クリミナルガールズ ~時給3000円~   作:DAMUDO

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やっぱりガールズオーダーの少女目線は書くの難しい。


ガールズオーダー2《後半》

やっと休憩。いつもより頑張って戦ったからスゴく疲れちゃった。

これだけ頑張ったんだから何かご褒美があってもいいと思うんだけど……先生はユコの気持ちわかってくれるかな?

 

「・・・」

 

ちょっと先生を見詰めてみる。

 

「……はぁ、ユコお菓子でも欲しいのか?」

 

ユコの視線に気づいてくれた。

けど、どうしてタメ息ついたんだろう?先生も疲れてるのかな?わからないから気にしない。

 

「ううん。ユコ、頑張りすぎちゃって……喉がかわいたの。だから、泥ノ試練でサコが持ってきてくれたお水……あの時飲めなかったから、あれが飲みたいな……」

 

ユコが一生懸命お願いすると先生は、またタメ息をついて、

 

「わかった。一緒に探そうか」

 

と言った。

 

 

 

ユコがクリミナルに襲われていた場所に先生と一緒に到着した。

そうそう、ここでユコは先生達と会ったんだった。

 

「え~と、ここがユコのいた場所だから、水があったのはあっちの方だな」

「先生、覚えるの?」

「まあな。記憶力とか結構自信あるぞ」

 

先生は得意気に笑う。

こう言うところが子供っぽくて親しみやすく感じれるのが先生の良いところだと思う。

 

「じゃあ行こうか」

 

そう言って先生はユコに手を伸ばす。

ユコが先生の手を握ると離れないようにしっかりと握り返して一緒に歩き始める。

 

やっぱり先生は優しい。

面倒臭そうな顔はするけどすぐにユコのお願いを聞いてくれる。

 

最近はもっと他のこともわかってきた。

先生はユコ達に厳しいことを言うことがある。そんな時はユコがどんなにお願いしてもやめさせてもらえない。だからみんな、文句を言いながらだったり、嫌々従う。ユコもそう。

でも、最後には先生の言ってたことがいい結果に繋がってユコ達の為になる。

先を見据えたすごいことなのに先生はそれを自慢しようとせず、当たり前のことのように振る舞う。

 

それだけのことをしたら、ユコだったらご褒美が欲しいと思うのにどうしてなにも言わないんだろう。

ただ、お礼を言われるだけでとても満足そうな顔をする。

 

「あ、あったぞ」

 

先生の言葉にユコは我に帰って前を見る。すると、そこには水を乗せている大きな葉っぱがあった。

 

「これがあの時の?」

「おおよ。サコがお前に飲ませようとしてたやつと同じだ。飲んでみろよ」

 

ユコは葉っぱに近付いて、水を手ですくって一気に飲みほす。

 

「ぷは~!おいし~い!!」

 

水が口から喉へ通っていくと、冷たさと甘味が通り道からじんわりと体に広がっていき癒していく。

こういうのがあると、頑張ってよかったて思えるよね♪

 

水を満足するまで飲んでいると、ユコの様子を見守っていた先生が口を開く。

 

「ったく、ユコって結構ワガママだよな」

「え?ユコがワガママ?」

 

先生の言葉にショックを受ける。

 

「先生、ユコのことそんなふうに思ってたの?ユコは少しでもみんなの役に立ちたいって頑張ってるのに……」

 

お願いすることを沢山あってもワガママはあんまりしてない。それに、ユコがワガママだったらキサラギやトモエだって同じぐらいだし。

考えていると暗い気持ちになる。

 

「あ~、いや、別にワガママはいいんだよ。してもらっても」

「え?いいの?」

「ああ、ユコだって俺の言うこときくだろ?ユコにそう思ったのは、あれ欲しいこれ欲しいっておねだりはユコが一番多いからで、別に悪気はない。ただ、やるんだったらこっそりな。先生って立場上、お前ばかりに手を掛けてる訳にはいかないからな」

「うん……ごめんなさい……」

 

これが先生の本音なのかな。聞いてて悲しくなる。

気が沈んでうつむいているユコを突然先生が撫でてきた。

 

「ま、ワガママ聞くのはあーだこーだあるが好きだからな。手のかかる子ほど可愛いって言うし、俺はユコが嫌いな訳じゃないから。寧ろ好きだぞ、自分なりに頑張ってくれるしな」

「先生……」

 

やっぱり先生はユコが頑張ってるの見てくれてたんだ。

 

欲しいものは手に入れて、ユコは先生と帰り道を歩く。

来たときと一緒で手を繋いでいるけど、来たときより手を握る力が強く入った。

 

「先生、ユコもっと頑張るから!」

「ああ、頼りにしてるよ」

 

先生と一緒にいるようになってから、頑張ることが楽しくなってきた。そんな気がする。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「……はぁ……」

 

思わずタメ息が漏れる。

一体どうしたらいいのかわからない。

 

こう言う時こそ誰かの手を借りたくなる。そう思っていたちょうどその時、センセがうちに声をかけてきた。

 

「どうしたトモエ。悩みごとか?」

「センセ!うち……もう……センセだけが頼りやわ……」

 

このピンチに駆けつけてくれたセンセが頼もしくて駆け寄ってしまう。

 

「で、どした?」

「あんな、このキャンプのお布団なんやけどね、ちょっと肌触りがようないんよ。うち、敏感肌やから……休んでも休んだ気になれへんのやわ……」

 

手で胸を辺りを擦りながら訴える。

 

「ど、どれくらい敏感肌なんだ?」

「ん……ほら、ここ見て?赤く、なってもうてるやろ?」

 

胸元をはだけさせてセンセに確認してもらう。

……センセの眼が少し血走っているように思える。

 

「こいつは大変だな!なんとかしようそうしよう!」

「んでね、なにかお布団の上に敷けるもんがあったらええんやけど、ね」

「おし、じゃあ一緒に探しに行こうか。手触りはトモエが確認してくれ」

「おおきにな、センセ♪」

 

こうして、うちとセンセは布団に敷くのにちょうどいい肌触りのよいものを探しにいくことになった。

 

 

 

「はい、これでええの?」

「ああ、十分だ」

 

うちはセンセが見つけて欲しいって言っていた物を持ってきた。

それは獣型のクリミナルの毛皮である。

適当にクリミナルを狩って少しずつ集めた。それはいいけど、どうして本体は煙みたいのに消えるのに、これは消えないのだろうか。

センセに聞いてみたら、疑問に思ったら負け、らしい。

 

「これをこうして……んでここはこれで……」

 

センセは次々と作業を進めていく。

ホンとになんでもできる人だと感心する。一体なにがあったらこんな風になんでもやってしまえるんだろうか。

そんなことを考えているとセンセは毛皮で簡単なシーツを作ってしまった。

 

「ほれ。どうだ?」

 

受け取って確かめてみる。

 

「うん、綺麗な革で肌触りも滑らかやし。これならうちの肌も大丈夫そう」

 

ただ一つ、わからないことがある。

 

「とってもええんやけど……これ、ずいぶん大きいねぇ……」

「ん?いや、他のみんなも一緒に使えるようにって思ってな」

「ほかの……って……」

 

うちがお願いごとしたのに、みんなのことまで考えていたセンセ。

……なんだか変な気持ちだ。

 

「センセ、あの子らは今のお布団でも平気で横になってるし……別に必要とないんとちゃう?」

「そうか?寝るときお前に体預けて寝るやつ多いし、そんときのトモエ、嬉しそうな顔してたと思ったんだが」

「えぇ!?う、うちそんな顔してたん?恥ずかしいわぁ」

「みんなの母親って感じで中々絵になってたぞ」

「もう、うちはみんなと歳は変わらんよ!……ふふっ、でもまあ、みんなで一緒、ええかもね……♪」

 

なんだか不思議な気持ち。

ああ、うちはセンセに敵わんわぁ。

 

「んじゃ、帰るか」

「はいな♪帰ったら一緒に寝ます?」

「ははっ、俺はいいけどキサラギ達が嫌がるだろ」

「でも、センセいっつも床や机で寝てて、健康に悪そうやわぁ」

「いいんだよ」

 

年頃の娘をもった夫婦の会話みたいで楽しい帰り道だった。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「ちょっと、教官」

 

私はキャンプ内で休憩をしている教官を呼び止める。

 

「どうしたんだ、シン」

「先日のテストが簡単過ぎたから、別の用意したわ」

 

前に出したテストを簡単に解かれてしまって、今回はそのリベンジである。

しかし、悔しいからとか言えない。

 

「お、いいね。ちょうど暇な時間ができたんだ。さっそくやろうぜ」

「そうこなくっちゃね」

 

特に問題なく話に乗ってきたのでよかった。

 

「今回は探索力を試すテストよ。泥ノ試練のどこかに私の私物を隠したわ。それを見つけて欲しいの」

「なるほど」

「ヒントはこれよ」

 

そう言って私はメモを一枚渡す。

メモには私が考えに考え抜いた難関の暗号が書いてある。解ければ隠し場所がわかるって話だ。

 

「ほう、暗号か……」

「ま、ゆっくり考えてちょうだい」

 

ふっふっふ、悩んでる悩んでる。これは本当に難しい暗号よ。だって考えた私ですらたまにん?って首を傾げるほどだもの。それをそっとやちょっと解かれてたまるもんですかって話よ。マジで解けるかわかんねぇ(笑)もしかしたら、今日一日使っt「あ、わかったかも」……はい?

 

「え?わかったの?」

「ああ、なんとなくだがな。これから確かめに行くぞ」

 

そう言って教官はさっさとキャンプから出ていってしまった。

 

「ちょっと、待ちなさいよ!」

 

私は教官を後ろから追いかけることに。

 

 

 

立ち止まっている教官に追い付いた。手には私の私物であるダンテの『神曲』の本が握られている。

 

「シンの物ってこれか?」

「ええ。……正解。暗号は解けたってことよね?」

「ああ、『トモエと出会った場所』だろ?」

 

本当に解いてしまったようだ。正直、かなり悔しい。

 

このままじゃ終われない。

アドリブだが、本の中から問題を出すことにする。

 

「では、次が本当の問題よ。問題はその本の内容からだすわ」

「え!?聞いてないぞ」

「うるさい。……では、問題」

 

私が一番好きな一節にしよう。

 

「この本に描かれている地獄の門には有名な碑文が刻まれています。その最後の一節。『汝等ここに入るもの……』に続く言葉を答えよ」

 

さあ、どうだ。

教官は目を閉じる。考えているのか、思い出しているのか。わからないけど、手応えあり。

今回は私の勝ちよ!

 

「……一切の望みを棄てよ。だったよな?」

「ッ!!?……正解」

 

正直脱帽。全く私の完敗だわ。

 

「よっしゃ!」

「ふぅ、本当は読んでないだろうと思ってたけど……ちゃんと目を通していたようね。見直したわ」

「……おう。記憶力はいいんだよ」

 

なぜか目を合わせずに言う教官。

 

「なにか隠してる?」

「ッ!……実はたまたま、そのところだけ見てて。偶然わかった、んですよねぇ……」

 

つまり、教官が正解できたのは偶然ってことか。

 

「別にいいわよ。運も実力のうちって言うしね。暗号解いた時点で優秀だと評価できるわ」

「おお、シンが素直に人を褒めてる」

「教官……そう言うのは思っても言わないものよ」

 

はぁ、全くこの人は……。優秀な人なのに変なところで余分なのよね。そこが個性か。

 

「あの……シンさん?怒ってますか?」

 

どうやら教官は私が黙りとしていたから、怒ってると勘違いしたようだ。

なら、少し乗せてもらおう。

 

「そうね。許して欲しかったら帰り道は肩車していきなさい」

 

ちょっと無理か。言って恥ずかしくなった。

 

「おう、まかせろ」

「え?ちょっ!」

 

教官が私を軽々と持ち上げて簡単に肩車してしまう。

一応、私もそれなりに成熟した女性であるわけで……

 

「きょ、教官、重くないかしら?」

「全然」

 

教官ってたまに、変にスゴい身体能力を発揮するわよね。

 

「じゃあ、帰るから。落ちないようにしっかり掴まってろよ」

 

久しぶりの肩車。一体何年ぶりか。

懐かしい感じ。家族ってこんなかんじだっけ?ダメだ思い出せない。だって仕方ないわよね。

 

「ん?どうした急に体重かけてきて」

「別にただ……もうちょっとゆっくり歩いてほしいだけ」

「そうか」 

 

この温かい感じ、ずっと忘れた気がする。

最後、そんなことを感じた瞬間、急に眠気が……。

 

 

 

 

 

 

 




うわぁああああああああ!DAMUDです。

ああ、少女たちの目線は難しい。なんかキャラ違う気がするんだよねぇ。

さて、次はあの試練です。ついにやつが始動。物語のギアは一気にトップスピードに!
次回《氷ノ試練》

関係ないけど、オーバーウォッチ面白かったです。

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