姿がかき消えたかと思うと、モモンからかなり離れた位置、燃え上がる建物の屋根に現れた。上位の転移魔法というのがわかる。とはいえ、モモンが本気で詰めれば一瞬の距離だろう。立ち上がってはいるが、袈裟斬りにされた傷は癒えてはいない。

 

「追ってくれるなよ? わかっているとは思うが、上空にあるのは全てが我がシモベだ。思念を飛ばせば私が死のうが王都全域の人間を食い殺すまで止まらんだろうよ」

「なっ!?」

 

 歓喜をかき消す程の事実がオーエンによって告げられる。負け惜しみも同然なのだが、現実としてあれらが人を食らう存在だということは報告に上がっていた。そういうことかとイビルアイは歯噛みする。

 

「本来は、目的達成後の蹂躙劇として展開していたのだが、こんな逃げる為の保険に使わねばならないとはつくづく屈辱的だ。だが、次は油断も慢心もしないぞ英雄。これは教訓だ、二度と会わない事を祈るがいい」

 

 ここまで追いつめたのに、みすみす逃がさなくてはならないのか。オーエンは屈辱などとのたまったが、屈辱的なのは此方の方だ。王都全てを人質にされては、どうしようもない。戦いにおいて、このカードを切らなかったのは、モモンという存在故にだったのだろう。ヤルダバオトという切札で勝ちの目を強くしておきながらも、逆に敗色濃厚となった時にこそ、最も効力を発揮するそれを温存していた。実力もさながら、恐ろしい知恵を持っている。モモンがそれでも強引に戦えば、王都を犠牲にオーエンは殺せるかもしれないが、モモンは申し訳なさそうな雰囲気を漂わせオーエンを見つめている。これ以上民を犠牲にはできない、そういうことだろう。王城でも心を痛めていたことを思い出す。彼が戦えるわけがない。

 

 誰もが無言になった事を、同意と確認したのだろう。傷を気にしない様子でオーエンが声を張り上げた。

 

「全軍撤収せよ!」

 

 号令と共に姿を消した魔王を追うように、メイド達や仮面の悪魔、そして王都に散っていた悪魔達が姿を消していく。王都に消えない爪痕だけを残し、オーエンの軍勢はあっと言う間に消え去っていた。

 これからの事を考えれば、辛勝以外の何物でもない。それでも、あの強大な敵を相手に国を、英雄を守れたことにイビルアイは破顔する。まずは、女として感情のままに漆黒の英雄に飛びつかねば。今度こそ歓喜に身を任せ、恋する少女はモモンに走って抱き着くのだった。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ─ナザリック地下大墳墓第九階層─

 

 食事を必要とする者以外が利用することがほとんどない大食堂にて、今回の作戦に関わったもの達が、計画成功を祝って宴会を開いている。ちなみに発案者はぬえだ。こういうのは実働部隊達がしっかり労われるべきだという提案であり、至高の存在であるアインズとぬえに遠慮することなくはしゃいでほしいという願いを、デミウルゴスはしっかりと聞き届け、こうして各々が笑顔で成果を語り合う場が作られていた。

 

「ぬ~え~痛いよ~~~」

「ご自重ください! もう、遊びすぎです!」

 

 そんな宴会会場から離れた所でぬえは乱暴にポーションを口に突っ込まれたあげく、白蓮から気による治療を施される。笑顔で帰還したぬえを出迎えたのは娘どころかお母さんモードの白蓮だった。どろんこと傷塗れの子供を見て悲鳴あげた母親と言わんばかりに声をあげて、現在の全力治療を行っている。おかげで宴会の席に参加もできず、別室にて大人しくさせられてるありさまだ。村紗達はぬえの傷を見て修羅と化したので暴走する前に縛りあげて転がしている。

 

「まさか本当に致命的一撃(クリティカルヒット)するとか……暴れすぎて罰当たったかなぁ?」

「ぬえ様がここまで手傷を負われたのは私の責任です、申し訳ありません」

 

 楽しんでいればいいのに、わざわざやってきて頭を下げるデミウルゴス。正直、これを彼の責任にされても困る。ぬえの自業自得というのもそうだが、このくらい前提として暴れたからだ。それでも戦闘終了の一撃がここまで強いものになってしまったのはアインズもぬえも吃驚していたが。

 

「何言ってんのデミウルゴス。お互い同意のPvPだよ。このくらい想定範囲内だって。何一つ失態のない、完璧な成果だった。私はすごく満足してるよ」

「ぬえ様……!」

「我儘通してくれてありがとうデミウルゴス。後日アインズ様が正式に褒賞を与えると思うけど、お前が第一功だ」

 

 感動の余り、宝石の瞳に涙すら浮かべる悪魔を労い、優しく微笑む。ウルベルトの子供として撫でてあげたくもあるが、喜ばれないかなと自重して──身体がすごく痛くなってきてるのに気づいた。

 

「……聖、痛い。ちょっと気が入りすぎてる痛い!」

 

 とっくに完治しているのに治療をやめない白蓮に思わず悲鳴をあげる。明らかに過剰治療状態に陥っている事に気付いた白蓮が「も、申し訳ございません!!」と顔を蒼くして謝罪してきた。どんだけ心配かけさせたのかという証拠でもあり怒る気にはなれないのだが。こう、悪戯っ子の勝手にここまで気遣われるとむず痒い。

 

「いや、うん。遊びすぎて心配かけさせた私が悪いんだけどさ」

 

 過剰治療で爆発四散するとこだった。これだからモンクは恐ろしい。じくじくと痛むが我慢する。追及したら白蓮が泣く事が容易に想像できたからだ。自分の性格の影響受けてるし。痛みから意識を逸らすため、ぬえは改めて先ほどのPvPを振り返る。本当に楽しかった。今度あるなら『ナザリックの封獣ぬえ』としての本気で、『ナザリック最高支配者アインズ・ウール・ゴウン』と戦いたい。ユグドラシル時代の時そのままでやると、間違いなく妖怪大戦争が起きるのがネックなのだが。

 

「すごく楽しかったなぁ、またやりたいなぁ」

「オーエンとしての出番でしたらまた設けますが……ご自愛を忘れずにいてくださると私も嬉しく思います。ぬえ様は至高の御身にしてアインズ様の大切な御方なのですから」

「大切? ……ああ、うん。その辺皆知ってるんだね」

「もちろんでございます」

 

 恭しく頭を下げるその姿に苦笑を禁じ得ない。モモンガさん過保護なのバレてますよー、と私室で話すネタが増えたことにぬえは満足げだ。やまいこさん辺り保護に成功したら、自分以上に過保護になるんじゃなかろうかと確信している。アインズにとってギルドの仲間は本当に大切な存在なのだから。

 

 ふと白蓮をみると何故か複雑そうな表情を浮かべている。今の会話のどこに不満が? まさか創造者がアインズより下に位置する事が不満というわけではないだろうな? ぬえは懸念を抱き、素直に訊ねる。意思疎通は大事。ぬえの持論だ。

 

「どうしたの聖」

「いえ、わかっています。アインズ様以上の方など今のナザリックにはいない事など。ですが……」

 

 ぬえは焦った。本気で自分が最高支配者の地位にあるべきと白蓮が思っているなど考えもしていなかったからだ。動揺し、どう言ったものだろうかと考えていると、デミウルゴスが白蓮の肩に手を置いた。その表情は慈愛に満ちた、とても優しいものだ。

 

「白蓮、ぬえ様に創造された君ならばわかるだろう、創造者の望みを。叶えてやるべきだろう?」

「はい……」

 

 隠しきれない不満がその瞳にはあったが、ぬえの望みならと白蓮は頷く。白蓮には申し訳ないが、デミウルゴスの方が理解してくれていると思う。ナザリック最高支配者は、アインズこそ相応しい。ナザリックへの愛は、他の仲間(精神人間のまま前提)が見れば、ドン引きしかねないほど重く、ギルド長としての能力も41人中最も高いからだ。ぬえのように自由気ままに遊びたがる者などどうやってトップになれようか。

 

(……いや、ぶっちゃけ忠誠を捧げられれば満足って子多いから、バカ殿でもいけるのかもしれない。忠義に応えようと下手に上位者として君臨したせいでモモンガさん引っ込みつかなくなっただけでは)

 

 しかしもはや後戻りはできない程にナザリックでのアインズのイメージは固まってしまっている。ぬえだって、そこそこぬえRPは出来ているが、上位者として振舞う事の方が多いのだ。2人にとっての癒しは、私室での団欒である。

 

「アインズ様早く帰ってこないかなー」

 

 何気なく呟いた言葉に、シモベ達が目を光らせたことをぬえは知らない。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 オマケ、王都にて

 

(ぬえさんごめんなさい、マジやりすぎました。俺もあれベストタイミングと思って振るっただけなんですまさか致命的一撃(クリティカルヒット)で装備分耐性貫通するとか夢にも)

「皆が勝利の凱旋してるってのに、一番の功労者はあんま嬉しそうじゃねぇな」

「被害が大きすぎる事に胸を痛めているそうだ。炎の中にいた人間で助かったのは1000人も満たないらしい。しかも大半は5歳以下の子供だとよ。子供だけ集めて食べようとしてた悪魔をブレインさんたちが倒さなけりゃ助かったのは300人以下に落ち込んだだろうな」

「うへぇ」

「オマケに首謀者を取り逃がしてる。あの人にとって勝利とは言えないんだろう。自分に厳しい方だよ」

「……でも、かっこいいよな」

「ああ」

(帰ったあとどんな顔して謝れば、でもお互いさまなトコあるし? だけどぶった斬ったのは俺だもんなあああ……ふぅ)

 




王都編終了。後数回ほどで完結となります。散々外堀埋めさせたんでわかると思いますが、その回収ですね。勝手に勘違いして世界征服までやってしまうナザリックのNPC達の忠義と言う名の暴力をお楽しみください。

イビルアイは、モモンを助け計画成功の功労者でもあるのに、エントマ半殺しかつぬえが怪我する原因でナザリックのブラックリストに載りました。利用価値無くなった段階で殺されます。生きろ。

あとぬえは職業の都合、槍が本命です。剣も扱える前衛職も取っていますが、使うぐらいなら槍使えというレベル。それでも剣を用いたのは当然、元ネタリスペクト。

オマケデータ

真紅神槍:伝説級装備。属性なし、投擲威力20%上昇、武器破壊耐性+500%、腐食無効、非実体に対し50%のダメージ効果、切味維持、その他攻撃性能上昇効果。

禁忌剣・レヴァ:聖遺物級装備。属性炎、攻撃+20、攻撃範囲極大、追加効果『散弾火球』、盗難無効、魔法ダメージ上昇効果大。

さいきょーのけん:伝説級装備。属性氷、氷属性魔法強化、攻撃範囲+90%、武器破壊効果+90%、クリティカルヒット率+9%、武器破壊無効、腐食無効、9%の確率で武器攻撃力2倍、追加効果『氷結撃』

参考までにアニメでも出てきたワカm…ブレインが持つ刀が「属性神聖、低位魔法効果、物理障害に対する斬撃 効果20%向上、物理ダメージ5%向上および一時的効果+10%、非実体に対し30%のダメージ効果、クリティカル率5%向上」でシャルティアに微妙扱いされています。
それとぬえがちょろまかした希少金属ですが、ギルド『アインズ・ウール・ゴウン』が保有してた隠し鉱山のものとはまた違うものです。超々希少金属とも言われる類(最低でも7種)は神器級武器やあるワールドアイテムの作成に必須な類であり、これを無断消費する事がどれだけ迷惑かつ極悪な行為かおわかりになるでしょうか。ぬえが勝手に使ったのは多分ワンランク下。

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