幻想転生記   作:黒崎竜司

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長らく書いてなかったので、作りかけのお話をリハビリにします。


リハビリ話

現代(平成)の東京が田舎と呼ばれるくらい未来の京都にて

 

俺は川神臨人。高校生だ。今日は学校の秋休みなので、いつも駄弁っているメンバーで月見をしようという話になった。今は駅前で友達待ちをしている。そうこうしているうちに友人が来たようだ。

 

「お待たせ」

「なんだそのイケてる風の登場の仕方は…」

「なんだよ〜乗ってくれてもいいじゃんか〜」

こいつは星影竜也。幼稚園の時からの親友で、高校でもいつも一緒に行動している。こいつの特徴としては、いつも突拍子も無い事を考えては俺と一緒に実行するところだ。そのため、俺も竜也も人生経験がとんでもないことになってしまった。

「乗るってお前…そういうのは彼女にやれよ…」

「彼女とかいるわけねぇだろ」

「お前なら出来てもおかしくは無いと思うけどな…」

その突拍子も無い考えがなければな…

 

「それより、今日の月見楽しみだな!」

「張り切ってんなぁ…」

「当たり前だろ!秘境と言われる栃木に行くんだぜ!こういうのが好きなやつなら絶対俺と同じ思考になるって!」

そう。こいつはこういうのが好きなのだ。秘境とかオカルトとかいうのにすぐつられる。これのせいでどれだけ苦労したか…まぁ、俺も多少は興味があるから全く嫌というわけじゃないんだけどね。

 

「それに、今日は亮も来るって話じゃねぇか。あいついっつも静かだし、少しぐらい騒がせてやろうぜ!」

こいつの言う『亮』とは、神薙亮というクラスメイトのことだ。クラスの中でも天才と呼ばれているやつで、いつも怖いくらい物静かで冷静沈着、それで成績優秀と絵に描いたような神童だ。そんなやつだが、なぜか俺たちとよく話をする。

「亮が来るって珍しいよな…あいつは勉強と音ゲーは積極的だけど、他は消極的だもんな…」

亮はクラスでもあまり話さない方だ。クラスメイトには、話しかけられたら応じるぐらいの応答しか見たことがない。

「お待たせしました」

「おっ。来たか!」

「おう、亮か」

「二人とも早いのですね」

今来たこいつが神薙亮。話すとき、なぜか敬語になるらしい。

「さて!三人集まったことだし、出発しますか!」

「そうするか」

「えぇ。行きましょう」

こうして、俺たちは男三人で秘境・栃木に向かうことになった。

 

駅内で切符を買って、栃木行きの電車に乗り込んだ。切符に書いてあった席に座って、出発を待つ。

「いよいよ栃木に行くのか…」

「どんな場所でしょうか…気になりますねぇ…」

「あれ、亮もこういうの好きなの?」

「えぇ。あまりイメージを崩したくないから言ってませんでしたが、こう見えて自然とかが好きなんですよ。まぁ、京都ではあまりそういうのは見れませんけどね…」

「「マジか!」」

俺と竜也は同時に叫んだ。まさか亮にこんな一面があったとは…

「それより、栃木はどんなところなんですか?」

「さぁ?」

亮の問いかけに竜也が答える。

「おい!よくわかんないのに行こうとしてんの!?」

思わず竜也にツッコミを入れる。まじかよ…情報をまともに持たずに秘境行きとか…不安でしかないわ…

「まぁいいじゃん。自然豊かってことと秘境であるってことはわかってんだから」

「おいおい…」

それでいいのか…?

「と、とにかく、行ってみてからどうするかは決めましょう。もう行ってみるしかないんですから…」

亮が俺たちに言う。

「そうだな!せっかくの秘境行きだし、気楽にいこうぜ!」

そうして時間は過ぎていった。

 

しばらくして、栃木に到着した。

「ここが栃木か〜…なんか、草木ばっかりだな」

「まぁまぁ、京都のようにビルばかりで人が勝手に作った景色よりは綺麗じゃないですか」

「そうだけども…なんかこう、不気味な感じがしねぇ?」

「秘境ですから当然でしょう」

「そうは言ってもよ〜、ここまでとは思わんだろ…」

亮と竜也の会話が続く中、俺も電車を降りた。

「さてっと…秘境・栃木に来ちまったわけだが?どうするんだ?」

「どうするも何も…楽しむしかないっしょ!」

「相変わらず切り替え早いなお前は…」

「考えるの苦手だし、行動するほうが早いしさ」

そう言って竜也は俺と亮を置いて歩き出す。

「おいおい…あいつはいつもこうだ…」

「楽しくていいじゃないですか。こういうのも嫌いじゃないですよ?」

「亮…お前そういう感じだったか?」

「学校では隠しているだけですよ」

「そ…そうか」

「それより、竜也君を追いかけないとはぐれてしまいますよ?」

亮と俺も竜也を追いかけて駅を出た。

 

駅を出てしばらく歩いていると、階段の上に大きな鳥居があるのが見えた。

「今時高所に鳥居ってのも珍しいな。さすが秘境だ…」

「今では見なくなりましたからね…昔はそんなに珍しくなかったそうですが…」

「早速行ってみようぜ!」

言うが早いか竜也は走り出し、階段を上っていった。

 

三人で階段を上りきり、鳥居をくぐる。奥には、草木が生いしげり人の手が加えられていない社が佇んでいた。

「お〜…これはまた随分と」

「京都にはもうこんなものは無いですからね…」

「月見場所、ここにすっか!」

「いいなそれ、ここならビルも無いし人工の光も少ないからよく見えるだろうし」

「じゃ、決定ってことで!」

そう言うと竜也はバッグの中に入れてあった月見セットを取り出す。

「じゃ、開始といくか!」

 

三人で月を見る。人工の光が溢れる京都じゃもう見れない光景だ。

「夜空ってこんなに綺麗なんだな」

「やはり、人間の手で作られた景色もいいですがオリジナルである自然もいいものですね…」

「昔の人々はこんな綺麗なのを毎日見ててずるいぜ全く」

「ですが、今より娯楽やオカルトは少なかったみたいですよ?」

「うげ…耐えれる気がしねぇや…」

「竜也は娯楽とかオカルトが大好きだもんな」

「俺からそれを取られたら何も残らねぇぜ…」

「いやいや、残るだろ」

「娯楽とオカルトのためにいろいろやってるだけなんだよなぁ…」

 

そうやって話し続けていると、月見団子と飲み物がなくなってきた。

「あ、団子も飲み物も打ち止めか…」

「たまにはこういうのもいいかもしれませんね」

「俺はもうちょっと刺激とか欲しかったけどな!」

三者三様の感想がでる。

「また、こういう機会作って駄弁るか」

「だな!やっぱ気心知れた友人とこうして特殊な環境で話す機会は貴重だわ!」

「その時は、またご一緒してもよろしいですか?」

「「勿論」」

二人揃って答える。こうやって気心知ってる友人を誘わないなんてありえないし。

「ありがとうございます…」

「固苦しくせずにありがとうでいいんだよ」

「俺たちゃ友人だろ?」

「そう…ですね」

「おいおい、固苦しくなるなって」

「仕方ないでしょう、私はこういう性分なのですから」

「なら仕方ないってことにしてやるけど…でも、固苦しくしてて疲れたら普通にしてもいいんだからな?」

「わかりました…その時は検討します」

「ならばよし!…んじゃ、そろそろ帰るか?」

「そうしましょう」

竜やが最初に歩き出し、俺がそれを追う形になる。

「おーい、亮!早く来いよ!」

立ち止まっている亮に竜也が声をかける。

「…わかった、今行く」

「亮…今…」

亮の口調の変化に竜也が戸惑う。

「気まぐれですよ。さ、帰るのでしょう?」

「なんだよ亮〜もうちょい続けてくれてもいいじゃんか〜」

「気まぐれですから、そんなに続きませんよ」

「ちぇ〜…せっかく録音してやろうと思ったのに〜」

「まぁまぁ、また何かしらでそういう気まぐれは来るだろうよ」

「しゃーねぇなぁ…」

「ほら、行くぞ」

「へいへい…」

 

三人で駅に向かい、帰りの電車に乗る。

「しっかし、秘境ってだけあって凄かったな」

「そうだな…まぁ、俺は最後の亮の言葉遣いのインパクトでほぼ吹っ飛んだけど!」

竜也が笑いながら言う。

「気まぐれですし、またあるかも知れませんよ?」

「そう言われてもなぁ〜」

「どうせ俺たち三人でどっか行く機会はまだまだあるからいいじゃねぇか」

「そうだけどよぉ〜」

「また栃木でもどこでも行こうぜ。そうすりゃきける機会も増えるし」

 

今日の思い出話をしているうちに京都に着いた。

「さて、帰って来ちまったな」

「何故か落ち着きますね…生まれ育った場所は」

「さて、明日は学校だし早く帰って寝ようぜ」

三人とも別々の帰路につき、家に帰った。




信じられるか…これ、約2年前に最初書いてずっと放置してたんだぜ…?

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