「ハッハッハ、かかってこいよ。仔猫ちゃんたち」
「あんま調子に乗ってると痛い目みるぜ?」
「ハッおもしれぇ!」
バーン・レイジーとランの会話が終わり、戦闘が始まった。
バーン・レイジーは咆哮をあげると、俺達が固まっている中心に突進してきた。
その巨体から放たれる突進を七人はバーン・レイジーの脇を抜けてかわす。俺は隅っこへとっくに避難している。
ああ、ヤバイヤバイ!いきなり新しい番人との戦闘とか間違いなく負けフラグとかだろ!な、なんとかして逃げねえと……って考えてたらあいつら勝手に戦い始めやがって!どんだけ血の気が濃いの!?仮にも乙女だろ!と、俺の心の叫びむなしく戦いは止まらない。
「次はアタシらの番だぜ!」
「せんてひっしょう!」
サコは持ち味である足の速さを使い、バーン・レイジーの背後に速攻で迫り、跳んで背中にパンチを放つ。
サコの拳が隙だらけの背中を捉えた。と思われたその時。
「おいおい!とろいパンチじゃねーか!」
バーン・レイジーは振り返り、その勢いを乗せた腕でサコを叩き落とした。
あまりにも一瞬内に行われた出来事を目の当たりにした俺は驚きのあまり固まった。
「なんだなんだ~?もうのびたのかぁ?情けねぇな……」
バーン・レイジーの言う通りさっきの一撃を受けたサコが地面に突っ伏したまま動かない。気絶していた。
「サコ!てめぇ、よくもサコを!」
それに激昂したランが剣を構えてバーン・レイジーに単身突撃。
「俺に真っ向から突撃たぁ、中々の肝の据わった仔猫ちゃんじゃねーか」
「くたばれぇ!」
剣を力一杯に振り下ろす。
キンッ!と硬い物同士がぶつかったような音が響く。
「嘘だろ……」
「へっ」
ランの渾身の一撃はバーン・レイジーの体を傷付けることができなかった。
その事実に震えて動かないランにバーン・レイジーは容赦ない攻撃をする。
「おいおい!なに敵の目の前で突っ立ってんだよ!殺してくれってことか~?なら、お望み通り死ね!」
「ッ!!」
業火を纏ったバーン・レイジーの爪がランに迫る。
「コール、フリーズ!」
「……キンキンなの……!」
ランの後方からシンとアリスの声が響くと、炎の爪目掛けて氷の弾丸が幾つも発射された。
氷の弾丸が炎の爪に当たった瞬間、氷は水蒸気となり辺りを白く染め上げた。
「ちっ目眩ましか」
バーン・レイジーは下手に動かず相手の出方を窺った。
周りに立ち込める白い水蒸気。バーン・レイジーの後ろ側のそれに人影がうっすら現れ、次第に濃くなっていく。
「もろたよ!」
人影の正体はトモエだった。トモエは目眩ましの中から飛び出し、バーン・レイジーの背後から斬りかかる。
「俺様がそう何度もただで後ろを取られるかよ!」
バーン・レイジーは後ろからの攻撃を分かっていたようにトモエが飛び出した瞬間トモエを掴みにかかった。
「キャア!」
「更にもう一人、脱落だ。……ああ?」
バーン・レイジーは突然すっとんきょうな声をあげた。それもそのはず、握っていたトモエの体が手の中から突然幻のように消えたのだ。
「残念♪こっちやで」
さっきとは反対側からトモエが刀で斬りかかる。
【二つ巴】
分身を作り出し、一人で挟み撃ちにして切り裂く技だ。
トモエが斬りかかるのにワンテンポ遅れて左右からキサラギとランが飛び出した。
「苦しいかもね!」
【猛毒斬り】
キサラギは紫色の滴った毒の刀身の剣を振るう。
「骨のズイまで叩き込む!」
【エレキアタック】
ランは雷を纏った剣で力一杯振りかぶる。
三人の刃がバーン・レイジーの体に届いた。だがしかし、傷つけることは叶わなかった。
「ちょっと、嘘でしょ!?」
「ちっダメなのか!」
「硬いわぁ。なあ、これってあんまよろしくない状況やと思うんやけど……」
トモエの言う通り、どれだけ作戦が成功して攻撃を当ててもダメージがないと言う最悪な状況だった。
「クックック、まさかあんな芸当ができるなんて思わなかったが攻撃が意味ないんじゃ関係ねーな!」
ワッハッハ!と高笑いするバーン・レイジー。現状の力の差を見て完全に負けることを考えていない様子だ。
そんなご機嫌なバーン・レイジーに向かって三つの魔力の弾が飛んでいった。
「ぐわっ!」
魔力の弾はバーン・レイジーの顔面に直撃。煙が上がった。
「貴女達!突っ立ってないでこっちに戻って来なさい!次の作戦を考えるから!」
トモエ達の後方でシンが三人に戻ってくるように叫んでいる。そして、安全に帰って来れるようにシン、アリス、ユコの三人で魔法攻撃して援護をした。
しかし、突如として三人の魔法攻撃は届かなくなった。バーン・レイジーの周りに炎の壁が生まれ、盾や鎧の様に奴を守っているのだ。
「テメーら……こっちが手加減してやってるからって、調子に乗ってんじゃねーぞ!」
どうやら奴は顔面に攻撃を食らってキレたようだ。調子に乗っていたのは自分な気がするが……そんなこと誰も言わない。
「うぉおおおおおおおおおお!!」
バーン・レイジーの咆哮。それに反応するように奴の周りに炎の渦が巻き、強烈な光を放つ。
「おい!逃げるぞ!」
その光景を目の当たりにした彼女等は一斉に走り出す。できるだけ離れて被害を免れようと考えたのだ。
「うち走るの苦手なんやけど~!」
「アリスも……嫌……」
「ユコも嫌だよ~」
「私だって走りたくないわよ!でも、走らないと死ぬわよ!」
「あんたら、黙って走れないの!?」
みんな、ぶつくさ言いながら必死に走る。その途中あることに気が付いた。
「あーー!!サコ忘れてた!」
気絶していたサコがまだバーンレイジーの近くにいた。
「クソッ!お前ら、サコはアタシに任せて早く離れろ!」
ランは急ブレーキをかけて、サコの元へとUターンして走り出した。しかし、どうみてもサコを回収して安全な場所に行くなど間に合わなかった。
ちくしょう!どうすりゃいーんだ!と悔しげに歯を噛み締めたその時、
「うぉおおおおおおおお!!」
バーン・レイジーの向こう側から声を張り上げて走ってくるユウの姿をランは見た。
「お、オヤジ!?」
「ラァアアアアン!引き返せ!サコは俺がなんとかする!」
そう言うとユウは更に走る速度を上げてあっという間にサコを回収する。
「あ"あ"あ"ああああ!死にたくねぇええええ!」
死ぬもの狂いで走っているのがよくわかる。
そう言うときの人間の力は凄いことになるとはよくいったものだ。いつの間にかランの隣にまで迫っていた。
「オヤジ!テメー今まで何処にいたんだよ!」
「あのデッカイ奴の後ろだよ!俺だけ下がって避けたから孤立してて、超恐かったんだよ?」
「アタシ達があの化けもんと戦ってる間、隠れてたのか!」
「違う!出てくタイミングが掴めなかっただけだ!」
「一緒だろ!」
「ニュアンスが違う!」
と言い争う二人。そんな様子は露知らず、バーン・レイジーが溜めていた力を解放した。
突き刺さるほど眩しい強烈な光が放たれ、地獄の爆炎がバーン・レイジーを中心にドーム状に広がって、周りを呑み込んでいった。
「ちくしょう!逃げ切れねえ!」
「ラン!」
「なんだよ!っわあ!」
突然、ユウがランにぶつかり押し倒す。そして抱いていたサコと倒したランを体を使って覆い包む。そして……
爆風と共に光に呑み込まれた。
あとがきの時間だ。お供はDAMUDOだ。
今のところ順調に更新が続いてて安心しています。
私はこの作品以外にも二つ投稿してるんですけど、週一だったのが今じゃ何月かに一回のペースになっちゃっておりましてねぇ。
文字がね、浮かばないんですよ。小説書いたことある人なら誰しもあると思うんですけど、大まかなストーリーの筋、流れは頭にしっかりとあるのに、それにそった台詞や描写、言い回しが中々書けなくなるんですよね~。
ストーリーやアイデアは(質は兎も角)あるのに書けない。そこがもどかしいと言いますかなんと言うか……。まあ、仕事じゃなくて趣味なんだから深く考えるな、とかいってもらえるとこっちも楽なんですけどね。そういう訳にもいきません。好きでやってることだし頑張るっちゃ!
話は変わって、ゲーム中のおしおきの時のコスプレ。あれ好きなんですよ。
電気の時の動物コス。サコユコの犬コスが自分の中のベスト動物コスですね。まあ、白い色の彼女とシンとアリスも中々なんですけど、私はサコユコですね。
トモエは狙いすぎ。バニーあんま好きじゃないんですよね。虎って……あってるけどなんかこれじゃない。
ああ、サコユコの姉妹プレイを……。誰か薄い本描いてくれぇ……非エロでいいからぁ(切実)