東方風天録   作:九郎

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ほのぼのしてるかなぁ?

甘酸っぱいような感じに書けてる?
理想としては胸が締め付けられるような切ないのが書きたいんだけどなぁ……

どうなんでしょうか?

気になるなぁ

では、本編です。


お祭りの中で……

 

 

翌日の夕刻

 

霊夢さん達に聞いてみると今日が祭りの日らしい

 

あの人達……何故か物凄くニヤニヤしてた。

 

永遠亭のみんなもそうだ

 

八意さんや姫さん、それに鈴仙さんにて……誰だっけ?

 

イタズラうさぎ

 

あいつは、タライ落としやら落とし穴作ってはオレに避けられて終いには弾幕飛ばしてきやがって……

 

ヘッ……全部避けてやったぜ。

 

ざまぁ見ろ

 

考えてみるとみんながニヤニヤしてる理由として思い当たる節がある。

 

魔理沙だ……

 

あの白黒野郎見事に言いふらしやがって……

 

あいつにも会ったけど……

 

な〜にが

「男は度胸だぜ!!決めてこいよ!!」

 

だ……

 

何勘違いしてんだか……

 

いや、あながち勘違いでもないかもしれないな

 

伝える気はある。

 

きっと罰が当たるけれど

 

オレにもう時間が無いのなら……それさえも受け入れてしまおうかな?

 

なんでも夜は花火が上がるとか……

 

花火は好きだ、一瞬だけど物凄く綺麗だから。

 

職人たちは、その一瞬に自分の全てを賭ける

 

美しく……美しく……見るもの全てを魅了する花火を生み出す。

 

たったの数秒程度なのに……

 

ある人はそれをナンセンスだと言う。

 

でも、オレはその一瞬を愛して止まないのだ。

 

 

美しく空に咲き……

 

そして静かに消えてゆく

 

 

桜のような儚さがあって、そして桜よりも華やかだ。

 

 

だから好きだ。

 

 

「クロく〜ん!!」

 

トントンと少女は、永遠亭の病室のドアを叩いた。

 

なので、青年はピョンとベッドから降りる。

 

準備はしといた。

 

楽しみだったから……

 

 

「はいはい〜今開けっからさ〜」

 

青年は、ドアを開いて絶句する。

 

「どっ、どうですかね?せっかく祭りなので……その……浴衣……着てみました……」

 

照れながら少女は、青年を見る。

 

青年は、ポカンと口を開けていた。

 

「あの〜?クロ君?」

 

「ハッ!!……え?あっ……その〜にっ……似合ってるね!!きっ……綺麗だ……」

 

ヤバい……反則だろ浴衣姿とか……

 

 

この子と目を合わせられないよ

頭が沸騰する……

 

カァァアアと青年は、顔を赤くした。

 

 

「あの〜大丈夫です?」

心配そうに少女は青年を見たので青年は、我に返って

 

 

「さっ、行こうか!!」

と言った。

 

これはもうダメだな……

 

ツンケンした態度取ろうとしても出来そうもない……

 

 

恥ずかしい……恥ずかしいよ!!

 

なんだよこれ!?

なんの拷問ですか?

拷問はもうたくさんですよ!?

 

 

ある意味青年最大のピンチである。

 

そんなこんなで青年達は祭りの開催地へ到着したのだった。

 

今日くらいは……

 

良いよね?神様……

 

「人たっくさんだなぁ〜」

 

「ですね〜」

ニコッと笑う少女の顔を未だに直視できず。

 

青年は言葉を探す。

 

「逸れるとさ?まずいから……その、手……繋ごうぜ?」

 

スッと青年は手を差し出す。

 

「喜んで……」

クスッと少女は笑ってその手を握った。

 

それからは色々と屋台を巡った。

 

金魚すくいと言うものをやった。

 

病室とかにさ?

金魚鉢置いて金魚を、眺めるのも悪くないかな?

 

って思ったんだ。

 

でも、ことこどく網が破れる

 

クソったれが……ぜってーインチキしてやがるだろ……

 

「あははは、クロ君下手くそですね〜よっ、ほっ!!ハイッ!!」

 

少女は、青年を笑ながら次々と金魚を掬っていった。

 

青年は、それをポカンと見ていた。

 

流石天狗……

 

いや、単にオレが下手くそなだけだろうな〜

 

かっこ悪いな……オレ……

 

ちょっぴり、自分にイラっとした。

 

あっ!!

これが好きな子に良いとこ見せたいと思う男の子の心理というやつか!!

 

 

ハハッ、なるほどね〜

 

青年はウンウンとうなづいて少女と次の屋台へ……

 

そこは射的屋である。

 

 

「おっ!!そこの可愛い彼女連れたにいちゃん〜やってくかい?」

 

屋台のおっさんが声を掛けてきたので

 

「いや、彼女じゃないから」.

と全力で否定してやった。

 

ふと青年は、少女を見た。

何かをジーッと見ていたのでその視線の先を見てみると、どうやら射的の景品の黒いカラスの縫いぐるみを見つめていた。

 

そいつは、なんだかムスッとした顔で、オレはそんなに可愛いとは思わなかった。

 

「欲しいの?」

 

おもむろに青年は少女に聞く

 

 

「えっ?いや……別に……ちょとクロ君に似てるなって思っただけで別に欲しいなんて……あははは……」

 

何だよ……物欲しそうに見つめてた癖に……

てか、オレはこんなムスッと顰めっ面なカラスの縫いぐるみに似てるの!?

 

まぁ、見る目によっては可愛い縫いぐるみだけども……

 

「おっさん……やらして!!オレ、その縫いぐるみ取るから!!」

 

青年は、屋台のおっさんからオモチャの銃を受け取る。

 

射的は大嫌いだ。

オモチャだろうが銃は嫌いなんだ!!

 

でもやるよ!!

 

あの子にちょっぴり良いとこ見せたいってのは、内緒だ……

 

「お〜クロ君〜頑張れ〜」

 

嬉しそうに少女は、青年を応援する。

 

景品の縫いぐるみを真剣な表情で狙う彼の姿が……あの時の彼の姿と重なって、ちょっぴりかっこいいなって思ったのは内緒だ……

 

ポン、ポン、ポンと青年は、銃を撃つ。

しかし、景品には掠りもせずに明後日の方向へ飛んでいった。

 

「にいちゃん〜下手くそだな〜、彼女に減滅されっぞ〜ホラホラ〜ちゃんと当てな〜」

 

内心このおっさんは可愛い彼女を連れた青年を見てイライラしていた。

なのでざまぁ見ろと思って意地悪な顔して青年を煽ったのだ。

 

 

ポン!!

と音を立てて青年の撃った弾がおっさんの額に当たる

 

「イテッ!!」

おっさんは驚いて額を抑える。

 

「うっさい……」

ニコッと青年は、笑ったが、目が笑っていなかったので、おっさんはビビって口を噤んだ。

 

ポンポンと青年は弾を外す

そして、ラスト一発

 

「クロ君……そんなに意地にならなくたって良いですよ〜まぁ、あの縫いぐるみ……可愛いですけど、その……別に欲しいなんて……ね?」

 

全く景品に当てられない青年を気遣って少女は、言った。

 

しかし、それを聞いて青年は思う。

 

絶対に当てる!!

 

 

「ア・タ・レ!!」

 

ポンと青年は、弾を放つ。

 

 

そして……

 

 

 

「うふふ……」

 

大事そうに青年似のカラスの縫いぐるみを抱える少女が青年の隣を歩いていた。

 

 

なんか疲れた……めっちゃ集中したな〜

引鉄引いた瞬間に当たるのを確信したし……それに……

 

全てがスローモーションに見えた。

 

無我の境地ってやつ?

 

ちょくちょく入ってんな〜

 

 

そして青年達は見晴らしの良い場所へ……

 

「ここから見る花火は綺麗なんですよ〜、人も居ないし、私のオススメスポットってやつです!!」

 

えっへんと少女は、胸を張って言うものだから……青年フッと笑った。

 

「良い場所だな……」

 

そんな彼らを見る者たちがいた。

 

「やるなぁ、クロ!!さぁ、告れ!!今すぐ告れ!!」

 

「ばっ、バカ!!声が大きい!!」

 

霊夢が興奮している魔理沙を諌めた。

 

「なんで僕まで……」

 

面倒くさそうに霖之助は呟く

 

「はぁ?私の誘いを断った後に、クロが一世一代の賭けに出るぞ!!って言ったら血相変えて付いてきた奴が言う事かぁ?」

 

 

「そりゃ、そうさ……クロが心配だし、それに、僕は思うんだよ……彼が彼女に想いを伝えたら、きっと軽くなるよ……クロの背負ってるもの……あの子が支えになってくれるなら……」

 

ニッと霖之助は笑った。

 

「もしかして、霖之助さんって……ゲイなの?」

ジトっとした目で霊夢は言う。

 

「ちっ、違うよ!!」

 

「ばっ、バカ!!声が大きいバレたらあいつキレるぞ!!怖いんだからなあいつ!!」

 

物陰でガヤガヤとしているこの3人に気づく事なく

 

青年と少女は、花火が打ち上げられるのを、何気ない話をしながら待った。

 

 

胸がドキドキする。

 

 

やっぱ、オレはこの子が好きだ……

 

もう抑えられない

 

苦しすぎる……

 

大声で叫んでやりたい。

 

好きだ〜!!!!

 

ってさ?

 

覚悟は……できたよ。

 


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