神官についていき、来たという大和の神の元へ向かった。
「もしかして、策じゃないのか?」
諏訪子が策略じゃないかと疑っている。
「もし策だとしたら、俺がなんとかしてやる…」
「わかった…」
諏訪子を安心させて、大和の神の前に来た。
「洩矢の神か?頼む!助けてくれ!今はどんな戦力でも欲しい!」
「え?」
大和の神が諏訪子を見つけるなり、助けを求めてきた。
「何があったんだ?」
とりあえず事情を説明してもらわないことには、何が何だかわからない。
「龍が…龍が暴れているんだ!銀色の龍が!」
「銀色の龍!?」
諏訪子が驚いている。
「銀色の龍が…所構わず暴れるせいで宮殿がボロボロなんだ!」
「そんなに強い龍なのか!?」
「強いも何も、スサノオ様、アマテラス様、ツクヨミ様が挑んでも倒せないんだ!」
大和の神が息を切らしながらそう話す。しかし銀龍か…あいつ…なわけないよな…『龍』じゃなくて『竜』だし…龍化なんて出来るはずないし…
「そんなやつがいるのか…」
諏訪子が恐怖の中絞り出したような声を上げる。
「もし協力してくれたら、安泰を約束しよう!これはアマテラス様も言っている!」
「どうしよう…」
諏訪子が迷っている…これは、行かせるべきだろう…俺もついて行って、諏訪子を守ればいい。
「行こう…諏訪子と大和の関係はわかる…でも、俺が守るから…大丈夫。なんたって、月の英雄だぜ?」
「そう…だね…」
諏訪子が渋々といった形で了解する。
「協力感謝する!」
大和の神が俺たちに一礼して、感謝を述べる。
「さぁ、行こうぜ?大和の国にさぁ!」
「わかった!案内する!」
来ていた神の案内により、大和の国に向かった。
「ついたぞ。ここが大和だ」
「ここが…」
案内してくれた神が到着の旨を教えてくれる。
「さて…」
「本当に大丈夫なのか?」
俺が気合いを入れ直していると、諏訪子が恐る恐る聞いてきた。大丈夫だって言ったろうに…
「あぁ、大丈夫だ。そう簡単には負けねぇよ」
とはいえ、サリエルに負けだばっかりだから、俺自身も不安なんだけどね…
「協力を頼んでおきながら言うのもなんだが、すまないな…」
「いいってことよ。危険なんだろ?自分らの立場も気にできなくなるぐらい」
「………」
俺の言葉に神は無言で頷く。大和に対していい感情は抱いてない。でも、ここまで…誇りを捨ててまで頼ってきたやつを…無視できない…
「さぁ、こちらへ」
神は諏訪子と俺を奥へと案内した。
「わかった」
諏訪子はその神について奥に入っていった。
「あなたはどうするのですか?」
「ちょっと待っててくれ。すぐに行く」
「わかりました」
俺の言葉を聞いた神と諏訪子は先に奥に向かっていった。
「ふぅ…」
さっきまでの神の様子を見ていると昔を思い出す。
『私は、あなたを殺すために妖怪に身を投じました』
俺のせいで妖怪に身を投じたあいつの姿が思い出される。思えば、あいつも誇りを捨てて…『自分の大事に思ったもの』を守るために戦ったんだ…それも、『格上とわかっている奴』を相手に…俺は…そんな『覚悟』が必要なのかもしれない。
「考えたって仕方ないか…」
覚悟とかそういうものはすぐにできるものじゃないことはわかっている。でも、そろそろ覚悟を固めなければ…また負ける…ダメだ…切り替えよう…
「さて…銀龍…か…」
意識を切り替えると、親友であるあいつのことが浮かぶ。おそらく、『銀』というワードと『竜』というワードの二つに反応してしまったのだろう。
「もし、その銀竜があいつだったら…どれだけ楽だっただろう…」
思わず呟いてしまう。その銀龍があいつなら、話し合いとかでなんとかできたかもしれない。
「まぁ、いろいろ考えたって仕方ないな…いつも考えちゃうけど…」
これは俺の悪い癖だ。考えたってどうにかなるわけじゃないし、考えたところで俺の脳じゃ何も浮かばないのがオチだ。
「あぁもう!さっさと銀龍片付けよう!」
もう油断はしない。早く片付けて諏訪子の安全を確立して、竜也と亮を探す旅に出よう。
「さて…やるか…」
俺なりの覚悟を固めて、奥に向かった。
荒くなってきたかな…