三人で駅からいろいろオカルトスポットを回ってから、博麗神社に向かった。
「ここで最後か…」
「そうね…」
「これで何も無かったらどうしましょうか…」
ここまできて、何も無いのは悲しい。ここに来るまでに行ける距離の神隠しで有名なスポットやオカルトスポットは全部回った。これで駄目だったら八方塞だ。行った場所としては、富士山や蓮台野、鳥船神社といった有名どころから辺境の神社までまわった。
「行きましょうか…」
「そうね…」
「そうだな…」
何かあってくれと思い、博麗神社の境内に足を踏み入れた。
「ここが…」
「こんな感じなのね…」
二人とも、廃神社のような見た目に怯えたような声を出す。
「嫌なら帰っても良いんだぜ?」
「何言ってるのよ。私がビビるわけないでしょ!」
「ビビってるわけじゃないわ。少し珍しいな、と思ってるだけよ。」
「そうよ!」
二人とも元気だな…
「しかし…何も無いわね…」
「そうね…」
二人の言うとおり、完全なる廃神社で何か特別なものがある気配は無い。あるのは賽銭箱と井戸ぐらいだ。
「あれ?竜也ーちょっと来てー。」
「蓮子か。どうした?」
「私も行くわ。」
蓮子に呼ばれ、メリーと共に蓮子のほうへ向かう。
「これ…入っていいのかしら?」
「なになに…」
蓮子の前に看板があった。そこにはこう書かれていた。
『この先、裏山』
「行ってみようかしら…」
「どうする?行ってみるか?」
「えぇ、そうしましょう。」
三人して看板の前で少し話す。話した結果、行く事にした。
「裏山って言っても…」
「何も無いのね…」
裏山に入ったが、変化は無い。
「!?」
「どうした?メリー。」
「この気配…境界?」
「嘘!?メリー!どこにあるの!?」
「こっちよ。」
「おい!?メリー!?どうしたんだ!?」
蓮子とメリーがテンションに任せて奥に入っていってしまった。
「おい!待てよ!」
蓮子とメリーに追いつくために全力で走った。
「はぁ…はぁ…二人ともどうしたんだよ…」
「ここよ。」
「境界は!どこにあるの!?」
「あそこよ。」
メリーはそういい、洞穴のようになっている場所の入り口を指差した。結構オカルトっぽい雰囲気あるな…
「いかにもな場所ね…」
蓮子が小さく呟く。
「あそこに何があるんだって言うんだよ…全く…」
蓮子とメリーの言葉を聞き流し、メリーが指差した方向に向かう。今思えば、この行動が間違いだったのだろう。
「ちょっと!竜也!」
「危ないわよ!」
二人が何か言っているが、無視して歩く。入り口を通り過ぎ、中に入ったところで光が少なくなった。
「何が…」
後ろを振り向くと、入り口だったところが塞がれていた。
「竜也!大丈夫!?」
「すぐに助けを呼んでくるわ!」
二人が俺に呼びかける声が聞こえる。
「こっちは問題ない!そっちは大丈夫か!?」
俺は自分より、二人の心配をする。
「こっちは大丈夫よ!」
「問題ないわ!」
二人とも大丈夫らしい。
「ちょっと待ってて頂戴!すぐ助けを連れて戻ってくるわ!」
「必ず助けるから!待ってて!」
そう言う二人の声が聞こえた後、足音が聞こえた。どうやら、二人とも助けを呼びに行ったらしい。
「本格的にヤバいな…」
二人がいなくなった事を確認した瞬間、俺の意識は無くなった。