PSO2 マイキャラ達のちょっとした日常 作:ひかみんとかカズトとか色んな名前
どこぞのスーパーロボットに乗った緑髪のパイロットみたいな口調に似てますが関係はありません。
結構サクサクサクって書いたからおかしいとこあるかもしれませんがご了承ください…
やること多くて疲れるんですよ(白目
であどうぞ
「……」
ふらふらと凍りついた大地を歩く一人の女性。
紫色のロングヘアーに、メイド服に身を包み腕に恐らくギャザリングの食材だろう、それを抱えているが天候がかなり酷く本来ならばそれどころではない。
雪と暴風による視界の悪さに加え、気温の低さに体温をみるみる奪われ、今となってはどこを歩いているのかすらわからない。
「…」
その女性は何かを呟こうと口を動かしかけたが、紫がかった唇は最早動くことなく、体も完全に停止してしまったように倒れ込んだ。
「…今日はやけに酷いわね。」
「稀にみる異常気象というやつでしょうか。」
場所は惑星ナベリウス、凍土。訪れたのはpalseと白蓮の二名。
彼女たちは天気がいいうちに凍土で食材を採ろうと向かったのだが、中途半端な位置で悪天候に見舞われてしまい、どこか凌げる場所はないかと探し回っていた。
だが視界が非常に悪く、少し離れただけでも危ないレベルである。
更に通信は阻害されており迷惑極まりない。
「そろそろ体を暖めながらというのも限界ね…どこかで暖を取れればいいのだけど…」
「そんな都合のいいところが…ん…?」
彼女たちは出来る限り身を寄せ合い、炎テクニックを応用した無茶な暖の取り方をしていたが、さすがに限界そうなのか周囲への注意が強くなっていた。
と、白蓮が酷く悪い視界の中、何かを見つける。
「お姉様、彼処洞窟になってはいませんか?」
白蓮が指さす先には、大分空洞になっているようなぽっかりとした穴が壁に空いていた。
「…とりあえずそこを見てみましょうか。」
「わかりました…ぁっ!?」
白蓮が先行し、安全確認へ向かう。
だが、急いでたが故に足下に転がっていた食材…凍土ネギの存在に気づけず踏み抜き、転んでしまった。
「…ったた…」
「大丈夫、白蓮?…………まさか。」
盛大に尻餅を付いてしまった白蓮を心配しつつ、palseはこんなところにある凍土ネギを不審に思い、“そのネギの近くにある雪積もり”を掘り起こし始めた。
「お姉さ……!?」
「…ッ!」
palseの突然の行動に白蓮は首を傾げつつ彼女に声をかけようとした時、その雪の下から出てきたのは人の手。
palseはすぐにその手を頼りに体を掘り出し始め、白蓮もすぐに手伝い始める。
上半身が大分見えてきた女性の体をpalseは無理矢理雪の中から引っ張り出し、そのまま空洞へと運ぶ。
「チッ……白蓮、近くに木があったわね?」
「はい、直ぐに。」
こんな時も通信が繋がらず、舌打ちしつつ白蓮にそう告げると、意図を読んだ白蓮がすぐさま木を切り落としに外へと出て行く。
palseはギャザリング用にと担いでいた緊急用バックから簡単なシートで寝床を作るとそこに女性を寝かせ、先ほどまで自分達を暖めていたテクニックで彼女の体を暖め始める。
だが余程冷え切っていたのだろう。彼女の体は肌色は悪く唇はほぼ紫と、完全に遭難した人そのものだった。
「お姉様!」
「ん…流石ね。」
と、そこに木を一本切り落として引きずって持ってきた白蓮が帰還。戻る最中に炎テクニックを使ったのか、木の一部に火がついた跡があった。
白蓮は直ぐに枝を切り、小さめに扱いやすく加工する。
palseはそれを受け取り、すぐに火を付ける準備にとりかかる。意識の戻らない女性に近すぎず、離れすぎずの距離に暖を取るためのたき火を作る。
「どうですか?」
「良くないわ。…この人、ここ相応の準備すらされてないようにも見えるわね。」
palseは白蓮にそう返し、女性を見守っていた。
そんな中たき火がパチパチと勢いをまし、辺りに暖かな空気を振りまき始める。
「…どこかの使えない雇い主が無理矢理やらせたのでしょうか。」
「どうでしょうね。…とはいえ、ここまでだと流石に酷すぎるわ。」
「戻ったら虱潰しに探し出しますか?」
「いや、シエラなら探し出せるでしょう。この人の意識が戻れば、だけど。」
何より今は通信阻害と悪天候により救助を呼ぶことすらままならない。
せめて外の天気と、女性の意識の回復を待つしかなかった。
その命令は、あまりにも突然で単純で、過酷な内容であった。
アークス適性のある者が、切らせてしまった食材を探しに行けという指示。
そこまでは良かった。
他のメイドにはまともな場所に向かわせ、自分には悪天候になると言われた凍土に向かえと指示された。
それも既に補充済みであるはずなのに、だ。
つまり、事故に見せかけて遠回しに私をクビにしようとしたのだろう。
現に凍土に向かう際の準備も何もままならないまま現地に放り込まれ、指示通りに動くも悪天候に見舞われ、今どうなっているかの理解すら出来ない。
確かに私はメイドとしては出来てたかもしれない。だが、人としては全くの出来損ないだったかもしれない。
それもそうだろう。表面上といえど礼儀に気持ちがこもっているように聞こえず、語尾も時折おかしい紫色のボサボサ髪のメイドなんて雇われている方がおかしいだろう。
そう考えながら、ほぼ感じることが出来なくなった体でも感じ取れるほどの冷たい感触に、恐怖心すら忘れた私は心地よさすら覚えてしまった。
漸く、あの場から解放されるのか、と…
───?
───暖かい…?
体も徐々にではあるが暖かみを取り戻し、彼女を取り巻く空間も暖かな空気で満ちている。
何より、何かに、誰かに握られている手が暖かく、安心を覚えられた。
それらを不思議に思った彼女はゆっくりと重い瞼を開く。
「……ん、気がついた?」
そこには、彼女が知らぬ女性が優しい表情で自分を見ていた。
小さな呻き声とともにゆっくりと瞼を開いた女性に、palseは優しく語りかけた。
「大丈夫?意識ははっきりしてる?…あとちょっと失礼するわね。」
寝転がったままの女性にpalseは向き合い、片手で彼女の手を握ったまま彼女の体の体温を素手で確認する。
頬や首を触られ、女性は冷たさに驚いたのか体をちょくちょく震わせていた。
「うん、体温はまだちょっと低いみたいだけど大丈夫そうね。喋れるかしら?」
「…はい。」
「ん、大丈夫ね。」
自分の事を知られたくない女性は小さく返事し、ほぼ黙りを決め込んでいた。
palseはそれを気にする事なく、どんどん質問をぶつける。
「まず…貴女の名は?私はpalse。あっちの彼女は妹の白蓮。」
「…!…私は……」
そう自己紹介するpalse(白蓮は周囲の監視を受けており外に近いところにいた)。
だが、女性は返答に詰まってしまった。
palseと言えば今やアークスの中でも高い実力と共に守護騎士の名を与えられている人と、それをわかっていた女性は今ここで名前を知られ、雇い主に報告され…と言う嫌な流れを想像してしまったからだ。
「心配いらないわ、今通信は死んでいるから聞いているのは私達だけよ。」
「あ…ぅ…」
中々返答しない女性に、その原因をなんとなく理解したpalseそう告げる。
だがまだ女性もpalseのことを信用していないのか言い出せずにいた。
「…そう、なら言わなくても大丈夫よ。強要はしないわ。」
「えっ…」
中々言い出せずに黙り込んでしまい、暴力を振るわれ吐かされるかと覚悟した彼女にかけられた言葉は、予想だにしていないことだった。
「……なるほどね。貴女、相当酷い扱いされてたんでしょう?」
「な…palse様、ご存知で…?」
「貴女と雇い主のことは知らないわ。でも、“強要はしない”と言われた後の貴女の顔にはそう書いてあったわよ?」
たき火を挟んだ向かい側に座ったpalseは優しく微笑みながら女性にそう語る。
女性は図星をだったのか、あたふたと落ち着かない様子であった。
「大丈夫よ、帰ったらシエラと私と少しお話しましょう。悪いようにはしないわ。」
「…私の処分についてですか…?」
「いいえ違うわ。貴女の雇い主を探し出して厳重注意と貴女の解雇をおど、んんっ…説得するのよ。」
物騒な言葉が出かけたpalseは軽く咳払いし、そう説明する。palseのある程度の意図が読めた女性だが、肝心なところがまだわかっていなかった。
「私は…どうなるのでしょうか…?」
そう、彼女のその後だ。
例え雇い主から解放されたとしてもその後は考えていないどころか、今ここで凍死するつもりであった彼女としては、この先また生き地獄を味わうのはとてもではないが受け入れられないだろう。
「そうね…私が雇いましょうか?」
「…ぱ、palse様が…でございやがりま…あっ…」
palseからの突然の提案に女性は気を付けていた語尾の狂いが漏れてしまい、慌てて口を押さえる。
だが、palseは苦笑いを浮かべるだけだった。
「そのくらいなら、私の部屋の人たちは怒ったりしないわ。…変わり者が多いから、ね。」
「…どんな人達がいやがるんでございますか…っ。」
「気を付けなくていいわ、リラックスして喋って大丈夫。」
「わ、わかりましたです…。」
どんどん話されることに驚きと困惑と語尾を隠しきれないメイドの女性。
そんな彼女を怒る訳でも咎める訳でもなく、微笑んだままpalseは優しく声をかける。
「それで…名前はあるのかしら?」
「あるにはあります…ですが、ほとんど呼ばれることはありませんでしたのです。私の態度もありましたが、ほとんどはアレが勝手に酷いあだ名のようなのつけてるだけでございやがりましたね。」
「チッ…くそ野郎かよ…。まぁ、それは詳しく聞かないでおくわ。…貴女の雇い主、相当酷いわね。」
「はい…でも、あんなのに私の大事な名前を呼ばれるぐらいなら、そっちの方がよかったでする。」
次々と出てくる女性の雇い主の酷さにpalseは呆れ顔を隠せず、時折Distrustの人格がポロる時もあった。
「貴女がそう思うなら、それでいいんじゃない?私も強要はしないわ。」
「はい。…でも、palse様にならお教えしまする。私の名はエレナと申します。」
「…いいの?」
強要はしないと微笑んでいたpalseは、ほぼ躊躇うことなく名前を告げた
「いいでごさいまするよ。palse様が雇ってくれるんでございましょう?」
「…そうね、そうだったわね。」
二人はそう言い、笑いあった。
「お話はつきましたか?」
エレナの緊張が十分にほぐれ、打ち解けたところに白蓮が入り口での偵察から戻り会話に混ざってくる。
「ええ、粗方ね。白蓮、貴女も自己紹介しておきなさい。」
「はい。エレナ様、私は白蓮と申します。よろしくお願い致します。」
「白蓮様…でございやがっ…ますね。こちらこそよろしくお願い致しまする…っ。」
「無理はなさらず。私も気にしませんよ。」
白蓮との自己紹介に、エレナはまた語尾に気を付けながら自己紹介を返す。だが少々漏れてしまっていたが、白蓮もそれを淡々と許していた。
「白蓮、貴女もそろそろ表情少し緩めないとね。いつまでも真面目な顔ばかりじゃダメよ?」
「私が表情豊かになったらアンジュ姉様を始めとした皆様に笑われるのが目に見えてると思いますが。」
「それもそうね。でも今もエレナさんを堅くさせてしまっているし、少し微笑むぐらいはしなさい。」
「…努力します。」
palseからの簡単なお説教に白蓮は小さくため息をつきながら了承した。
エレナはそんな姉妹の会話を羨ましそうに見ていた。
「…仲が良いのでございまするね…。」
「ええ、この子はいい子よ。今みたいに少しお堅いところはあるけど、ちゃんと動いてくれるし言うこともしっかり聞いてくれる、自慢の妹よ。」
「ありがとうございます、お姉様。」
「…エレナさんも、妹になる?」
「え゙っ゙…!」
「冗談よ。」
白蓮を撫でながらエレナにそう返したpalseは、そんな白蓮を羨ましそうに見る彼女に冗談混じりでそう告げた。
そう言われたエレナは、驚きで変な声が漏れていた。
「お姉様。」
「…白蓮、今にもカタナを抜きそうなくらい威圧的な視線を向けないで頂戴。」
白蓮が嫉妬心だだ漏れな目で睨むような視線をpalseに送っていたが。
「……あら?」
とpalseがふと視線を外へ向けると、いつの間にか大荒れの悪天候は収まり、いつもの静かな凍土の姿があった。
palseの声に様子の変化に気づいた二人も外の方を向いた。
《…!…ん!palseさん!》
「っ…シエラ?」
《よかった。漸く繋がりました…凍土が一気に荒れてから通信が繋がらなくなってびっくりしましたよ、もう。》
そのタイミングでpalseの通信が繋がり、シエラの声が響く。
palse達が大丈夫だとわかったシエラは安心したように落ち着きつつそう言った。
「ごめんなさいね、こちらも今洞窟でなんとかやり過ごしたところよ。それとシエラ、遭難者も発見したから一度そちらに戻るわね。」
《了解いたしました!》
「…これでよし、と。白蓮、エレナさん、戻りましょう。」
「わかりました。」
「畏まりました。」
palseはシエラにそう伝えた後、二人を連れて帰還用テレパイプでキャンプシップへ戻り、アークスシップへと帰還した。
「…えーと、ここ艦橋にそう何人も通されても困るんですけど…」
「私に関係ある人ならいいって言ったじゃない。」
「そうはいいましたけど!」
アークスシップ内、艦橋。
palseは二人を連れたままここへと訪れたため、シエラと軽い言い合いになっていた。
「…?どうかされましたか、エレナさん?」
変に落ち着かない様子のエレナに気付いた白蓮が訊ねる。
「あ、いや…私如きがここにくるとは思ってもいなかったので…。」
彼女はオロオロしつつもそう返し、見ることはないだろうと思っていた場所を珍しそうに眺めていた。
「…そうですね…一般人だった人を連れてきたのは初めてかもしれませんね。」
「…そうなのでございまするか?」
「ええ。現にこの場へ入ったことがあるのはお姉様と強く関わりのある人、もしくはその人とまた強く関わりを持つ方のみですからね。」
「…結構いそうな気がしますが…」
エレナの不思議そうな表情での言葉に、白蓮は首を横に振る。
「お姉様と私達…10人を少し超えるほどでしょうか。今のところはエレナさんを含めて+1ですね。」
「そこまで少ないのでございやがるんですか…!?」
エレナは返ってきた答えにかなり驚いた様子だった。
それもそのはず、
それなのにも関わらず、ここ艦橋に入った者は数えられるほどしかいないのだという。
「ええ。それほどここは機密レベルの高い場所なのですよ。…本来ならばお姉様とシエラさん、六芒均衡と…今ちょくちょく問題となっている地球の方々と、それに関係した数人のアークスぐらいしか入れません。」
「…じゃあ何故…?」
「簡単ですよ、お姉様が私達を信用し、私達もまた彼女を信用しているから。それだけです。」
「それだけでござるんですか!?」
雇われていたところでは信用、信頼などといった言葉とは無縁だったエレナにとっては衝撃だろう。
最高機密である艦橋に、palseは信用している、信頼出来るからという理由で自分の関係者の立ち入りを許可させているのだ。
「まぁ端から見ればただのお人好しか何かでしょうね。でも、あの人にとって“他人を信じる”というのは結構意味があるんですよ。…何せ、過去のあの人は…」
「そこまでよ、白蓮。」
palseという人を話そうとした白蓮の言葉を遮るように、palse自身が割って入った。
シエラと何とか話をつけたらしく、シエラは不機嫌そうに何かを検索している。
「とりあえず、エレナさんは私が雇うことにしたわ。元いた場所から移ってもらう感じにね。それと、元雇い主のおバカさんには今回の件に関する厳重注意と、他の人にも酷いことをしてないか捜索されるそうよ。」
palseがエレナにそう告げる。
シエラが不機嫌になっているのは、単刀直入に言えばこの忙しい時期にこういう面倒ごとを持ってくるなということらしい(palse談
それでもしっかりと仕事をこなす辺りpalseには逆らえないのだろうか。
「えっと…私はどうすればいいんでますか?」
「そうね…私はまだシエラとやることがあるから…白蓮、お願い出来る?」
「わかりました。マイルームへの案内と皆さんの紹介を?」
「そうよ、頼むわね。」
「はい。」
白蓮が返事をしたのを確認し、palseはまたシエラの元へと戻っていった。
それを見た後に、白蓮はエレナの方を向き手短に告げる。
「では行きましょうか。」
「あ、はい…」
淡々と話を進め、マイルームへと向かって歩き始めた白蓮の後を追うようにエレナはついていく。
「そういえば…どんな方々がいらっしゃいますんですか?」
黙々と白蓮達のマイルームへと移動している途中、突然エレナが白蓮へ訊ねる。
「ん…そうですね。壊滅的天然トラブルメーカーな姉と、凶悪なまでの同性愛に目覚めている褐色肌の女性、和風美人に中華娘、真面目な男性キャストと厨二病とか呼ばれてる感じの少女キャスト、そして私とpalseお姉様の8人ですかね。」
「………なんというか、混じりすぎなんですな…」
「正直、私もなんで問題なく暮らせているのか不思議ですよ。…と、ここですね。」
そうこうしているうちに部屋へとたどり着き、白蓮がパスワードを入れて入り口を開けた。瞬間、
「(ピキーン)女の子の匂…Σウグァッ!」
「はーいシャイナー。黙ってましょうねー♪」
いきなり飛びかかろうとした
「…お二人が言った変わり者の意味、なんとなくわかりましたような気がします…」
「そうでしょうね。」
呆然とそう呟くエレナと、最早日常茶飯事と割り切りしれっとしている白蓮。
その後も部屋の紹介をされたエレナはただ一つ、
「(ここでやっていけるんでしょうか…)」
と、思ったそうな。
新しいメイド…ていうか初だから新しいって付けるの違うのかもしれませんが新しいメイドっ子の紹介でした。安定のシャイナオチ。
エレナはpalseと白蓮には語尾を乱すことなく真面目に接しますが、他には適当に接するようになります。
途中にある炎テクニックの応用というのは、炎なんだからうまく使えば簡単なものだけど暖を取れるように調節出来るだろー。って思いついたものです()
悪天候も普通ならあるだろってやってみたネタでした…(