幻想転生記   作:黒崎竜司

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お久しぶりです。黒崎竜司です。三、四ヶ月ぶりですね…


第36話

俺は行く当てもなく旅を続けていた。正直、魔界で竜也と別れたのだから、簡単に見つかるはずがないのだ。

「やっぱりダメか…」

陸続きのところは大体探した。山だろうと森だろうと樹海だろうと探せるところはすべて探した。やはり魔界に残って待ってるのだろうか…

「魔界…どうやっていけばいいんだ?門どこにあるのかわからないし…」

竜也に案内してもらったあの門の場所と今いる場所が一致するわけがないのだ。

「まぁいいか…魔界の門を探しながらこの世界でも竜也を探していこう…」

どうあがいても仕方がない。俺は転移系の能力を持ってないから、こうして探すしかないのだ。

「海を越えるかぁ…」

正直、望みはかけてないが海の向こうというわずかな可能性にかけることにした。

 

現在俺は海の上を飛び続けている。方向もわからなくなってきたし、元来た方向を見ても陸が全く見えなくなるぐらい飛び続けていた。

「どこだここ…」

どこを見ても水、水、水。陸が全く無い。

「どうしよう…陸が無いと休めないんだが…」

人間、陸がないと足がつかない。水の上で歩くみたいな感じで浮くことも考えたが、いくらなんでも水が冷たいのでそれはしたくない。

「さて…陸が見つからないものか…」

一人で愚痴りながらも陸を探して飛び続ける。

 

「あれ?もしかして…」

愚痴り続けながら数時間?飛び続けてたら視界の先に陸っぽいものが見えた。

「行ってみるか…」

とりあえず野宿でもいいから休みたい。飛び続けるのは疲れるって…

 

「よっ…と」

陸に近づいて着地する。ここに来るまでずっと休まずに飛んでたからもうクッタクタだ。

「さて…ここはどこだろうか…」

着地したはいいものの、ここがどういう場所なのかが全くわからない。周りを見ても森ぐらいしか見つからない。

「これは…森暮らしかな…?」

家もなさそうだし…森に秘密基地的なの作ってそこで生活かな?

「仕方ないか…」

そう呟いて、森の中に入っていった。

 

「さて…」

森の中に入ったわけだが、まずは水を探そう。人は水を飲まないでいると三日で死ぬというしな。まぁ、俺は転生特典で死なないけどね。え?さっき水辺にいただろって?海水は飲めないんだよ!飲んだらむしろ体の水分抜けるわ!とにかく、水を探さないことには辛い生活になるのは確定だ。

「さて…水〜水〜…」

だが、そう簡単に見つかるものじゃない。結構こういう場所の水は貴重なのだ。

「お?」

少し先から水の音が聞こえてきた。運がいいな…すぐに水を発見できるとは…

「ラッキー、水みっけ」

水を飲んでいると、赤くてめっちゃでかい鳥がこっちに向かっていた。

 

その鳥は俺の隣に降り立つと、強烈な威圧感を出しながらこう聞いてきた。

「見知らぬ顔だな…我の領地で何をしている…」

えっと…鳥の…領地?俺はとんでもないところに来てしまったのか?いや、魔界に行った手前驚くこともないか…

「えっと…その…水が欲しくて…」

「なら、我の領地でなくともよかろう」

「あー…俺この辺りに来たばかりだったんで、そういうの知らなくて…」

「ほう…この辺りに我を知らぬ者が来るとはな…」

そんなにこの辺りでは有名なやつなのか?この鳥って…

「仕方ない…特別に名乗ってやろう。我が名は朱雀。この国の南方を守る神である」

「朱雀…?」

ヤッベェ…マジヤベェよ…朱雀ってあの朱雀?無双で体力上げるアイテム『朱雀翼』の元になったあの朱雀ですか?

「それに、我の領地に人は来ることはできぬのだが…なぜここに来ることができた?」

「それは…」

 

どうすればいい…相手は神だぜ?明らかに下級じゃない、めっちゃ上位のやつだろあれ。下手に戦いになると絶対消耗する…

「わからない…」

「わからないだと?」

「あぁ。気がついたらここにいた」

「ふむ…すぐには信じれぬが、そう思うよりほかはあるまい。我に気取られることなくここまでたどり着いた者は貴様が初めてだからな」

「え?」

「ここまで来ようとした人間を我は何人も見てきた。だが、大体の人間はここまで至ることなく死んでいった。自然の脅威とやらに敗北してな…」

そんな危険な場所だったのここ?海からすぐに侵入できたんだが…

「今この国は非常に荒れておる…貴様を安全な場所に送ろうとしたが…安全な場所はこの国には無いな…」

「なら、ここにいさせてくれよ」

「何だと?」

「その争いを終わらせれば平和になるんだろ?だったら、俺が協力してやるよ」

「人間ごときに我らの争いを終わらせれるとは思えぬが…」

「安心しな、戦の腕には自信があるんだ」

「ふむ…なら、試してやろう。我を倒せたなら、他の神も倒せるであろう」

マジかー…戦闘かー…

「仕方ない…」

小さく呟きながら、いつも通り武器を出す。

(来い!双極星!)

長い柄の両端に刃の付いた広範囲をなぎ払えて、前方も後方も攻撃できる特殊なものだ。

「ほう…虚空から武器を出す…人々の伝承にある『月の英雄』の如き力だな…」

「月の英雄…か」

(本人なんだよなぁ…)

朱雀の言うこの国にもどうやら俺の過去は伝わっているらしい。

「英雄の如く力を持つ者よ!見極めてやろう!」

朱雀はそう言って突っ込んでくる。

「さて…やるぜ!」

朱雀に対して俺も突撃する。さぁ、戦闘開始だ…




あるキャラの絡みを書きやすくするため+主人公強化のストーリーが数話の間続きます。もしかしたらこの数話の間は原作キャラが出ないかも…?

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