八幡の武器を片手剣か両手剣か
両手剣スキル知らねーけどな!
流れ星に3回同じ願いをすると叶うという話がある。
そんな一瞬の閃光に願いを叶える力などあるはずがない
しかも、願いは具体的ではないと叶わないとか叶える気すらないと思わざる負えない
‥‥何故、俺がこんな事を考えているかというと、流れ星の如き閃光を今まさに目撃しているからだー迷宮の奥底で、だ
亜人型モンスター《ルインコボルド・トルーパー》の振りかざす手斧をギリギリの間合いで躱す。態勢を崩した所に全力のソードスキルを叩き込んでいる。
確か、あの技は細剣【レイピア】カテゴリーで最初に習得出来る単発突き攻撃《リニアー》だったか?
シンプルな技だが、スピードがヤバい
俺の眼には刀身が映らず、ソードスキル特有のライトエフェクトが描く軌跡が流れ星を連想させる。
避けてる→ソードスキルによる攻撃を数回繰り返すとモンスターが呻き四散した。
モンスターを倒したことを確認すると緊張の糸が緩んだのだろう。その場に座り込み、荒い呼吸を繰り返している。
さて、ここがレイピア使いの狩場のようなので別の場所に移動しますか。
他人の場所を荒らすマネはしませんよ?ハチマンウソツカナイ
少し、迂回しながらその場をあとにしようとすると、視界に入ったのだろう。レイピア使いが慌てて武器を構え、此方を睨んできた。
「まっ、待て!攻撃するな。俺ひゃプレイヤーにゃ!」
暫しの沈黙が流れる。凶器を向けられ、動揺しないほうがおかしい。だから、俺は悪くない!
「‥‥モンスターじゃないのね、そんな目をしているのに」
おい、どういう意味だ!
そんな俺を無視し、レイピア使いは背を向けた。
よく見れば装備の耐久力の損耗具合からして長い時間、戦闘を繰り返していたのだろう。
「おい、あんた。帰るんなら安全地帯で休憩していけ。町まで持つか分からんぞ?」
「‥‥私、帰らないけど?」
「はぁ?」
そんな、ボロボロで何を言ってんだ、こいつは?
「‥‥ちなみにどれくらい続けてるんだ?」
「3日か‥‥4日ぐらいかな、もういい?」
予想の斜め上を行く結果だ。
そう言ってレイピア使いは重い足取りでその場をあとにしようとした瞬間、地面に崩れ落ちた。
「はぁ〜〜、めんどくせぇ」
一瞬迷ったが、盛大な溜息を吐きながら歩み寄る
最初に目に入ったのは焚き火の灯りだった。周囲を見回すとさっきまでいた迷宮の奥底から森の中に移動していた。
自分が寝かされていた場所から少し離れた大樹の根元には、先程、話しかけてきた黒コートの男性プレイヤーがうずくまっていた。
状況を察するにこのプレイヤーが私を此処まで運んできたのだろう。
「‥‥余計なことを」
声が聞き取れたのだろう。男性プレイヤーが薄眼を開けて口を開いた。
「別にアンタを助けた訳じゃない。なんな所で見捨てたら夢見が悪いからな」
「それに、長い時間迷宮に潜ってたならマップデータも相当だろう?消えるのも惜しいと思っただけだ」
「なら、これで目的は果たしたでしょう。私は行くわ」
時間を確認すろと7時間も寝ていたことになる。まだ、剣のストックは残ってる。もう一度、戻らないと
メニュー画面でアイテムを確認し、その場をあとにしようとすると背後から声をかけられた。
「ちょっと待て、フェンサー」
「‥‥‥‥」
おいおい、無視して歩き始めたぞ
聞こえなかったのか?おーい
「今日の夕方、第1層フロアボス攻略の会議があるんだけど?」
おっ?足が止まった。やっぱ聞こえてたな
「‥‥場所は?」
「迷宮区最寄りの《トールバーナ》だ」
少し、ドヤ顔になっていたかもしれない
プログレッシブは第1層で切りたいです
終わりが見えないので