PSO2 マイキャラ達のちょっとした日常   作:ひかみんとかカズトとか色んな名前

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11/27になったと同時に投稿しようと思ってたら艦これのイベントとかですっかり遅れてしまった…
私としたことが()

今回はいろんな人がゲストとして登場します。が、人数が人数なだけあり、またころころ場面が変わるので、中盤辺りはほとんどはpalseとDistrustの会話になります。

ではどうぞ


palseのとある記念の日

※日付的には11/27。

 本編と違ってもご了承ください。

 

「うぅん…どうしよう…」

 

アークスシップ…ではない地球の街、東京の公園。普段着ているマギアセイヴァーではなく、ボアジャケットとハーフパンツ空を着て、いつものアクセサリーを付けたpalseが一人公園のベンチにて悩んでいた。

何故このような状況なのか、数刻前……

 

 

 

 

 

 

「…休暇?その指示はどういうこと?」

 

場所は艦橋。そこで言われた、余りにも突然で怪しすぎる指示に、怪訝な顔で前に座るシエラに問うpalse。

今は度々マザークラスタにちょっかいを出されており、休暇とはいえどう考えても自身が戦線から離れれれば相手にとって好機となってしまう。

 

「ですが、palseさんはコールドスリープから目覚めてほぼ任務に付きっきりですし。休めるときに休んで頂かないと…」

「だからと言ってもタイミング的に納得いかないわ。」

「うぅん…」

 

休暇を受け入れる感じが全くしないpalseにシエラは頭を悩ませた。

palseが言ってることも正しく、あからさまに何か裏がありますと言ってるようなものである。

 

「…何か企んでない?」

「べっ!別にそんなことは…」

 

あからさまに慌てたシエラに、冷ややかな目で睨むように見つめるpalse。

どうしよう。

冷や汗をかく訳ではないが、突破口が見当たらずほぼ詰みなシエラの頭はパニックになっていた。

 

「ほーら、シエラちゃんを苛めないのー。」

「姉さん…」

 

そこに突然現れたpalseの姉、アンジュ。

彼女はpalseの肩に軽く手を置きつつ、冷ややかな目を止めるように言う。

 

「それに休暇は私達からもお願いしたのよー?受けてくれないと私悲しいわぁ~。」

「…仮にそうだとしても…」

「お姉様、私達だけでは安心出来ませんか?」

 

アンジュの冗談半分にも聞こえる言葉にpalseは反論しようとするが、アンジュと反対側に現れた白蓮がpalseに問うように見つめる。

 

「………はぁぁ…良いわ。今日だけよ。」

 

二人の言葉と態度による説得に折れたpalseは深いため息と今日だけの条件をつけて艦橋から出て行く。

palseが出て行ったのを確認したシエラはほっと胸を撫で下ろした。

 

「ふぅ…もう、アンジュさん達遅いですよー。」

「うふふ、ごめんねー。思ってたより準備に手間取っちゃってて。」

「それに、バレずに進めるならお姉様にシップから離れて、こちらの惑星のどれかにいて頂くのがいいですが…」

「流石にそこまで都合良くは…あれ?」

 

ふとシエラがみた情報、そこには思いがけない文があった。

アンジュと白蓮もそれを見ようと覗き込む。

 

 

【palse…地球へ降下。】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全くもう…一体何なのかしら…」

 

服装を変え、地球に降り立ったpalseはそのまま公園へと向かい、冒頭に至る。

回りには地球の人々がいるが、palseは見事にその中に溶け込んでいた。

ただ、それでも外見は目立つのか少し視線を集めているようだが。

 

「(…やっぱ別の所に行けば良かったかしら…)」

(…なんでアタシに声かけんだ。)

 

余りにも暇だった彼女はもう一人の人格、Distrustに話しかけていた。勿論、精神内でのやりとりなため、外部からは目を瞑り黙って座っているようにしかみえない。

 

(そもそも怪しいって思ったならそのまま残ってりゃ良かったじゃねぇか。)

「(姉さんにシエラ、恐らく白蓮までグルになってて、そのままシップにいてボロを出すと思う?)」

(…ねぇな。後者二人はともかくアンジュはああいうのを隠しきるだろうな。)

 

普段は天然トラブルメーカーなアンジュだが、こういったコソコソとした行動やらいたずらは隠すのがやたらと上手い。

その度何かと注意を受けたりしていたが。

 

「(それに、少しでも地球に慣れておきたいのよ。この後どうなるかわからないからね。)」

(…そうかい。で、どうすんだ?)

「(散歩…といいたい所だけど、道はそれほどわからないしこちらの交通もそれほどわかってる訳ではないから…)」

(当分この付近か…ダルいな。)

「(どうせ緊急事態になったら呼び出しくるわよ、それまで休んでなさい。)」

(呼んだのはお前だろーに…)

 

Distrustの呟きを無視し、精神内の会話を済ませて目を開き、体を伸ばす。

伸び終わった後ふと視線を周囲に向けると、見慣れた姿の三人組がいた。

 

「…全く…」

 

周囲からは恐らくコスプレか何かと思われているだろう。だが、やはりアークスの格好でうろつくのはあまりよろしくないだろうとpalseは思い、立ち上がって三人に近づく。

 

「何してるのかしら?」

「わっ…」

「ひゃっ!?」

「わぁっ!?」

 

驚いた三人はそれぞれ悲鳴じみた声を上げながら、palseの方を振り向く。

紫色の髪でカブキカミトキを着た少女リラと、白い髪で毛先が紫がかったイデアクラスタを着た少女ルイスにpalseは見慣れた少女、Rioの三人組だった。

 

「ぱ、ぱるすさんか…びっくりした…」

「びっくりしたのはこちらの方よ。…何をしているの?」

「なにって…?」

 

リラの言葉に返しつつ、三人に問うpalse。その問いに首を傾げるルイス。

 

「貴方達の格好よ。どう見てもこの惑星に馴染む服装でもないし、任務ならこんな人通りが多いところにいるわけがないでしょう。」

「…えっと…」

「……」

 

圧をかけるように問いかけるpalseに、焦った表情のリラとルイスは残る三人目に目を向けた…が。

そこにいるはずの三人目…Rioはいつの間にかいなくなっていた。

 

「……Σあれぇ!?」

「またいない…」

「…あの子放浪癖があるってジュンから聞いたことあるわね…で、何を」

「ぱ、ぱるすさんそれはまた後で!ルイスちゃん、Rioちゃん探しにいくよ!!」

「うん…またね、palse。」

 

palseが言い切る間もなく、二人はRioを探しに突風の如く去っていってしまった。

残されたpalseは、一人深いため息をついた。

 

「…どうしたものかしら…」

 

追えなくはない。だが、今の二人の様子では会っても逃げられるだろう。

そう判断したpalseは先ほどのベンチに戻ろうとする。

 

(…オイ。)

「(…?何かしら?)」

 

ふと、Distrustから急に声をかけられる。palseは不思議に思いながらそれに対応する。

 

(この辺りうろついてみたらどうだ。)

「(…迷子になれと?)」

(ちげぇよ。…あいつらとまた会うのは勿論、もしかしたら他にも降りてる奴いるかも知れねーぞ?)

「(何を根拠に…)」

(まぁ、おめぇがあのベンチでの時間潰しに耐えられるなら構わねえけどな。)

 

突然の提案に呆れた様子のpalseだったが、その後にDistrustが告げた言葉で少し悩み始めた。

 

「(…そうね、少し見て回りましょうか。)」

(おっ、漸くか。どんなのが待ってるんだろうなぁ…)

 

ただ、Distrustは外の景色を見たかっただけかも知れない。

 

 

 

 

 

 

 

 

公園から離れて少し経った頃。

palseはまだ誰とも遭遇出来ず、探索で見慣れた東京の街をフラフラと歩いていた。

 

(…思ってたよりいねぇな。)

「(当たり前じゃない…むしろそうあっさりと見つかる訳ないでしょう。)」

 

Distrustはpalseの視界を共有しつつ呟いた。そんな彼女の呟きに、palseも呆れたように返す。

すると、ちょっと物陰にまた見慣れた姿の女性アークスが立っていた。

相変わらずこちらでは目立つ服装をしたアークスの一人に、ため息をつきつつ声をかける。

 

「…aoto。」

「ん…?palseか、どうかしたか?」

 

aotoと呼ばれた女性はpalseに気づくと、微笑みつつ彼女の方を向いた。

しかしpalseは呆れた様子で彼女を見ていた。

 

「どうしたの?じゃないわよ…何故アークスの格好で降りてるのよ…」

「む、これか?…ちょっと急な呼びかけに応じたから、服装変える暇がなくてね。」

「…今の一瞬の間はなにかしら?」

 

先ほどの三人といい、シエラ達といい、何かを隠してる態度に不信感を覚えたのか、疑いの眼差しでaotoを見るpalse。

 

「そうピリピリしない方がいい。決して貴方を裏切る事ではないさ。」

「……そう。なら…」

「だけど、教える訳にはいかないんだ。では、また後で。」

 

aotoは上手く言いくるめてpalseを落ち着かせたが、彼女が聞こうとする前に忍者の如く身軽な動きで去っていってしまった。

 

「(…私に隠して、悪いことではない…?)」

(…よくわかんねぇな…。悪巧みじゃないのに隠す…なんか思い当たんねーのか?)

「(思い当たるなら探して問い詰めようとしてないわよ。)」

 

aotoと話したことでますます彼女達の狙いがわからなくなってきたpalseとDistrust。

 

(ま、そのままやりたいようにやらせていいんじゃねーの?)

「(…貴女、自分の名前わかるわよね?)」

(あ?何をいきなり……あぁ、そういうことか。)

「(そ。私はどうしてもね、あからさまに隠されると信用出来ないのよ。)」

(過去にその他人不信が強くなりすぎて、闇であるアタシが生まれたんだったな。まぁ信用出来ねぇなら捜索続ければいいんじゃねーの?)

「(…相っ変わらず適当ね…)」

(お前に任せてるって言えよ。…それか、他の惑星に行くとかシップに戻るとかすればいいだろ。)

「(それもそうね…とりあえず、もう少しこの辺りを探しましょうか。)」

 

それなりに長くDistrustと話し合った後、もう少し東京の街を見て回るためにpalseは歩き始めた。

 

 

 

 

 

 

「あれ、palseじゃん。」

 

歩き始めて少し経った後、道端を歩くpalseに後ろから声をかけてきた女性がいた。

palseはその声に振り向くと、後ろには小柄ではあるものの、服では隠しきれない豊満な体つきをした褐色肌の少女がいた。

 

「直冬…」

「たださんでいいって言ってるじゃない。もー、palseはお堅いなぁ。」

 

palseに歩み寄り、二の腕にばしばし叩きながら少し呆れつつ微笑みを浮かべて彼女にそう告げる。

 

「ふふ、でも私は直冬って呼ばせてもらうわ。」

「えー…まぁいいけどさ。」

「ところで、直冬はどうしてここに?普段は義詮と一緒じゃない。」

「ああ、ちょっと野暮用でねー。義詮なら…ってあれ?一緒にいたはずなんだけどなぁ。」

 

palseの質問に直冬は思い出したように回りを見渡すが、当の本人の姿はどこにもない。

おかしいなぁ、と頭を掻きながら困ったように呟く直冬。

 

「まぁいいや。…そうだ、palseも一緒に来ない?」

「私も?いいのかしら…あっ。」

「だいじょーぶだって。私から言ってΣお゙っ!?おぉぉ…っ!」

 

突然の誘いに困惑するpalseを気楽に誘おうとした直冬の後頭部に拳骨が振り下ろされる。

いきなりの後頭部への襲撃に直冬は頭を押さえてしゃがみ込む。

 

「全く…突然いなくなったと思ったら…何をしているのかしら、直冬さん?…あら、palse。ごきげんよう。」

「あ、うん…」

「だからと言っていきなり殴らなくてもいいだろぉ!?」

「約束を忘れたの?私達はやることがあるでしょう、さっさと行きますわよ。」

「あっ、ちょっ…ぱっpalse!またねぇー!」

 

突然直冬の後頭部に拳骨を振り下ろした女性、義詮はささっと反論してきた直冬にそう告げると、彼女の首根っこを鷲掴みにして連れ去ってしまった。

あまりにも唐突すぎて、palseはポカーンとしていた。

 

「…嵐みたいな人ね…」

(…よくわかんねぇなほんとに。)

「(……一旦シップに戻りましょうか。)」

(あ?なんでまた。)

「(さっきの二人組やaotoに加えて、リラやルイスにRioちゃんまでもが東京にいた。なんでかはわからないけど、情報を集めるなら…)」

(…灯台下暗し、の可能性もあるってことか。)

「(そ。だから一旦戻って市街地に行ってみましょ。)」

 

Distrustと話し合い、一度戻ることにしたpalseはシエラに連絡を取ってから戻ることにしようとした。

 

(…おい、ちょっと待て。)

「(うん?何よ?)」

 

だがそれをDistrustが制止する。

いきなり止められたpalseは不可解だという表情で彼女に問う。

 

(連絡したらあいつら隠しちまうだろ、特にシエラに伝わったら、拡散が早くなる。仮に戻ったことが把握されても、連絡して前もって隠されるよりか状況把握しやすいだろ。)

「(…貴女意外と考えてるのね。)」

(お前、アタシを何だと思ってんだ…)

「(普段から表に出ても、やりたいようにやったり相手煽ったり見下したりしてるからそうなるのよ。)」

 

そんな話し合いの後、とりあえずpalseはDistrustの提案通り連絡せずに戻ることに。

 

 

 

 

 

<あら…?palseさん、戻ってたのですね。>

 

palseがアークスシップ、ゲートエリアに戻ると、それに気づいたブリギッタが通信してきた。

 

「ええ。それほど大事ではないけど、気になることがあってね。ちょっと不意打ち気味に帰ってきたの。」

<そうでしたか。ご連絡がきてなかったので一応お掛けしました。>

「ごめんなさいね、身勝手なことして。」

<お気になさらないでください。では、失礼します。>

 

ブリギッタはそういい、通信を切った。

palseは周囲を見渡すが、アークスロビーはいつも通りで全く変わった雰囲気はなかった。

 

「(…やっぱりロビーではなさそうね。やはり…)」

(街、だな。街に行けば誰かしらと遭遇するだろ。)

 

Distrustと短くそうやりとりし、palseは市街地へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

「…とはいえ、地球ほどではないけど…」

(どこを探すか、だな…)

 

市街地を歩くpalseは回りをキョロキョロと見回りながら呟く。

当然一般人もアークスもいるため、その中からアンジュ達の企みを知る、もしくはそれに加担している人を探さなければならない。

 

「(やっぱり、あのデパートかしらね。)」

(圧倒的にめんどくさそうだ…)

「(貴女は歩かないでしょうに…)」

 

めんどくさそうにぼやくDistrustに呆れた態度で返し、palseは過去に二度行ったデパートへと向かった。

 

 

 

歩き始めて少し経った頃。

palseは見慣れた青いキャストを見かけたため、声をかける。

 

「ナハト。」

「お?palseじゃないか。どうしたんだ?」

 

誰かを待ってたのか、回りをキョロキョロと見渡しながら立っていた青いキャスト、ナハト。

palseが声をかけると、気づいてなかったのか意外そうな声で返事をした。

 

「いえ、ちょっとね。貴方はなぜここに?」

「俺か?詩姫[ディーヴァ]ちゃんを待ってる所だな。」

「そう…そのフルネームで呼ぶのって、呼びづらくないかしら…?」

「んー…?俺はこれで馴染んでるけどなぁ…。」

 

ふーむ、と悩み始めたナハトに、palseは次の質問を投げかける。

 

「ナハト。貴方、ディーヴァちゃんと何をしに行くの?」

「んん?ちょっとした買い物だな。詩姫[ディーヴァ]ちゃんに誘われてな。」

「ディーヴァちゃん、その買い物の内容について何か言ってなかった?」

 

ここで何かわかれば。そう期待してpalseはナハトへと詰めるように問いかける。

 

「お、おう?いや、ただ荷物多いかもだからお願いって言われただけだが…」

「そう…」

 

palseの勢いに少々たじたじなナハトはその態度に驚きつつもそう答えた。

あまり有力そうでない情報にpalseもがっくりと肩を落としていた。

 

「悪いな、力になれなくて。」

「ん、大丈夫よ…他を当たってみるから。じゃ、またね。」

「おう、気をつけてな!」

 

palseはすぐに切り替えると、情報を集めるためにナハトに別れを告げ、小走りで去っていった。

それとほぼ同時にナハトに近づく少女が。

 

「ナハト!」

「おっ来たね、詩姫[ディーヴァ]ちゃん。」

「今の…ぱるすさん?」

「うん?そうだけど…まぁ大したお話はしてないよ。」

「そっか、じゃあ早く買い物を済ませちゃおう!」

 

 

 

 

 

 

 

(お前今、ディーヴァが来るまで待てばよかったんじゃねーか…?)

「(あっ。…ちょっと焦り気味かもね…)」

(焦る気持ちは確かにわかるけどよ…まぁ一度落ち着こうぜ。)

「(そう、ね…)」

 

Distrustにそう言われ、palseはふう…と大きくため息をつきつつゆっくりと歩いていた。

東京に降り立った時からほぼ動き回っているせいか、少々疲れも見えてきていた。

 

デパートに向かう途中にベンチを見つけたpalseは、ため息をつきつつどっかりと腰を下ろした。

 

「わっ…」

 

少し勢いが強かったのか、座った時の衝撃で隣から驚く声が。

palseがそちらをみると、白髪で白肌、右目を包帯で隠しカースドコートを身に纏う女性がいた。

彼女もpalseに気づくと、にっこりと微笑む。

 

「あら、メリーさん…」

「はぁい、メリーさんですよぉ~♪…お疲れですか?」

「ん、少しね…。」

 

にこにこと笑顔でpalseに声をかけた女性、メリフィリア。こう見えても二つ名はグールというらしいのだが、外見は少し特徴的なだけで一人のお姉さんと言った感じだった。

そんなメリーと呼ばれた彼女はpalseの様子を見て首を傾げつつ質問し、その問いにpalseも頬を指で掻きながらそう返す。

 

「ふむ~…palseさんは今日休暇を与えられたと聞きましたが…」

「違うわ、押しつけられたのよ。その上、知り合いが集団で何かを企んでるみたいだから今日はずっと探してたの…成果はなかったけどね。」

「あらら、お疲れさまですよぉ~…」

「ありがとう…ところでメリーさん。」

 

メリフィリアからのほんわかとした労いの言葉にありがたみを感じつつ、palseは気になってることを聞き始める。

 

「はい、何でしょう?」

「貴女、アンジュ姉さん等から何か聞いてない?もしくは私の知り合いを今日見てない?」

「うぅ~ん、アンジュさんからのお話は聞いてませんが…そうですねぇ…今日の少し早い時間帯にデパートで入っていった人がいたような…」

「…それは、誰でした?」

 

何かきっかけが掴めるかもしれない。

そう思ったpalseはメリフィリアに詰め寄るように彼女に問う。

 

「わわっ、遠目からだったので予測ですけど…多分肌と服の色的にシャイナさんではないかと…」

「そう…となると…」

 

アンジュと白蓮がpalseを上手く止め、その間にシャイナを始めとした知り合いの数々が“何か”の企みのための買い物をしていた。

という予測がpalseの中で出来上がる。が、やはりその“何か”が見えてこない。

 

「メリーさん、お話ありがとう。私ちょっとやりたいことが───」

「あっ、palseさん前!」

「え…「どわーっ!」

 

やはりあの三人に聞くしかない。そう思い立って走ろうとした時、palseの前に誰かが立ちふさがった。

その本人は、少し肩がぶつかった程度でオーバーリアクションで吹っ飛んでいたが。

 

「…アルビィさん…」

「呼び捨てでいいですよ!さぁ早く踏んdΣゴボォッ!!」

 

吹っ飛んで倒れたのをいいことに、大の字で寝転がり更なる痛みを要求してきた、メリフィリアの知り合いであり、悪魔のような格好をした女性─アルボフレディス─。

palseが知る者達だけでなく、恐らく彼女レベルのドM精神を持つ者はアークス内でも一握りしかいないであろう。それほどのMな女性であった。

そんなアルボフレディスの相手を今はまともにしようとも思っていないpalseは、鳩尾へと容赦なく振り上げた踵落としをぶち込んでいた。

 

「じゃあ、メリーさん。悪いけど後始末よろしくね。」

「しょうがないですねぇ。いってらっしゃい。」

「お、おほぉぉぉ…」

 

苦しいのか、それとも感じているのか。

よくわからない呻き声をあげるアルボフレディスをスルーし、メリフィリアに彼女を任せpalseはそそくさと立ち去った。

と、その直後にメリフィリアに通信が入る。

 

「はーい。」

「突然すみません、白蓮です。少々お話が…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「(今までのことを考えるなら艦橋に少なくともシエラがいるはず…!)」

(まぁ最終的にあいつに問い詰めれば良かったって訳だな…)

 

市街地からロビーへ戻り、艦橋へと向かうpalse。彼女に募る回りへの不信感は苛立ちも蓄積しつつあった。

そして艦橋へのテレポーターへとたどり着き、即座に移動。すぐさま艦橋内へと飛び込む。

 

「シエラッ!!」

「ひゃわっ!?ぱ、palseさん…?」

 

急に飛び込んできたpalseに、何やらデータを弄っていた…というより、誰かと通信していたらしいシエラは驚きつつ通信を反射的に切り、palseの方を向く。

palseはそんな彼女の態度などお構いなしに迫り、乱暴に問い始める。

 

「シエラ、貴女は…いや、あなた達は何を企んでいるの?!」

「え、えっと、その…」

「言いなさい!さもないと…palseに溜まった不信感を喰らい続けたアタシが暴れることになるぞ?」

 

ついにpalseはDistrustを利用してシエラを脅し始めたのである。

Distrustの名は【不信】であり、彼女は元々palseの回りへの信用のなさから生まれた、今もpalseのこういった感情を喰らって力を蓄えていたりすることもある。

シエラは自分が予想していた以上にpalseが疑い深い性格だったことに困惑し、焦っていた。

と、不意に艦橋へ通信が入る。

 

「もう、palseもDistrustも短気すぎよ~?」

「テメェ等がコソコソチマチマ隠れながらやってっからだろうがアンジュ。いい加減にしねぇと…」

「仕方ないわねぇ…いいわ、マイルームにいらっしゃい。何をやろうとしてるか話したげる。…あ、palseで来なさいね?Distrustは引っ込んでなさい。」

 

通信はアンジュからであった。

相変わらず気の抜けた喋り方はDistrust達を煽っているようにも見えたが、彼女とpalseが本気で疑っているとわかるとあきれた様子でそう告げ、一方的に通信を切った。

 

「あ、おい!…クソッ…!」

 

一方的に切られ、苛立ちを隠せないDistrustは地団駄を踏むように一回床を蹴りつけ、palseと交代した。

 

「…シエラ。」

「は、はい?」

「…内容によっては覚悟しておきなさい。」

 

palseはシエラにそれだけ言い残し、アンジュの指定した場所─自分達のマイルーム─へと向かった。

 

 

 

「…変ね…」

 

ロビーからマイルームまでどことなくひっそりとした雰囲気であり、明らかに何かを隠している様子であった。

 

(…なーにを企んでんだか。…あ、あー…まさか、な。)

「(何よ、何かわかったの?)」

(んにゃ、もしかしたら程度だから気にすんな。ほらさっさと行った行った。)

「(もう、なんなのよ…)」

 

何かに気づいたようなDistrustに呆れつつ、palseは自身のマイルームへとたどり着き、入ろうとする。が…

 

「(…ん?パスワードエラー…?勝手に変えたのかしら…)」

(チッ、来させようとしてるくせにややこしいことしやがる。)

 

ロック解除のパスワードが変更されていたのか、本来のパスワードが弾かれてしまった。

これは予想外と少し頭を抱えたpalseだったが、先ほど何かに気づいたDistrustはすぐに告げる。

 

(そこ、今日の日付じゃねぇの?)

「(まさかそんな…あ。)」

 

そのDistrustの予想通り、日付を入れるだけであっさりと解除されてしまったのである。

 

(…あーこれは…間違いねぇか。とりあえずさっさと入っとけ、アタシは引っ込んでる。)

「(あ、ちょっ…もう…)」

 

先ほどまでの予想が確定とわかったDistrustは、何も告げることなくそそくさと内部へ引っ込んでしまった。

余りにも身勝手にも取れるDistrustの行動に呆れつつも、マイルームへの扉を開き足を踏み入れる。

 

 

 

ところが、明るく設計したはずのマイルームは真っ暗闇となっており、下手に踏み出すことすら躊躇するほどであった。

あからさまにおかしいと警戒を強くするpalseが一歩踏み出した。瞬間。

 

パパパパパーン!と軽快な音がいくつも鳴り響き、同時に一気に部屋がライトアップされた。

そして、

 

『ハッピーバースデー!!palse!!』

 

とほぼピッタリの息で、その部屋に集まっていた知り合い達がそう叫んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………えっ…?」

 

余りにも突然すぎる事態にpalseは現状を飲み込めない上に先ほどまでの苛立ちや不信感はどこへやら、先ほどの音の元─クラッカー─から飛び出した紙吹雪すらどかそうとせず硬直していた。

そんな彼女にアンジュが横から話しかける。

 

「やっぱり忘れてたわねぇ~、palse?」

「…あ、今日は…」

「そうよぉ、貴女の誕生日♪みーんな、貴女の誕生日と知って準備を色々手伝ってくれたのよ~。」

 

イエーイ!とアンジュに合わせてノリノリに応える者、静かではあるが笑顔を浮かべて祝っている者…様々な反応ではあるが皆palseのことを祝っているようだった。

 

「ぱーるすさん!これ!」

「これは、私から…」

「私はこれだよー!」

「わ…ありがとう…」

 

palseがみんなを見渡していると、彼女が今日最初に会った三人組、リラ・ルイス・Rioから小さな小包をそれぞれ渡された。

三つとも可愛い包装紙で包まれている。

 

「お姉ちゃんも私も結構お世話になってるからぬー。」

「まぁ中身は簡単な食器だけどね!」

「よろこんで、くれると…嬉しいかな。」

 

三人はそれぞれそう言い残し、宴会になりつつある部屋の一角へと戻っていった。

 

 

「palse、これを。」

「わっ…これは?」

 

次に来たのはaoto。

いつ着替えたのかわからないが、フォージドレスを着てパーティー体勢はばっちりな彼女からもそれほど大きくない包みを渡された。

 

「私からも簡単な物だよ。これからも、よろしく頼む。」

「…うん。」

「まだまだ来るからな、ふふ。」

 

そういって、aotoは微笑みを絶やさず離れていく。とそれと同時に…

 

「palseー!次は私からだよ!」

「私達でしょう、脳筋姉。…これ、受け取ってくださる?」

 

続いてやってきたのは直冬と義詮。

相変わらずグイグイ来る直冬と、冷静にゆったりとしている義詮。

渡されたのは何やらどんぶりのようなでかい器と、かなり綺麗に包まれた包丁であった。

 

「…あまり大食らいではないのだけれど…」

「ほら見たことか、やっぱり料理器具じゃない。」

「ぐぐぅ…」

「それに私、料理もあまりしないのだけど…」

「 」

「ほらー、やっぱり凡庸性のあるどんぶりの方がいいじゃーん!ダメ妹ー!」

「バカ姉は食器で被ってるじゃないのっ!どっちにせよ同じことでしてよ!」

「なっ!どんぶり舐めるなよー!」

 

ぎゃあぎゃあと口げんかを始めてしまった二人にpalseがポカーンとしていると、隣から肩を叩かれる。

誰だろう、とそちらを向くと…

むにっ、と頬に指が。

 

「にひひー♪引っ掛かったー♪」

「おいおい、詩姫[ディーヴァ]ちゃんや…そこは普通に渡そうぜ…。」

 

palseの頬に指が当たるように呼んだ詩姫[ディーヴァ]と青いキャスト、ナハトが並んで立っていた。

 

「まぁ俺たちもそんな変わったもんじゃないけどさ。俺と詩姫[ディーヴァ]ちゃん、あとカイザーとも相談して決めたんだ。」

「ぱるすさんのことですし、服をあれから買ってないでしょうから…」

「う…」

 

詩姫[ディーヴァ]が予想したとおり、palseは最近買い込んで以来普段着どころか服自体買っていなかった。

 

「さ、まだあるからね!また後でね!」

「っと、待ちなって…まぁ服はシンプルな物だよ。詩姫[ディーヴァ]ちゃんは可愛いのがいいって言ってたけど、palseはそういうの苦手だろう?」

「…勘弁して欲しいわね…」

「だと思ったぜ。っと、俺は一旦これで。」

 

詩姫[ディーヴァ]が一足早く戻った後に、ナハトはpalseにそう問い、彼女は半目でそう返した。

納得したように頷くナハトは、回りを見て一旦離れた。

 

「ぱるすさーん♪はっぴーばーすでー♪」

「誕生日と聞いて来ましたわよ!」

「私も来ましたよ!さぁ私をΣゴブッ!」

 

ナハト達が離れた直後に部屋の扉が開き、先ほど市街地で出会ったメリフィリア、アルボフレディスに加え、彼女達の知り合いであるファランディンがやってきた。

ファランディンは吸血鬼を彷彿とさせる格好をしており、弓を得意とする自他ともに認めるエリートヒューマンである。

あと胸も大きい。

アルボフレディスは祝う空気を壊そうとした矢先に、どこからともなく現れたアンジュに容赦ない腹パンを貰っていた。当の本人はビクンビクンと悶えているが。

 

「そのぉ、市街地で会った直後にお誘いを受けたので大した用意が出来ませんでしたが…」

「私達はお気に入りのお菓子を持ってきましたわ!きっとお口に会うはずですわ!」

 

メリフィリアとファランディン(とアルボフレディス)は贈り物が用意出来なかったため、自分達が好きな菓子を沢山持ってきていた。

それも大分大量に。

 

「…それ、ここの面子で食べきれる?結構料理とかも出てきてるけど…」

「……なんとかなりますわ!」

 

不安しかないファランディンの言葉に、palseはメリフィリアと顔を見合わせ苦笑いを浮かべていた。

 

 

 

 

「…今いる人は全員渡したかしら~?」

「え?…今いる人はってことは…」

 

回りをキョロキョロして確認するアンジュに、すでに渡されたプレゼントやらで荷物が一杯なpalseは驚きの表情でアンジュに聞く。

 

「当たり前じゃない♪折角いろんな人が来てくれてるんだもの、沢山祝って貰いなさいな♪」

 

いつも通り笑顔を絶やさないアンジュがpalseにそう告げると、彼女は少し俯いた。

 

「お姉様?」

「ん…白蓮…」

 

いつの間にか近寄ってきていた妹─白蓮─に声をかけられ、少し顔をあげて彼女の方を向く。

 

「どうかされましたか?」

「いや、なんていうのかしら…嬉しい、のだけれど…」

「…?」

 

少し言い渋っているpalseに、彼女が言いたいことがわからない白蓮は首を傾げる。

 

「…私だけで、いいのかなって。」

「…【仮面】ですか?」

 

皆には聞こえない声で呟くように言ったpalseの言葉に、察した白蓮はすぐに問う。

【仮面】。

歩み違えた未来から来たもう一人の自分─palse─である彼女も、今日が誕生日のはずだろう。

なのに、自分が祝われ彼女が今も戦っているかもしれない状況が素直に喜べないのだろう。

 

「…気にしすぎなのかしら、ね…」

「お姉様の気持ちはきっと皆わかってくれますよ、大丈夫です。…少なくとも、私はわかります。」

「…ありがとう。」

「伊達に貴女と長く過ごしてはいませんよ。」

 

そういってニヤッと笑う白蓮に、palseは少し呆れたような表情をしつつ微笑んだ。

と、不意に

 

「あっ」

「あ…」

「あ!」

 

と声を出したのは誰か。

今回出されていた料理の一つに使われていた森林トマト、その一切れが…palseの顔に直撃した。

 

「……………。」

「…お姉様?」

「…。」

 

無言を貫くpalseに、白蓮は様子を伺うように彼女に聞く。が、口を開く様子はない。

 

「ぱ、ぱるすさん!ごめんなさい!」

「わざとじゃない…」

「取り合いになっちゃって…」

 

リラとルイス、Rioの三人組が飛ばしたのか、三人揃ってpalseの前にして謝りにきた。

と、palseが動き、顔についたトマトを取り…握り潰した。

 

「…食材を取り合う遠慮のない子は誰かしら?」

 

ニッコリと三人に微笑むpalse。たが目は全く笑っておらず、カンッカンに怒っている証拠であった。

三人は、完全に硬直していた。

 

「ちょっと場所が悪いけどお仕置きかしら…」

「待ったーーー!その怒り!是非私にぶつけてくだsΣゴボォォッ!」

 

しかしそこに再びアルボフレディスの乱入がはいる。だが元から相手をする気のないpalseは、彼女のわき腹めがけてヴィンドジーカーばりの回し蹴りをお見舞いした。

 

「…全くもう。食べるなら仲良く、ちゃんと取り合わずに食べなさい。」

 

アルボフレディスを蹴り飛ばしたことで逆にすっきりしたのか、三人組に簡単な説教のように告げ、それぞれの頭をポンポンと撫でる。

 

「は、はい!」

「…ごめんなさい。」

「ごめんなさい(´・ω・`)」

「よろしい。じゃあほら、戻って楽しんで来なさい。」

 

三人が反省したのを確認すると、palseの誕生日祝いパーティー…というよりも最早宴会になりつつある部屋の状況に苦笑いしつつ、彼女達に戻るよう告げた。

三人はぱあっと笑顔になると、そちらのドンチャン騒ぎへと混じりにいった。

 

 

 

「しかし、多いわね…というかまだ来るんですか?」

「まだまだ来るわよ?ゼノやエコーを始めとして、いーっぱい来るって言ってたわぁ~♪」

「……それは、ちゃんと収拾がつくんですよね?」

「さぁ?」

 

部屋の中で行われてる、最早メインをガン無視しているドンチャン騒ぎを見守りつつpalseはアンジュに問う。が、アンジュはいつも通りノープランのマイペースさであった。

そんな彼女に、呆れたようにため息をつくpalse。

 

「どうするんですか…今の人数でさえこの状態なのに…」

「まぁいざとなったらシャオ君とかが収めてくれるんじゃないかしら~。」

「…はぁ…貴女はほんとに…。」

「そうため息ばかりつかないでよ~、ほら。」

 

いつも通りではあるものの、アンジュのマイペースさにpalseは呆れかえっていた。

この後のことを考えてため息ばかりつくpalseに、アンジュが何かを渡す。

 

「貴女のことだから特に欲しいものないと思うけど、前に普段着のように眼鏡のスペアがあればって言ってたでしょう。」

「相変わらずどこから情報を仕入れてくるんですか…」

「んふふー。お姉ちゃんは凄いんだから♪」

 

トラブルメーカーであり、天然なマイペースでありながら、きっちり見抜くことは見抜いている。

相変わらず良い意味で訳が分からない姉だとpalseは苦笑し、部屋を見渡す。

 

三人組は料理を仲良く騒がしく食べ合い、aotoは騒ぎをワインをちびちびと飲みつつ見守り、直冬と義詮は相変わらず口喧嘩。ナハト達はその騒ぎにノリノリで便乗し、メリフィリアとファランディンはお菓子を食べながら、アルボフレディスのサンドバック扱いを見守っていた。

その騒ぎにシャイナや紅花(ホンファ)らもいつの間にか混じっており、これまた騒がしく振る舞っていた。

こう書くと規模が小さく見えるかもしれない。だが、マイルームの一部屋の大きさを考えると、これでも結構騒がしい。

そこに更にこの後も追加で人数が来るのだ。

 

 

「(…今夜はいろんな意味で忘れられない1日だわ…。)」

(…まぁそうだろうな。)

 

 

恐らく追加人数が来ても、このメイン完全スルーのドンチャン騒ぎの図がほぼ変わることは

ないだろう。

それでも、何人もの知り合いと過ごした誕生日は、彼女にとって忘れることのない一日となっただろう。

 

 

 




はい、palseの誕生日でした。
また、本日は私がPSO2を始めた日でもありました。

ゲストのジュン氏、直冬氏、aoto氏、ナハト氏、リラ氏、ルイス氏、Luxuria氏。
キャラをお貸しいただきありがとうございました!

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