俺だけ能力を持ってない   作:スパイラル大沼

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第18話

 

 

 

「こっちだよ慶兄さん」

 

「おう、流石」

 

「茜姉さんも聞こえてるね?」

 

『うん。スーパーのあたりね』

 

通話して話ながら移動している時だ。

 

「つーか岬。お前までなんでいんだよ」

 

「べ、別にいいでしょ?」

 

「いや、遥の予知だと可能性が一番高い場所に俺たちが向かうわけだが、0%じゃないところもあるからお前の分身に行かせようと……」

 

「………………」

 

「………あっ、なるほど。遥と一緒にい……」

 

「余計なこと言うなッ!」

 

と、岬が慶をブン殴った時だ。慶は気配を感じて受け身を取ると、遥の後ろに修が現れた。

 

「遥ッ!」

 

「えっ?」

 

慶は遥の腕を引っ張って自分の後ろに隠れさせると、修の姿が消えた。

 

「何処に……⁉︎」

 

「テレポートさせる対象がいなくなったんだ。そしたら自分だけ移動する事になるに決まってんだろ。だけどいつ戻ってくるか分からないからさっさと行くぞ。スーパーの近くでいいんだな?」

 

「うん」

 

そのまま三人でスーパーの近くへ向かった。だが、

 

「ここで予知頼む遥」

 

「うん。………待って、場所移動した!公園の方!」

 

「OK」

 

すると、岬が言った。

 

「けーちゃん!栞捕獲部隊から。栞を公園で発見だって!近くに葵姉と奏姉、光の姿あり!」

 

「そいつらの足止めだけ頼む。輝は力を使っても構わないし、なんなら地割れの一つや二つくらい起こさせて足場を奪え」

 

「言っとく」

 

「茜、岬、遥。作戦がある」

 

 

 

 

公園。

 

「フンヌッ‼︎」

 

輝が地面を殴ると、地面が割れて公園の足場がボコボコになった。

 

「こら、輝!」

 

「待って奏。輝が自分からこんなことすると思う?」

 

「ってことはやっぱり……慶ね」

 

「あの子は後でぶっ飛ばすとして、奏。ダンディ君のぬいぐるみの時のあれ、お願い出来る?」

 

「………あれ高いのよ?」

 

「私のポイント上げてもいいんだけどなぁ」

 

「任せて」

 

そのままドローンみたいなのを三機呼び出し、それが空中から猫に迫る。

 

「栞、ご苦労様。もう危ないから私の上においで?」

 

「うんっ」

 

葵が言うと、栞は抱っこしてもらった。で、ドローンの方。

 

「やらせるかオラァッ!」

 

迫ろうとする岬の分身。だが、足場が安定しないのと向こうが空中なのもあって中々捉えきれない。ドローンは岬など相手にせずに猫に迫る。

 

「もらったわ!」

 

が、パシュッと音がして、ドローンが一機堕ちた。

 

「200万が……!」

 

奏がそう言うと、近くに慶がサイレンサー加工された拳銃を構えて立っていた。

 

「やらせるかよ」

 

そのままパシュッパシュッとドローンもどきを全て堕とした。で、慶はもう片方の銃を猫に向けた。こっちは空砲だ。それで猫をびびらすつもりだ。

 

「触れなければ問題ない」

 

その時だ。慶の後ろに修が現れ、慶の肩を掴んだ。

 

「っ⁉︎」

 

「少し旅行しててくれ」

 

そのまま慶は何処かへ消された。そして、修は猫の方を見た。

 

「さて、こいつで終わらせよう」

 

だが、その猫の元へ茜が降りてきた。

 

「チィッ!」

 

その瞬間、修の姿が消えた。そして、茜背後から声がした。

 

「慶と同じところへ飛べ」

 

その時、茜の頭に慶の言っていた台詞が思い浮かんだ。

 

『足場を崩されたら向こうで機能できるのは修しかいない。が、こちらも茜しかいない。修は間違いなく邪魔な茜を飛ばしに来る。触れられたら飛ばされるけど、それは茜も同じだ。触れたものに、重力をかけて吹き飛ばせるだろ?』

 

そして、修の手が自分に触れる瞬間、振り返って微笑んだ。

 

「けーちゃんの言ってた通りだ」

 

「んなっ……⁉︎」

 

そのまま茜は修を吹き飛ばした。そして、そのまま空中から猫を追撃する。さらに、

 

「遥?間違い無いのね?」

 

「僕の予知は絶対だ」

 

残り6人の岬が猫を包囲した。猫がこの先、どの方向に逃げるかを遥が予知し、岬6人がそのベスト6の方向から岬が突撃した。さらに、上空から茜。その時だ。本物の岬に誰かの手が乗った。

 

「?」

 

「ごめんね、岬ちゃん」

 

光だった。光の能力が発動し、岬は子供になる。すると、連鎖的に他の岬も子供になった。

 

「しまった……!」

 

そのまま光は猫を確保しようと飛び込む。上から茜。結果、二人は猫の上で激突し、気絶した。

 

「あらら………」

 

苦笑いで葵が見ていると、後から誰かがやって来た。

 

「お父さん……」

 

父親だった。

 

「タイムオーバーだ」

 

結果、引き分けになった。

 

 


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