幻想転生記   作:黒崎竜司

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お久しぶりです。川瀬です。最近バイトや学校が忙しかったり女神転生ファイナルにはまったりといろいろあってこっちに戻ってこれなくて申し訳ありませんでした。まぁ、これからもあまりこっちにこれないと思います。それでも楽しんでいっていただける方はゆっくりしていってください。


第29話

竜也Side

(クソッ!なんだこれは!)

走ってる途中に嫌な予感が増していく。

(もっと早く!)

早くこの妙な感じの正体を知りたくて、加速する。

(無事でいてくれよ!)

加速しながら親友の無事を願う。

 

「やっとついた!」

しばらく走って、闇の見えた場所にようやくたどり着いた。そこには、サリエルと思われる存在がいた。だが、そのサリエルは影だけが見えていて、顔は全く見えない。

「マジかよ…」

あれじゃ天使じゃなくて悪魔じゃねぇかよ…

「臨人は!?」

一瞬で正気に戻って臨人を探す。

「あれは…」

臨人を探しているうちに一振りの刀が落ちているのを見つけた。まさか…

「刀…?」

刀の近くに行き、拾い上げる。

「マジかよ…これって…」

臨人が生前よく無双ゲームで使っていた武将の刀と酷似している。確かあの時、臨人は蛇矛を使っていた…そうするとこの刀は…

「………!」

サリエルの影がこちらに気づき、こっちに攻撃を仕掛けてくる。

「うわっ!」

刀を持ちながら避ける。これは手放すわけにはいかない!

「………!」

レーザーがいたるところに飛んでくる。危なすぎだろ…

「なんでガチバトルしてるんだよ…」

このレベルでは殺し合いだ。っていうかなんで臨人はこんな状況で刀を手放してるんだよ!

「まさか…」

攻撃を避けながら嫌な結論にたどり着く。一回実際にそれを経験しただけに、俺の中で現実味が増していく。

「………!!!」

相手の攻撃が強くなり、対処が厳しくなってきた。

「畜生!」

対処が厳しくなったとはいえ、この刀を手放すわけにはいかない。臨人が刀無しで彷徨っているかもしれないのだ。

「………!」

サリエルの攻撃は止むことを知らないかのように降り注ぐ。

「クッ…」

だんだん被弾ギリギリになっていく。

「仕方ない!『グランドウォール』!」

自分の眼の前に土が集まり、巨大な壁のように隆起する。

「なんとかなったか…」

だが正直な所、一時しのぎにしかならない。

「どうすればいい?どうすれば助かる?」

思考を限界まで加速させる。

「………!」

サリエルの攻撃で壁が軋む。

「ヤバイぜ…このままじゃ…」

この壁の崩壊までにどうにか対策を立てなければ…殺られる。

「第一、あいつはどこにいるんだよ…」

臨人のことを考える。あいつは簡単に殺られるやつじゃないと思うんだが…

「………!」

サリエルの攻撃で壁にヒビが入り始めた。

「ごめんな…信じてるからな…」

このまま探索を続けるのは無理と思い、離脱を考える。

「仕方ない…か…『ウィンドワープ』!」

風の力を体に纏い、その場から離脱する。

「また別れかよ…」

一旦探すのを断念して、入ってきた場所に戻った。

 

亮Side

あの後エリスさんに普通の遊びを教えて別れたのですが、何か嫌な予感がして、臨人君のいた場所に戻ってきました。そこにはサリエルさんの影のようなものがあり、居たはずの臨人君がいなくなっていました。

「まさか…」

それを見た瞬間、臨人君が負けたという結論に至りました。

「はぁ…仕方ありませんね…」

臨人君の仇討をしてあげることにしましょう…本当に手間がかかるんですから…

「さて、サリエルさん…その暴走、私が止めて差し上げましょう!」

暴走したサリエルさんを止めるため、戦闘体勢になる。

 

「………!」

サリエルさんはこっちに気づいたのか、攻撃を開始する。

「簡単ですね…この程度…」

サリエルさんの攻撃を避けつつ、攻撃を考える。

(あれは影…ならば有効なのは光…)

「これでいいでしょう…『シューティングスター』!」

目の前に光の塊を作り出し、星型にしてばら撒くように撃ち出す。

「………!」

サリエルさんに何発か当たったが、相手に傷ができたかが全くわからない。

「これではわかりませんね…」

あれに傷をつけるには…どうすればいいでしょう…

「これでどうでしょう…『聖者の息吹』!」

吹雪のように光の粒子が影に降り注ぐ。降り注いだ光は間髪を開けずにサリエルさんに当たり続ける。

 

「まだ倒れませんか…しぶといですね…」

シューティングスターと聖者の息吹を使っても倒れないとは…

「ならばこれでどうでしょう!『Got noir forever.』!」

天国と地獄を連想させるような赤い闇と白い光が組み合わさり、極太のレーザーとなってサリエルさんに真っ直ぐ向かっていった。

「………‼︎」

サリエルさんの影はそれに包まれ、もがくように消えていった。

「終わりましたか…」

撃ち終わった後、一人小さく呟く。

「サリエルさんは無事でしょうか…」

地上に降り、サリエルさんを探す。しばらく探していたが、見つからない。

「やってしまいましたか…」

どうやら、あの出力に耐えられなかったようです。やはり、影だけを吹き飛ばすのは無理でしたか…

「これは…どうしようもありませんね…」

耐えられなかったなら仕方ありません。私には戻す力はないのですから。

「それにしても…臨人君と竜也君はどこでしょうか…?」

これだけ派手に暴れたのに二人とも確認が取れないとは…

「まぁいいでしょう。あの二人ならなんだかんだ生き残っていますし、大丈夫でしょう」

二人を探すのをやめて、次の目的地に向かうことにした。

 

竜也Side

「戻ってきたか…」

三人でいた場所に戻ってきた。

「臨人のやつ…大丈夫かな…」

戻ってきたが、やはり不安になる。

「あやつなら大丈夫じゃ」

不安になってる俺の前に、かなり老け込んだ老人が現れた。

 

「あんたは誰だ?っていうか、なんで俺の言葉に応えた?」

誰だこいつは…いきなり出てきて俺の独り言に応えて…変すぎるだろ。

「儂か?儂は神じゃ。それも、臨人をこの世界に転生させた…な」

「は?」

こいつが神?ありえねぇだろ。

「そのようすじゃと信じとらんな?」

「そりゃあな」

当然だ。いきなり出てきて「私は神だ」などという老人を信じろということ自体がおかしな話だ。

「まぁ、簡単には信じてもらえんとは思っておったからの。軽く証明してやろう」

「証明?」

証明って…何をするんだろう?

 

「お主、星影竜也じゃな?臨人の親友で、いなくなった臨人を大学のサークルメンバーで集まって探しておったらこの世界に来てしまった…と」

「なぜわかる!?」

「だから言ったじゃろう。儂は神じゃと」

どうやら本当のようだ。

「さて、臨人は無事じゃが、再び会うにはこの魔界を離れねばならん」

「魔界以外の世界に行ったのか?」

「そうじゃ。とは言っても、外の世界に戻しただけじゃがな」

「外の世界?」

「お主らがおった世界じゃ。こっちとあっちでは時間の流れがだいぶ違うそうじゃから不安はあったのじゃが、あの攻撃から守る手段を思いつかんかったから転移させておいた」

よかった…一応、生きていることは生きているらしい。

「ありがとな。爺さん。臨人を守ってくれて」

「何、儂のできることをしたまでじゃ」

「ははっ、頼もしいな」

安心した。もしかしたらまた死んだんじゃないかと思っていたが、大丈夫そうだ。

「じゃ、儂はこれでお暇させてもらうぞい」

「あぁ」

そう言い残して、神と名乗った老人は去っていった。

「さて、臨人も無事みたいだし、帰るか…」

老人が去っていった後、俺もこの空間から外に出た。

 

臨人Side

サリエルの出した闇に飲み込まれて気を失ってしばらくして目が覚めると、見知らぬ森の中にいた。

「ここは?」

周りを見渡す。どこからどう見ても、魔界の風景ではない。

「あれ?」

自分の体を見ると、サリエルとの戦いでついた傷が全て消えていた。

「何がどうなっているんだ?」

何もわからない…ここがどこなのか?なぜここにいるのか?サリエルはどうなったのか?竜也はどうなったのか?など、疑問が次々に浮き出てくる。

「とりあえず竜也は大丈夫だろ」

竜也のことについて心配になったが、もしものことがあったら亮がどうにかしてくれるはずだ。

考えてもどうしようもないので、一旦考えるのをやめて再び辺りを見回してみると右腕に違和感を感じた。

「え!?」

右腕を見てみると、今までつけていたはずの青い腕輪がなくなっていた。これがなくなって困ることはあまりないが、今まで肌身離さず着用していたせいですごい違和感がある。

「そういえば、神に聞けば今の状況がわかるじゃん」

なんで気がつかなかったのだろう。あいつならどんな状況でも説明してくれるじゃん。

(なぁ、これどういう状況?)

今までと同じテンションで神との交信を入れる。だが、神からの返答はなかった。

(おーい。聞いてるー?)

返答がないので、聞いてるか確認を取る。おかしいな…今までだったら答えてくれるはずなのに…(駄目…か…)

いつまでたっても返答がないので諦める。なんで返答しなかったんだろう?

「考えてたって仕方ない…か」

わからないことを考えることはやめて、今の状況を脱却することを考えよう。

「それにしても、ここはどこなんだろうか…」

ここがどこなのかが全くわからない。

「とりあえず、歩き回ってみるか…」

このまま動かなかいと埒があかないので、とりあえず歩き回ることにした。

 


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