時空の裂け目に入り、周りを見回してみた。どこを見ても自然の風景や人工の建物は見当たらない。
「なんだここ…」
「不思議な空間だな…」
まるでファンタジーに出てくるようないろんなものが歪んだような空間にいた。
「やっときましたか…お待ちいたしておりました…」
空間を見回していたら、神々しさを含んだ女の人の声が聞こえた。
「誰だ!?」
竜也がそう言うと、俺たちの前に6枚の翼を持った薄い青色の髪の女の人が現れた。
「先日手紙を送らせていただいたサリエルと申します。この度はお越しいただき、本当に感謝しています。早速ですが、私と手合わせしていただけませんか?」
会っていきなり手合わせって…
「あれ?でも、サリエルだけなら二人呼ばなくても良かったんじゃないか?」
竜也がそう言う。確かに、一人で二人を相手できるようなやつじゃなきゃ俺たち二人を呼ぶ必要はないはずだ。
「それは…」
サリエルが何か言おうとする前に、大きな紫色の羽を持った長い金髪の女の子が降りてきた。よく見ると、左の頬に星マークがある。
「楽しそう!私も混ぜてよー!」
「この子がいるからなんですよ…」
どうやら、サリエル以外にもここに住んでいる人(?)がいたようだ。
「最近退屈してたのよねー。会う人って言ってもサリエルしかいないし、マガンも最近相手してくれないしー、つまんないのよねー」
金髪の方の子がいろいろ言ってくる。
「エリス!お客人の前で喋りすぎないで!」
サリエルが静止をかける。
「はーい…」
エリスと呼ばれた子が残念そうにシュンとする。
「なるほどな…」
竜也が納得したように呟く。
「この子はエリスと言います。少しやんちゃでして…」
サリエルがそう言った。大分このこのことに関して苦労してそうだ。
しばらくサリエルと話して、事情を理解した。
「それで、この子の退屈を潰せればいいと思って神綺に頼んで俺たちを呼び出そうとしたってわけか」
「そうですね。それに、マガンもいますし…」
サリエルが言葉を言い終えないうちに、目玉が五つ集まったような生き物がサリエルに近づいてきた。
「こちらがマガンです。」
その五つの目玉を指して、そいつがマガンだということサリエルが教えてくれた。
「こいつがマガンか…」
竜也が呟く。
「でも、こいつに人間の感覚なんてあるのか?」
疑問を口にする。
「もちろんありますよ?」
サリエルがそう言った瞬間、マガンがきれいな五角形を作るように動いたと思ったら、その五角形の真ん中に黄色の服を着た短い金髪の女の子が現れた。
「ふぅ〜、久しぶりに人型になったわ〜」
そう言ってマガン(?)は伸びをした。
「これで役者は揃いましたね…では、始めましょうか」
サリエルはそう言ったが、こっちは夢子さんが帰ってしまったらしく、竜也と俺しかいない。
「おいおい、こっち二人しかいないんだけど?」
竜也がそう言った。
「竜也。俺がサリエルとエリスを相手するから、お前はマガンを頼んだ。」
「まぁ…いいぜ。」
俺が竜也を宥めると、竜也も納得した。
「大丈夫ですか?二人しかいないようですが…」
サリエルが心配してくる。
「大丈夫だ。問題ない。」
サリエルに応える。
「そうですか…後悔しても知りませんよ?」
サリエルが軽い脅しをかけてくる。
「それなら心配いりませんよ。」
聞き覚えのある声…?
「私が臨人さん側につきましょう。」
「あなたは…まさか!?」
「お前か…」
サリエルと俺がそれぞれ反応する。
「さすがに3対2は見過ごせませんね…」
「魔界の祖がきましたか…」
サリエルは軽く怯えたような声で呟いた。
「亮!来たのか!」
このタイミングで亮が来てくれるとは…
「これで役者は揃いましたね?」
亮が全員に確認するようにそう言った。
「では、始めましょうか…」
こうして、サリエル達との戦いが始まった。