あれから、亮と昔話をした後、俺は神綺の館に帰ってきた。
「ただいまー。」
「あら、遅かったじゃない。」
俺の声にルーミアが反応する。
「そうか?」
正直、時間感覚がなくなっていたので実感が無い。
「おう。お帰り。」
遅れて竜也も俺のところに来る。
「おう。ただいま。」
竜也の言葉に軽く返す。
「とりあえず、採ってきた食材は料理場に置いてきたわ。夢子さんが整理してくれたわよ。」
ルーミアが食材の保管について教えてくれた。
「おう。わかった。」
ルーミアに返事をして、料理場に向かった。
「お待ちしておりました。」
料理場に入ると、夢子さんが出迎えてくれた。
「こちらが料理場です。」
夢子さんはそう言うと、料理場の案内&説明をしてくれた。
「・・・以上です。」
料理場の説明も終わり、夢子さんはどこかに行ってしまった。
「さて、始めるか…」
少年料理中…(作者は料理が救いようが無いくらい下手で、上手く書けないために料理描写はカットさせていただきます。申し訳ありません。By作者)
「よし…」
完成した料理を見て小さく独り言をこぼす。青い蛇のような奴は捌いてから蒸して塩コショウをかけて、紫色の奴の肉はシンプルに焼く。他にとってきた植物類でデザートになりそうにも無い奴等は色合いを気にしてサラダにした。そして、デザートになりそうな物は盛り合わせにしてまとめた。
料理が終わると、どこからともなく夢子さんが現れた。
「臨人様、皆様がお待ちです。」
「え?」
「臨人様が料理を始まられた時に、皆様を集めて食事の準備をさせていただきました。」
「そうなんですか。分かりました。」
ここを出てから夢子さんが戻ってこなかったのって、皆に食事の時間だと伝えに行ってたのか…
「じゃ、運びますか。」
「手伝います。」
運ぼうとすると、夢子さんが手伝うといってきた。
「お願いします。」
素直に手伝ってもらう。さすがに一人で4人分運ぶのはキツすぎる。
「おまたせ~」
「お待たせしました。」
料理を夢子さんと二人で運んでくると、皆は食器を出して食べる準備をして待っていた。
「腕は落ちてないだろうな?」
料理を並べている最中に竜也が俺に聞いてきた。
「さぁな。俺は自分の料理のレベルとか分からんし、こっちに来てから料理はしてたけどそんなに本格的にはやってないから、不安はある。」
「まぁ、お前だし、簡単には落ちないだろ。」
竜也に言葉を返しつつ料理を並べ、全員に行き渡ったか確認する。
「これでよろしいですね。」
夢子さんが確認を終えて呟く。
「もう食べてもいいかしら~?待ちきれないわ~。」
神綺が子供のように夢子さん聞く。
「少々お待ちください。」
夢子さんが静止する。
「え~。」
神綺がそう言いながら残念そうな顔をする。さっきから子供っぽいなこの人…。
「臨人様、こちらへ。」
夢子さんが俺の席に案内してくれる。とは言っても、食卓には5人しかついてないのだが。
「おう。」
「では、頂きましょう。」
俺が席に着くと夢子さんが食べる合図をした。
少年少女食事中…(食レポって難しくね?by作者)
「「「「ご馳走様でした!」」」」
「お粗末さまでした。」
食べ始めてから三十分ぐらいで全員食べ終えた。
「夢子ちゃんの料理とは別の美味しさがあったわね~」
神綺が料理の感想を言ってくれた。
(良かった…)
心の中で安心する。
「これからは、夢子ちゃんと交代でやってもらえるかしら~?」
「分かりました。」
どうやら合格らしい。
「さて、もう食べ終わった事だし部屋に戻りましょうか。」
神綺はそう言って部屋に帰った。
「ふぅ。美味しかった。それじゃ、私も戻るわね。」
ルーミアも部屋に戻っていってしまった。
「片付けはお任せください。」
夢子さんはそう言って全員分の食器を凄い速さで片付け始めた。
「さて、俺らも戻ろうぜ。」
竜也が俺に部屋に行こうと言ってきた。
「そうするか。」
俺と竜也は軽く話しながら部屋に戻った。
「はぁ…」
部屋に戻ってため息をついてしまう。
(下手になったなぁ…)
(料理が、かの?)
心の中で呟くと、神が質問をしてきた。
(うん。昔はもっと上手くできたはずなんだけど、何か上手くいかなくてね…)
(緊張してたからじゃないかのう。何をするにも焦りと緊張は力量を鈍らせる。気をつけることじゃ。)
神が一つの説を立てる。
(確かにそうかもね。これで自分のこれからが決まると思ったら嫌でも緊張するしな。)
(ほっほっほ。まぁ、自分を信じてやる事が一番じゃ。)
(そうだな。)
少しモヤモヤするが、神の立てた説を信じて考えるのをやめた。
やる事も無く夜になって、料理の腕について悩んでいた。
「臨人。ちょっといいか?」
竜也が扉を開けつつ聞いてくる。
「どうした?」
「いや、聞きたいことがあってな。」
「何だ?」
竜也…まさか気付いてるんじゃ…
「お前、手抜いた?」
おいおい…
「それは無い。」
「あっちの世界で最後に迎えた誕生日に比べて妙な感じがしたからな。」
「そうか…」
懐かしいな…あの時は竜也に貰った料理道具(包丁とまな板)で作ったんだよな…(特別短編参照)
「もしかして、あれをあっちの世界に置いて来たからか?」
「それは無いだろ。」
竜也が料理道具が悪いんじゃないかと言うが、そうじゃないだろ…
「でも向こうの世界じゃ、あれ使った時と他の道具使った時だと味違ってたし、少しは関係あるんじゃないか?」
「そうか?」
確かに少し違ってたけど、ここまでじゃないだろ。
「まぁ、今更言ってもあれだけがこっちの世界に来る事は無いんだけどな。」
「確かに。」
「まぁ、少しずつ腕を戻していくよ。」
「楽しみにしてるぜ。」
竜也はそう言い残すと部屋から出て行った。
「はぁ…『道具』か…」
(適当に出したものを使ってたからのう。しかし、道具一つで変わるとは驚きじゃのう。)
つい零してしまった愚痴に神が反応する。
(まぁ、慣れた道具じゃなかったのも原因じゃな。)
(そうかなぁ…)
もしそうなら、自分の実力を過信してしまった事になる。
(なに、そう落ち込まんでもいい。誰にでも過ちはある。)
(そうだけど…)
(今日はもう遅い。早く寝るがよい。)
そう言い残して神は交信を切ってしまった。
「寝るか。」
考えても仕方ないので、寝る事にした。