はい、帰ってきました川瀬優樹です。
待ってて頂いた読者の皆様…本当に、本当に申し訳ありませんでした…
あれから、朱雀が回復した後背中に乗せてもらって朱雀が住んでいるという場所に運んでもらった。そして、今この国がどうなっているのかを教えてもらっている。
「現在この国はある者に狙われておる」
「狙われている?」
「うむ、そやつは我らを従えてこの世界を従えるのを狙っておる」
「相当な野心家もいたもんだな…」
この世界を従える…ねぇ…
「そういえば貴様の名を聞き忘れておったな。貴様、名を何という?」
朱雀が名前を聞いてくる。
「自己紹介がまだだったな。ここまで連れてきてもらっておいて、俺としたことがすっかり忘れてたぜ」
さて…驚かせてやるか。
「俺は川神臨人。『月の英雄』なんて呼ばれてるようだが…まぁ、普通に人間だ」
「なんと!本物であったか!」
俺の読み通り朱雀が驚く。やっぱ『月の英雄』ってすごいんだなぁ…
「だが、本当に『月の英雄』なのかどうか確かめさせてほしい」
「どうやって確かめるんだ?」
「四神皆と戦ってもらう。本当の『月の英雄』なら我らも打ち倒せよう?」
「なるほどね…」
どうやら、相当『月の英雄』を強いものと見ているようだ。四神と戦うなんて…あと三回さっきと同じ戦いを繰り広げなくてはいけないのだ。
「青龍も玄武も白虎も皆、この地を守るという意志は備えているのだが…どうも皆は己のみで対抗しようとしておる…我は皆が足並みをそろえずそれぞれで戦えども意味がないと思うておる」
「まぁそうだよな」
「我はこの地を守りたい。だが、奴に勝つには我のみでは足りん」
「だから、皆に俺を認めさせて説得をしろ…と」
「神が人にものを頼むなど恥ずかしい話だが…」
「なるほどね。任せな」
「よいのか?」
「あぁ」
朱雀の語りから朱雀が本気でこの地を守りたいというのが伝わってくる。これを聞いて動けないようじゃ、俺は『英雄』と呼ばれる資格なんて無い。
「でも、朱雀にも協力してもらわなきゃならないことがある」
「協力?」
「その、青龍や玄武、白虎の居場所は俺知らないから連れてって…」
「そうであったな…」
こうして、俺は朱雀と協力して四神を倒すことになった。
現在、俺は朱雀の守る地を見て回っている。
「そういえばさ、さっき言ってた『国を狙うもの』って?」
「説明し忘れておったな。今、『古代より生存した復讐者』に世界が狙われておる。なんでも、復讐を果たさねば死ねぬと言っておるらしい」
「また厄介な…」
「だが『月の英雄』もこちらに来た今、我らと貴様が力を合わせれば恐るるに足らんであろうな」
「あまり油断すると痛い目見るし、油断はしないようにしないとな」
朱雀と話しながら歩いていると、朱雀とは別の神々しさを含む声が聞こえてきた。
「ほぅ、珍しいこともあるものだな」
「貴様は…」
声のする方を見ると、巨大な白い虎がいた。
「朱雀よ…あまり姿を見ぬと思ったら下等な人間とともにおったのか」
「白虎…この者は下等では…」
「たかが人間一人など、我ら神の前では無力だ」
朱雀と白虎が神同士で話している。
「人間…悪いことは言わぬ。今ここから立ち去れば命だけは取らずにいてやろう」
白虎が挑発してくる。だが、俺としては好都合だ。四神が一匹向こうから来たんだし。
「立ち去らねぇよ。朱雀と約束したからな。この国を救うと」
「人間ごときが…この国を救うとほざくか…」
「あぁ。救ってやるさ」
「気が変わった。人間、貴様はここで殺してやる!」
「やれるもんならやってみやがれや!」
(来い!虎撲殴狼!)
長さが自分の身長ほどもある双鉄鞭を構え、白虎との戦闘が始まった。