あの妖怪、八雲紫に落とされた先は平野でした。
「あの妖怪め…竜也君に飽きたらず私まで使うとは…次あったらお灸を据えてやる必要がありそうですね…」
まさか落とし穴とは…
「それはそうと、ここはどこでしょうか…全く知らない景色ですし、建物一つないとは…」
辺りを見回してみても、何も見つからない。
しばらくそうしていると、『上から』声がした。
「あらあら、魔界に何か用かしら?」
声色を聞くに女性みたいだ。
「人間が魔界に足を踏み入れちゃダメ…いや、貴方は純粋な人間じゃないわ」
「いきなり声をかけて、非人間と言うとは…失礼じゃないですか?」
「あら、そうかしら?」
「それに、姿も見せずに話すのは些か変な話かと」
「それはそうね〜」
声の主は私の裏から前に『降り立った』。その人(?)は、銀髪でアホ毛が飛び出ている、『6枚の禍々しい翼が生えた』女性だった。
「さて、面白い貴方の名前を聞かせてもらえないかしら?」
「…私は神薙亮と申します」
「亮ちゃんね〜、よし、覚えたわ」
「貴女は?」
「私?私は神綺って言うの。この魔界に暮らす神よ」
どうやら、信じがたいですがこの方は魔界神のようですね。
「神…ですか」
「あら、何か感じたの?」
「いえ、別に…」
神…か。機音神と言う私の称号を思い出しますね…
「貴方、私の手伝いをしない?」
「神の手伝いなんて、人間にはできませんよ」
「貴方も神よ?」
「いえいえ、人間ですよ」
普通に生活してた私が神なわけがない。
「信じてもらえないわね〜…」
信じてもらえないと言われましても、人間ですから。
「そうだ、貴方の力を教えてあげるわ」
「私の力を私に教えるとは、意味がないのでは?」
「あるわよ〜、貴方は自身の力を理解してないもの〜」
「どういうことですか?」
「とりあえず貴方、これに強く念じてみなさい。貴方の力がわかるわ」
神綺にそう言われて、ガラス球のようなものを渡されました。
「この玉はね、気を取り込んだ相手の能力を浮き出させる力があるの」
「なんですかそれ…」
「これはね、一定以上気を取り込むとその気の主に宿る力を浮き上がらせる力があるの」
「随分都合いい道具ですね…」
「普段ならここで会う相手にぶつけて相手の力を知るためのものなのよ〜」
「なるほど…相手の手の内を知れる…と」
「というわけで、気を込めて見てちょうだいな」
「何もないと思いますけどね…」
神綺さんから渡されたガラス玉?に意識を集中させる。すると、ガラス玉?から文字が浮かび上がってくるではありませんか。
「なっ…」
「やっぱり只者じゃないと思ってたわ〜」
浮かび上がってきた文字の内容が多すぎて混乱しています。
「あらら…さすがに多すぎたわね〜」
「どうするんですかこれ…」
「一旦まとめさせてもらうわね〜」
神綺が手を上げると暴れていた文字達がまとまり、文章になりました。
文章がまとまり、形作られたと同時に神綺が感嘆の声で私の方を見ました。
「やっぱりあなたは神のようね」
文章をまとめると内容はこうでした。
『名前:神薙亮
種族:機音神
性別:男
能力:音を力にする程度の能力
属性などのイメージを音にすればその音の力を使える。創造から破壊まで、余程の事でない限りは力の汎用性が強い。
気質:水
武力知力魔力共に高水準であり、並の者では太刀打ちできない。信仰がどこから来ているかわからないので、消滅させることは理論上不可能』
「…えっと、これは」
「もう隠せないわよ?」
「隠すもなにも、自分ですらわからなかったのですが…」
「そんな神いるのかしら〜」
「いるんですよここに」
「まぁいいわ〜、あなたも神とわかったんだし協力しましょ〜」
どうやら、勝手に協力すると決められてしまったようです。
途中空中分解したのを無理矢理組みあげるスタイルw