俺はあれから、職探しに奔走していた。やはり、街に来て間もない人間なのであまり信用されてないようだ。さすがにこればっかりはどうにもできない。この町で俺が知ってる人なんて永琳さんと輝夜ぐらいだ。
「なかなか職に就けない…」
このままではニートまっしぐらである。それだけはどうしても避けないと…
なんてこと考えていると、普段聞くことのない警報が街中に鳴り響いた。
「妖怪の侵入を確認。ただちに避難してください。繰り返します。妖怪の侵入を確認。ただちに避難してください」
妖怪の侵入か…あれ?これってチャンスじゃないか?ここで妖怪と戦えることを知ってもらえば、護衛の仕事ぐらいは貰えるのではないだろうか?
「そうと決まれば行ってみるか。」
こうして俺は、妖怪相手に喧嘩を吹っ掛けに行った。その道中で永琳さんと輝夜に会った。
「あ、臨人さん。早く避難しましょう。妖怪に襲われては危険です。」
「臨人~入ってきた妖怪もさっさとやっつけちゃってよ~。」
永琳さんと輝夜の反応が真逆だ…永琳さんの反応はごもっともだが、ここは輝夜さんの期待に応えようと思う。
「今妖怪はどのあたりにいますか?」
妖怪のところへ行こうと場所を聞く。勿論危険は承知だ。でも、何としても職に就きたい俺はこの機会を利用しない手はない。
「危険です!この都に入れる妖怪というと、かなりの力を持っています!いくら臨人さんでも勝てるとは思いません!」
永琳さんから忠告される。かなりの力を持った妖怪か…なおさらチャンスだ。討伐はできなくても撃退でもできれば仕事に就ける!
「忠告ありがとうございます。でも、心配しないでください。絶対死にませんから。」
忠告してくれた永琳さんに礼を言う。でも俺にはこれしかチャンスがないので、戦いに行く。
「その妖怪ならあっちのほうにいたよ。」
輝夜が妖怪のいる方向を教えてくれた。どうやら妖怪は街の入り口近くにいるらしい。
「都の軍が対処してるので行く必要はないと思うのですが…」
永琳さんが再び避難させようと説得してくる。
「輝夜、ありがとう。ちょっと行ってくるよ。」
永琳さんの説得を無視して妖怪と戦いに行く。やっと能力を使った戦いができる。というより、これでやっと武将の武器を振るうことができる。それが楽しみでたまらない。
しばらく入口のほうへ走っていくと、一人の女の人(?)に蹂躙されている軍隊っぽい人たちを発見した。あれが都の軍だったら都も大変だな…
そんなことを思いながらその場所に近づく。
「ここの人間って弱いわね。つまらないわ。」
向かってくる人間を斬り飛ばしながら、女の人(?)はいかにもつまらなそうにそんな事を言っていた。恐ろしいな。あの人。
少し遠くから、いかにも侵入者である女の人(?)を観察する。
その人(?)は、金髪でスタイルが良く、全体的に黒めな服を着ていた。その人(?)は闇のような真っ黒な剣を振るっていた。返り血とか気にしないんだろうか…
俺は軽い観察を終えて、その女の人(?)と軍隊(?)の間に入る。
「あら、軍隊を救うヒーローのつもりかしら?」
金髪の女の人はそんなことを言ってきた。
それを聞いて俺は、あの人たちが軍隊の人間であることを理解した。
軍隊ならもうちょっと戦えないんですかね…女性一人に軽くあしらわれるようじゃ、辛いと思いますけど…
なんてこと考えてるうちに、向こうは臨戦態勢に入っている。
「あら?間に入っただけで、怖くて動けないのかしら?」
なんとも安い挑発をしてくる。よかろう。そっちがお望みなら、俺の力を見せて徹底的にぶっ潰してやる。
「はぁ?怖い?調子乗るのもいい加減にしとけよ?」
「へぇ、威勢がいいわね。」
(出でよ。滅麒麟牙)
俺は滅麒麟牙が出るように念じて武器を出して構える。
「行くぜ。覚悟はいいな?」
「そっちこそ大丈夫かしら?」
どちらも啖呵をきりながらぶつかり合った。
キリがいいので次回に続く。次回は戦闘シーンから始まります。