幻想転生記   作:黒崎竜司

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トリコ要素がやっと出ます。


第22話

「さて、久々の臨人の料理か。楽しみだ。」

竜也がそう呟く。

 

「さて、竜也が絶賛する料理。楽しみね…」

竜也の言葉の後にルーミアも期待を寄せてくる。

 

「任せな。」

少し黒い笑みを浮かべながら二人に答える。(意味は無いけど。)因みに、ちゃんとした場所で料理を出すのが久々で楽しみだったりする。

 

「ちょっといいかルーミア?」

「何よ。」

ルーミアにある提案をしようとした。

 

「ちょっと狩りについていってもいいか?」

「いいけど…どうしたのよ?」

俺尾提案に戸惑いながら答える。

 

「いや、料理人として自分で一回見てみないと気が済まないんだ。」

俺は(一応)料理人としてルーミアの質問に答える。

 

「食材だったら届いてから見れば良いじゃない。」

ルーミアが俺に質問する。

 

「いや、自然界から得られるレシピもあるからさ…」

俺はルーミアの質問に答える。きっと、ここでは現代とは違う食材を取れる気がするのでしっかり調理法を考えないとミスりそうだ。

 

「レシピ?」

聞きなれない単語だったのかルーミアが聞き直してくる。

 

「いや、なんでもない。」

(今更だが、)古代に俺たち世代の言葉が知られたらやばいと思ったのでごまかす。

 

「そう…でも、来たいなら来れば良いじゃない。貴方ならそう簡単にくたばらないでしょう?」

ルーミアが言葉の追求はせずに同行の了承を出す。

 

「まぁね。」

俺はルーミアに答える。

 

「だったら、早く準備しなさい。狩りに行くわよ。」

ルーミアが催促する。

 

「じゃ、任せたぜ。」

そういい残して竜也は神綺の所に行ってしまった。

 

「私達も早く行きましょう。」

ルーミアに言われ、空き部屋を探して準備をし、狩りに出かけた。

 

門から出て数分したら、だいぶ開けた場所に出た。夢子に聞いて、来た道と違う場所を通ったので、だいぶ違った風景が見られた。少なくとも、ここは生命に溢れていると推測できる。なぜならこちらのほうには湖があり、緑が広がっているからだ。ここは魔界でもあまり知られていない場所らしい。夢子は、俺たちを案内するとそそくさと帰ってしまった。

 

「さて…どうしましょうか…」

ルーミアが呟く。

 

「どうすっかな…」

ルーミアに続いて呟く。

 

「あれ…私達が来た時あんな生物いたかしら…」

ルーミアが指差しながら呟く。指差した先を見ると、ギョロッっとした目に、ものすごく太った青い蛇のような生物が何匹もいた。

 

「確かにいなかったよな…」

ルーミアに続いて呟く。少なくとも、あんな生物はいなかったはずだ。街以外だと、もっとおどろおどろしい場所を歩いた記憶しかない。

 

「でもあれ、食えそうだな…」

思わず呟く。外見だけ見ても、脂がのっていそうで美味そうだ。見た目は悪いけど…

 

「えぇ!?あれが!?」

ルーミアが驚いたように言う。

 

「あぁ。とりあえず捕まえて焼いてみよう。」

ルーミアに指示を出す。

 

「分かったわ。」

そう言ってルーミアは闇の弾幕を展開した。

 

「アァァァ!?」

弾幕に当たった奴等が奇妙な叫び声をあげて動かなくなった。

 

「さて、試食してみるか…」

俺は動かなくなった生物を前に、試食しようと試みる。

 

「調理器具は?」

ルーミアが俺に聞く。

 

「安心しろ。能力で出せる。」

「なら、良いわ。」

軽い会話を済ませて調理に必要なものを出す。といっても、肉を焼くためのものだけだが。

 

「ルーミアも食うか?」

「いえ、遠慮しておくわ…」

「そうか。」

ルーミアにも勧めてみたが、断られてしまった。確かに、見た目がひどいもんな…

 

「さて…」

手始めに、串を出して奴の全身を貫通させてから火をおこしてそのまま焼く。

「このくらいで良いか…」

数分焼いたところで火から上げる。

「これで食えるかな…」

不安をつい口にしてしまう。

「まぁ、食ってみりゃ分かるか…」

とりあえず食ってみないと味や食感も分からない。

「ええーい!ままよ!」

掛け声と共に齧り付く。

 

「ど、どうなの?」

齧り付いた俺を見てルーミアが感想を聞いてくる。

「悪くないな…」

それに対して感想を答える。実際、生前に食っていたものよりも美味い気がする。脂ののりも程よく、あまりしつこくない味わいで結構美味しかったりする。調味料や細工無しでここまで美味しい肉も珍しい。見た目がよろしくないので、実際に使うならちゃんと捌いて見た目を変える必要はあるが。

「っていうか、結構良いぞこれ。」

あまりにも美味いもんだから、試食と称して一匹丸々食ってしまった。

 

「ふぅ。さてと、最初がこれじゃ、結構期待出来るかもな。」

食い終わってからルーミアに言う。

「そ、そう…」

疑いつつルーミアが言う。

「あぁ。これでも良いんだが、どうする?」

ルーミアに軽く質問する。

「もちろん奥に行くわよ。貴方と狩りが出来るのは今回だけかもしれないのよ?このチャンスに引き下がるわけ無いじゃない。」

ルーミアが答える。

「分かった。じゃあ、行きますか。」

「えぇ。」

ルーミアの答えに了承の意を示し、奥に進んでいく。

 

数十分後、食材を集めつつ進み続けたら、なぜか洞窟の奥に来てしまった。

 

「グガァァァァァ!!!」

すると、今まで聞いたことも無いような咆哮が聞こえた。

「な、何!?」

ルーミアが少し怯えた声で俺に聞く。

「分からん。だが、警戒は怠るなよ。」

ルーミアに警戒するように伝える。

「分かってるわ。しかし、この声の主は一体何なんでしょうね。」

ルーミアが了承と共に聞いてくる。

「この声量…相当ヤバイ奴かもな…」

ルーミアの言葉を聞いてそんな言葉が漏れる。

 

「グルアァァァァ!」

もう一度咆哮が響くと共に、ソイツは俺たちの前に姿を現した。

「うわぁ…」

俺はそいつの風貌を見て絶句した。紫色の蛇みたいな体に、何本も生えた短い足、それと開いたままの口、機能しているか分からない目玉、挙げればキリが無いくらい気味が悪い生物だった。特に気味が悪いのは、顔から生えている触角だ。頭から生えているのではなく、顔のちょうど頬の部分辺りから触角が生えているのだ。

「うぅ…」

ルーミアも奴を見て気分が悪くなったのか、口元を押さえている。

「ガァァァァァ!!!」

そんな俺たちをよそに、出てきた生物はバリバリの戦闘体勢に入っていた。

 

「仕方ない…」

戦闘体勢に入っている奴を前に呟いた。

「かかってきな。すぐに捌いてやるから…」

能力で包丁を出しつつ挑発する。

「ガァァァァ!!!」

挑発された事に腹が立ったのか、紫色の生物はこっちに向かって噛み付いてきた。

「おっと…気の早い奴だ…」

躱しつつ、悪態をつく。

「さて…やりますか!」

こうして、俺と謎の生物の勝負が始まった。

 




次回、戦闘回です。(戦闘描写がしっかり書けたら良いな…)

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