今年最後の投稿になります。ゆっくりしていってください。
俺たちは都だった場所を離れ、魔界に向かおうとしていた。
「そういえば臨人は飛べるの?」
ルーミアが出発前に聞いてきた。
「あぁ。一応な。」
飛べる事を伝える。
「そう。」
ルーミアが了承を返す。
「竜也は?」
俺は竜也に飛べるかどうか聞く。
「竜也なら安心してもらってかまわないわ。私が教えといたから。」
ルーミアが俺に伝える。
「そうなのか。なら良かった。」
俺は皆に「飛ぶぞ」と短く伝え、飛び上がった。
「行くわよ。竜也。」
ルーミアも竜也に声をかけ、俺と同じ高度に飛び上がる。
「ちょ、待ってよ。」
竜也もルーミアに声をかけつつ俺たちと同じ高度に来た。
「さて、道案内頼むぞ。竜也。」
改めて道案内を竜也に頼む。
「オーケー。確か…」
竜也は了承を示し、道を確認するように飛び回る。
「大丈夫か?」
俺は小さく呟く。
「大丈夫よ。」
それに対してルーミアは答えを返す。
「こっちだ。ついてきてくれ。」
竜也がこっちだと俺たちに伝える。
「わかったわ。」
ルーミアは竜也の方に向かう。
「まぁ、大丈夫か…」
俺もルーミアに続いて竜也の方に向かった。
数時間後・・・
「ここだな。」
竜也がいかにも禍々しい空間の前で止まる。
「これが…」
「ここか…」
俺とルーミアは思わず声を漏らす。今までこんな場所があるなんて知らなかった。都の諜報範囲の狭さを思い知った気分だ。
「さて、入るか。」
竜也が軽く言う。
「おい待て。ここに入るのか?」
俺は思わず竜也に聞き返す。
「あぁ。これが魔界の入り口だったはずだから、ここからじゃないと入れないぜ?」
竜也が俺に説明する。
「魔界…ねぇ…」
ルーミアは魔界に嫌な思い出でもあるのか、俺より入る事をためらっている。
「という事で、さっさと行こうぜ?」
そう言うと竜也は、さっさと入っていってしまった。
「あ、待ておい!」
竜也が入っていってしまったので、後を追うように俺も入っていく。
「行くしかないのね…」
ルーミアも俺たちを追うように入った。
俺たちの周りにはさっきまでいたところとは違い、枯れ果てた木やボロボロの岩などがある死んだ樹海のような風景が広がっていた。
「酷いな…」
竜也が呟く。
「これが…魔界か…」
俺もつい声を漏らしてしまう。想像以上の魔界の景色に度肝を抜かされる。
「ここが魔界ね…何故か懐かしい気がするわ…」
ルーミアが呟く。
「懐かしい?」
ルーミアの呟きの中に気になる単語があったので聞いてみる。
「えぇ。私はここに来た覚えも無いのに、何故か懐かしい感じがするのよね…」
ルーミアが答える。
「へぇ…」
俺にはよく分からないので、軽く返す。
「さて、ここにいても仕方ないだろ。奥に進もうぜ。」
竜也が奥に行こうぜと言ってくる。
「そうだな。」
「そうね。」
俺とルーミアはそれに同意して奥に進む。しばらく進むと門が見えた。門の向こうには西洋風の町並みが見えた。門の前にはピンク色の髪をした女の人が立っていた。
「あら、お客さん?珍しい事もあるものね。」
門の前にいる女の人が俺たちを見るなりそんな事を言ってきた。
「貴女は?」
「あたしはサラ。魔界の門番になる予定の門番よ。」
どうやらこの人は門番らしい。
「そういうあなたたちは誰よ?客が来るなんて聞いてないわ。」
門番のサラがこっちに向けて怪しむように話す。
「言ってないからな。客が来るなんて。」
竜也がそれに答える。
「確かにそうね。じゃあ、あなたたちは侵入者ってことで良いの?」
サラは俺たちに確認するように言う。
「そうなるわね…」
ルーミアが小さく呟く。
「何?進入者?まぁ良いわ。せいぜい楽しませてほしいわね。」
サラはルーミアの呟きを聞くや否や戦闘態勢にはいる。仕方ないので俺たちは帰ろうとしたが、サラが挑発するように俺たちに対して話しかけてきた。
「どうしたの?帰るの?面白くないわね。」
「いや、ここ入れないんだったら帰ろうかと思って…」
それに対して俺はあくまで冷静に対応する。
「私に勝てたら入れてあげても良いよ。最近退屈だから、ちょっとぐらい相手してほしいんだけど…」
サラがそんな提案をする。
「分かったわ。なら、私達の代表が相手をするわ。」
「お、貴女は話の分かる人だね。で、誰が代表なの?」
ルーミアが即行で乗った。
「代表はこいつよ。」
そう言ってルーミアは俺を指差した。
「何で俺?」
俺はルーミアに指名されて、戸惑いながらルーミアに聞いた。
「地上ではあなたが一番強いじゃない?」
ルーミアが当然だというように答えた。
「へぇ、地上最強…あなたが川神臨人?」
マジか…魔界(?)にも名前が聞こえてるって…
「そいつは楽しめそうだね。さて、やる?」
サラが俺に戦うか聞く。
「仕方ない…やらせてもらおう!」
俺は勝負を了承する。
「あら、良いの?言っとくけどあたしは強いよ。」
サラが驚いたように言う。
「あぁ。異名があるんならそれにふさわしい生き方しなきゃな。」
「いいわね。そういうの。嫌いじゃないわ。」
サラが俺の言葉に答える。
(来い!小覇王!)
そう念じると、俺の目の前にトンファーが出現する。それを手に取り、回しながら装着する。
「あんたの武器はそれで良いの?」
サラが確認を取ってくる。
「あぁ。」
俺は短く答え、トンファーを構えなおす。
「ふーん。じゃあ、始めましょうか。」
「さぁ来い!」
こうして、俺とサラの勝負が始まった。
皆様、良いお年を