ソードアートオンライン 刀使いの少年   作:リスボーン

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はい、またまた久方ぶりの更新です。

今回のお話はなんかカオスというか本当もう……。

違うんですよ?

俺は真面目にやろうとしてるんですよ。

でも、なんか話が詰まるとなんというか思考の暴走のようなものが。

ということは置いといて、今回のお話には色々おかしい事があると思います。

そのようなものを見つけたらご指摘してもらえるとうれしいです。

では、お願いします。


デスゲームの初日 クライマックス

 

 

しばし沈黙が走る。

 

 なんと言うか、あれだ、あれ。

 

 なんかものすごい気まずい。

 

 まさかコペルが《MPK》(未遂)した相手が、俺の同級生だったとは。

 

 しかもクラスのかっこいい男子ランキング(非公式)堂々の1位であり、ゲームオタクのくせして成績優秀で、オマケに女子にも見える美少年の桐ヶ谷和人だったとは。

 

 ……なんか悲しくなってきた。

 

 そんなこんなでちょっとブルーになった俺だが、向こうも俺が誰なのか分かったのか口を開く。

 

 

「えっと…… 真司……さんでいいのかな?」

 

 

「あ、ああ。 合ってるよ」

 

 

「えっと、リアル名は流石にアレだから、できればプレイヤー名を教えて欲しいんだけど……」

 

 

「ああ、悪い。 ゲームの中じゃリアルの事はNGだったな。」

 

 

 SAOにはβテスター時代からの暗黙の了解がいくつかある。

 

 その1つが現実(リアル)の事を話してはいけないということだ。

 

 理由として挙げれば、1番は世界観が壊れるからだろう。

 

 例えば、ファンタジーな世界で現実のドロドロとした話をしたらどうなるだろう?

 

 興ざめもいいところだ。

 

 これは何もSAOだけの話ではなく、他のオンラインゲームも物によってはこのような場合がある。

 

 もちろんこれは強制というわけではないので、双方の了解があれば問題はない。

 

 

「えっと俺の名前は、シンジだ。」

 

 

「へ? いや、俺はプレイヤー名を知りたいんだけど……」

 

 

「俺のプレイヤー名は、下の名前と一緒なんだ」

 

 

「……てっ、ことはまさか?」

 

 

 桐ヶ谷が何か考えている。

 

 そんな時、俺はふと俺のHPバーの下にあるもう一つの小さなHPバーを見る。

 

 これはパーティーを組んでいる時に現れる物で、パーティーを組んでいるとチーム全員の体力を見ることが

できる。

 

 コペルとは走っている時に、連携を取りやすくするために組んでいた。

 

 

「……マジか」

 

 

 コペルの残り体力を見て、呆然とする。

 

 彼の体力は、もう4割も残っていなかった。

 

 ……まずい。

 

 一気に焦りが吹き出す。

 

 ここで時間を使いすぎた。

 

 

「桐ヶ谷、先に《ホルンカ村》に行っといてくれ」

 

 

「え? 急にどうしたんだ?」

 

 

「説明してる暇はないんだ。 悪い」

 

 

 後ろからの呼び止める声を無視し、走り出す。

 

 

□       □        □        □        □        □      □

 

 

 今日はなんて日だ。

 

 思えばさっきから走りっぱなしで、俺の体力も限界が近づいてきた。

 

 視界が霞む。

 

 ここがいくら仮想世界でも疲れもするし、気絶もする。

 

 仕組みは脳に負荷がかかるとか、そんな話を聞いたことがあるが、馬鹿な俺に正確なことは分からない。

 

 が、限界が近づいているのは明白だった。

 

 多分下手したら今にも倒れそうだ。

 

 だが、倒れるわけには行かない。

 

 

「約束したからなぁ……」

 

 

 こんな状態の俺が行っても、足でまといになるだけかもしれない。

 

 だけど、それでも行かなければいけないんだ。

 

 約束を守るために。

 

 ギィン!!

 

 鈍い金属音が聞こえてきた。

 

 この音は、恐らく盾で攻撃を防いだ際に聞こえる音だ。

 

 

「(近い)」

 

 

 これで終わる。

 

 腰の剣を今まで以上に力強く握り、抜く。

 

 これで、正真証明最後だ。

 

 自然と走る速度が上がる。

 

 

「う、うおおおおおおおおおお!!」

 

 

 森中に俺の叫びが、いや、咆哮が響き渡る。

 

 

「シンジ!?」

 

 

 ようやくコペルとネペントの集団が視界に入る。

 

 見ればコペルの右腕に剣は無く、残っているのは鉄くずのような盾のみ。

 

 これだけでよく耐えたものだ。

 

 

「あっちは助けた。 コペル、お前は下がれ。 ここからは俺がやる!!」

 

 

「無茶だ。 その体力で一人で戦おうなんて」

 

 

「武器も無いお前よりはマシだ!!」

 

 

 俺の言葉に何も言い返せないコペルは、苦渋の顔をしてその場から下がる。

 

 これで、俺が死んでもコペルは生き残れる可能性はあるだろう。

 

 もうなにも考えなくていい。

 

 目の前のネペントを全滅させることだけ考えられる。

 

 スウゥゥー。

 

 乱れた呼吸を、整える。

 

 日が登り始めている。

 

 思えば長い1日だった。

 

 初日からこんなことになるなんて考えても見なかった。

 

 だけどそれもようやく終わる。

 

 

「最後の勝負だ、ネペントオォォォォォォ!!」

 

 

 大地を蹴り、ネペントの集団に突っ込む。

 

 ただ。

 

 ただひたすらに剣を降り続け、光の欠片を撒き散らす。

 

 

「プシュウウウウ」

 

 

 後ろからのネペントの溶解液放出の合図。

 

 今の時点で喰らえば、即死亡確定の狼煙が上がるだろう。

 

 俺は瞬間的に体をひねり回し蹴りを喰らわせ、標的をズラす。

 

 放出された溶解液が木に当たって、シュュュュウという音を発する。

 

 

「くたばれ!!」

 

 

 先ほど溶解液を放出したネペントに近づき、攻撃させる暇なく茎を切り落とし1擊で葬る。

 

 ビシッ!!

 

 ネペントを倒したと同時に、剣の刀身にヒビが入る。

 

 

「ちっ、こんな時に……!!」

 

 

 ネペントからステップを使って5メートル距離を取る。

 

 この剣は恐らく、あとひと振りで光の欠片と化すだろう。

 

 ネペントの数は後5匹。

 

 一太刀でこいつらを倒すには《スラッシュ》による範囲攻撃を行うしかない。

 

 だが、それを1匹でも外せば俺は……。

 

 緊張が全身を走る。

 

 手が小刻みに震えだす。

 

 俺はもしかしたら今、ようやく現実を直視したのかもしれない。

 

 このゲームが本当の意味のデスゲームだと。

 

 思えば、本当に正気のある奴ならまず《始まりの街》から出ようとは思わないだろう。

 

 まずは救助を待つべきだ、と考えるはずだ。

 

 それなのに今、俺がここにいるのは「出来るだけの事をやる」と心で言いながら本当は先に進みたかった

だけなのかもしれない。

 

 ただこのゲームを攻略したい、と言う気持ちをあたかも正当な理由だと思いたかったからなのかもしれない。

 

 そしてそれは、今頃動き出しているだろうβテスター達にも同じことが言えるだろう。

 

 _____もっと先に進みたい

 

 この気持ちこそが俺を、いや俺たち(βテスター)を先に進ませている。

 

 茅場はチュートリアルでで『これはゲームであっても遊びではない』と言った。

 

 だが、その言葉は裏を返せば『遊びでなくてもこれはゲーム』だということだ。

 

 俺はまだこのSAOという名のゲームの全てを見ていない。

 

 だから俺はたどり着きたい。

 

 この先を。

 

 第100層(頂上)にたどり着きたい。

 

 そのためには、まずはこいつらを倒さなければいけない。

 

 自然と手の震えは収まり、気のせいか気が軽くなった。

 

 いける。

 

 今の俺ならば必ず。

 

 俺はまだ先に進める。

 

 

「うおおおおおおおおお!!」

 

 

 地面を足跡がくっきりと残る位まで踏みしめて、蹴り上げる。

 

 そんな俺を向かい撃つか如く、ネペントの雨のような攻撃が迫る。

 

 だが、奴らの攻撃にパターンを知り尽くした俺に正面からの攻撃などでは当たるはずもない。

 

 今の俺の状態なら尚更だ。

 

 ネペントの攻撃を全てかわした俺は、そのまま横を通り過ぎくるりと180°回転する。

 

 見えるのは隙のあるネペントの背後の姿。

 

 

「決まりだあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

 オレンジに染まり尽くした剣がネペントの茎を部分を捉える。

 

 2匹、3匹。

 

 とっ、光の欠片となり消えていく。

 

 4匹目からは、刀身のヒビが広がり始めていた。

 

 

「(くそ、まだ折れないでくれよ……)」

 

 

 祈るように4匹目を切り終わり、5匹目に入る頃にはかろうじて形を維持している状態になっていた。

 

 シューイーン。

 

 何かが光の欠片になる際に聞こえる、音が聞こえる。

 

 武器が耐久の限界を迎えたのだろう。

 

 が、既に剣は茎を切り落とす寸前に来ていた。

 

 

「お、わりだあああああああ!!」

 

 

 ウツボ部分が俺の叫びとともに天高く飛び上がっていく。

 

 同時に、今まで俺の手にあった感触も消える。

 

 武器消失(アームロスト)

 

 俺は小さく共に戦ってくれた(相棒)にありがとうと、つぶやいてコペルの方へと行く。

 

 

「大丈夫か?」

 

 

「大丈夫って、それはこっちのセリフだよ。 いくらなんでも無理が……」

 

 

「もういい。 分かった、分かったて」

 

 

 コペルが長ったらしく説教を始めそうなので、手で制する。

 

 ただでさい、疲れているのに説教なんて喰らったら気が滅入る。

 

 

「とりあえず帰ろう。 《ホルンカの村》に。 あいつも待ってるぜ」

 

 

 

□        □          □        □        □       □    □

 

 

 あれから俺たちは《西の森》からなんとか帰ってくることができた。

 

 俺もコペルも武器は壊れてしまったため、ぶっちゃけどうやって帰ろうかと思っていたが、どうやらPOPが枯渇していたため戦闘することなく街へたどり着くことができた。

 

 まあ、あれだけ戦ったんだから当然だろう。

 

 村の時計を見ると夜の9時を指しており、辺りには数名の元βテスターらしきプレイヤーがいた。

 

 だが、その中に桐ヶ谷の姿はなかった。

 

 もう1度辺りを見回したが、やはり桐ヶ谷の姿はない。

 

 

「かしいな~。 ちゃんと戻ってきてるはずなんだけどな。 しょうがない、奥まで行くか」

 

 

「うん、分かった」

 

 

 俺とコペルは村の奥を目指すため歩き出す。

 

 途中そこらの宿などによっては見たが、桐ヶ谷はどこにもいなかった。

 

 そんなこんなで1つ1つしらみ潰しに探していくと、とうとう最後に残ったのは、《森の秘薬》クエの発生

場所である民家にたどり着いた。

 

 

「あとはここだけか」

 

 

 ドアノブに手をかけ、開けようとする。

 

 が、ドアノブは回らずうんともすんとも言わない。

 

 おかしいと思い、ドアをよく見ると!マークが表示されていた。

 

 これはクエスト進行中を意味していた。

 

 ということはつまり……

 

 

「もしかして、ここに……グヘッ!!」

 

 

 突然ドアが開き、ドアの前に居た俺は顔面を見事に強打した。

 

 SAOでは痛みというものはないが、衝撃は感じることができる。

 

 顔を抑えつつ、ドアを開けたプレイヤー見ると、申し訳なさそうな手を伸ばしてきた。

 

 

「あっ、ごめん。 大丈…… って、シンジ?」

 

 

「はは、よう! 待たせたな」

 

 

 桐ヶ谷は目を丸くして、こちらを眺めている。

 

 だが、すぐにコペルに気づいたのかコペルの方を見る。

 

 

「コペルなのか?」

 

 

「……」

 

 

 コペルはなにも言わず立ち上がり、桐ヶ谷の前に膝を付いて頭を下げる。

 

 

「ごめん!! 僕は君に取り返しのつかない事をしてしまった。 許されることじゃないのは分かってる。でも謝りたいんだ。」

 

 

 コペルの表情は見えないが、雰囲気だけで真剣さが伝わってくる。

 

 

「僕にできることなら何でもやる。 それがなんだとしても」

 

 

 桐ヶ谷はそのコペルをじっと眺めたあと、意外な一言を口にする。

 

 

「じゃあ、今度クエストを一緒に頼むよ」

 

 

「へ?」

 

 

「だからさ、なんでもやってくれるんだろ? だったら一人じゃ難しいクエがあるんだ。 一緒にやろう」

 

 

 その言葉には俺も驚いた。

 

 俺は桐ヶ谷の性格は分からないが、とりあえずぶちぎれると思っていた。

 

 それが一般の反応だ。

 

 だが、桐ヶ谷はぶちギレどころか怒りもしない。

 

 というかこんな台詞前にもどこかで……。

 

 ふと、頭にあいつの顔が浮かぶ。

 

 ……まさか。

 

 

「うぅ……ありがとう、キリト」

 

 

 キリト。

 

 その名前を聞いた瞬間思考が停止した。

 

 そして数秒経ってからゆっくり桐ヶ谷の方を見る。

 

 さらに数秒見て、俺は深呼吸をして、

 

 

「お前かいぃぃぃぃぃいぃぃぃぃぃいぃ!!」

 

 

 




これを読んでくれた人の気持ちを当ててみます。

多分色々人によっては違うと思いますが、恐らく一番は

「クライマックスとか言って、終わってねぇじゃねーか!!」

 と言うものだと思います。

 「そもそもこの小説読んでるやつそんなにいないだろ」と思いの方は、そっと心にしまっておきましょう。

 まあ、あれですよ。

 ……。

 とりあえずエピローグ早めに出すんでご勘弁を!!


 

 

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