東方風天録   作:九郎

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やっぱりバトルは苦手ですね

良い手本があれば良いけど。
精進します。

では、本編です。


黒狼の来襲

翌日……

 

「クソ……眠れなかった。最悪……」

 

ずっとチルノちゃんを叩いた右手が震えていた。

 

分かってくれたのだろうか?

 

やり方間違えていたのだろうか?

 

正解はなんだ?模範解答は何なんだ!?

 

分からない……オレは間違った行動をしたのか?

 

そうだとしたら、オレはチルノちゃんの言う通り死んだ方が良いのかもな……

 

小さい子を泣かすなんて……あのクソ野郎と変わらないじゃないか……

 

 

ずっとずっと考え事をしていた。

 

ふと見ると新聞が届いていた。

 

文が置いて置いてくれたのだろう。

 

内容としては、青年の土下座の理由とか何とか書いてあった。

 

あの子なりにオレを守ろうとしてくれているのだ。

 

「ありがとう…… 」

 

青年は呟いた。

 

ザッザッザと足音が聞こえる誰だろうか?

 

青年は、外に出た。

 

 

「お前がクロか?」

 

黒い犬耳の男がこちらを睨んだ。

 

体格は青年とほぼ同じ、腰に刀を差している。

 

「貴方は?」

 

 

「名乗るつもりはねぇよ、お前……血の匂いがする、オレの同僚が世話になったらしいじゃねぇか……礼をしに来たんだ、死んでもらうぜ……」

 

スッと黒狼は腰の刀を抜いた。

 

 

ビリビリと威圧感を感じる。

 

ヤバい……こいつ強いぞ……

本能的に戦ったら勝てないかも知れないと感じた。

 

咄嗟に逃げ出したが、青年の家を取り囲むようにピアノ線のような糸が何重にも張られていた。

 

「逃すかよ……お前を殺す!!オレの仲間をあんな目に遭わせやがって……許さねぇぞ!!」

 

 

「…………」

 

事の顛末をこいつに伝えるべきなのだろう

そうしたら、分かって貰えるかも知れない。

いや、無理かな?

 

あれっ?変だな、何故だか気分が高揚した。

 

斬りあったら立ってるのはどっちだろうか?

 

いや、勝てる訳ない

 

 

それなのに……やってみたいという気持ちがあった。

 

なんなんだこの感覚……

 

これがオレの妖怪の部分という奴なのだろうか?

 

戦闘に特化したとか少しだけ文が言ってたな。

 

逃げたいけど、逃げたいのに……

 

困ったな……

 

気がついたら背中の大剣を構えていた。

何故だか口角がつり上がっている、何が面白いのだろうか?

笑ってしまっている。

 

おいおいおい!!!

何抜いてんだよもうこれじゃ、後戻りできねぇじゃんか!!

 

焦っていると黒狼が先手を取った。

 

 

抜いた刀を青年の頭上目掛けて振り下ろす。

 

咄嗟に大剣で、防いだ。

 

重い!!

 

大剣も重いけど、こいつの剣圧も相当重かった。

 

「へぇ……やるじゃん……じゃあこれならどうだ?」

 

黒狼は、青年を横一文字に斬る。

 

それを青年は飛び退いて避けた。

 

 

動き辛い!!大剣なんか持って戦えない……しかし、これ以外に武器は無い……ヤバいぞ……

 

 

続けて黒狼は、連続した剣撃を放つ

 

紙一重で青年は避けてゆく

 

見えていて反応できるのが唯一の救いだった。

 

早いけど……一つ間違えば死ぬな……

 

「おいおいどうした?かかってこいよ!!!」

 

ヒュンヒュンと黒狼は刀を振る

 

「チイッ!!」

 

青年は舌打ちして大剣で黒狼を袈裟懸けに切り裂く

 

クソッ、重い!!

 

 

「遅せぇよ!!」

 

黒狼は、それを軽々と避けて青年の首目掛けて横一文字に斬る

 

青年は、避けるが大剣が重いせいで一瞬の隙を生じてしまい、ピッと頬を斬られて頬からツゥーと血が流れ出した。

 

 

「クソッ……」

 

青年は、一方的に攻められただひたすら避けてゆく

たまに、大剣で攻めるが遅いせいで隙を突かれ、避けはするが何処かに軽症を負う。

 

ジリ貧だ……このままじゃ負ける……殺される

 

クソッ!!

 

勝てない、コイツ強いぞ!!

 

「お前……良い目を持ってるなぁ、そんな大剣引っさげてよくそこまで避けれるな……」

 

 

「褒めてくれてんの?ありがとう」

余裕が無いのを表に出すわけにはいかない

だから、戯けてみたが……ダメだな

 

 

「ケッ、お前は仲間の仇だ……殺す奴を褒めてもつまらん……」

 

 

「殺される気はないんだけどね……」

 

内心本気でヤバいと思っている。

 

策が……無い……マジで勝ち目がない!!

 

なのに……なのにどうしてこんなにも昂るんだろうか?

 

気でも狂ったか!?

 

口角がつり上がってる……

 

「そろそろ終わらせるぞ……狼牙『ブラックファング』」

 

黒狼は、刀を下段に構え、下から上に切り上げ、そこから刀を返して上から下に青年を斬った。

 

その間0.1秒もないかも知れない。

 

見えてたけど、同時に斬られたような錯覚に陥った。

 

まるで大きな牙に噛み付かれたような……

 

「グアッ……」

右肩から左脇腹までに大きな傷を負い血が吹き出す。

 

ボタボタと血が滴った。

紅いなぁ、紅い紅い……

 

まずいな、思った以上に傷が深い……

血を流し過ぎてる、この前動き続けると失血死するぞ……クソッ

 

意識が、遠のく……死ぬ……本当に死ぬかも……

 

ガクッと青年は膝をついた。

 

「流石にこれは見切れなかったろ?」

 

黒狼は青年を見下ろしている。

 

 

「仕上げだ……」

 

パッと黒狼は、青年に手をかざし大量の光弾を放つ

 

 

ドドドドド!!と光弾が青年に当たり大きな爆発が起こる。

 

吹き飛ばされて青年は、意識が途切れかけていた。

 

勝てない……こいつ強過ぎる……

 

クソ……ダメだ……殺される。

 

青年は、真剣な戦いにおいて初めて絶望というものを味わった。

ドサッと地面に背中が着いたのを感じた。

あっ……腕の感覚が無い……

 

どちらだ?

 

どっちが逝ってる!?

 

右か?左か?

 

えっ!?

 

おいおいおい嘘だろ……

 

 

 

両 方 逝 っ て る …………

 

 

 

 

 

 

 

 


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