ユコの要望に答えるべく、湿布の代わりになる物を探している一行。
遭遇するクリミナルを軽く蹴散らしながら、西へ東へ探し回る。
「しっぷ~!しっぷはどこだ~!」
「サコ、慌てんなよ!」
「ユコがまってるんだ。おちついてなんかいられるか!」
ユコが絡むと俄然やる気がでるサコ。
先頭を突っ走って、あっちでキョロキョロ、こっちでくんくんと、力を入れた探索。たまに遭遇したクリミナルに突っ込んでいくように倒していく。
いつもそれぐらいのやる気を見せてくれたら嬉しいんですがね。
しかし、サコのあの態度……少し過剰なんじゃないのかと思う。
ユコの為と自分の危険を省みずに尽くす。
普通、姉妹だからってあそこまで世話をやかないと思うんだよな。普通はやくのか?
「なあ、姉妹ってあんなに想い合うものなのか?」
「え?私に聞く?私、一人っ子だなら知らないけど、そんなもんじゃない?」
「そうか」
キサラギに聞いてみるが確信は得られなかった。
まあ、いいか。仲良きこと美しきかなって言うし。
「おーーい!ユウ、これはどうだ!しっぷのかわりになりそうか?」
「なにか見つけたのか?ちょっと待ってろよ……」
少し先の方でサコが湿布の代わりになるものを見つけたと、手を振って俺を呼ぶ。
サコのいる場所まで行き、見つけたものを見てみる。
「これは、……泥、か?」
「おう!さわってみろよ!」
「どれどれ……」
泥に指を突っ込んでみると、指先からひんやりと冷たさが伝わってくる。
「確かに程好く冷たい。冷やすだけなら湿布代わりになるな。意外に泥パックと同じ効果があって肌も艶々になったりして」
「やった!ならはやく、ユコに届けてやらないと!」
冷たい泥を持って、再びユコの元へと向かった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ユコ、しっぷだぞ!!」
ユコの無事を確認。
早速、冷たい泥を投げる。
相変わらず、惚れ惚れするコントロールで投げられた泥は、べちゃッと音を立てユコの手が届く場所に落ちる。
「うわっ!?こ、これ、泥……?」
「そーだ!いたいところにあてたらきもちーぞ!」
「う、うん……」
微妙な顔をして頷くユコ。
まあ、普通の女の子は泥なんか渡されたらそう反応するわな。
「だけどユコ、足が痛いのはもういいの。それより、喉が乾いて……」
ユコちゃん、泥の使用をやんわり回避。しかし、今度は水を要求。
……そういや、お礼がないな。
「はぁ……また御使いにいけって?あんたの妹、手がかかるわね~」
キサラギがうんざりしたようにサコに言う。
確かにキサラギの言う通り、さすがに付き合ってられなくなってきた。俺達はさっさとユコを連れて先に進みたいだけだ。なのに、ここまで我儘言われるとな……。
「ユコはひっこみじあんだし、からだもよわいからな。このくらいとうぜんだぞ!」
あくまで当然だと言うサコ。
呆れて肩を落とすキサラギ。
サコの勝ちなので大人しく従いますか。断ったらランに何か言われそうだし。
「ユコ、まってろよ!サコがすぐにのみものをもってきてやるからな!!」
安心させるように笑顔で宣言するサコ。
「ほら、ユウ。みずをさがしにいくぞ!」
「ん~キャンプに戻って水買うか?でもな~、ここちょうどいい具合にキャンプから遠いんだよな」
「なあオヤジ。アタシ、あっちの方に葉っぱに水が溜まってたのを見たぞ…」
「本当か、ラン。ならそっちの方が近いから、そっちいくぞ」
と言う訳でランの言っていた場所へと向かう。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「のみもの!のみもの!……あ!あった!」
ランが言っていた場所に着くと、大きな葉っぱに綺麗に透き通る水雫が溜まっているのを発見。
地獄に天然水……風流だな。
「よし!これをもってくぞ!」
「ちょっと待てよ!そんな葉っぱのままで持っていったら零れちまうだろ?」
「そっか。じゃあ、どうすんだ?」
頭を捻るサコ達。
水の持ち運びか……ここは俺の出番だな。
「なら俺に任せろ。アリス、ここら辺に竹とかないか?」
「竹……?わかったの………………あっち……」
「おう、ありがと」
アリスに礼を言って頭を優しく叩く。
「……♪」
アリスは目を細めて気持ち良さそうにする。
人に頭触られるのって気持ち良いのかな?俺にはわからんが、最近アリスが活躍する度にやれとせがむ。
それは置いといて、俺は竹を採る為にアリスが教えてくれた場所へと向かう。その前に……
「なあ、キサラギ。剣貸して」
「えーー。大切に扱いなさいよ」
「ありがと。……よし、じゃあ大人しく待ってろよ。すぐに戻るから」
そう言って俺はその場を離れた。
さっきの場所から少し離れた、竹が群生している場所に到着。
剣で手頃な竹を一本切り採る。
これで作れる。
持っているナイフを取り出し、これを使ってちょちょいのちょいっと。
・
・・
・・・
「ただいま」
戻ってきた俺の手の中には折り畳み傘ほどの大きさになっている竹三本。
「ほい、竹水筒」
簡単な水筒を作ったのだ。
「おーー!きようだな!」
「ただ水をいれるだけしか役に立たないから、褒められたもんじゃないよ。でも、飲みやすいし運びやすいから、早くユコちゃんに届けてあげられるよ」
「そっか!じゃあ、はやくもってくぞ!」
草つゆを水筒に入れて喜ぶサコ。
急いでユコに水を届けるために走り出す。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「へへへ♪ユコ、喜ぶかな~♪」
ニコニコ笑顔でユコの元へと小走りで急ぐサコ。彼女の腕の中には俺が作った水筒が抱えられている。たまに、つまずくことがあり、いつか転けると思って心配になる。
さて、いい加減にこのお使いが終わればいいんだけど。
俺は飽き飽きした気持ちでサコの後を追う。俺だけではなく他の三人も同じ様な感情を含んだ表情をして続く。
「ユコ、またせてごめんな!」
遂にユコの元へと到着。すると………
「キャーーー!キャーーー!!」
ユコがクリミナルから逃げ回っていた。
「ゆ、ゆゆゆゆッユコーーーー!!!たい、たい、たいへんだーーーー!!!」
ユコが襲われている姿を見て、サコは半狂乱に騒ぐ。
まあ、動かずにいたら何時かは襲われるってわかりきってたことだよな。
「……ていうかあの子、普通に走ってるじゃん」
「うわ、マジか」
キサラギの言う通り、ユコはあんなに動けないと騒いでいたのに、全力で走って逃げ回っていた。
嘘だったのかな……?
「はははやくたすけにいかないと!!どどどうしよー!?」
「おいおい、落ち着けって…。とりあえず、ユコ!!歩けるならそこのスイッチ押してくんねーか?」
「おお、そうだそうだ!ユコちゃん、スイッチ押してくれたら助けに向かえる。頼むぞ!」
「わかった!わかった!!キャーーー!!」
騒ぎながらスイッチを押すユコ。すると、ゴゴゴと地鳴りが響く。あそこに続く扉が開いた音だ。
「サコ~~!!早く来てーーー!!」
「すぐたすけにいくからな!ユウ!ダッシュでいくぞ!!」
「おし!急ぐぞみんな!」
俺達はユコ救出の為に走り出した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「う…うわ~~ん!!助けて~~!!」
「ユコ!!」
現場に到着すると、ユコが人型クリミナルに追い詰められていた。
人型のクリミナルの体には目玉が幾つもあり、その数個が此方を見据えている。
「くっそーこのやろーー!!こんなにユコをこわがらせて!ぎったぎたにしてやる!!」
「お、おい!サコ!」
サコは鬼の形相で人型リミナルに突撃していった。
それに反応して人型クリミナル『ドレッドアイ』は両手をサコに向ける。手先から、霧が噴射されてサコは諸に浴びる。
「うわっ!」
反射的に顔を手で覆うサコ。その隙を狙ってドレッドアイはサコに殴りつける。
「ぎゃあ!」
「ああもう!あのバカ!キサラギ、アリス、ラン!あいつを囲んで叩け!」
「ヤれそうだったら殺っていいんだよな?」
「できればそっちのほうがいい」
「へへ、まかせろ!」
防御能力の高いランを先頭に三人はドレッドアイに向かう。
俺はその間にサコを回収。
「おい、サコ。生きてるか?」
「ぅ……うぅ……ん」
「大丈夫そうだな」
「ぁ……ゆ、ユウ……く、くるしい」
「なに?」
サコは血の色が悪い顔で呻く。
苦しい?……まさかさっきの霧か!?
「おい!そいつの手から出る霧を触れるな!吸うのもダメだ!」
「え?なんでだよ?」
「毒だ!」
「あいよ!」
ドレッドアイから距離を取りつつ慎重に攻撃を開始した。
「ほれっと」
俺はショップで買っておいた解毒薬をサコにぶっかける。すると、みるみるうちにサコの顔色は正常なものに戻っていく。
「お~い、大丈夫か~?」
「だ、だいじょうぶだ!それより、あいつユコをなかせた!ぶっとばさないと!」
「落ち着け。今のまま突撃したら、また毒霧の餌食だぞ」
「う~~~ッ!でも、いちげきでたおせるんだ!」
「お?なんか秘策でもあんのかサコ?」
「おう!あたらしいひっさつわざだ!」
「ほう……じゃ、それいつでもできるように準備しとけ」
俺はサコを立たせて、戦っている三人に指示を飛ばす。
「みんな!サコに秘策があるらしい。隙を作ってやってくれ!」
「まかせろ!」「わかったわ!」「頑張る……!」
「おし、サコ。落ち着いてチャンスを伺え」
「わかった!こんどこそぶっとばす!」
サコも戦闘に参加する。
ドレッドアイの手の直線上にいないように上手く立ち回る四人。しかし、毒霧への警戒から守りに必死で決め手の一撃をうてない状況だ。
なんとかサコに攻撃隙を与えるべく注意を反らそうとするが身体中にある目玉が間合いに入ることを許さなかった。
「このままじゃ埒があかねえ!!」
痺れ切らしたランが単身、突撃。
ドレッドアイはランをじっと見詰めながら後ろに飛ぶ。同時に両手を向ける。
じっとしてりゃ強固な砦なのに……短期は損気だ。
「アリス!」
「……わかった」
突撃したランにあわせてアリスが魔法を放つ。
ランの攻撃をかわしたドレッドアイは、初めての遠距離攻撃に反応が遅れる。
ランに噴射する筈の毒霧を急いで、飛んできた魔法に向かって放つ。
魔法は毒霧に包まれ爆散。爆風が吹きすさび、毒霧も吹き飛ぶ。毒霧はドレッドアイに返っていく。
毒霧を浴びたドレッドアイは身体中の目を閉じて、もがき苦しみ出した。
因果応報。目がしみて痛いだろ?けど、うちの生徒は苦しむ隙を見せていいほど甘くはねぇぞ?
ドレッドアイのそばに一つの人影……サコだ。
サコは左腕を引き絞って一撃を構える。その拳には炎が宿っていた。
「ねっけつパンチ!」
サコの拳が放たれた。
拳がドレッドアイを直撃した瞬間、火炎と爆発が発生。ドレッドアイは爆散し、体はバラバラに散らばる。地面へと転がった四肢は炎に焼かれており、炎と共に煙のように消えた。
「おつかれさん」
「オッス!」
俺がサコに労いの言葉をかけると、サコが気合いの入った返事を返した。
「うわ~~ん!!サコ~怖かったよ~~!!」
今までどこに隠れてたのか、突然現れたユコがサコに抱きついた。サコもユコを抱き締めて、頭を撫でる。
「ゴメンな、ユコ……サコがもっとはやくたすけにいけてたらこわいおもいさせずにすんだのに……」
「ううん。大丈夫だよ、サコ。ユコ、怖かったけど……一人でもなんとか頑張れたし!」
「そーか!ユコはえらいな~♪」
「えへへへ…♪」
いい感じに感動の再開を果たす二人。本当に仲のいい姉妹だと確信した。
そんな二人に水をさすようにランが口を開く。
「そういや、なんでユコは脱走したりしたんだ?」
「それが……よくわからないんです」
「よくわからない?」
「はい。記憶がはっきりしなくて、気がついたらここに一人で居て……」
「それじゃ、他の子達のことも……」
「ぼんやりとしか覚えてなくて……ごめんなさい」
ユコは暗い顔で頭を下げる。
ランに責めるつもりはない。笑顔で気にすんなと返した。
それにしてもしっかりした妹だな。姉とは比べちゃあかんな。
「ねーユコ。サコたちはいま、とうのてっぺんをめざしてるんだ。いっしょにいかないな?」
「塔の天辺?」
「詳しくは俺が説明しよう。俺達は今、『ヨミガエリ』というプログラムを行っている。簡単に説明すると、塔の天辺に辿り着くと生き返ることができるってことだ」
「え!ユコ、生き返ることができるの?」
「頑張って上りきれたらな」
「わかりました!運動は苦手だけど、頑張ります!」
「おっしゃ。じゃあまず、軽く自己紹介でもお願いしたいな」
「はい。みなさん、わたしは片木右子。サコの妹です。姉がご迷惑をかけたと思いますが、これからは二人一緒に頑張ります!よろしくお願いします!」
ユコはそう言うとペコリと頭をさげた。
「みんな!よろしくおねがいします!」
サコも一緒にお辞儀をする。
みんなは手を叩き、歓迎の意を示した。
こうして生き返るを目指す仲間が増えた。サコの妹と言うことから、どんな子だと思ったが意外にしっかりした子で安心した。この旅の良心にならないかなと期待はしてみる。恐らく無理なんだろうけど。
ふと、ある疑問が頭に浮かんだ。
「そういえば、なんでユコちゃんは地獄に来たんだ?とても悪い子には見えないけど」
俺の質問に一瞬、驚いた表情をみせるユコ。
聞いちゃ不味かったか?そう思い、質問を撤回しようとしたが、ユコが口を開く方がはやかった。
「ええっと、ユコが自分から来たんです。本当は来なくていいって言われてたけど……サコのことが心配でついてきちゃったんです」
「へ~仲いいんだな」
自分から地獄に?そんなことができるのか?
「えへへへー!ユコはすっごくサコにやさしいんだ~♡」
サコの幸せそうな笑顔を見てたら悩んでることが馬鹿みたいに思えてくる。
「んじゃ、他の子達も探しに行きますか!」
俺達は再び前へ進み始めた。
早く発売日になれと願うDAMUDOです!
特に書くことないので、願望というか妄想を一つ。
※注意※
この後書くことは、あなたがDAMUDOに抱く紳士的イメージを原子レベルに崩壊させる可能性があります。
特に重要なことを書かないので、嫌な予感がする方は戻ることをオススメします。
あんたは俺と同じ臭いがする。と思う変態さんは安心してください。下ネタですよ!
ではいきます。
ランに牛乳飲むか?ってススメられたい!そしたら、「ミルク飲む!(意味深)」って言って牛乳を飲み干したい!
飲み終わった後、ランの胸を凝視しつつ、「ランのミルク、超うめぇ!!」って笑顔でセクハラしたい!
真っ赤になったランをそのままベットに連れ込んで互いのミルクを交換したい!
以上!
どうですか?私がどういう人間か理解できましたか?
そして、このコーナー……たまにやりますよ!
それではまた次回、DAMUDOでした~♪