1話
私は神薙亮。機音神なんて呼ばれてる、音ゲーマーです。携帯端末で目の前に画面を表示させて情報を集めています。
「またアップデートですか、今度はどんな曲がくるでしょうか…」
どうやら、私のやっている音ゲーのアップデートがくるそうです。
「彼らもいなくなった今…私には音ゲーしかなくなってしまいましたからね…」
私が胸を張って友人と言える川神臨人、星影竜也の二人…また皆で遊びに行こうとか言っていたのに…臨人君は死に、竜也君は行方不明…
「はぁ、次はこの曲ですか…」
正直、情報を見ていても楽しいと思えません。私には記録なんて簡単に出せますし、記録を出してもゲーム仲間…いや、仲間とも言えませんね。界隈での立場を求めてすり寄ってくる人々には見せる気にもなりません。
「ささっとクリアして、行方不明の竜也君を探しましょう…」
友人が居ないとつまらないですからね。
ゲームセンターでささっと記録を出して、集まってたオーディエンスをかき分け外に出る。
「私を神と崇めたところで貴方達の実力は変わらないでしょう…」
つい、オーディエンスに対して愚痴がこぼれてしまいます…自身の立場が惜しいなら自身を鍛えればいいはずですよね?
「さて…私のやり残したことも終わりましたし、私もオカルトとやらに手を伸ばしてみましょうか…」
竜也君の居なくなった原因は秘封倶楽部から聞きました。どうやら、臨人君が死んだと断定できてなかった時に臨人君探しをしている最中に行方をくらませてしまったそうです。
「それにしても、異世界…ですか」
この世界にも飽き飽きしてきましたし、異世界行きも面白いかもしれませんね。
「とりあえず、竜也君が行方をくらませたという博麗神社に行きましょうか…」
一番有力なところから、実績あるところから回るのは当たり前のことですよね。
博麗神社の場所を調べ、交通手段を用意して向かう。
「博麗神社…どんなところでしょうか…」
私も実際初めて行くのでどんなところかなんて実際の情報は無いに等しいのです。
「何か収穫を持って帰ることが目標ですね…」
何も得られるもの無しで帰るわけにはいきません。最有力候補に行って何も無しでは打つ手がなくなります。
しばらくして、博麗神社に到着しました。
「ここが博麗神社ですか…皆で月見をした栃木の社と似たようなものを感じますね…」(※リハビリ話参照)
博麗神社に入り、社の方へ向かう。社の前には、紫のドレスに身を包んだ金髪の女性が立っていましたた。
「あらあら、一人でここに来るなんて勇気があるのね」
「貴女は?」
「私は八雲紫。妖怪よ」
「妖怪が本当にいるとは…竜也君が聞いたら飛んで喜びそうですね…」
「あら、あの子のお知り合い?なら、悪いことしたわね…」
「…なんだと?」
どうやらこの女性、いや妖怪は私の友に手を出したようです。
「そんな怖い顔しないでちょうだい。興味があったからちょっと借りただけよ」
「道楽のために人に手出しするとは…」
「妖怪なんて道楽ぐらいしか無いのよ」
妖怪がそう答える。それを聞いた途端、私の中の何かが切れた。
「少し、説教が必要なようですね」
「人が妖怪に説教なんて、何様かしら?それに、あなたもあの子の関係者で面白そうだから使わせてもらうわね?」
「何を言って…」
妖怪の言葉が終わるやいなや、自分の足元に大穴ができていた。
「しまっ…」
足場を失ったことにより、重力にしたがって体が落ちていく。
「私はどこへ向かうことになるのでしょうか…」
落ちていく中でそんなことを考えていた。
Side紫
あの人間が穴から落ちた後、私は小さく呟いた。
「あの世界から幻想郷を生み出すために重要な人間が揃ってきたわね…」
幻想郷計画…妖怪と人間が利用し合う事無く共存する世界を作る…その為には、強い力を持った人間が必要なの。
「ここまでは順調ね…しかし、この世界には優秀な人間が多いわね。目をつけて正解だったかしら」
あの亮とかいうのも、立ち姿や振る舞いからして何かしら特殊な生活をしてきたのだろう。
「後は、転生扱いにしちゃったみたいだから転生特典がどうなるかによっては怪しいわね…」
私のスキマはまだ不完全だから、暴走して転生扱いにしちゃうことがあるの。特典も勝手に決まっちゃうし、あまり乱発したくないのよね…
「まぁいいわ。優秀な人間が集まればそれに越したことは無いもの」
そう呟き、スキマで元の世界に帰った。
紫Side Out
リハビリと言いながら書きたかった話を書いていくスタイル