PSO2 マイキャラ達のちょっとした日常 作:ひかみんとかカズトとか色んな名前
思ったより短くなってしまった…
「ありがとうございます、ネーアお姉様。お付き合いいただいて…」
「いいよいいよー。欲しいものは揃った?」
「はい。お陰様で。」
一人の金髪の女性ーネーアーと会話する、サイドポニーの青いキャストー白蓮ー。
彼女はネーアと共に探索に出ていたのである。
「それにしても、それを何に使うの?」
「ん…ちょっと、考えがございまして。」
「ふーん。まぁ、頑張れ少女よ!ではな~」
ネーアは割と自由な性格だったのか、白蓮の目的に興味を示さず、別れを告げて去っていった。
そして白蓮も、ショップエリアの端の方へ走っていった。
「ふむ、確かに受け取ったぞ。」
そう頷くは、有名な刀匠ジグ。
彼は、白蓮からそれを受け取り、満足そうに頷いた。
「しかし驚いたぞ。儂にこんなことを相談するとはな。」
「…それはその…色々考えまして…」
「palseを元気づける。…まぁ、その答えがこれとは誰も思うまい。」
ジグが持つ一枚の紙。それにはジグが白蓮に頼んだ素材が書かれていた。
そう、白蓮は未だ落ち込むpalseを元気づけるために何か出来ないかと走り回っていたのである。
「…その、ほかの人も考えたのですが…みんな、表情に出そうなので…」
「…ああ、何だかわかる気はしてしまうな。」
消去法で自分に回ってきたとはいえ、ジグはpalseの主な知り合いを思い浮かべる。
ゼノやエコー、アザナミ等、大半の若い者達は焦って隠そうとして気づかれるだろう。
ラヴェールやリサ、メルフォンシーナ等はそれには向かないし、レギアスら六芒均衡も宛にはならないだろう。むしろヒューイやクラリスクレイスは騒ぐからバレるのが目に見えている。
「まぁ、儂もこうするしか出来ないのだがな。はっはっは。」
「でも、助かります。…私には、わからないから…。」
「…そうか、お主も苦い記憶があったな。失礼した。」
「いえ、お気にならさず。」
一瞬暗い表情をした白蓮に謝罪するジグ、彼女もすぐに表情を素に戻し、続ける。
「まぁ物資の方は、なんとかコフィーさんの許可もシャオ君の協力で得て、Eトライアルの報酬と見せかけて何度も貰ってますからね…」
「…シャオも一応絡んでおるのか、まぁ当然か…。とりあえず、後少しを頼むぞ。」
「わかりました。では。」
そう話し合い、白蓮はまたゲートエリアへ向かった。
残りの素材集めへと向かうためである。
白蓮が向かった先は、黒の領域。
既に、双子の餌食となってしまった黒の民と、玩具系ダーカーが溢れる危険な地になってしまった。
白蓮はここに、輝石を集めに来ていた。
陰輝石チャンドラ。新しく確認された輝石で、黒の領域でのみ確認されているらしい。
白蓮はここで一人で、時には誰かに手伝ってもらいながらEトライアルをクリアし、地道に集めていた。
「…私も、お節介なのかな…」
ふと立ち止まり、空を見上げながらボソリと呟く白蓮。
その瞬間、背中に何かが飛びかかる。
「…ッ!?しまった…!」
背中にダーカー、ボンダ・バクタが飛びついていた。それどころかいつの間にか玩具系ダーカーが沸いており、白蓮は完全に隙をつかれてしまった。
張り付いているダーカーはすでに爆発間近だろう、間に合わない…そう思い、ダーカーの群に背を向け、痛みを堪える構えを取った。
それとほぼ同時のタイミングで、ボンダ・バクタが爆発する。
「ぐっ…!!」
小規模な爆発とはいえ、白蓮の小さめの体は容易に吹き飛び転がった。その衝撃で腰に下げていたカタナーコンゴウーも外れて離れたところに落ちてしまう。
「うっく…予想より威力が…!!」
体制を整えていたとはいえ、超至近距離では威力を軽減することは難しかったらしく、背中に痛みが走っていた。
落ちてしまったコンゴウまでは距離がある…
その間にダーカーは丸腰になった白蓮に一斉に襲いかかった。
「くっ…!」
今の状態では避けるので手一杯だった白蓮は、体を投げ出すように転がって避ける。が、そこに家型のダーカー、オロタ・ビケッタが自分の持つキャンディ状の棒を振りかぶっていた。
回避は間に合わない。そう本能的に理解した白蓮は両手で頭を守るように隠し、目を瞑った。
その時、複数の抜刀音と切り裂く音が鳴った。まるで、いくつもの風が鳴くように。
目を開くと、腕を切り落とされ、顔も全て斬られたオロタ・ビケッタがいた。すぐに霧散したが。
周りにも斬られたダーカーがいくつもおり、既に数匹小さいのがコロコロしているだけだった。
「白蓮、無事か?ほら。」
自分の頭の上から声をかけられ、見上げる。そこには褐色肌に白く長い髪をした女性がいた。そしてその女性から落とした武器、コンゴウを渡される。
「…すみませんジュンさん…しかし何故…?」
ジュンと呼ばれた褐色肌の女性は、やれやれと言った表情で白蓮を見ながら言った。
「ここ最近、ほぼずっと黒の領域に入り浸っていただろう?何をしているのかと気になってな、ついて来たんだ。そしたら何があったか、ダーカーに襲われていたからな…すぐに助けた。間に合ってよかったが、油断は良くないな。」
「…申し訳ありません。」
「まぁ気にしなくても大丈夫だ。それより、何の目的で何をしに来ているのか…話してもらえるかな?」
ジュンの言葉に、白蓮は頷いた。
「なるほど、palse殿が落ち込んでしまっているから、元気づけるために…ふふ、ジグ殿が考えそうなことだ。」
白蓮から話を聞き、ジグの案に微笑みを浮かべるジュン。
「そのためならと、シャオ君からも許可は下りてます。」
「だろうな、シャオに気づかれずにやるのは無理だろう。…みんなで作った最新のナックルを渡す、か…」
そう、ジグの案とは、新たな輝石を用いて作ったナックル武器を与えてみるのはどうだというものであった。
白蓮も少し悩みはしたが、他に宛が思いつかなかったためにこの案を選んだのである。
「後どれくらいだ?」
「んと…後少しです。」
「ん。じゃあ私も協力しよう。」
「ありがとうございます。」
ジュンにお礼をしようとして頭を下げかけた白蓮のおでこを、彼女が止める。
「気にするな、彼女には私も世話になっている。これは私が勝手にすること…だから礼はいらないさ。」
「…わかりました。では、行きましょうか。」
「応!」
そして暫くの間。
黒の領域に刃の音が絶えず響き渡っていた…。
《白蓮。聞こえるかい?》
「シャオさん?」
「シャオ?」
白蓮とジュンが敵と戦い続けてはや一時間近くは経った頃。
シャオから唐突の通信が入る。
《ジュンもいるのか、丁度いい。二人とも少し戦い過ぎだ。一度戻ってくれ。》
「でも、後数個なんです…!」
《いや、ダメだ。いざという時に君に動けなくなられてしまうとこちらが困ってしまうんだ、白蓮。キツい言い方になるけど、palseは今実質戦力外なんだ。》
「う…。」
「シャオ、他の人はダメなのか?」
後本当に少しなので粘ろうとする白蓮ではあったが、シャオに制されて言葉に詰まってしまう。そこにジュンが割って入るが…
《君たちもわかっているだろう?確かに人はいるけど、みんなにもやることがあるんだ。これ以上、君だけに例外を許す訳には行かないんだ。》
「…わかりました。」
《palseを思う気持ちはわからなくもないけど、君にまで倒れられると流石にね…》
「はい…」
《ん。じゃあ戻ってきてくれ。》
「…ふむ、白蓮。」
通信が終了し、シャオの説教にへこむ白蓮に、ジュンが何か思いついたように耳打ちする。
「私にも少しは報酬としてチャンドラが与えられたはず。それを使え。」
「え、で、でも…」
「言ったろう?私の勝手だと。だから気にするな、ほら早く帰るぞ。」
ジュンは自分の報酬の一部、白蓮の言う足りない量を彼女へ手早く移したと思うと、さっさと帰還用テレパイプの方に歩いていってしまった。
「ま、待ってください!」
白蓮も慌てて後を追い、帰還した。
帰還した白蓮とジュンは目的の物の残る量をジグに渡し、完成を待った。
そして、その完成の日ーーーー
「む、来たな白蓮。」
「完成したと聞いたので、飛び出してきました。」
「はは、元気じゃのう。ほれ。」
渡されたナックル…いや、ナックルというよりも、鉤爪に近い物であるようだ。
手が少し開いた状態で爪の形にフォトンが伸び、手の甲からも少し違った爪が伸びていた。
片方で8つ、合計16の爪で敵を引き裂く目的の特殊なナックルのようだ。
しかし、それでも見た目はどこか神聖さを感じさせる白を強調しており、爪の色も空をイメージしたのか、若干薄みがかった青だった。
「今のあやつは、無意識ではあるが皆を引っ張り鼓舞する太陽のようなもの。ならば今作られているあのガイコツのものでは正反対じゃろう?だが、性能も求めるならチャンドラを使わなくては厳しい。だから、ちょこちょこ別の石も求めたんじゃよ。」
ジグの説明に、手渡されたナックルを見ながら頷く白蓮。とそこに、
「白蓮!こっちにいたのね…。」
白蓮が渡そうとしていたその本人、palseが彼女を追うように走ってきたのだ。
「全くもう、連絡受けたと思ったらすぐに飛び出して行っちゃって…ん?その武器は…?」
「あ、えと、あの…」
いきなり現れ、いきなり武器に触れられてしまったため、白蓮は慌ててしまう。
「その子はな、お主のためにそれを作ったんじゃ。」
まぁ実際作ったのは儂だかな。と付け足してジグは続ける。
「お主があのマトイを失ってから、ずっとクエストに出ておらんじゃろう。それを心配した彼女が、お主を元気づけようと走り回ったんじゃよ。」
「私に…?でも…」
「お、お姉様!!」
もごもごしていた白蓮が、意を決したようにpalseを呼ぶ。
「確かに私の無断で、加えて黙って進めていたこと…そして、お姉様の気持ち、考えてることを無視したことは謝ります!でも、私は少しでも早く、私を引っ張ってくれていたかつてのお姉様に戻ってほしかったのです…!!」
「…白蓮…」
白蓮の必死の訴えに、未だ迷いを抱えるpalseは黙り込んでしまう。
「palse。お主は…」
「わかってはいるけど…でも…」
「palse殿。」
palseの後ろから声がかけられ、三人ともそちらを向くと、歩いてきたジュンがいた。
「貴女が悩んで、迷っているのは皆承知している。だが、いつまでもその姿を晒させ続けるのは彼らにとっても辛いものだ。それに何より、この先もずっとその様子では…その子の想いも無下にしてしまうことになるぞ?それでも良いと言うのか?」
ジュンが叱るように、だが優しくpalseに語る。
「何にせよ、貴女の道だ。私はこれ以上とやかく言うつもりはないぞ。」
「………はぁ…なんでこう…私の周りは…」
「お姉様…!!」
呆れたと言わんばかりに大きく溜め息をつき、やれやれと言ったポーズを取るpalse。白蓮はそれを、自分達が悪く言われたと見て咎めようとしたが、ジグに抑えられた。
「大丈夫よ、白蓮。確かにまだ迷ってるし、悩み事は絶えない。でも…ここまでしてもらって、ここまで言われたら、もう覚悟を決めるしかないじゃない。」
「!…で、では…!!」
「ええ、久々にアークスとして、働こうじゃないの。…仕事はあるんでしょうね?白蓮。」
「勿論です!!案内しますのでついて来てください!!!」
palseの復活宣言に、まるで子供のような、心のそこからの笑みを浮かべながら白蓮は案内するためにゲートエリアへと突っ走っていってしまう。
「あっこら…もう…」
「ふふ、姉への気持ちは相変わらずだな。よし…私も同行するとしようか。」
「ん、そうしてくれるとありがたいわ、ジュン。慣れない武器に久々だからね。」
「気を付けて行ってくるんじゃぞ~!」
ジグの見送りを受け、白蓮を追いかけるpalseとジュン。
そのpalseの表情は先ほどのどこか暗いものとは違う、悩みも迷いも吹っ切れたいい笑顔であった。
ようやく吹っ切れたpalseと、元気になった姉に喜ぶ白蓮でした。
ゲストのジュンさん、ありがとうございました~。
次は誰を主体で書こうか…