東方風天録   作:九郎

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まだ、文体に統一感がないかなぁ?
色んな人の真似をしてるせいですね。

そろそろ、楽しくなってくるかなぁ?

では、本編です。


ネガイゴト

華やかな花火が終わり、静寂が辺りを包んだ。

 

夜空には、キラキラと星が輝く

 

これもまた、綺麗だなぁと青年は思った。

 

「あっ、流れ星!!」

 

少女が空を指差した。

 

「何か願い事しとけば?」

 

フッと笑って青年は言った。

 

「…………」

少女は、祈った。

 

ずっと青年と居られるようにと……

 

青年も祈った。

 

この子に幸あれと……

 

「何を願ったの?」

おもむろに聞いた。

 

「ヒミツです!!」

ニコッと少女は、笑って返す。

 

別に何を願ったかなんて気にしてない

星に願い事なんてどーせ叶わない。

 

でも、もし叶うのならばと思って、オレは願いを乗せたんだ。

 

ずっと、その笑顔でいて欲しいから。

 

「今日は、クロ君に渡す物があるんですよ〜」

 

少女は、懐から何かを取り出した。

 

「小太刀……」

小さい刀だ、前にこの子がくれた脇差と同じくらい、もしくはそれよりも短いものだった。

 

 

「お守りです……クロ君に怪我とかして欲しくないですから」

 

 

「ありがとう、大切にするよ……前みたいに折ったりしないから」

ニコッと笑って言った。

これを血で濡らしたくないなぁと思う。

君がくれた物だから……

鞘から刀身を眺めると、刃紋がとても綺麗だった。

 

君は、オレに生きて欲しいのだろう?

この小太刀は、君の願い事なんだ。

生きるよ、君がそれを望むのならば、オレは最後まで精一杯生きるさ……たとえ、時間が無くとも……

 

「前みたいに簡単に折れたりしないですよ!!妖怪が鍛えた物ですから……結構良い物です!!」

 

少女は、エッヘンと胸を張る。

 

そんな大層な物を貰ってしまって良いのだろうか?

でも、オレはこいつを大切に持っていたかった。

 

 

青年は、腰に小太刀を差した。

大剣を背負っているのに腰に小太刀を差す。

ちょっと滑稽だ。

 

 

「ありがとう……」

とても穏やかな気持ちだった。

前のように迷いや葛藤から解き放たれた感じがする。

 

幸せという物の意味は分からない。

だから、オレはこの子を幸せになんてできない。

 

けれど、オレはこの笑顔をできる事ならば守り続けたいと思った。

 

「いえいえ、いつも私の新聞を読んでくれてますし?貴方が新聞を読めなくなるのが、私は堪らなく嫌なのです。」

 

少し、頬を赤らめて少女は言った。

 

本当に新聞を書くのが好きなんだな……

報われると良いのに……

 

「さて、帰るか……文」

 

「ハイ……」

 

青年と少女は、手を繋いで歩き出した。

 

それを、木陰からもう1人、見ている男がいた。

 

「へぇ〜文ちゃんって言うんだ……あの子、うふふ……そろそろかなぁ、舞台は整った、今度こそ、今度こそ見せておくれよ!!君の絶望した表情を……壊してあげるから……あの子を……落とすところまで落としてあげる……待っててよ。」

 

ニヤァと歪んだ笑みを浮かべて、カリカリと頭を掻きながら男は青年達の背中を見ていた。

 

 

人里にて……

 

目にクマが出来た少年が1人 ……

 

もう、撃てない。

 

僕はクロさんみたいになれない……

 

だって、僕は弱いもの。

 

憎い……妖怪はみんな死んでしまえばいいんだ。

殺したい……駆逐しなくちゃダメだよ……

 

僕は知ってるよ……クロさん、体悪いんでしょう?

 

見てたよ、血を吐いてるの。

 

妖怪にやられて傷のせいなんでしょう?

何でだよ……何で妖怪は僕から大事な物を奪ってゆくの?

 

よくよく考えたら僕には大切な物なんて残っちゃいないじゃないか……

 

魔弾だっけ?

大丈夫だよクロさん……

 

僕は撃ったって平気さ……殺したいんだ。

妖怪が憎くて憎くて堪らないんだよ……

 

だから、み〜んな殺してしまおう……


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