なんやかんやで都に入ることになった。都に入り、周りを見渡すと外が森だったというのが信じられないくらい人工物が多い。そんなことを思いながら輝夜に連行(?)されてすこししてから、とても大きな屋敷(?)の前に着いた。すると輝夜が、
「ここが私の家です。」
そういって屋敷を指差す。こんなに大きな屋敷に住んでるということは、輝夜って名家のお嬢様なんじゃないの?等と考えていたら中から左右で赤と青二色が分かれる特殊な配色の服(上の服は右が赤で左が青、スカートは上の服の左右逆の配色をしている)を着た銀髪の人が出てきた。
「輝夜様!いくら勉強が嫌だからとはいえ、毎回毎回脱走するのはお止めください!今までは都の中で見つけられたからよかったものの、今回都の外に出て行ったときかされたときは心配しましたよ!」
「あはは…」
どうやら輝夜が外にいたのは今回が初犯じゃないみたいだ。しかし、何故今回も都の中ではなく都の外にしたのだろうか…?
「何故都の外に出たのですか!?外は妖怪も出るし危険だと教えたはずですが…」
「だって都の中だとすぐ見つかるし、都の外の景色が気になったんだもの」
確かに、この都は外との繋がりを絶つように壁や兵器が配置されている。こんなところにいたら外がどういうものなのか気になるのも仕方ないと思う。少なくとも俺は何年もここにいて、外を見てないと外が気になる。というか、あの女性の方俺にまったく気付いてない?等と思考をめぐらせていると、
「ところでそちらの方は?」
やっとかい!やっと気付いてもらえたよ!
「私の命の恩人よ。」
輝夜が自信たっぷりに答える。輝夜…君が胸張っていえることじゃないでしょう…
「そうでしたか…ありがとうございます。」
銀髪の女性が深く礼をする。
「いえいえ、大したことはしてないですよ」
当然慌ててそんなことを言う。目の前で人に死なれたくなかったから助けただけなので、礼を言われるような立場じゃないと思う。
「この人は妖怪を軽くやっつけて、ここまで守ってくれたのよ!」
輝夜が軽く説明する。そういえばあの化物って妖怪だったんだ…とすると、俺が最初に会ったあの化物も妖怪なのか?
「妖怪を!?本当にありがとうございます…あなたが来なかったら輝夜さまは今ごろどうなっていたことか…」
銀髪の女性がさらに感謝の言葉を重ねる。
「先ほども言った通り大したことではないですから。」
「それでも…何か御礼をしなければいけませんね…」
ダメだ…これあの時と同じだよ…
「いえ、本当に大丈夫です。」
「でも・・・」
化物倒して女の子に連行(?)されただけで礼をもらうなんてそんなことはしたくない。
「第一、俺は目の前で人が死ぬところを見たくなかったから助けただけです。それに、本当はここまで来る気もなかったんですから。」
俺は思ってたことを言葉にする。今更だが輝夜の家まで来る気はなかったのだ。
「それに、俺は部外者ですし、すぐ出ないと…」
「え~、もう行っちゃうの~」
俺が都を出ようと思ってる旨を伝えると、輝夜が名残惜しそうにそう行ってきた。
「そうですか…では仕方ありませんね…」
銀髪の女性は渋々といった感じだが納得してくれた。
失礼ながら、なんとか拠点探しができそうだと思っていると急に輝夜が
「あなたの家はどこにあるの?」
マズイ…答えられない質問が…どう答えよう…
「何故家の場所を聞くのですか?」
銀髪の女性が輝夜に質問する。すると輝夜は
「ここでお礼を受けてもらえないなら、家まで届ければいいじゃない。それに、家の場所を聞いておけば遊びに行けるでしょう?」
「それは名案ですね…後の言葉がなければ最高でしたが」
なるほど…でも俺には家がない。故に今、答えを必死で探している。もし、家がないことがばれたら絶対この二人…というか銀髪の方が俺のために家を必死で探すだろう。それはまずい。無関係…ではないが、他人のためにこの人に苦労はかけられない。等と考えていると、答えない時間が長かったのか輝夜が
「まさか、家がないの?」
グサッ! まさか核心を突いてくるなんて…
「なら、こっちで家を用意しよっか?それなら臨人も住むところができるし私もお礼できるし一石二鳥だよね!」
輝夜がそう言う。非常にマズイ…このままだと話が勝手に進んでしまう…どうにかしないと…
「いえ、俺はこのあたりを旅をしてるので今日はこっちへ明日はあちらへといった形で一箇所には留まらないんですよ。」
届け!俺の必死な言い訳!
「そう言われても、この辺りで人がいるのはここぐらいしかありませんよ?」
銀髪の人がそんなことを言う。
嘘だろ…ってそりゃそうか…都の中にいたせいで忘れそうになってたけど今古代でしたね…
「だからここでゆっくりしていってよ。」
「そうですよ。ここ以外の人がいる場所は見つけられないですし。」
二人して畳み掛けてくる。なら、一か八か賭けるしかない!
「家の土地とか用意できるんですか?家作りとかも大変だと思いますし」
これで諦めてくれるだろう。
「やっとその気になってくれたんだね!」
「それなら大丈夫ですよ。私の手にかかればすぐに手配できます。」
え…嘘でしょ…
「永琳!すぐにやりましょ!」
「ええ。少し待っていてください。」
やってしまった…
「でも、今日の臨人さんの泊まる場所は…」
「私のところでいいじゃない。何を迷っているの?」
「よろしいのですか?輝夜様?」
あ…あの…
「そうすれば少ないかもしれないけどお礼になるし。」
「輝夜様がそうおっしゃるならそうしましょう。」
なんか一気に決まってしまった…やっぱり賭けはまずかったか…
「ではそういうことですので、ゆっくりしていってください。」
銀髪の方がそういって奥のほうへ入っていった。
「決まりね。さ、あがって頂戴。」
「い、いや俺は大丈夫だから。」
「ほら、はいるわよ」ガシッ
「ま、待って」ズルズル
こうして俺は輝夜の家にお邪魔することになった。
キャラを安定させるって難しい…