スキル的には片手直剣なんだけど
FF7のクラウドみたいなバスターソードみたいなのもいいよなー
とい訳でどうぞ
フロアの各所には、始まりの街以外にも様々な規模の町や村が点在しているが、中でも最大のものが《トールバーナ》だ
俺とフェンサーは、微妙な間隔を空けてトールバーナの門をくぐった。
「‥‥‥ふぅー」
着いた途端にどっと疲れが出た。
だって、森からここまで来るまで気まずいったらない
長時間の無言は拷問だね!
などと思いながら背後を振り返ると、全く疲れを感じさせないフェンサーがいた。
‥‥なんで疲れてないの?鋼の精神でも持ってるの?
俺には無理だな。紙メンタルなので
「会議は午後4時から中央広場でだ」
事務的な連絡事項を済ませるとフェンサーはかすかに頭を上下に動かし、俺の横をすり抜けていく
さて、時間まで宿屋で休むか
「‥‥盗み聞きか《鼠》?」
「おっと!気づいてたカ」
いきなり背後から現れたのは、両のほっぺたに3本のヒゲを模したペイントが印象的な情報屋、通称《鼠のアルゴ》だ。
「なんだハッチ、索敵スキル上げたのか?」
数日前に町中でこいつに脅かされたせいで、俺の悲鳴が轟いたからな
なんでこっそり近づいてくるんだよ、伝説の傭兵かよ
「妙な女だよナ」
それは、お前もだがな
と心のなかでひっそりと思う
「すぐにでも死にそうなのに、死なナイ。どう見ても素人なのに、技は恐ろしく切れル」
「何者なんだろうな?」
そう呟き、《鼠》を見やると
にんまりと笑う顔と五本指を出していた
「安くしとくヨ、500コル」
「いや、そこまでして知りたく無いし」
なんで、一般プレイヤーの情報知ってんだよ?‥‥まさか、俺のは無いよな?
「まぁ、会議に出るんなら遅れ無いようにナ〜」
そう言って《鼠》は去っていった。何しに来たんだ、アイツ?
「マジか」
俺はNPCベーカリーの売り場にある黒パンを1つ買うと人気の少ないベストプレイスを探し彷徨っていた。
会議があるからか町にはかなりのプレイヤーが集まっているようだ
1時間歩き回ってようやく見つけた場所には、すでに先客がいた。先程のフェンサーだ。
俺より先にこの場所を探し出すとは‥‥もしや、かなりのレベルのぼっちか?
などと考えていると立ち止まっている俺に気がついたようでこちらをキッと睨んできた。
‥‥なに?何故に睨まれるの?
「‥‥本気で、美味しいと思ってるの、それ?」
お前だって、同じの食べてんじゃん。
そう思いながら、俺は過去のトラウマを思い出した
〜あれは、中学1年の時だった。昼になり俺は用意してきた菓子パンをバックから取り出した。
すると、近くの女子が
「うわぁーアイコ、比企谷とメニューお揃いじゃん!」
「えぇーないわー、ちょっユウコ!やめてよ、食欲なくすから」
‥‥その日、口にしたパンの味は少し、しょっぱかった〜
そんなことを思い出していると、フェンサーが少し目を逸らした。たぶん、俺の目が現在進行形で腐っているからだろう
「あぁ、少しばかり工夫するけどな」
そう言って、クリームが入っている瓶をフェンサーを差し出す
フェンサーがクリームがついたパンを、おそるおそる一口齧る。
数秒固まったあと、凄い勢いで二口、三口とパンを食べきってしまった。
フェンサーは恥ずかしかったのか、少し俯いて心を落ち着かせている
‥お、おぅ、そんなに美味しかったのか?
「そんなに気に入ったなら、クエスト教え「いらないわ」ですよね、はい」
俺の親切心を無視し、言葉を続ける
「私は‥‥私でいるために。最初の街の宿屋に閉じこもって、ゆっくり腐っていくくらいなら、最後の瞬間まで自分のままでいたい。たとえ怪物に負けて死んでも、このゲームに‥‥この世界には負けたくない。だから、ここまで来た」
フェンサーの途切れ途切れの独白に、俺は無言で聞き入っていた。
俺は知っている。
世界はいつも残酷で理不尽だ。だから周囲を、自分を偽ってやり過ごしている。
だが、なぜ自身が変わらねばならない。
こいつは世界には抗おうとしている。自分の信念を通そうとしている。
「‥‥そうか」
俺の声にふと我に帰ったフェンサーは立ち上がった。
「‥‥行きましょう。貴方が誘った会議なんだから」
パンの入った袋を握りしめ、俺たちは会議が行われる広場を目指した
次は会議に八幡が挑む
一層はいつ終わることか‥‥