幻想転生記   作:黒崎竜司

17 / 55
第17話

 俺たちはこれからどうするかを決めていた。

 

「これからどうする?」

「そうねぇ…都もなくなっちゃったし、ぶらり旅でもしましょうか。」

 

ルーミアが提案する。

 

「それも良いかもな…」

 

小さく答える。

 

「神綺さんの所に行ってみないか?」

 

竜也が言う。

 

「え?神綺のところ?」

 

ルーミアが確認するように返す。

 

「あぁ。今の俺たちが頼れる人ってあの人ぐらいだろ?」

 

竜也が俺たちに確認を取る。

 

「そうだな…」

 

俺は確かにと思い、肯定する。

 

「ほんとに行くの?」

 

ルーミアが素っ頓狂な声を上げる。

 

「あれ?さっきまで仲良く喋ってなかった?」

 

竜也が軽く聞く。

 

「え?えぇ、まぁ…」

 

ルーミアはばつが悪そうにしている。

 

「どうした?なんかあるのか?」

 

俺も気になったので、ルーミアに聞く。

 

「い、いや、別に、何とも無いといえば何とも無いのよ?」

 

無理して隠すようにルーミアが答える。

 

「ただ…」

「ただ?」

 

ルーミアが何か言おうとする。

 

「あの子、すぐ私に『男出来た~?』とか『もうそろそろ恋だの愛だの考えても良いんじゃない?』とか言ってきて、苦手なのよね…」

 

あぁ、さっきも『いい男二人侍らせて・・・』とか言ってたな…

 

「私、戦い以外にはあまり興味ないんだけど、あの子は女らしくしろってうるさいのよね…」

「ルーミアは戦う事と食べる事以外は興味ないもんな。」

 

ルーミアが喋り終えた後、竜也が茶化すように付け加えた。

 

「う、うるさいわね!良いじゃない!楽しく生きられれば!」

 

ルーミアが照れ隠しをするように言い返す。

 

「まぁまぁ、落ち着け。」

 

俺はルーミアを止めるため、声をかける。

 

「とりあえず、俺らが他に知ってる人もいないし、神綺さんも悪い人ではないしな。」

 

竜也が確認するように情報を整理する。

 

「そうだな。」

 

ルーミアを止めた後、俺も同意する。

 

「だったら、頼ったほうが良さげじゃね?」

 

竜也が勧めてくる。

 

「ちょっと待って。神綺の居場所を知ってるの?」

 

ルーミアが聞く。

 

「知らね。でも、魔界っぽい場所なら知ってるぜ?」

 

竜也が答える。

 

「魔界の場所ですって!?」

 

ルーミアが驚いたように聞く。俺も驚きだ。俺がこの世界に来てから結構経つが、魔界のような場所なんて見当たらなかったからだ。

 

「いつ知ったのよ!?」

 

ルーミアが驚きのこもった声で竜也に聞く。

 

「この前神綺さんに会ったときに教えてもらった。」

「えぇ!?」

 

竜也が説明すると、ルーミアが更に驚いた。

 

「だからさ、行ってみようぜ。もし神綺さんに会えなかったらぶらり旅でもすればいいしさ。」

 

竜也がさらに押してくる。

 

「そうだな。」

 

俺はその意見に合意する。

 

「仕方ないわね…」

 

ルーミアも仕方なしに同意する。

 

「じゃあ行こうぜ。」

「道案内は任せたぜ。」

「任された。」

 

(懐かしいな…この感じ…)

(ほぅ…お主はこういう風に生きてきたんじゃな。)

(いつもはもっと酷いけどな。)

 

懐かしんでいると神が語りかけてきた。それを軽くあしらい、俺たちは魔界に向かった。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。