【完結】しゅらばらばらばら━斬り増し版━   作:トロ

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Bルートはまたの名をオリ主ハーレムルートなので、安心して読んでください(白目)


断章【ありあーLascia chi'o piangaー】
第一話【外道断罪】


 

 

 

その女性は、例えるなら刀剣のような美しい女性だ。凛とした佇まいに、油断なく光る鋭利な眼光。腰まで届く艶のある黒髪は、すぐ近くを流れる清流のように清らかで、それらを一つに纏めている。巫女装束に似た服の下は肉感的な体であるというのに、情欲を煽るものとは逆に、見る者に神々しさを感じさせるような美しさ。

まるで古き時代の大和撫子を連想させるようなその女性は、鋭い気迫を内側で練り上げながら、世界そのものを呪っているような黒い刀を構えて、静かに呟いた。

 

「哀れだな」

 

その言葉を投げ掛けられたのは、美しき女剣客と対照的に、流血の水溜まりに這いつくばり、身体中に切り傷をつけられた男だ。

ぼろ雑巾のほうがまだマシに思えるほどズタボロになっている男は、声に応じるように、女とは同じ黒い刀、しかし女の刀以上におぞましい意思を撒き散らす刀を支えにして、どうにか体を起こす。

 

「な……ぜ……」

 

顔を起こした男の顔に浮かぶのは疑問だ。

どうして自分はこうも一方的に蹂躙されているのかと。

勿論、目の前の女性は容易い相手ではない。現に勝率は五分五分だと思っていた。男の知るなかで、同じ剣士として同等の領域にあるという確信がそこにはあった。

だが、こうも一方的な戦いになるとは思わなかった。男は女に傷ひとつを与えるどころか、ただ悪戯に返しの刃を受けたのみ。

わからなかった。何が己と相手の差となっているのか。

純粋な技量は同等。肉体能力も互角。唯一、男は己のみが頂にあり、女はその頂を前に引き返したため、在り方の差で己は勝っていたはずだ。

 

「無駄だ。修羅から、ただの外道に成り下がった今のお前じゃ、私には届かないよ」

 

女は男の内心を見透かしたように、否、ように、ではない。

確実に、女は男の全てをその眼で覗きながら、言葉を紡いでいた。

 

「ッ……」

 

男は僅かに表情を歪めた。完全に底を見切られている。だというのに自分は女の底を未だに見れていない。

明確な差がそこにはあった。

だからこそ確信する。眼前の女は、今この時、男が至ったはずの場所に到達しているのだと。

故に、思うのだ。

 

「だったら、何で……」

 

ーー俺は、そこにいない。

男は至ったはずなのだ。

これ以上なき場所。

到達した冷酷。

冷たい鋼。

生きるという斬撃を。

 

「教えないよ」

 

女は男の葛藤を見透かした上で、答えを与えるつもりは毛頭なかった。

何故教えてくれない。震える手を伸ばして渇望する男を振り払うように、手にした刀を一振りして、女ーー青山素子は、ただ冷たく言いはなった。

 

「醜いんだよ。外道」

 

断罪の刃は走る。男の全てを否定しつくすように、そして、醜く歪んだ男をこれ以上見たくないために。

 

「姉さーー」

 

迫り来る鋼の冷気。透明に清んだ斬撃の頂を見据えながら、男はただ自らより失われた修羅場の冷酷を思い返すように、その遥か彼方、渇望の原初へと記憶を飛ばす。

それは、修羅外道の元風景。その心を見透かしている素子もまた、初めにして終末、頂点にして奈落の底である暗黒の根源へと視線を向けるのであった。

 

ーーでは、醜悪な敗北を語る前に一つ。まずは男、青山が青山と呼ばれる所以となった敗北より語ろう。

 

それは最新にして最後、そして最悪のお伽噺。

 

修羅外道と破壊衝動の起こした災厄の物語だ。




今回のまとめ。

素子ライザー(トランザム発動)「トランザム、ライ
ザぁぁぁぁぁ!」
青山「\(^o^)/」

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