虚・女神転生   作:春猫

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メガテンはFEではなくシェンムーとコラボるべきだったと思うのです
この話を気に入ってくれる人だとそういう方向性が楽しめるかな、と
ペルソナ系で寮も含めた学校の中(あるいは学校から最寄り駅までの範囲)とかだと割と無理なく作れそうですし、デビサバとかでも良さそう


Dark Night

 

「Let's Go!」

 

 顔を合わせるなりノリノリで踊りだした相手に、さてどうリアクションをしていいものやらと悩むタケル。

 アキラは面白がり、紹介者であるエリリは頭を抱えている。

 

 

 既に準レギュラーと言ってもいいエリリとの合同での経験値稼ぎの際、雑談の中でガイアーズや異能者に縁が無いといった話をしたところ、エリリがその両方を兼ねた人間と知り合いだということが明らかになり、相手側も以前からタケルやアキラに会ってみたいと言っていたことから、今日、こうして会ったのだが、いきなりのご覧の有様である。

 

「いやいや、付き合わせてしまって悪かったね。これが一番、俺のこの中での立ち位置を理解して貰えることだからさ! キャラコンセプトはこれ、β特典で防具選んだらこの服だったからさ、これはやるしかないでしょ? ってな訳で、ガイア教徒、異能者、陰陽師のマロロです、よろしく! エリリとは従兄になります」

「はじめまして、サマナーのタケルです。で、仲魔のフィーネとムルルです」

「フィーネだよ、よろしくね!」

「………………!!」

「デ○ルマンでバスターのアキラだ、よろしく!」

「ごめんね、外ではもう少し、ほんのちょっとだけまともなんだけどね」

「酷いな、エリリ。お兄ちゃん悲しいなぁ」

「過保護気味の兄キャラですね、分かります」

「いや、それはいいんですけど、神社でこんなことして怒られません?」

 待ち合わせ場所として指定されたのは西落合の小さな神社。

 境内は綺麗に掃除されており、こういう悪ふざけはちょっと罰当たりな気がするタケルである。

 

「いいの、いいの、ここ、俺ん家だから!」

「「えっ!?」」

「βプレイヤーのホームって、通常より1~2ランク上で、一軒家とか住んでる連中結構いるんだけどね、流石に神社は俺だけだろうなあ、運営が面白がって決めた可能性が高いと踏んでる」

「ここに住んでるんですかぁ……」

「将来的にギルドって名称になるのかどうかは分からないけど、そういった集まりの拠点にも使えそうだし、いいかなぁって思ってる。最低でも坊主二人と巫女一人は欲しいなぁ」

「私は嫌だからね!」

「こんな感じにエリリには断られちゃってるしなぁ、なあ、頭丸めてガイアーズにならない? 今なら衣装一式付けるよ?」

「入るんならスプーキーズと決めてるんで(笑)、すみません」

「俺も頭ハゲにするのはちょっとなぁ……」

 冗談か本気か分からない勧誘を断る。

 それほど残念そうでないところを見るとあまり本気では無かったのだろう。

 

 

「ま、それはいいや。こうして会いたかったのはお礼を言いたかったからなんだ。君たちと知り合ってからエリリが楽しそうでね。本サービスからエリリがプレイはじめて、俺も出来るだけ色々とフォローはしてたけどさ、こういうのってやっぱ友達とかと楽しむもんじゃない? まあ、うちは仲良し家族だから、それなりにエリリも楽しめてたとは思うけど、あんまり日常サイドを知ってる相手だとさ、こう地に足が付いちゃうっていうか、はじけ切れないでしょ? 素に戻っちゃう時があるっていうか……。変なヤツじゃないか、この目で確認したかったってのもあるけどね。ま、君らはナンパ目的の変なヤツとは違って、この世界楽しんでるって感じするし、大丈夫でしょ?」

 マジマジとVRのアバター越しでも分かる真剣な眼差し。

 現実でもいい兄貴分してるんだろうなぁ、と感じる。

 身内、しかも女の子がVR越しとはいえ男性とつるんで遊んでいれば、心配になる気持ちも理解できる。

 

 

「話とかしてると『女の子なんだなぁ』って思うことはあるけど、戦ってる時はそんなの関係無しに、『良くやった』とか『もう少し相手見ろよ』とか思うだけで、あんま女の子だからって意識ないしなぁ。まあ、一緒に楽しくやれる相手だとは思うけど」

「俺よりフィーネたちの方が仲がいいって感じ。挨拶も俺よりフィーネに先にするし(笑)、ムルルはペット枠だから、エリリが居ると男と女で2対2になるし、組み易い相手ではあるよね」

「一応はなんか誘う時も軽く誘う感じで、しつこくならない様にはしてるけど、それは別に相手が男でも変わらないしなぁ」

「一番つるんでるアキラにしたって、俺は現実のこと何も知らないし、それで問題無いからねぇ」

「システムとしてネカマは無いけど、もしそうでも関係ないし」

「うん、ま、これからもよろしくって感じ?」

「そだな」

 正直にタケルとアキラも内心を口にする。

 多少は、男同士よりは華がある感じでいいとは思ってるが、それを下手な言い方で言えばフィーネがへそを曲げるのだ。

 口に自信の無いアキラやタケルは触れないことで危険を回避している。

 

 

「ありがとう! こっちももっと誘うから、そっちも気楽に声かけてね。これからもよろしく!」

 

「という訳で、こっちの用件はこれでいいんだけど、そっちから何か聞きたいことあるんでしょ?」

 感極まった感じのあるエリリのセリフをあっさりと流して、マロロが尋ねる。身内ならではのぞんざいさである。

 後できっと怒られるのだろう。

 

「大まかな設定とかは知ってるんだけどね、ガイアーズとか異能者とか中の知り合いに居ないんで、どういうものかな? と」

「ガイアーズっても、まとまった集団無いんだよねぇ、五島さんが海外行っちゃってるのは知ってる? あの人中心の自衛隊の一部か逆に古い血族中心の集団くらいしか結束力無いのよ、ガイアって。あと、メシア以外の宗教系、特に多神系は全部ガイアだから、お坊さんも神主さんも裏に関わりゃみなガイア。寺生まれのTさんとかも中に居ればガイアじゃね? 普通のプレイヤーはどうしてもニュートラルが多いから、梃入れにガイアやメシアでガーディアン導入って噂も出てるな。まあ、ifのガーディアンだとシステム崩壊するから、付けるのに条件がある上に、一回分死なずに済むだけって形になりそうだって話」

 現状、メシアンの様なまとまった活動はプレイヤーサイドではしていないのだそうだ。

 集団が出てくるとしたらイベントの敵役とかがありそうだ。

 

「異能者ってのも幅広いんだよね、まあ、悪魔を倒す手段として、武器や武技を使用するのがバスター、魔法や超能力を使用するのが異能者ってことで、物凄く大雑把に言えば他のRPGの前衛がバスター、後衛が異能者って感じかな? 銃とかを前衛って言っていいかは分からんが……。超能力者や魔術師だと自分が魔法使って攻撃するし、チャネラーはテーブルトークやらない人にはガーディアンに似た感じって説明するのがいいかな? 俺の陰陽師だと自分でも魔法使えるコンプ使わないサマナーって感じか? レベル低い内は、どの異能者も異能単体だけじゃ戦い切れないから、その辺はサマナーも一緒でしょ? 最初は地味だよねぇ」

 ひらひらと手を振りながら説明するマロロ。

 長台詞に仲魔たちは無関心でタケルにお菓子をねだっている。

 

「なるほどねぇ。まあ、サマナーでも鈍器の申し子タケルみたいな例があるし、人によって結構違うんだろうけどなぁ」

「アキラみたいな種族の違いでもまた違うんだろうし」

 なんとなく理解する。

 スキルの組み合わせもあるし、ステ値によっても変わるだろう。

 

「そう言えば、今日はクーちゃんは?」

「ああ、境内のどっかには居るだろ?」

「クーちゃんって?」

「管狐のクーちゃん、可愛いのよ」

「てっきりフェレットだと思ってな、フェレット用のペットフード買ってあげてたら懐いた。普段は自由にさせてるけど、異界行く時は戦力として連れてってるな、俺が使役出来るみたいだし」

 確か、サマナーが仲魔に出来る悪魔じゃなかったか、と考えるタケル。

 ピクシーはシュークリームだし、管狐はペットフード、言葉よりやはり物なのだろうか?

 

 またの機会に一緒に異界に行くことを約束して神社を後にする。

 

「あんな人でごめんね!」

「いやいや、中々楽しんでプレイしてるみたいだし、いい人じゃね?」

「たぶん、エリリ用の巫女服をしっかりキープしてるな」

「メシアンはシスター服、ガイアは巫女服、ニュートラルの立場無くね?」

「ニュートラルは、学校制服?」

「アキラはともかく、俺は制服厳しいぞ?」

「エリリ着てんのってどっかの学校の制服?」

「それっぽいけど、そうじゃないみたい。まだ初期装備から買い替えて無いんだよね。女の子の場合、防御力とか耐性とかだけじゃ服を決められないからさ」

「いやいや、タケル見てみ、リーマンスーツにゴム手にゴム長、でもってクリケットメットと花瓶だよ?」

「パンクス風が乗馬ヘルメットで統一感無くなってるアキラが言ってもなぁ」

「どっちも個性的としか褒められないわ」

 駄弁りながら歩く途中で異界を発見。

 

「廃病院って、むっちゃホラースポット……」

「たぶん、プレイヤー以外には認識されてないんだろうなぁ。住んでるトコの近くにこんな建物あったら引っ越すぞ?」

「スプラッター系出そうで嫌だなぁ……」

 屍鬼に悪霊、外道系のオンパレードでフィーネですら無口になっている。

 

「げっグール!」

「麻痺系持ってたっけ?」

「持ってなくても触られたくないー!」

 

 ドタバタの末の一巡。

 細かい分岐を見る気力も無い。

 そのまま建物を後にする。

 

 駅で解散、エリリは「モフモフ分を補給してくる」と従兄の神社に行って管狐に癒されてくるそうだ。

 

 

 帰宅後、フィーネのお風呂を準備するが「タケルもムルルも今日はお風呂に入りなさい!」とフィーネに一喝され、先に風呂に入らされる。

 

 何気にタケルが中で風呂に入るのは初めてだし、ムルルと入るのも当然初めてだ。

 シャワーを基本にムルルでも平気な程度に浅くお湯を張る。

 洗ってあげるとムルルがスポンジを要求する。

 渡すと座ったタケルの背中をゴシゴシと流してくれる。

「ありがとなー、ムルル!」

「…………!♪」

 

 タオルでムルルをくるむ様に拭いて、自分の体も拭いて、先にムルルを送り出してから、湯船を軽く流し、フィーネ用の洗面台のお湯を張りなおす。

 

「お待たせー、って風呂前にアイス食ってたのか?」

「当然! お風呂上りにも食べるからね!」

「お腹壊すなよ?」

「大丈夫! 最強の私はアイスの十個や二十個は軽い軽い!」

 本当に軽く食べそうだから困ってしまう。

 

 風呂にフィーネが入っている間、ムルルを構う。

「固いものがいいんだよな。ジュースとか凍らせたのってどうなんだ?」

 取り敢えずアイスキューブを与えてみる。

 冷たさに驚いた素振りを見せるが、これはこれで気に入ったらしい。

 ガリガリ、ボリボリと氷を齧る。

「気に入ったか、じゃ、今度フィーネのアイス買う時、あずきバーでも買おうか?」

 風呂からあがったフィーネがムルルが食べる氷を見て、自分も食べてみたがり「味が無いじゃなーい!」と騒いだりする一幕もあったが、アイスで機嫌を直して、お喋りしてからコンプへ。

 

 ログアウトをしたタケルは睡眠後倉庫作業の仕事にアクセス。

 いつも通り、倉庫内の複数のユニットを切り替えつつ作業を行い、定時に仕事終了。

 思い立って現実のコンビニに行く。

 アプリ用のVR機とスマホの接続コネクタを買うついでに夕食も購入する。

 

 

 夕食後、VR機とスマホを接続した状態でログイン。

 これで、スマホの方に仲魔を移すことが出来るのだそうだ。

 アプリを入れただけでは、言ってみれば悪魔召喚プログラムをインストールした状態に過ぎないという訳だ。

 

 フィーネとムルルを出していつも通りの挨拶。

 コンプに戻した後、部屋を後にし、外に出る。

 昼間の筈なのに暗い夜空に月が浮かんでいる。

 

「え? 今、昼の筈だよな?」

 

『全体イベント「Dark Night」が始まります。各プレイヤーはアナウンスが終了するまで、活動を控えてください。また同様の内容に関して公式HPにおいても紹介しております。現時点でログインをしていない方にはそちらへの誘導をお願いします』

 

「イベント? え? どうなってるの?」

 

 

 

 




という訳で、次回以降、全体イベントへの突入です
まあ、最初のイベントなんで、経験値とアイテムの大盤振る舞いになるハズ……
無茶をしなきゃパトらないでしょう、たぶん

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