東方風天録   作:九郎

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もう少しだな、3章が近づいてきたぞぉ!!


やる気でるなぁ。

では、本編です。


白馬の王子様は似合わない

文!?

 

再び、いつものピキーンが来た。

 

俗に言う虫の知らせと言うやつか?

 

そして気が付いたら里を流れる川の前に立っていた。

 

透明な水の中に赤い水が混じっている。

 

それが誰の血なのか直ぐに理解できた。

 

クソッ!!

 

なんでだろうか?

 

全然冷静になれない。

 

 

飛び込むまえに水深とか川の流れの速さを見てどうやって救助するのかを……

 

ああ、どうでも良いや

 

んなこたぁ、どうでもいいんだよ。

 

 

直ぐに行くよ、助けに行くよ……

 

泳ぎは得意だ……

 

 

ドッポーンと音と水飛沫を立てて、青年は川へ飛び込んだ。

 

何故だろうか?

 

水深も結構ある川だ、あの子を見つけるのは極めて困難なのに……

 

 

何処に居るのか手に取るように分かったんだ……

 

なんだか……呼ばれてる気がしたから。

直ぐに沈んでゆくあの子の手を引っ張って……陸まで連れて行く事ができた。

 

 

出血が多いな、背中から左胸にかけて銃痕がある。

 

妖怪は強い筈だ、ましてやこの子は相当に強い。

 

 

 

きっと特殊な銃なのだろう、例えば、妖怪に対抗できるような弾だったり、霊力を込めて撃ったのだろう……

 

 

どうでもいいさ……傷についてはどうでも良いんだ……

 

青年は、川辺に少女を寝かせる。

 

ゴフッとまた、血を吐いた。

 

心臓がおかしいのかな?

 

ろくに水に慣らさないで水中に飛び込んだから心臓がビクンとなった覚えがあった。

 

バカだな……オレは、全然冷静になれない

 

 

頭が回らない。

 

正直、神に祈りたいくらいなんだ、この子の命を救って下さいって……

 

 

呼吸無し……心臓の鼓動……弱いな。

 

 

「胸部圧迫……」

 

青年はボソッと呟き、少女の胸部に右手の平を当てて、その上から左手を重ね、15回ほどグッ、グッ、グッと圧迫する。

 

少女の反応は無かった。 傷からの出血は無い、何故なら……

 

 

「人工呼吸……」

 

青年はなんの躊躇もなく少女の口に自らの唇を近づけた。

 

本来なら顔を真っ赤にして、躊躇する筈なのだ。

だっ、誰がお前なんかに人工呼吸なんざするかよ!!

 

とか、悪態の一つでもつくのが普通だ。

 

 

しかし、今の青年は普通ではなかった。

 

余裕が無い、そして、それ以上にこの子を失いたくは無かった。

 

だから、一切躊躇しない。

 

失いたく無い、だって、だってオレは……

 

 

青年と少女の唇が重なるまであと数センチ……

 

 

パチッと少女は目を開ける。

 

そして、次の瞬間……

 

 

バッチーン!!!

 

 

大きな音を立て、青年は頬を思いきりビンタされる。

 

 

 

正直、首が吹っ飛ぶかと思った。

 

でも……

 

ふっ、と青年は笑う。

 

 

「なっ、なななななな、何をするんですかぁ!!!!」

 

少女は、顔を真っ赤にして青年を見る。

 

それを見て青年はチッと舌打ちした。

 

「人工呼吸だよ、お前溺れてたんだ……でなけりゃなんでお前にこんな事……」

 

もちろん演技である。

 

本当は、良かった……生きてた、生きてた生きてた生きてた!!!

 

と思いきり少女の事を抱き締めたかった。

 

 

それくらい安心したし、嬉しかったんだ……

 

 

「この、変態!!ケダモノ!!!意識が無いのをいいことに、何するつもりだったのよ!!」

 

 

「好き勝手言いやがって……」

さも不機嫌そうに青年は顔を真っ赤にして、慌てふためく少女を見る。

 

「なんで、川に落っこちたんだっけ?飛んでたら、突然体が動かなくなって……そう!!背中に衝撃が……ってアレ?どこも怪我してない?へっ、変だな……気のせいなの?」

 

不思議そうにしている少女を青年は意地悪な顔をして見た。

 

「どーせ、朝っぱらから酒飲んで酔っ払って落っこちたんだろ?バカ文……酒癖悪い女とかマジ無いわ……」

 

 

「ちっ、違います!!!おかしいな……どこも怪我してないし、変な夢でも見たのかしら?」

 

 

「とうとうボケたか……そういえば何千年も生きてるんだっけか?ババァ丸さん?」

ニヤッと意地悪な笑みを青年は少女に見せる。

 

 

それを見て少女は、カチンときたのでムッとした表情を見せた。

 

「クロく〜ん?次ババァ丸って言ったらその首飛びますよぉ〜?」

 

ニッコリと笑って少女は言ったが目が笑っていなかった。

 

 

「おお、怖い怖い……」

 

ヘラヘラ笑いながら青年は少女を見る。

 

「笑うな変態!!変態変態変態!!ケダモノ!!」

 

 

「うっせぇ、お前助けて貰っといてその態度何なの?」

 

 

「うっ…………」

 

少女は、何も答える事ができず、暫く無言の状態が続いた。

 

 

 

 

先に口を開いたのは青年の方だった。

 

「生きてて良かった………」

 

 

「えっ?なんか言いました?」

 

 

「良いや……何も」

 

 

 

「そっ、そうですか、まぁ助けて貰ったのは事実ですからね……ありがとう……クロくん……」

 

ニコッと少女が微笑んだのを見て、青年は視線を逸らした。

 

ふふっ、顔赤くなってるの分かってるんですからね〜

 

ニヤッと少女は笑う。

 

 

「お礼しなくちゃですね……クロくん、何が良いですか?」

 

 

 

「………………」

 

青年は、そっぽを向いていた。

 

 

「私の唇とかぁ?」

 

ニヤァと、少女は笑って青年の方を見る。

 

 

「………………」

 

 

「おやおやぁ〜恥ずかしくてこっち見れませんかぁ?」

 

少女は、ニヤニヤしている。

内示凄く嬉しかった。

 

クロくんが、ピンチに駆けつけてくれた白馬の王子様のように感じて、胸がドキドキした。

 

貴方は私の王子様ですね……

 

 

ふふっ、そんな事を貴方に言ったら。

 

 

 

 

オレは王子様なんて柄じゃあね〜よ!!

 

って顔を真っ赤にして言うに決まってます。

 

まっ、そんなとこも好きなんですけどね……

 

 

 

「………………」

 

青年はそっぽを向いたまま動かない。

 

 

「クロく〜ん、お〜い返事しろ〜」

 

少女は青年の耳元で囁くが全く反応が無い

 

完全無視である。

 

「………………」

 

 

 

「ん?無視しないで下さいよ〜ごめんなさい、助けて貰った分際で調子乗り過ぎちゃいました……許して下さいよ、悪かったです。」

 

 

「………………」

 

 

 

「クロくん?」

少女は、訝しそうに青年を見ていた。

 

「ゴフゥッ!!」

 

青年は大量に血を吐いて倒れた。

 

ピピッと少女の顔に血が掛かる。

 

「えっ!?クロくん!?クロくん!!クロくん!!!!!!」

 

必死に少女は、青年を揺するが全く反応が無かった。

 

 

 

 

 

 


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