新作が発売されるので、書きたくなった!
後悔はない!
「…………!」
暗闇に響く声。何を言っているのかわからないけど女の人の声だとは分かる。母ちゃんかな?
「……き……!」
段々と大きくなる声に多少の苛立ちを覚え始める。今すごく心地い気分だから黙ってほしい。
「……、起き……!」
そんな俺の心情を無視して無情にも大きくなる声。
起き……?ああ、俺は寝てるのか。道理で気持ちいい訳だ。微睡み最高~♪
なぜ母親と言う生き物は自分の子どもを起こしたがるのか?気持ちよく寝ることは何も悪いことではないはず。どうせ人間、睡魔に勝てるはずがない。学校や会社で『俺昨日全然寝てない』自慢するやつがよくいると思う。俺は素直にスゴいと思うな。もし、俺にも徹夜して、一日を乗り越える術があれば、今までに怒られたことの幾つかがなかったことになるであろうに……。
それぐらい俺は寝ることに抵抗できない。したがって、ちょっとやそっとちゃ起きる気はない!ゲームとかの状態異常『ねむり』は最強だろ?常識的に考えて。
「キミ、いい加減起きなさい!」
業を煮やした様な怒鳴り声と共に、バチンッと言う響きのいい音が俺の頬から頭蓋を伝って鼓膜まで届く。
メッチャ痛い!ほっぺスゴい痛い !
痛み負けた意識は覚醒。なしくずされる形で目も開ける……
「やっと起きたわね。キミ、初日から寝坊とは何様のつもりかしら?」
そこには青筋を額に浮かばせた女性がいた。
……誰?
「目を覚ましたなら、さっさと起きなさい!」
有無を言わさず強烈な平手打ちがもう一発。速い!
″バチンッ″
「痛い!やめて!叩かないで!」
「自業自得よ!この愚図!給料払わないわよ」
目の前の女性はごみくずを見るよな目で冷たく言い捨てる。
給料?……そうだ。今日は新しいバイトの初日だったな。確か、動物園の飼育係って話だったような……ん?
「あの、ここどこです?動物園の飼育係じゃぁ?」
そう、俺は動物園のバイトに来た。でも、周りを見渡してみると明らかに動物園ではなかった。
そこは悪の組織の監獄スペースみたいな場所で鳥籠型の牢屋がたくさんある冷たい雰囲気をしていた。
本当に何処だよ……。マジでなにやらせるつもりなんだ……。
不安と不安で理解が追い付かない俺の脳のために質問をぶつけてみると。
″バチンッ″
叩かれた。
「勝手な質問は許さないわ。まずは黙って言うことを聞きなさい。いいわね?」
凄味のある声で言う女性。本能的にこの人には逆らわない方が賢明だとわかる。このまま叩かれ続けたら頬が裂けかねん。
俺は黙って首をたてに降る。
「よろしい。まずはキミの名前を言ってみなさい」
「はい!私の名前は橋間勇一です!」
″バチンッ″
「時間かかりすぎ。勇一は面倒だから、ここではユウと名乗りなさい」
「え?なんで叩かれ「サクサク進めるわよ」
……理不尽だ。
「ふ~ん……資料通りみたいね」
女性は手に持っているファイルをパラパラと流し見しながら呟く。めくるページがなくなるとファイルを閉じ、こちらに向き直る。
「私は間名瀬美雨。ミウでいいわ」
「よろしくミウ!」
″バチンッ″
「さんを付けなさい」
「はい、ゴメンナサイ」
ノリでいけると思ったんです。
「私はキミのチームに付く管理官よ。まあ、キミのサポート役ってことね」
どんな仕事のサポート役なのか?チームってなんですか?……いろいろと気になるけど質問はしません。叩かれるのはイヤぜったい。
「で、次……キミが面倒みる子たちを紹介するわ」
そう言うとミウは、ポケットから笛を取りだし吹く。
ピピィーーー!と豪快な笛の音が響くと、そこらじゅうにある牢の扉が重い音をたてる。筋肉自慢でも開けるのに苦労しそう分厚い鉄の扉が開いたのだ。
「全員整列!!」
開いた牢から出てきたのは四人の少女たち。皆、横縞が特徴の囚人服を着ている。
少女達はミウの声に反応し並ぶが、整列と言うには、あまりにも粗末な列だった。
「あら?3匹逃げたか……ま、いいわ」
ん?他に3人いるのか?と言うか面倒をみる?どう言うことかさっぱりだね。
しっかし、牢屋に囚人服に女の子……ただ、動物園の飼育って訳にもいかないよなぁ、この仕事。
とりあえず質問。
「ミウさん、俺の仕事って動物の飼育じゃあ……」
「似たようなもんよ。コイツらは人間にも劣る畜生、とまで言うと言い過ぎか」
涼しい顔で淡々と話すミウ。女の子を畜生といい放つ彼女のいたって冷静な雰囲気は俺に恐怖を与える。
そんな俺の心中など察する訳がなく、ミウは話を続ける。
「どういうことですか?」
「この子たちはね。悪い心の持ち主ゆえに死んで地獄に堕ちてしまった可哀想な半罪人よ」
「地獄……?死ぬ……?ハンザイニン……?意味がわからないんだが……」
なんとなく予想はしてたがそういうことなのか?……わからん!夢なら覚めてほしいぜ……。
ミウは混乱している俺を尻目に話を続ける。まるで俺の反応がおかしいと嘲るように、いたって冷淡に。
「文字通りの意味よ。ここは地獄の最下層。底辺の底辺。死んだ悪人の魂が堕ちる場所」
「ここが地獄?なら俺も……」
「ああ、安心して。キミは死んだ訳じゃないから。体の方は現世のほうで眠ってるのよ。仕事が終われば帰れるわ」
帰れると言う言葉に大きな安心感を得る。
でないと困る。バイトに来ただけで死ぬとかスペランカー先生も吃驚だ。
にしてもスゴい展開だな。時給3000円は目を疑ったが、この内容なら納得だ。
……ここが地獄ね。もっと炎とか血の池とか針山とかがそこらじゅうにあるもんだと思ってたが、こんな監獄みたいな殺風景の場所なんだな。そうそう拝めるもんじゃないし、目に焼き付けおこう。
″バチンッ″
「痛ええぇぇ!!」
「説明、続けていい?」
「はい、お願い致します」
油断したらすぐ殴られる。このバイトやだなぁ。
「キミの仕事はこの子達の指導と引率よ。さっき言ったように彼女達は不完全な罪人。半罪人よ」
半罪人……か。不完全な罪人ってどういうことだ?
「未来で罪人になる予定が、若くして死んでしまったために今はまだ罪人ではない、と言う曖昧な罪人ね」
……それって、スゴい難しいな。いろんな宗教や死後・人生・未来の諸説とかがぐっちゃぐっちゃやで。
「ここではそんな半罪人に、チャンスを与えているの。まっとうな人格に更生して現世に生き返ることができるプログラム……」
「地獄特別法3288条2項 更正プログラム『ヨミガエリ』よ」
「ヨミ……ガエリ?」
「このプログラムは罪人の因子を持った少年少女に対して、更生と復活の機会を与えるために設けられた素晴らしい特別措置なの。そして、」
ミウは俺にゆっくり指を向け、こう言った。
「キミはその指導教官。つまり生徒を引率する先生としてこの子達と一緒に地獄の塔を登ってもらうわ」
だから、動物園の飼育係とカモフラージュしてるわけか。
しかし、地獄の塔……ですか。穏やかじゃないな、その名前。
「4つの試練を乗り越えて見事頂上に辿り着いた者だけが蘇る権利を獲得する。ただ、その試練が結構難しくてね。悪い子のままだと、まず頂上に到達できないのよ」
それは一体、どういった原理と作用なんでしょう?地獄は不思議でいっぱいだ。
「だから、頂上を目指すなかで、この子達の指導して更生させるのが教官たるキミの役目。これが仕事内容よ。どう?わかった?」
「まあ、わかった。俺の現在の状況とかも頑張って受け入れた」
「それは結構」
初めてミウが笑ってみせた。割りとカワイイ。
でも、それは別として。
「でも、これけっこう危険な仕事じゃないですかね?ぶっちゃけ、今すぐにでも帰してください」
″バチンッ″
「ひぎぃ!」
「まだ自分の立場がわかってないようね」
「あ~もう!なんですか!立場って!」
「言ったでしょ?仕事が終わらないと帰れないって。つまり、仕事を受けなきゃ帰れないってことよ」
「ッ!!」
「あははははははは!今ごろ気付いたのね!」
高笑いするミウ。一瞬でもカワイイとか思った自分はバカだ。こんな魔王みたい邪悪奴に騙されて。
……つまり、俺に残された選択肢は一つだけってことかよ。
「で、どうするのかしら?」
ミウは意地の悪い笑顔で俺に問い詰める。
全てミウの奴のシナリオ通りって感じだな。しかたない……
「やってやるよ。俺がやるからには全員更生させて、真人間として生き返らせてやるよ。きっちりな!」
これからのんびり投稿します。
「待ってられっか!クソが!」と言う人はゲーム買いましょう。
『クリミナルガールズ』
PSP.VIT用ソフト。日本一ソフトウェア様。
さあ、検索検索♪