クリミナルガールズ ~時給3000円~   作:DAMUDO

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ガールズオーダー《前半》

私はキサラギ。色々と事情があって、地獄から生き返るために『ヨミガエリ』と言う試練に挑戦しているの。

最初は、こんなメンドウなことやりたくなかったけど嫌々やっているうちに自分で生き返りたいって思えるようになっていって、今じゃ自分でもビックリするくらい一生懸命頑張ってる。

 

今は休憩の時。自由に過ごして良い時間だ。ちょうどいいから、やりたいことをやろう。でも、地獄だから都合よく欲しい物が手に入らない。

 

「う~~ん…………」

 

どうしたらいいかしら?

頭を捻って考えていると、

 

「どうした、キサラギ。そんな難しい顔をして」

 

ユウに気付かれた。

こいつはアホでバカで変態だけど、色んなところに気が回る。今も私が悩んでいるのに逸早く感じ取ったみたいだし……そっか、こいつは私の先生なんだし、頼んでみるのも良いか。……癪だけど。

 

「うん……実はさぁ……こんな囚人服一枚じゃお洒落のしようがないのよねぇ」

「そうだな」

「だから、何かアクセとか欲しいんだけど」

「なるほどね。う~ん……どんなやつが欲しいんだ?」

「安物っぽくなくて、キラキラしてるやつがいい」

「キラキラしたアクセサリーね……あ、あそこにそんなようなものあった気がする」

「ホントに!?どこよそれ!」

「よし、連れてってやるからこいよ」

「わかった!ちょっと待ってて」

 

言ってみるものね。

私は少しユウのことを見直した。

 

 

 

みんなに留守番を頼んで、ユウについていく。こいつと二人っきりって言う状況が珍しくなんだか緊張する。……なんで緊張してんのよ、私。いや確かに、男女が二人っきりで歩くってなんだか、でででデートっぽいけど、別に相手はユウだし!私の理想には程遠いいし!そうよ、落ち着けばなんともないわ。

私は深呼吸して落ち着こう試みる。

 

「どうしたキサラギ?」

「ッッッ!!なっ、なによ!急に喋んないでよ!」

「なんでお前に発言の自由を制限をされにゃならんのだ。……大丈夫か?体調でも悪いの?」

「私の体調の心配……ッ!な、なんでそんなに優しくするのよ!下心でもあるわけ!?」

「優しくってお前……アホか、これぐらいは何時も通りだろ?お前本当に大丈夫か?頭でもぶつけたか?」

「う、うるさい!バカ!もう、何時なったから着くのよ!」

 

自分でもわかるくらいテンパって変なことを言ってるのがわかる。最後に至っては大声だして誤魔化しただけ。ああ、私……情けない。

恥ずかしくなって顔が熱くなってきた。見られたくないから下を向く。

 

「はぁ……もうすぐだよ。……お、ここだここ」

 

ユウは走って行って、ガラクタの残骸の山を漁り始めた。え、そんなゴミの山を探してたわけ?

 

「あったあった!」

 

何かを見付けたみたい。拾ったものを弄りながらこっちに歩いてきた。

 

「ほらこれ」

 

ユウは握った拳を私の目の前に置くとゆっくりと開いた。

 

*チャラ*

 

「わぁ……」

 

ユウの手の中から出てきたのは綺麗なガラスのネックレス。よくある結晶の形をしていて、中に光が通って所々が光を放って綺麗だった。

あそこでガラスを見付けて、ここに来る途中で紐を通していたんだ。

私はそれを受け取り透かすように眺める。

 

「あぁ……キレイ……」

「気に入ってくれて何よりだ。手作りだからな、大事にしろよ」

「手作りね……確かにここら辺の作りが雑よね。大目にみるけど」

「まあ、材料が材料だからね」

「ま、値段をつけるなら……3980円ってとこかな」

「値段じゃないでしょうが、こう言うもんは」

「そう言うのは見映えをよくする工夫を施して、手の込んだ物に見せてから言うのよ」

「じゃあいらない?」

「安っぽいけど、これしかないし。受け取っておいてあげるわ」

 

本当は嬉しいけど、そんなのこいつに知られたくない。でも、ちょっと冷たすぎるかな?

 

「おう、取っとけ。なんでもいいから、大事にはしろよ」

 

大丈夫みたい。

 

私たちはまた、同じ道を歩いて帰る。早速付けるのは、はしゃぎすぎだと思われるから、ポケットに入れておく。

口では言わないけど、心の中だけでも『ありがとう』って言っておく。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「なあ、オヤジ。ちょっと一緒に来てくれ」

 

アタシはラン。複雑な事情があって、漫画みたいな冒険をしている。

 

「……どしたの、急に?」

 

こいつはユウ。この冒険で実質、頭になっている男だ。

アタシは男が嫌いで、最初はこんな奴について行くなんて嫌で口も効きたくなかった。でも、一緒にいるうちにこいつが変な奴だと思い始めた。今までの男とは何かが違ってる。そんな気がし始めて、今じゃこうやって話はできる。あと、変にオヤジ臭いので、アタシはこいつをオヤジと呼んでいる。そう言えば、こんな風にあだ名で呼んだ男はオヤジが初めてだ。

 

ここでは何かやりたいときはオヤジに言うのが早い。だから、相談。ま、断ったら力ずくでも首を縦の振らせるけどな。

 

「アタシ、もっと戦いてぇんだよ!」

「戦いたい?……ああ、運動したくて体がウズウズしちゃうあれ?」

「たぶん、そうだ」

「そっか……う~ん、みんな休みたいだろうし……俺と二人だけどいいか?」

「別にいいけど」

「分かった、行こう」

 

意外にもあっさり聞いてくれた。

すくに準備をして、アタシとオヤジはキャンプの外に出た。

 

暫く歩きながら道中に遭遇したクリミナル共を片っ端から倒していく。みんながいないから何時もより倒すのに時間が掛かる。

 

「ふぅ~」

「お疲れさん。もうちょっとやってくか?」

「ああ、もう少し頼むぜ」

 

それでもしっかり戦える。攻撃を受ける回数も少ないし、ドンピシャッのタイミングで攻撃を当てられる。理由はわかってる。オヤジが指示をくれるから。アタシが気持ちよく戦えて、なおかつ怪我をしないようにしてくれている。

戦っている時、オヤジが後ろから指示を飛ばしてくれのは心強い。だから、尊敬している。でも、アタシはそれが複雑だ。

オヤジは良い奴だとは頭で理解はしている。でも、男だから、心から慕うことはできない。でも、今の状況でもアタシにとっちゃスゴいことなんだ。だから、今は……。

 

「ま、こんなもんか」

「満足したか?」

「ああ。……また……頼むよ」

「どうぞ、何時でも付き合うよ」

 

何時か……この試練の内に。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

アリスはアリス。喋るのが苦手。だから、伝えたいことがうまく伝わらないことがあるし、勘違いをされることもある。

今、アリスは旅をしている。面白い人たちと一緒に。一番面白いのがユウ。アリスの先生。変な人。アリスみたいに特別な力を持っているわけでもないのに、気になってしまう。

 

今は旅の休憩中。アリスは運動が苦手だから、ゆっくり休むことにする。

……これは。

 

「……き……こ……え……る……」

 

聞こえる聞こえる。アリスだけに届く声。アリスが特別だから聞こえる声。聞いてあげなきゃ、答えなきゃ。

 

「どうしたの、アリス」

 

ユウが来た。ちょうどよかった。手伝ってもらおう。

 

「聞こえるの……」

「聞こえるって、何が?」

「……声。誰か……呼んでる……。連れてって……」

「なるほど。別にいいけど、どこ行くんだ?」

「アリスが……案内する……ついてきて……」

「わかった。準備するから待ってろ」

 

アリスのお願いを聞いてくれた。嬉しい。

 

アリスとユウは声の聞こえる方に向かっている。声はアリスにしか聞こえないからアリスがユウを案内するの。何時もと反対で楽しい。

ユウはアリスが疲れるといけないからってアリスをだっこしてくれる。暖かくて、優しい感じがして、アリスはユウにだっこされるのが好き。

最初に会ったときは怖くて苦手だったけど今はアリスを大事にしてくれてるのがわかって怖くはなくなった。でも、おしおきの時のユウは嫌い。アリスが嫌なことをするし、変なこともするから。

 

「次はどっちだ?」

「……あっち……もうすぐ……」

「おお、マジか……もしかして、あそこか?」

 

ユウが指差す方。確かにあそこが一番声が大きい。なんでわかったの?

 

「……わかるの?」

「やっぱりそうか!よし、急いで行くぞ!」

 

ユウは走り出した。アリスをできるだけ揺らさないように。

 

「ここ……声、ここから聞こえてくる……」

「やっぱりな。何となくだが、俺にも聞こえた気がしたんだよ」

「…………!」

 

ユウにも聞こえたんだ。そうだとわかると自分の胸が熱くなるのを感じる。なんでだろう?もしかして、声にはやくって急かされてるのかな。急がなきゃ。

声の発声源に寄り、呪文を唱える。

 

・・

・・・

 

「……これでいいの」

「そうか。じゃあ、帰るか」

「……うん」

 

来たときと同じように、だっこしてもらいながら帰る。ただ、来た時とは違ってユウに掴まる手の力を強くした。

来た時より、暖かい。

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

「なあ、ユウ……ユコがさぁ……ねぶそくみたいなんだ……」

 

サコだ。妹のユコが大好き。

今はみんなと一緒に『ヨミガエリ』って言う試練に挑戦して生き返ろうと頑張ってるんだ。

ただ、最近悩んでいることがあって、それをユウに相談してみたんだ。

 

「寝不足?ユコが?なんでまた……」

「ユコはまくらがかわるとじゅくすいできないんだ」

「そうなのか。寝不足で今後に支障が出ると困るな。女の子が困ってるのを放っておくわけにもいかし」

「だろ?だから、あの、ほら……むにっておすと、もわってなる……あれ!あのマクラはないのか?」

「???……あ!もしかして低反発枕のことか?」

「そう!それだ!そのマクラ、よういしてくれよ!」

「簡単に言うね……」

「だって、だって!このままじゃユコのスーパーカワイイほっぺにニキビが……」

 

想像するだけでも恐ろしい!!

 

「ダンコソシ!!ゼッタイソシ!!」

「お、おう……!わかった、低反発枕は無理でも代わりになる物ならなんとかしよう」

「ほんとうか!?やった!!」

 

ユウは引き受けてくれた。これでユコのほっぺは守られた。サコは安心して眠れる。

 

「ただし、お前もついてこい。ボディーガードだ」

 

どうやら、サコもついていかなきゃダメみたいだ。メンドウだけど、ユコの為なら喜んで!

 

「わかった。サコがユウをまもってやるから、ユウはユコのためにいっしょうけんめいやるんだぞ!」

「おっしゃ。なら、さっそく行くぞ。当てはあるんだ」

 

こうして、サコはユウと一緒に低反発枕の代わりになるものを取りに行った。

 

ユウと一緒に探し物。いつもはユコと一緒だから珍しい。……なんでもいいや、とにかくユコの為に探さなきゃ。

気合いが入る。

 

「おいユウ!はやくいくぞ!」

「ゆっくりで良いじゃん。急いだって、危ないだけだぞ~」

「いいから!はやくはやく!」

「ああ、もう。子どもかよ……こどもか」

 

ユウが遅い。はやくユコの為に持って帰りたいのに、場所を知っているユウが遅くちゃ、はやく持って帰れない。

 

「あ~う~、おそいってば!」

 

痺れを切らしてユウを引っ張っていこうと思って、近付こうとしたら、

 

「ッわ!」

 

躓いてしまった。

 

「だから言ったろ。危ないって」

 

突然、服の後ろ襟を捕まれる。そのお陰で地面に倒れずに済んだ。首は苦しいけど。

そのまま持ち上げられ、ユウにだっこされる。

 

「いいか、こっから逃げるんじゃねぇぞ」

「でも!」

「でもじゃないの。さっき転けそうになってたやつは黙って言うこと聞いてろ」

「ううぅ……うん、わかった」

「よし、良い子だ」

 

ユウはそう言って頭をなでなでしてきた。前、ユコがされていて気持ち良さそうだったのを思い出した。うん、確かに気持ち良い。

 

「お前はユコの為にいつでも必死になれるところが良いとこだけど、そのせいで周りが見えなくなっちゃうのがよくないな」

「……うん」

「頑張れよ、頼りにしてんだから」

 

そう言ったユウはサコを抱く腕に、更に力を入れてギュッてしてくる。

なんだか、嬉しくなった。

 

 

「どうだサコ。これ、低反発枕の代わりにならないか?」

 

遂に見付けたのは、ユウが手に持っている大きなゴムの塊だ。

サコは触って感触を確かめた。

 

「おぉ……おお~お……やわらかい!なのに、かたい!これこれ!こういうのがほしかったんだ~!」

「気に入ってもらえてよかったよ」

「おう!」

 

やっぱりユウに頼んで正解だった。これでユコが助かるぞ!

あ、そうだ。

 

「ユウ!」

「ん?どうした」

「ありがとな!」

「……どう致しまして」

「えへへ♪」

 

今日は本当に熟睡できそうだ。

 

 

 

 

 




この回が一番書くのが大変だった。
ガールズオーダーは女子目線でいこうと思ってやったら……。甘かった!辛いわ!しかもまだ、三人残ってるし!
あかん、文才とボキャブラリーの無さが浮き彫りになりゅうううう~!

さて、また頑張るか。
この時期は忙しいんで、次の更新はたぶん遅くなります。


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