東方風天録   作:九郎

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花言葉好きです!!

てか、花が好きです。


綺麗じゃないですか凄く、まぁ、花言葉なんて沢山あるので解釈の仕方は人それぞれです。

貝細工の花は私の好きな花です。 白くて可憐なので。


ちなみに文のもってたオンシジウムの花言葉は


純粋な愛 可憐 一緒に踊って


です。

今のクロに対する気持ちを的確に表した花だと思ったので、幽香さんも渡したんでしょうね。

な〜んて(笑)

では、本編です。


貝細工の花を貴方に……

てくてくと青年は歩く、とうとう里まで着いてしまった。

 

暇人だなぁオレは……

 

「おい、バッテン前髪!!」

 

後ろから声を掛けられた。

 

「ん?何さ妖夢ちゃん?」

 

 

「おっ?」

 

 

「何だよ、鳩が豆鉄砲食らったような顔してさ」

 

 

「いや、無視されると思ってたんだけど……」

 

 

 

「いつも、無視してたらかわいそうじゃん?」

 

 

 

「そっ、そっか……」

 

 

 

「で?何か用?」

 

 

「今からまた、道場に行くんだよ!!」

 

 

 

「あーオレは行かな……」

 

 

「お前は連れてかないぞ〜!!ばーかばーか!!」

 

 

 

「………………」

 

 

「あははは!!どーだ、いつも私の事からかうから今度は私がお前をからかってやったぞ!!」

 

 

ニヤニヤと笑う妖夢を見て、青年はクスッと笑う。

 

 

「やっぱり、妖夢ちゃんは面白いね……ねぇ、妖夢ちゃん……オレに二刀……教えてよ」

 

 

「アホ!!一刀もまともに出来ないくせに何が二刀だ!!」

 

 

 

「言うと思ったよ……」

 

残念そうに青年は妖夢見た。

 

 

「まぁ、これでも振って練習するんだな!!背中の大剣なんてどーせ振れないだろ?」

 

フッと笑って妖夢は、青年に竹刀を手渡した。

 

内心、頼られたのが嬉しかったりする……

 

 

「竹刀かぁ、コイツで突き入れられて負けたんだよなぁオレ……突き……かぁ、妖夢ちゃん、思い切りやらないから受けてくれる?危なかったら妖夢ちゃんの刀で払ってくれればいいからさ……」

 

遠い目をして青年は妖夢に言った。

 

それを聞いて妖夢は、首を傾げ、怪訝な顔をした。

 

 

「素人が何をするんだよ……」

 

面倒くさそうに妖夢は、一応刀を抜いて構える。

 

 

それを見て青年は微笑んで構えを取った。

 

独特の構えである、竹刀の柄先を持ち、右手を前にして照準を合わせる竹刀を持った方の手の甲は上にする。

 

真剣でこれを持ったとすると、刃の部分が地面と平行になる。

 

「何だよそれ……」

 

馬鹿にしたような顔で妖夢は、青年を見た。

 

 

なっちゃいない……全くもってなっちゃいない!!

 

ド素人のカッコつけた構えだ。

 

妖夢は、そう思った。

 

 

しかし、次の瞬間

 

 

 

青年は、足の屈伸と共に妖夢に突進した。

 

その、突進と共に腕に唸りをつけて妖夢目掛けて突きを放つ。

 

 

「なっ!!!」

 

 

青年の予想外な動きに咄嗟に妖夢は横飛びして青年の突きを避けた。

 

所詮突きだ……こうしてしまえば当たりっこない。

 

 

まっ、クロにしては上手かったよ、自然と賞賛の言葉が出てくる。

 

 

妖夢は、そう思った。

 

 

 

 

 

 

しかし……

 

 

 

 

 

ペチンと妖夢は、脇腹を叩かれた。

 

 

「何っ!?」

 

予想外の出来事に、妖夢は驚いて青年を見る。

 

青年はヘラヘラと笑っていた。

 

「お〜決まったな〜」

 

 

 

「なっ、何したんだよ!?」

 

 

 

「平突き……」

 

 

 

「平突き?」

 

 

「戦術の鬼才、新撰組副長、土方歳三が考案した平突き……突きから横薙ぎの追撃に繋げるとこが出来る技だよ……オレの好きな漫画の技なんだ、『牙突』っていうんだとさ」

 

 

「平突き……牙突……うーん、あんたがやったら牙って言うか嘴みたいだね、読み方一緒だけど、『鴉突』って感じだ」

 

 

 

「もういいや、満足したから帰る、ありがとうね妖夢ちゃん!!やっぱり妖夢ちゃんと遊ぶの楽しいよ!!」

 

青年は竹刀を返して帰って行く。

 

 

「遊びねぇ……殺る気かと思うほど思い切りやった癖に……私相手だからかな?まぁ、私もお前といて楽しいから良いんだけどさ……」

 

クスッと妖夢は笑った。

 

 

 

 

 

 

青年はそのままてくてくと歩く。

 

 

来たことのない場所に着いた。

 

 

「綺麗だ……」

 

思わず声が出ていた。

 

なぜなら辺り一面に向日葵畑が見えるから

 

どうしようもなく綺麗だった。

 

「綺麗、綺麗だね……君たちは、精一杯咲いてる……だから綺麗なんだろうね」

 

 

青年は一輪の向日葵に向かって呟いた。

 

ふと気付いたら咲き終わった向日葵が隣にあった。

 

「どう?悔いはないかい?ちゃんと生きたかい?精一杯生きたかい?

きっと……散る間際の君は、とても綺麗だったんだろうね……良いな、オレもいつか枯れるよ、でも、君みたいな枯れ方したいな……」

 

青年は返事がないのを分かった上で微笑んで向日葵に言った。

 

 

「カイザイク……」

 

なっ!?

 

知らぬ間に後ろに日傘をさした女の人が立っていた。

 

 

「貝細工ね……貴方……」

 

 

 

 

「カイザイク?」

 

 

 

「アンモビウムと言った方が分かりやすいかしら?」

 

 

 

「花の……名前ですか?」

 

 

 

「そう、貴方はまるでアンモビウムね……」

 

 

 

 

「永遠の……悲しみ……」

 

 

 

「あら、知ってるの?」

パァと女の人の表情は明るくなった。

 

「けっこう好きな花なんです、白くて……可憐だとオレは思います……でも、花言葉は暗いですね……」

 

 

「だから貴方なのよ……綺麗な花なのに……暗い物を引きずってるでしょう?」

 

 

 

「そうですね……貴方、名前は?」

 

 

 

「風見 幽香よ」

 

 

 

 

「花が好きなんですね、風見さんは……」

 

 

 

「貴方も好きなの?向日葵達を見ている時の表情……物凄く優しかった……」

 

 

 

 

 

「好きです、必死に咲いてるところみてると、こっちも元気になりますから!!」

 

 

 

 

「ふふっ、だからこの子達の歓喜の声が止まない訳ね……貴方、植物に好かれる子なのね、それは純粋だからよ?」

 

 

「腹は名前の通り真っ黒ですけどね……」

 

 

 

「何言ってるのよ……私は貴方が気に入ったわ、また会いましょう……」

 

風見さんはにっこり笑って帰っていった。

 

只者じゃない人なのは分かった。

 

後ろに立たれた時、正直ゾッとしたから……

 

 

でも、とってもとってもとっても……

 

花が好きな方なのは分かった。

 

だから、気が合いそうだ。

 

 

 

早く帰らなくちゃ……

 

いつまでもふらふらしてたら、八意さんや鈴仙さん……それに……、あの子に怒られる。

 

 

青年はフッと笑って帰って行く。

 

ガサガサと向日葵達は、葉を左右させて風に揺れている。

 

その様は、青年の背中に対して手を振っているようだった。

 

 

 

 

向日葵畑の中心でにて

 

風見 幽香は空を見上げていた。

 

 

「あの青年、貴方は、アンモビウム……貝細工の花……白くて可憐、でも、どことなく悲しげ咲く貴方の花言葉は、永遠の悲しみ……悲しげなあの青年にピッタリ、でも、貴方の持つ硬い花弁は、生きようとする力強さを感じるの……どことなく悲しげなのに、おかしいわね……ふふっ、でも、貴方はもう一つの花言葉を知らないのね……貝細工……その硬い花弁を力強く広げる様から付いたもう一つの花言葉、それは……

 

 

不 変 の 誓 い

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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