幻想転生記   作:黒崎竜司

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お久しぶりです、川瀬です。更新止めちゃってましたね…申し訳ありませんでした…ちょっと色々あってこっちに気が回りませんでした…


第35話

亮が結界を解除したとともに、自由になった銀龍が暴れ出した。

「ガァアァァ!」

「うぉわっと」

銀龍は自由になるや否や俺めがけて突進してきた。

「気の早い奴だ…」

銀龍の動き出す速さを見て呟く。

「グォォォォ!」

銀龍は綺麗に旋回して俺の後ろから突っ込んでくる。なんでわかるかって?もの凄い空気の音がしたら誰だってわかるでしょ。

「おっ…と」

銀龍の連続突進を避けて、体勢を立て直す。

「喰らえっ!銀龍よ!」

俺が体勢を立て直している間に、おそらく天羽々斬であろう剣を振りかざしてスサノオが突っ込んでいく。

「ガァァァァァ!」

「なっ…!うわっ!」

銀龍がスサノオに向けて咆哮を放つと、スサノオが吹っ飛ばされた。

 

「マジかよ…」

スサノオを吹っ飛ばすってどんな威力だよ…

「スサノオが吹き飛ばされるとは…」

ツクヨミも動揺している。まぁそうだよな。自分より強そうな奴があんなに簡単に吹き飛ばされれば不安にもなるよな…

「おいスサノオ、大丈夫か?」

「あぁ…だが、まさかこの俺が吹っ飛ばされるなんてな…」

スサノオの声に動揺が出る。

「喰らいなさい!」

ツクヨミが俺たちの後ろから細い光線を放つ。

「ガァァァァァ!」

「なっ…月の英知の結晶が…」

ツクヨミの放った光線は、さっきスサノオに放った方向と同じものを受けて消え去ってしまった

「スサノオ!ツクヨミ!」

アマテラスの悲痛な叫びが響く。肉親二人が全く歯が立たないってわかったら辛いよな…さすがに…

 

「アマテラス様!絶望してる暇はありません!」

神奈子がアマテラスに呼びかける。

「スサノオ様もツクヨミ様も死んだわけじゃありません!それに、我らには『月の英雄』もいます!」

「そうだ!私たちには『月の英雄』臨人がいる!負けるわけがない!」

神奈子に続いて諏訪子も叫ぶ。『月の英雄』か…大変なもの背負ったな…

「俺は…」

銀龍が相変わらず向かってきているのをかわしながら呟く。俺にあの龍は…殺せない…竜也の姿がちらついてしまう…

「臨人君!みなさんは君に期待しているようですよ!」

亮が珍しく大声で言ってくる。

「でも…」

「アレと竜也君は違います!なぜためらう必要があるんですか!」

亮が俺の迷いを断ち切ろうと言葉を紡ぐ。

「第一、あれを竜也君と思う時点でおかしいでしょう!」

「………」

「貴方の知っている竜也君はどんな人でしたか!?あんなものではなかったでしょう!」

「………」

「あれを竜也君と思うなんておかしいですよ!竜也君はもっと優しかったでしょう!」

「………」

「もっと『親友』を信用しなさい!」

「…わかったよ!」

亮の呼びかけで目が覚めた。あれは『竜也』じゃない…ただの『銀龍』だ…

「行くぜ!『五月雨突き』!」

鉄騎尖を振るい、目にも留まらぬ速さで突きを放つ。

「ギャァァァァ!」

銀竜の大きな図体に槍が突き立てられる。だが、銀龍が怯むことはなかった。

「ガァァァァ!」

「くっ…!」

ひるまずに向かって来た銀龍の突進をまともに受けてしまう。

「負けるかぁ!」

吹っ飛ばされながら体勢を立て直し、瓦礫を利用して再び銀竜に突撃する。

(連続攻撃では駄目…なら、一撃でケリをつける!)

「『至高の一閃』!」

銀龍の眉間(あるの?)を狙い、今出せる最大速度で突きを放つ。その突きは、寸分違わず銀龍の眉間を貫いた。

「グギャァァァァァァァ!!」

銀龍が苦しみもがく。結構深々と刺さった感触があったため、相当深くまで刺さったのだろう。

「でやぁぁぁ!」

銀龍がもがいてる間に銀龍に刺さっている鉄騎尖を引き抜いた。

「ギャァァアァァァァアァァァアァァァ!」

銀龍の断末魔が辺りに響き渡り、その大きな体が地面に倒れ伏した。数秒で断末魔は聞こえなくなり、銀龍は動かなくなった。

 

「勝った…のか?」

俺たちの向こう側で見ていたスサノオが呟く。

「銀龍は…どうなったのですか…?」

スサノオの隣で見ていたツクヨミが続いて呟く。

「これは…私たちの勝利…ですか…?」

二人より後ろで見ていたアマテラスも二人に続いて言葉を漏らす。

「終わりましたね…」

他の神とは違う場所から見ていた亮が、俺に近づきながら言う。

「そうか…俺は…勝ったのか…」

亮の言葉を聞いて、無意識のうちにその言葉をつぶやいていた。

(竜也…)

横たわる銀龍の死体を見て、親友のことを思い出してしまう。

「臨人君…さっきも言ったでしょう…」

「お前…心読むなって…」

「顔に出ていましたよ…」

亮が俺の心を察してこの龍は竜也じゃないと念押ししてきた。

(そうだよな…これはただの銀龍だもんな…)

そう思い、心に整理をつける。

「さて、どうしますか?」

「何が?」

「そろそろ大和の神の注意が銀龍からそれますよ?」

ちなみに今、俺たちはちょうど銀龍を挟んでスサノオ達と分断されている。スサノオ達からは俺と亮のことは見えていない。俺たちからもスサノオ達が見えないわけだけど。

「大和の神に見つかれば、祭り上げられて自由に動けなくなりますよ?」

「そうか…厄介だな…とはいえ、どこかに行くあてがあるわけでもないんだよな…」

「ですが、竜也君を探すのには自由な方がいいのでは?」

「確かにそうだな…」

「私はここに残りますので、臨人君はここから離れて竜也君探しに行ったらどうですか?」

「だが、情報がないぜ…」

「なら、諦めますか…?」

「諦めるわけねぇだろ!」

「ふふふ…そう言うと思いましたよ…」

「情報なしがなんだってんだ!やってやるよ!」

 

俺は行く当てもなく大和を離れ、旅に出た。




もし待ってた人がいたなら…本当に申し訳ない…とは言っても中々更新はできないとは思いますが…これからも待ってて頂けると幸いです…

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