ゼスティリアリメイク   作:唐傘

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お待たせしました!
今回はほぼ会話のみです。

※ 今更ですが、原作と術の効果が違います。ご了承下さい。
例:レリーフヒール
原作:HP毒麻痺回復→活性化による回復

2016/4/9
 改行を修正しました。


13.似た者同士

 アリーシャは淡い月明りに照らされる中、憑魔が棲みついているであろう森へと通じる門の前で佇んでいた。

 

 兵士8名が偵察のためにこの場所を通って以降、門は固く閉ざされている。

 アリーシャは不安と憂いを帯びた目でそれをただ見続けていた。

 

「アリーシャ、こんな時間に出歩いてどうしたんだ?」

「ミクリオ様・・・」

 

 真夜中に出歩くアリーシャが気になり、ミクリオはここまで追ってきたのだ。

 そんな彼の呼びかけに気付き、静かに振り向くアリーシャ。

 

 憂う瞳と月の光に淡く照らされるアリーシャに思わずドキリとしてしまうミクリオだったが、そんな雑念を心の片隅に追いやり平静を努める。

 

「その、アリーシャの心配する気持ちもわかるが今は日の出を待った方が良い。こんな暗闇で森を探索するのは流石に危険だ」

「・・・済みません、ミクリオ様。民を苦しめる元凶がすぐそこにいるかと思うとどうにも落ち着かなかったために、気付けばここまで来てしまいました。ご心配をお掛けして申し訳ありません。」

「あ、ああ・・・」

 

 アリーシャはミクリオに深々と頭を下げる。

 いつもならアリーシャと話すときにはほぼ必ずスレイが居たため、ミクリオがアリーシャとの会話で意識するようなことは特に無かった。

 だがいざ2人きりになると、アリーシャの天族への敬語が変に強調されて聞こえてしまう。緊張のため、ミクリオは次にかける言葉を早々に失ってしまった。

 少し長い沈黙が続いた後、アリーシャの方から口を開いた。

 

「・・・・・・・・・ミクリオ様。私は、スレイの従士になるべきではなかったのかも知れません」

「・・・いきなりどうしたんだ?まだ従士になったばかりじゃないか」

 

 突然そんな事を言うアリーシャにミクリオは驚く。

 

「レイフォルク山頂でのことです。エドナ様が敵の攻撃で危険だった時にスレイが自ら盾となってエドナ様を守ったのですが、私はその行為を非難してしまいました」

 

 俯きながら話すアリーシャは胸に置いた拳を強く握りしめる。

 対してミクリオは、あのバカはそんな事をしていたのか、と呆れて頭を痛めていた。

 

 

「本来なら盾となるべきは従士である私の役目だったというのに、私は咄嗟に動くことが出来ずにスレイにその役目を負わせてしまったばかりか、それに文句をつける始末。とても従士として容認出来るものではありません」

「なるほど。それで昼間から様子がおかしかったのか」

「・・・・・・はい」

 

 アリーシャは静かに頷く。

 

「結果的にスレイの行動でエドナ様は助かっていますし、それはとても喜ばしいことです。私自身も聖剣祭の時に同じように守られているので、それは本当に感謝しています。ですが、今後もスレイが同じように誰かの盾となり、それでもし万が一死んでしまったらと思うと心配でならないのです・・・!」

 

 アリーシャは瞳に涙を貯めて心情を露吐する。

 スレイの性格はよく知っているため、アリーシャの言っていることはとてもよく理解出来る。

 

 スレイは頭は悪くなく相手の言うことも素直に聞いて謝るべき時はきちんと謝る反面、頑固で夢中になると周りの言葉を聞かずに心の赴くままに動いてしまう子供っぽい悪癖がある。

 

 

 例として、遺跡で遊んだことをジイジに咎められてもどこか容認する雰囲気があれば、自分の心と天秤にかけてまた遺跡に行ってしまったり。

 また人間の生活圏へ行ってはならないときつく厳命されていたにも関わらず、知り合ったアリーシャが危険かもしれないと知るや否や誰にも告げずに里を出ようとするなど、例を挙げれば切りがない。

 

 生まれてからずっとそんな落差の激しいスレイの性格に付き合ってきたミクリオであるため、親友よりも目の前の少女の方がずっと共感することが出来るのだった。

 

 

 しかしながら、ミクリオはそれとは別にアリーシャに対しても思うことがあった。

 

「確かに、スレイのあの悪癖には僕も頭を痛めているよ」

「ミクリオ様もですか?」

「ああ。誘惑に負けて遺跡の罠を作動させることはしょっちゅうだし、問題ないと分かれば見えない橋だろうが崩れた道だろうが堂々と通る。呆れ過ぎていっそ清々しいよ」

 

 当時の事を鮮明に思い出したのか、若干青筋すら立ててつらつらとスレイの問題行動を並べていく。

 

「そ、それは大変だったのですね」

「ああ、全くだ」

 

 ミクリオのただならぬ雰囲気に若干引きながらも同情し、ミクリオも同意する。

 

「だけどアリーシャ。僕から見たら、心配になるというのは君に対しても言えると僕は思う」

「え?私も・・・ですか?」

「ああ。聖剣祭の事件の時、あれ以上犠牲を出さないために命を投げ出そうとしていたのは何処の誰だったかな?」

「・・・・・・私、ですね」

 

 聖剣祭でアリーシャは、自分が狙われていると知った上で無謀にも暗殺者ルナールに首を差し出すような真似をした。あれ以上の被害を出したくなかったとはいえ、とても称賛されるべき行動とは言えない。

 

 守り合う2人とは違う、第三者の視点から彼等を見ていたミクリオはどちらに対しても思うところがあったのだ。

 

「では・・・、私はこれからどうすれば良いのでしょうか?」

 

 困惑するアリーシャに、ミクリオは少しの間考える素振りをしてから言った。

 

「そう、だな・・・・・・。もしも、スレイが考えあってそういう無茶なことをしようとしたなら、全力でスレイのすることを手助けしてやって欲しい。スレイのことを支えてやって欲しいんだ。盾だとか従士としてだとか関係ない、信頼出来る仲間として」

「信頼出来る仲間として・・・」

 

 真剣な面持ちでミクリオを見つめながら言葉を繰り返すアリーシャ。

 

「勿論僕も君達を支える。ああ、でもスレイが何も考えていなかったら全力で引っ叩いてくれて構わないから。親友であるこの僕が保証する」

「・・・ふふっ。承知しました」

 

 やっと笑みを漏らしたアリーシャにミクリオは安堵する。

 

「言っておくけど、スレイのお守りは大変だから。覚悟した方が良いよ」

「はい、肝に銘じておきます。ミクリオ様のお陰で悩みが晴れた気がします。気遣って頂き、有難うございました」

「い、いや・・・。僕も、暗いアリーシャよりいつものアリーシャに戻って欲しかったから・・・」

 

 アリーシャに向けられる笑顔が見ていられず、どこか照れた様子で明後日の方を向くミクリオ。

 そしてついでとばかりに先程から思っていたことも切り出した。

 

「アリーシャ。その、気になっていたんだが、僕は君より年下なんだし様付けしなくても構わないよ」

 

 そう言うミクリオだったが、アリーシャは即座に否定する。

 

「いいえ、それは出来ません。天族様は皆様尊敬に値する方ばかりです。私より年下だからといって敬称を付けない理由にはなりません」

「む・・・。僕はそういうのは気にしないんだが。むしろ・・・・・・」

 

 仲間としてスレイのように呼び捨てにして欲しい、と言葉を重ねようとしたミクリオだったが、出会ってからアリーシャの頑固さもまた理解しているため、今はまだ無理だと判断してここは一旦諦めることにした。

 

「まあ、そこまで言うなら仕方ない。さあ、もう休もう。アリーシャ」

「はい!」

 

 ミクリオに促され、アリーシャはしっかりとした返事を返す。

 

 そして宿へと戻る前に何となく森の方角を見たとき、アリーシャは星月の輝く夜の空に微かに動くものを発見した。

 

「ミクリオ様。何かが飛んで来ます」

 

 夜のため見づらく、またかなり遠いため判別しにくいがそれは大きく羽ばたく鳥のようであり、背中に大きなコブのような何かが2つ張り付き一直線にマーリンドへと向かって来ていた。

 

 2人が警戒を強める中、それは徐々に近付きその全貌が明らかとなる。

 

 

「あれは・・・・・・!」

 

 そして、ミクリオはその正体に気付いたのだった。

 

 

 

※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

 扉を開けてスレイを出迎えるライラ。

 

「アリーシャさんなら先程出掛けて行きましたわ。アリーシャさんに用事ですか?」

「んー、用事って程の用じゃないんだけど・・・」

 

 珍しく言い淀むスレイにライラは首を傾げる。しかし、昼頃から微妙に距離があった2人のことをライラは思い出した。

 

「とりあえず、立ったままなのも何なのでどうぞ入ってください」

 

 ライラに促されるままに部屋へと入るスレイ。そこでスレイに背を向け、毛布をかけて横になっているエドナを見つける。

 

「あ、ごめん。もう寝てたんだね」

「ええ。エドナさんも、久しぶりの人里で疲れたのかもしれませんわね。・・・所で、アリーシャさんのことで何か悩んでいるのではありませんか?」

 

 エドナをチラリと見た後、スレイへと顔を向け直し声を落として話すライラ。

 

「・・・・・・実は、レイフォルクにいた時にアリーシャを怒らせてさ。憑魔を探す前に何とか仲直りしようと思ったんだけど、エドナに悪いしもう・・・」

「悪いと思うなら最初からこんな時間に来るべきではありませんわ。エドナさんも深く寝入っているようですし、良かったら話してもらえませんか?」

 

 部屋を出ようとするスレイだがライラがそれを引き留める。

 少し悩んだものの今のところアリーシャとどう話そうかも決まっていなかったため、スレイはライラに相談してみることにしたのだ。

 

 

 

「なるほど。そんなことがあったのですね・・・」

 

 ライラはベッドに、スレイは備え付けの椅子にそれぞれ腰かける。そしてレイフォルクの山頂でサイモンの攻撃からエドナを体を張って守ったこと、2人がその行動を非難したことを詳しく説明した。

 

「俺はエドナが危ないって思って、そしたらもう体が動いてたんだ。エドナの時もアリーシャの時も、俺はただ守りたかっただけなんだ。でも俺、2人から言われるまでそういう事全く考えた事無くって・・・」

「・・・・・・そうですね。心というものはとても複雑で、難しいものですから」

 

 床に目線を落としながら話すスレイを、ライラは優しげに見つめている。

 

「ライラ。俺はああいう時、どうすれば一番良かったんだろう?」

「・・・スレイさん。どんな場合に限らず、常に『一番良い選択』を選ぶことは不可能だとわたくしは思いますわ。今回スレイさんが体を張って守った行動が、もしかしたら全員が助かる唯一の選択だったかも知れませし、そうでなかったのかもしれません。それは誰にも分かり得ないことですわ」

 

 スレイの疑問にライラは答えはないと言い切った。

 

「なら俺は一体どうすれば・・・」

 

 どうすれば良いのか悩むスレイは、自問ともライラに聞いているともとれる言葉を口にする。

 ライラは少し考える素振りをしてからその言葉に応えた。

 

「・・・では、もし仮にわたくしが従士を、アリーシャさんを囮にして危機的状況を切り抜けようと進言したら、スレイさんは従いますか?」

「っ、そんなの駄目だっ!!」 

 

 ライラの意地悪な質問に、スレイはエドナが眠っていることも忘れて大声を上げて否定する。

 言い切ってからしまった、という顔で手で口を覆うスレイだったが、そんなスレイを見てライラはコロコロと笑う。

 

「うふふっ。スレイさんならそう言うと思ってましたわ」

 

 エドナが起きなかったことにホッとしながらも、ライラに笑われ赤くなるスレイ。

 

「では言葉を付け足しましょう。その時アリーシャさんが、『私なら大丈夫だ。私を信じてくれ』と言ったらスレイさんは信じますか?」

 

 その卑怯な問いかけに、スレイは口を開けたり閉じたりを繰り返すが言葉にはならない。

 

 だがライラは言葉を続けずスレイの答えを待つのみ。やがて、

 

「・・・信じたい。信じたいけど・・・」

 

 搾り出すような声で言った。

 

「・・・スレイさんが、初めてわたくしという『剣』を握った時のことです。スレイさんの『信じてくれ』という言葉に、人質だったアリーシャさんは笑って受け入れましたわ」

「・・・・・・そう、だった」

 

 たった数日なのにスレイは忘れていた。まさしく自分が放った言葉を。

 

「レイフォルクとは状況が違います。ですが従士であるアリーシャさんとわたくし達天族の事を、もっと信じて下さい。もっと任せて下さい。そうすれば『一番良い選択』も、きっと見つかりますわ」

 

 ライラの言葉で険しく曇っていたスレイの表情も次第に緩やかになっていく。

 

 スレイは自覚したのだ。

 自分は思っていた程仲間を信じていなかったのだと。

 いつの間にか、ミクリオに散々注意されていた悪癖が加速していたのだと。

 

「ごめん、ライラ。俺、導師になって浮かれてたみたいだ。導師なら無条件で何でも出来るって、心のどこかで思ってた」

「男の子ですもの、浮かれるのは当たり前ですわ。導師を支えるのが従士の役目。そしてお2人をサポートするのがわたくし達天族の役目。それを忘れないで下さいね」

「わかった」

 

 しっかりと頷いたスレイ。

 

 頷いたがしかし、話が終わると誘導尋問のような卑怯な質問の仕方に納得がいかなくなってくる。

 

「じゃあ、ちなみに導師の役目は?『俺が導師だー!』とか言ってみんなを引っ張り回すこととか?」

 

 勿論スレイもそんな事は微塵も思っていない。 だが先程のライラのイジワルに対して、仕返しのつもりで言ってみたのだ。

 果たして、そんなライラの反応は余裕たっぷりの微笑みだった。

 

「それ、アリーシャさんとミクリオさんに伝えても構いませんか?」

 

 ライラの言葉にスレイは目に見えて焦る。

 

「だ、駄目だって!2人にそんなこと言ったらまた怒られる!」

「うふふっ、冗談ですわ。スレイさんはお2人に弱いのですわね」

「・・・参ったよ。ライラにはかなわないな」

「当然です。わたくしはスレイさんよりずっとお姉さんなんですからね」

 

 

※ ※ ※ ※ ※

 

 

 

「ライラ。他にも聞いてもらいたい事があるんだ」

 

 スレイは改まった顔でライラに話す。

 

「森の憑魔を浄化した後で、すぐイズチへ向かおうと思う」

「イズチは確か、スレイさん達の住んでいた天族の隠れ里でしたわね?」

 

 

 スレイは大きく頷く。

 

「うん。悔しいけど、俺達の力で出来るのは浄化までだと思う。そこで、イズチで水と地の天族に協力を頼もうと思うんだ」

 

 スレイがこの2属性の天族に協力を頼む理由は、属性固有の天響術にある。

 

 1つはエドナも使っていた天響術、『ハートレスサークル』だ。体力や気力が充実しているならば、それに伴って体の回復が早くなり、また余計な病気を併発することもないだろうと思ったのだ。治療での補助的な意味合いが強い。

 そしてもう1つは水属性の天族が使う天響術、『レリーフヒール』だ。スレイは原理を良く知っている訳では無いが、これは体の細胞を活性化させて徐々に回復させるというものだ。 

 スレイが切り傷を作った時に、ミクリオが小言を言いながらもこの天響術でよく治療していたため、効果の程は分かっているつもりだ。継続的に術をかければ内臓の損傷も回復出来るのではないかと思ったのだ。

 

「なるほど。確かにそれなら重症の方達を救うことが出来るかもしれませんね」

「本当は、光の天族が居れば一番良かったんだけどね」

 

 光の天族は、失った体の部位を高速再生させることの出来る『レイズデッド』という天響術が使えるらしい。

 らしい、というのは里に光の天族は居ないため、スレイはまだ会ったことが無い。

 

「では、ミクリオさんとエドナさんに頼まない理由は何故でしょう?」

 

 ライラもある程度は察しがつくが、スレイの考えを聞きたかったのだ。

 

「ミクリオは・・・・・・、やっぱりどうしても力不足なんだ。17年しか生きてないミクリオだと、切り傷を治すのが限界なんだよ」

 

 天族の力は時の経過に左右される。内臓の損傷を治療する程の力となると、最低でも100年は超えていないと難しい。

 スレイも自分の自慢の親友を『力不足』などと評価するのはとても心苦しかった。

 

「ではエドナさんは?彼女は軽く100年は確実に時を経ていますし、うってつけではありませんか?」

 

 エドナをチラリと見ながら問いかけるライラ。

 だがスレイは首を横に振った。

 

 

「エドナは人間に不信感を持ってる。元々土砂を退かすためだけに来てもらったのに、厚意で感染した人全員に体力回復の術(ハートレスサークル)までかけてくれたんだ。命の危険を理由に縛ったら、それこそもう二度と信じてもらえなくなる。そんな気がするんだ」

 

 スレイの答えにライラは微笑みを深くする。

 

「そうですか。そこまで考えているのでしたら、わたくしは反対しませんわ。エドナさんはどう思います(・・・・・・・・・・・・)?」

 

 ライラが柔らかい笑みを浮かべてエドナに顔を向ける。

 すると寝ていたと思われていたエドナはムクリと起き上がったのだ。

 そのことに仰天するスレイ。

 

「エドナ!?起きてたのか!?」

「起こされた、のよ。あんな大声で叫ばれたら起きない訳ないでしょ」

 

 ジト目で睨まれるスレイはタジタジだ。

 だがライラはイタズラが成功したかのように、気分が良さげに次の爆弾を投下する。

 

 

「エドナさ~ん?嘘はいけませんわ。スレイさんがアリーシャさんがいるか尋ねたときに、エドナさんはわざわざ息を潜めて寝たふりをしたへははいふぁへんふぁ~!?」

「あなた、いつからそんなにお腹の中が真っ黒になったのかしらね」

 

 機嫌良く話すライラにムカついたエドナは、ライラの前に立つと頬の両端をムニムニと強く引っ張ったのだ。

 ライラの頬は絹のようにスベスベしていて、それはそれは良く伸びた。

 

「やめへくらはい~!ひひょがふはいといっへくらはい~!」(訳:やめて下さい~!思慮が深いと言って下さい~!)

 

 ひとしきりライラの頬で遊んだあと、エドナはスレイに向き直る。

 

「改めて聞くけれど、わたしはあなたが浄化を終えた後は戻って良いのね?天族は基本的に閉鎖的で引きこもりばっかりだから説得出来ないかもしれないけど、それでも良いのね?」

 

 エドナの最終確認にスレイは大きく頷く。

 

「それで良い。俺はエドナを縛る権利なんてないし、それに俺は里のみんなを信じてるから」

 

 スレイはしっかりした顔で言い切った。

 

「・・・・・・そう。まあ勝手にすれば?」

「うん。そうする」

 

 笑顔のスレイとは対照的にエドナは憮然とした表情でスレイから目を逸らす。

 

 そこへ仕返しのつもりだろうか、お邪魔虫よろしくエドナの頬をツンツンしてくるライラ。

 

「エドナさんたら、照れ屋さんですわね~」

 

 ライラの鬱陶しさに再度ムカついたエドナは、とりあえず中断していたムニムニの刑を続行することにしたのだった。

 


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