PSO2 マイキャラ達のちょっとした日常 作:ひかみんとかカズトとか色んな名前
T氏に感謝を。
おそらく私の作品で一番長い作品となったと思いますので、じっくりと読む方はある程度のお時間を確保した方がいいかもしれません。
「白蓮。」
オラクル、アークスロビーゲートエリア。
青く細いツインテールに青い略帽、クエンディナマント[Ou]とヘリオスディルア海[Ba]といった組み合わせの格好をした少女、白蓮。
その彼女を呼んだのはマトイであった。
「はい?どうされましたか?」
「その…大丈夫?palseがいなくなってからずっと戦い続けてるけど…」
「大丈夫です、ご心配ありがとうございます。」
「…でも、まだ負い目を感じてるよね?」
白蓮の相変わらずの無表情から、マトイは彼女の心境を読んだ。
そう、palseはあの深遠なる闇を救う作戦の時、どこかへ行ってしまった。
マトイと、彼女達の力になるべくついて行った白蓮を庇おうと深遠なる闇の転移に巻き込まれ、白蓮は一人では行かせまいとpalseを追うように転移に巻き込まれた。
だが、転移した先はまるで違う世界が広がっており、palseどころか知り合い一人すらいなかった。
そこで出会えたのはハリエットと名乗る少女と、彼女を付け狙う兵士。
兵士を追い払った後、アルマの力でアークスシップへと戻ることは出来た。だが、palseの行方はわからずじまいであった。
それでも白蓮は、彼女は生きている。どこであろうと人を助けるために戦っている。
palseに転移間際に託された彼女のフォトンが、白蓮の中でそう告げてやまない気がしたからだ。だからこそ、止まる訳にはいかない。
そうして彼女は、palseがいつか戻ると信じ、
そうして彼女は、オメガと呼ばれた別世界で戦いつつpalseを探し続けていた。
ハリエット達も尽力してくれてはいるが、未だに成果は皆無に等しかった。
そんな戦闘続きの彼女を心配したマトイが白蓮に声をかけた。ということである。
「負い目…そうですね。そうかもしれません…でも、私は止まれない。あの人を見つけるまで、帰ってくるまで。」
「白蓮…」
白蓮の瞳は確かに疲労感はあるが、決して揺らぐことのない決意で満たされていた。
服や背といった外見も全て白蓮が希望したものであり、今までのような甘える立場ではなく、前に立ち、皆を守る為の決意を表したという。
「…無理はしないでね。」
「大丈夫です。…では。」
「…うーん…」
「やっぱりダメだった~?」
「あ、アンジュさん…はい…。」
白蓮が歩き去った後、残されたマトイに声をかけたのはアンジュだった。
アンジュもまた外見を大きく変えており、ロングであった髪は後頭部に纏めていた。
「そう…うーん。転移の痕跡とか辿れればあの子…palseを追えるかしら~?」
「そ、それは無茶なんじゃ…」
「かしらね~?…でも今のシップ内の現状とかを考えたらそうも言ってられないわよ。」
palseは常に様々な人達と関わってきた。色んな人の悩みと向き合ってきた。その姿勢が今裏目に出てしまっているのである。
情報は艦橋で止められている。しかし、palseが全く姿を現さなくなったために一部のアークスには感づかれているのが現状である。
「でもまず白蓮ちゃんを何とかしないとかなぁ…うーん。」
「…palseがいなくて寂しいのは白蓮だけじゃないのに…」
「白蓮、入ります。」
「どうぞ、とはいってもそんなにかしこまらなくてもいいのに。」
「癖は中々抜けないものですから。」
白蓮が向かった先は艦橋。
シャオが軽く笑みを浮かべながらそう告げ、白蓮もまた微笑みつつそう返す。
そんな中情報を纏めていたシエラがこちらを向く。
「あ、来ましたね!早速ですが呼んだ理由ですが…」
「…支援依頼?」
「そうですね、テレイト_
守護騎士ガーディアンとなった白蓮の元に舞い込んだ依頼。それは妹に当たる女性キャストを支援…もとい見張ってて欲しいということであった。
「テレイト…確かキャストで構成された大家族でしたっけ?」
「えっと、そうらしいですね。ミストレートさんらを筆頭としたキャスト家族だそうです。…というか意外と把握してるんですね。」
「同じキャストですから気になりまして。後ウチのシャイナさんが女性ハンターっぽくなってるのも…。」
「あぁ…」
白蓮の一言で察したシエラはそれ以上言わなかった。あのシャイナなら仕方ないと悟っていたからである。
「とりあえず、
「いえ、支援して欲しいのは…妹であるfel8さんだそうですね。」
白蓮が確認している端末に、シエラは情報の一部を流し渡す。
そこにはボディを主に緑色に染め、元気そうな大きな瞳とこれまた緑の帽子を被った女性キャストが映し出されていた。
「テレイト_
「テクニック…ということは私が前線を張ればいいんでしょうか。」
「多分そうですね!えーっと、場所は…ウォパルの海岸エリアですね。」
「了解です。」
シエラの指示を一つ一つ覚えるように頷き、伝え終わったとみるや白蓮は一言だけ返事をして艦橋から出て行った。
「…やっぱりまだ堅いですねぇ…」
「それだけ彼女の中のpalseっていうのは、大きな存在だったんだろうね。…いや、それはアークス全体に言えることか…。」
「ウォパル、海岸エリアに到着。…目標が見あたらない…?」
ウォパルの海岸に着いた白蓮であったが、集合場所には誰もいなかった。とそこに通信が入る。
「あー、あー…聞こえますか?」
「はい、聞こえます。…k6さんでしょうか?」
キョロキョロと辺りを見渡す白蓮に、テレイト_k6から通信が入る。
なにやら気まずそうな口調でk6は語り出す。
「ええ。フェルの事なのですが…その…」
「…先行しましたね?」
「…申し訳ない。」
「fel8さんはそういうタイプ、と把握が出来ただけ十分です。合流しに私も向かいます。」
短くそう返事を返し、白蓮は駆け出す。
恐らくそう遠くへは行ってないだろうと判断した彼女は、空気中のフォトンの濃度を感知しつつ走り続ける。
「(テクニックを使った形跡は…無さそう…?ならどこに…)」
違和感を感じた白蓮はその場で止まる。
クエスト開始地点から大分進んだが、そこまで戦いの痕跡はともかくテクニックを使用した跡すらないのだ。合流予定地点とは別のところに降りたとしても、どこかでそれらを感じ取れるはず…と考えていた白蓮の背後から襲いかかる大きな影。
背中に背負ったセイカイザーソードを手にとり、大きく振るう。
「ブライトネスエンド…!!」
体を大きく回転させ、遠心力を乗せた一閃。
背後から襲いかかってきた影、オルクブランは顔面を切り裂かれ、一瞬悶えた後に海へと倒れぷかぷかと浮いて動かなくなった。
「……力がついても…守れないんじゃ意味がない……。」
ソードを持ったまま、空いてる片手で悔しそうに握り拳を作りつつそう呟く。
「おぉ~…やるわねぇ~。」
白蓮が呟いた後、後ろから歩いてくる人影と足音が近づいてきた。
それに気づいた白蓮はそちらを向くと、緑色のキャストが感心していた。
「貴女は?…いえ、貴女が
「おっ、情報もちゃんと行き渡ってるわねぇ、感心感心~。」
正面の彼女、テレイト_
「えーと…なんでそこまで警戒してるのかなぁ~?」
「…そうですね、まずは貴女の独断専行。依頼のお話は通っているはずですが?」
「あぁ~…ごめんねぇ、ボクは待つタイプじゃなくって…」
「それと、“敵が出てくる前から潜んで”いましたね?…私の力量を測るために。」
「…あら~、そこまで見切れるとはね…。」
「何が目的です?」
睨みつけるような鋭い視線を
「勝負しよっ!!」
「…は?」
裏切りか、はたまた自分の首を狙う者なのか。
そう警戒していた白蓮に告げられた言葉は、勝負。
単純に勝負したいがために白蓮の腕を見ていた…ともとれる。
「…何を言ってるんですか、私は貴女の支援依頼を受けて来たんです。何故勝負しなければ行けないのですか?」
「あら、じゃあ君はよくわからないアークスと行動を共にするのかな?」
「わかっているつもりではありますが?」
「ふーん、じゃあやってみせてよ。」
意地でも勝負したがる
「…貴女をそこまで勝負に駆り立てる理由はなんです?」
「単純!ボクが君としたいから!」
「…はぁ、いいでしょう。」
その答えに呆れた白蓮は、セイカイザーソードを背中から抜き放ち、構える。
「(とはいえ、正面から突っ込むのは愚作ですかね…どうしましょうか…)」
恐らく当たれば損傷は大きいであろう
「んっふっふ、来ないならこっちから行くよ!…法撃回路、開け!」
直進して進む炎のテクニック、フォイエ。
「ウェイパーオブバレット…!」
白蓮はその斜線上から素早く避けつつ、気弾で
「わわっ、やっぱヒーローはずるいねっ…と!」
再びフォイエを白蓮へ向けて放つ
だがその直線的なテクニックはすぐに読まれ、回避されてしまう。
「ブランニュースター!」
「うわっとっと!ゾンデ!」
「…!ぐッ!」
避けに徹していた
「…ラ・フォイエ!!」
「ぐぁ…ッ!!」
牽制が刺さり、チャンスとみた
白蓮もまた先ほどのゾンデ直撃によりツインマシンガンを落としており、武器によるガードも出来ないままモロに受けた彼女の体は吹き飛び、砂浜を転がった。
「んっふっふー、どうしたのかなー?」
「…くっ…(腕…がっ…!)」
優位に立った
ここしばらくの任務で積み重なった疲労や自身の体のパーツが悲鳴を上げ始め、左腕がゾンデとラ・フォイエの直撃によりほぼ動かなくなってしまっていた。
《…!フェル!やっと繋がった!何をしているの?!》
「
《貴女、何を…!》
とそこに
「とはいえこの程度じゃ本代もたかが知れるわねぇ~。」
《フェル!!》
「そんなに怒らなくても…お?」
「……」
通信に気を取られていた
「んっふっふー、まだやるつもりなんだ?」
今の彼女の様子をみた
「私の“姉”を…馬鹿にするなァッ!!!」
だが、余裕そうな彼女に対し白蓮は本気で激怒した表情で
「そんな砂煙程度じゃ……ッ!?」
砂煙ならフォイエで貫通させられるしラ・フォイエで出たところを狙える。
そう読んだ彼女へ砂煙から飛び出してきたのは、容赦のない殺意がこもったソード。
白蓮によって投擲されたソードはまっすぐ
「あっぶな…」
チャージの構えを解き、不意打ち気味のソードをかわす
ソードが
ヒーローが持つタリスの能力の一つに、投げたカードの先にワープするというものがある。
そのソードと共に投げつけられた物は…
「いっ…!?」
「でやぁァぁぁァァあ!!!!!」
そう、タリスであった。
そのタリスへワープした白蓮は、投擲したソードをキャッチし、無理矢理
回避は間に合わない、そう確信した彼女はロッドを盾代わりに向け、目を閉じた。
ぶつかり合う、武器の音。
「…?」
両肩の大きな盾のような腕パーツにウォンドを握る彼女…
「ねえさん…!?」
「…間一髪ってところね…。」
テレイト_k6が二人の間に入り、白蓮のソードを受け止めていた。
白蓮は殺すつもりで振り下ろしたソードを、全く微動だにせずに受け止めている彼女もまたかなり熟練したアークスであることを物語っていた。
「邪魔、をす、る、…ぁ…ごぼっ…!」
「…!」
その彼女を怒りのまま突破しようとした白蓮に異常が発生する。
体への負荷が限界を超えたのか、血を吐き出して倒れたのである。しかも…
「…これは…!?」
「ねえさん…!」
「わかってる、フェル!シップに緊急連絡!急いで帰還するわよ!」
白蓮のフォトンが弱まりつつある上、所々露出したパーツからはパチパチと火花が散っていた。
恐らく負荷や傷を隠した上に無理して任務を行っていたのだろう。
力なく横たわる彼女をk6が抱きかかえ、すぐに通信し伝え終えたfel8と共にキャンプシップに、アークスシップへと帰還した。
「フェル、貴女どうしてこんな事をしたの?」
「えーっと…これには訳が…」
「横からごめんなさいね~。」
白蓮はk6によってメディカルセンターまで運び込まれ、緊急メンテナンスが行われた。
彼女を預けたk6はメディカルセンター前でfel8に説教しようとした所に、アンジュが現れた。
「……なるほど、フェルは既に依頼を受けてた訳ね…。」
「騙すような真似をしてごめんなさいね~。」
「ごめんね姉さん。どうしても、って言われたからねぇ…」
アンジュからの説明はこうだった。
心の傷が塞がらないまま戦い続けた白蓮が無傷で戦い続けられる訳がない。現にパーツが傷ついていた部分や疲労、負担を隠していた。
誰がどう見てもわかることだが、頑固な彼女はそれを聞き入れずにずっとpalseを探し続けるだろう。
なら、同じキャストに負ければ、その自分の体にかかっている負荷を自覚させてあげればいいのではないか。荒療治にもなりかねないがそのぐらいはさせないと止まらない子だとわかっていたアンジュは、キャストで構成されたテレイトシリーズ、その中でも無茶を聞いてもらえるであろうfel8を選んだということだった。
「確かに
「一応ボクも加減はしたけどね…彼処までボロボロとは思わなかったなぁ。」
依頼をアンジュから受けていたfel8自身も実はフルパワーではなかったが、それでも最終的に致命的になるまで白蓮はボロボロになってしまった。
「嫌な役を押しつけてごめんなさいね。私で大丈夫ならお願いすることもなかったけど…。」
「…彼女の性格を理解してるなら、それこそ早い段階で手を打てたのでは?」
「…そうね…。」
アンジュの行動を指摘するk6。
そう言われたアンジュも帽子に手を当て、俯いた。
と、そこにフィリアが駆け寄ってくる。
「み、皆さん!白蓮さん、安定域に達しました!もう大丈夫です…!」
「ほっ…良かった。じゃあ、謝りに行きましょうね、フェル。」
「…え、そっち?」
「当たり前。依頼を受けてたとはいえ彼女の家族を馬鹿にしたのは貴女でしょう。」
急いだフィリアの息を切らしながらの報告に、k6は直ぐに白蓮の元へfel8を連れて歩いていった。だがアンジュはその場で俯いたままであった。
「…あれ?あの人はいいのかなぁ…?」
「いいの。…あの人もそっとしておいて欲しいはずだから。」
fel8の呟きにk6はそう返す。
残されたアンジュは力になれなかった事を後悔しているのか、悔しそうに唇を噛みしめ、手を強く握り締めていた。
それに気づいていたk6は、そそくさと白蓮の元へ向かった。
「…ん…」
白蓮が運び込まれた部屋では、彼女がカプセルのような物に入れられ動かないようにしっかりと固定されており、未だフォトンによるパーツなどの治癒は行われているようだった。
「具合はどう?」
「…体はまあまあでしょうけど、気分はよくありませんね。」
k6に尋ねられた白蓮はいつも通りの無表情で素っ気なく返す。心なしかfel8を睨んでいるようにも見える。
「その様子だと、フェルに謝罪させても無理そうね。今回の発端も知らされてないようだし…」
「…?fel8さんはともかく、今回の発端とは…?」
「あ、ボクの事はどうでもいいんだ…」
fel8の謝罪も有耶無耶のまま、白蓮はまだ知らないアンジュの依頼の話をk6から聞くことに。
「………はぁ…荒療治すぎますね…全くあの人は…。」
事の発端を知った白蓮は、相変わらずだと呆れて大きくため息を吐いた。
トラブルメーカーな彼女が関わっているだろうと薄々感じていた彼女ではあったが、その考え方までは予想出来なかったらしい。
「とはいえ白蓮さんも無理をしすぎよ。パーツまでボロボロなのに…」
「それが私に与えられた任務だからです。」
「…それだけじゃないよね?いやまぁボクは一応話を聞いたからある程度はわかるけど…」
k6の言葉に淡々と返す白蓮だが、fel8の言葉にピクリと反応し、若干冷たい視線を向けるが短くため息を吐き続ける。
「…
「あぁうん、失踪…というか行方不明なのよね?」
「はい。」
「なるほど…ここ最近palseさんの噂を聞かなかった原因はそれね…。」
白蓮の問いに、アンジュからある程度の事情を聞かされていたfel8はそう答え、k6は納得したように頷きつつ呟いた。
「まず、つい最近に深遠なる闇へ
出撃する前でも回想(説明)した、深遠なる闇への作戦。その結果。それを白蓮が二人へと話し始めた。
「そうですね。確か地球の方々のご協力を得てどうこう…」
「そうです。深遠なる闇から【
淡々と説明し始める白蓮。だがどことなく後悔が混じっているようにも聞こえる。
「私は、彼女達の力に、盾になるべくついて行く事を願いました。彼女達は認めてくれましたが…今思えば、それさえなければとすら思いますね。」
「どうしてさ?」
「いざ助け出せるとなった瞬間、異変が起きたのです。深遠なる闇が転移を始めるという突然の異変が。奴はそれで私達を巻き込もうとしたのです。」
「それをさせまいと、palseお姉様は私達を庇い逃がそうとしました。だけど…私はそれを許さなかった、許したくなかった。彼女を追う形で、転移に巻き込まれたのです。でも…」
「転移した先に、あの人はいなかった…っ!」
悔しそうに唇を噛みしめる白蓮。余程悔しかったのか、唇から血が垂れるほどに力を込めていた。
「…目の前で連れ去られ、いなくなって。私はどうしたらいいかわからなくなった。でも、転移させられた先にいた、追われてる人を見て体が動いた時…私の手にあったんです。」
「あった…?何が?」
「あの人…palseお姉様が託された武器、コートダブリスが。」
白蓮が転移した先の世界─オメガ─で初めて会った人、ハリエッド。彼女が追われてるのを見たとき、palseが【
「そしてその人を助けた後、一度こちらに戻れはしました。けれど、お姉様はいなかった。でも、あの人がそう簡単に死ぬはずはない。どこかにいるはずだと思い、もう一度転移先へと向かい続けていました。」
「ってことは、捜索はまだ続いてるのかな?」
「ええ。…向こうの方々も協力してくれてはいますが、あちらも問題だらけでしたから。」
「…つまり、深遠なる闇によって二人は転移させられ、そちらの転移先でその人達を助けつつ、palseさんを探してた…ということですか?」
「…簡単にまとめれば、そうですね。私があの武器を託されたのも、あの人は何かを予感していたのかもしれません。」
白蓮は淡々と語り終わり、やはりどこか後悔しているような表情をしていた。
と、ふとfel8が口を開く。
「あれ、でもさっきボクと戦ってた時に振るってたの…セイカイザーソードだったよね?」
「コートダブリスはいつでも振るえる代物ではありませんので、普段は納めてあります。あちらの世界や緊急時以外では振るってはいません。」
「何故です?それでは…」
「…そのコートダブリスに、あの人のフォトンも宿っているのですよ。…そのフォトンはあちらの世界でよく使用する、そのために…」
「普段は節約している、と?」
「いつ切れるかわかりませんからね。それに…」
二人の質問に静かに答えていく白蓮は、一息おいて告げる。
「…今、私とあの人を繋げる数少ない物なのです。…意志を継ぐ、などと言っておきながら身勝手で節約している…変な話ですね。」
「んー…そのー、白蓮ちゃん。馬鹿にするつもりはないんだけど…」
ネガティブな悪循環に入りそうになった白蓮に、fel8が突然口を挟む。
俯きかけていた顔を渋々上げ、白蓮はfel8の方へ視線を向ける。
「その、少しさ…palseさんから離れてみたらどうだろ?ボクが見る限りだと、palseさんを追いかけすぎて回りが見えてないようにも見えるし、皆も凄く心配してると思うんだよね~。」
「……。」
fel8からの発言にすぐに反論するかと思われていた白蓮は、冷静にその言葉の意味を考えていた。
姉の事にはすぐに食いついてくるかと思っていたfel8は、意外な反応におよ?と戸惑っていた。
「…いい機会ですし、少し落ち着いてみましょう…。体もすぐに動く訳ではありませんし、ね…。」
「おや、いいのかい?そんなあっさりと…」
「無駄にがむしゃらに動いても駄目だとわかっただけでも十分ですからね。考えを改めるには十分でしょう。」
「…んっふっふ、いい感じに態度が柔らかくなってきたじゃん白蓮ちゃん。」
「私の姉を侮辱したことを許した訳ではありません。」
「あ、そう…。」
焦ってpalseを捜索するより、彼女から一旦離れて冷静に思考し対処することにした白蓮。彼女が落ち着き普段通りになったとみるやfel8はマイペースな口調で話しかけるが、白蓮自身は許しておらず未だに冷たい視線を向けていた。
「ふふっ…何がともあれ私達の依頼…というより遠回しのアンジュさんからの依頼は達成ということで良さそうね。フェル、アンジュさんに報告を。」
「りょーかい。じゃまたね~ん、白蓮ちゃん。」
k6がそう判断し、fel8にそう指示する。
fel8もすぐに了承し、白蓮に手をふりながら飄々とした態度で歩き去っていった。
「白蓮さん、改めて今回は色々とご迷惑をおかけしました。」
「構いません、お気になさらず。…むしろ私が感謝を言わなければいけないでしょう。」
fel8の気配が遠くへと言ったのを確認したk6は、今回の件について白蓮へ謝罪した。だが白蓮も自分自身が今まで積み重ねてしまった事に気づかせてくれた二人に感謝しようとしていた。
「でも…」
「確かに私に黙って陰で色々やっていたり、姉を侮辱したことは謝罪に値します。ですが、それでも私自身が一旦落ち着けるように仕向けてくれたのもありますから…一概にあなた方が悪いとは言えません。」
「そう、ですか?」
まだ引け目を感じてるのか、k6は白蓮の感謝に困惑していた。
そんな彼女に頷きつつ、白蓮は続ける。
「自分の姉を見失って焦りが募り、他の方々の事まで視野に入らなくなっていたのですから。その私を止めてくれた事に感謝させてください。」
「…わかりました。」
白蓮からの感謝の意志に、k6も納得したように微笑みを浮かべ頷く。
「…ところで、その…個人的なお願いなのですが…」
「なんでしょう?」
話が一段落したところで、白蓮が少し視線を泳がせながらk6にお願いがあると言い始めた。
k6も態度が変わった白蓮を不思議に思いつつ聞く体制になる。
「その、前からテレイトの方々のお話は伺っておりまして…よろしければ、色々と聞かせていただけないでしょうか…?」
「…ふふ、それくらいならお安いご用ですよ。今度フェル以外の子達も連れてきます。」
「ありがとうございます、お姉さ…k6さん。」
「…ん?」
白蓮の頼みは、キャスト家族であるテレイトシリーズのお話を聞いてみたいという単純な興味であった。それをあっさりと承諾した上に他のテレイト達も連れてくると約束してくれたk6。
その彼女に、白蓮は思わず自身の姉を重ねたのか何か呼びかけるが訂正するも、k6には聞こえていた。
「…忘れてもらって構いません。」
「いいですよ、妹が一人増えても。私は歓迎しますよ。」
「……。」
恥ずかしがって顔を反らす白蓮に、k6は笑顔を浮かべ呼び方を受け入れると言った。
白蓮はまだ恥ずかしいのか、それとも自分が受け入れられないのか、顔を反らしたままであった。
「…いいんでしょうか…?」
「いいですよ。…それに身内にも話しづらいことがあるでしょうし、それらを溜めさせないのも兼ねて、ですけどね。」
「…ありがとうございます、k6姉様…。」
恐る恐る聞き返す白蓮に、k6は受け入れる意図を示す。それを聞いた白蓮は、小さいながらも感謝とその意を込めた呼び方で呼んだ。
正直EP5の現状説明回とゲスト物は分けてよかったと思います(絶賛後悔
キャラを提供してくださったテレイト氏、ありがとうございます…それといつかリベンジの許可を…()
EP5ではpalseなしで行く方向にしようかと思ったのですが、ダークブラスト等が出たので少々悩み所ですね。
今後のストーリーがどう展開するのかですかねー。まぁ期待するとアレかな感(
まぁこれからは少し考えてから投稿すると思うので、PSO2短編は減る可能性があります、ご了承ください。