東方風天録   作:九郎

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佳境ですね〜そろそろこの茶番終わらしたいなぁ

もっとラノベみたいな展開がみんなお好み?
ラノベ読んだ事全く無いから知らないけれど……

アニメみたいな展開のが良いのかな?
これ、暗過ぎるよなぁ……
まぁ、どうでもいいや

では、本編です。


誰も守れない……

同刻……

人里にて…… 又八と綺羅は邂逅する……

 

「ねぇ、又八さん……なんでそんなに明るい顔してるの?」

 

 

「綺羅……」

 

 

「なんでだよ……せっかく……せっかくアンタの娘と仲良くなったのに……別に好きじゃなかった……でも、あの子を見る又八さんの目……とても輝いてたよ……だから、壊したくなったのに……」

 

 

「やっぱりお前だったか……お前しか居ないよな、あんなに綺麗に人間斬るなんてな……でも、お前を殴り倒しても、娘が悲しむ……そう思ってた……ずっとな……だから、クロにも言わなかったんだ……」

 

 

 

「知ってたんだ……ムカつくなぁ、クロ君のせいだ!!みんなクロ君の……アンタの一番大切な物を奪う喜びを感じたかったのに……せっかくアンタの生きる希望を奪ったのに……なんでアンタはそんなにも生きる希望に溢れているんだ!?」

 

カリカリカリカリカリカリカリカリ

とイライラしながら頭を掻き毟り、綺羅は又八を睨んだ。

 

 

 

「クロのおかげかもな……色々と気付かされたよ、アイツも……生きる希望……それさえあればな……さてと、娘が悲しむと思ってたがな……オレはテメェをブン殴ってやらないといけない……娘の為にもあの子の魂の安寧の為にも……場所……移そうや……ここじゃ人目につく……」

 

 

 

「うっさいなぁ……アンタは死んだ顔しないとダメなんだよ、死んでなきゃダメなんだよダメダメダメダメダメダメダメダメ!!!!!」

 

 

ガリガリと頭を掻き毟り、綺羅は又八について行く

 

 

人里の外れにて……

 

「ここなら大丈夫か……」

 

 

 

「アンタ死ぬよ?良いの?」

 

 

「かもな……それでもだ……それでも、オレは娘の為にもテメェを殴らないといけない、無念を晴らさないとな、散々に嬲られ穢された…アイツはお前の事を好きだったのに……お前という男は、お前だけは……」

 

 

「うっさいなぁ……だから何?なに偉そうに言ってんの?本当の父親でもない癖に……ふふっ、あの子はねきっと僕に遊ばれる為に産まれてきたんだよだから本望さ……」

 

ニヤァと不気味な笑みを浮かべて綺羅は又八を見た。

 

又八は激昂しなかった。

静かだった……静かに綺羅を哀れんでいた。

 

彼は哀しい目をしていた。

しかし、覚悟を決めた……そんな目である。

 

 

「抜けよ……オレは抜かねぇから……」

 

 

「は?舐めてんの?瞬殺なんだけど〜」

 

 

「抜く必要性を感じない……ただオレはお前に拳骨食らわしてやるのが目的なんだよ……ただそれだけだ、それだけで良い……さぁ……やろうや……」

 

 

スッと又八は構えた。

 

それを見て綺羅チッと舌打ちして、腰の刀を抜いた。

 

「ダメだよ……アンタはそんな顔しちゃダメだよ……絶望しなきゃ……クソ……見たかったのに、見てみたかったのにィィィィ!!!」

 

 

 

「オオオオオオ!!!!!」

ダッと又八は、綺羅に向かって走りだした。

 

 

場面変わって拷問室へ……

 

 

「クーロ君!!この子誰だか分かるかな?」

 

 

 

「アアァァァ……」

放心状態の妹ちゃんが車椅子に押されて現れた。

散々に痛めつけられ……嬲られ……穢され……身体中傷だらけである。

 

辛うじて生きている。

いや、生かされてると言った方が適切だ……

意識状態も最悪だろう……

 

「あっ……ああ……」

言葉が出なかった。守りたい子だったのに……

オレが不甲斐ない所為でこんな目に……

 

オレのせいで……オレの!!!

死にたい……

 

もう、死んでしまいたい……オレは誰も守れない……

あの時と同じだ……死にたい……

 

 

「さ〜てこれからこの子の解体ショーだよ〜!!!」

 

 

「なっ、なんだと!?ふざけるな!!!これ以上この子を!!!」

 

 

 

「おっ、めっちゃ元気になったじゃ〜ん!!!なに?オレに命令すんの?むっかち〜ん!!ムカつくからこの子の右手の指を切り落としましょ〜」

 

阿武路は予め持っていたノコギリでギコギコと妹ちゃんの指を切り落として言った。

 

 

「ウギャァァァア!!!!!」

女の子が出すとは思えないような咆哮にも似た声が、青年の耳にいつまでもこだました。

 

ボトボトと大量に出血している傷口に、阿武路はなにやら不思議な薬を塗り込み失血死させないよう処置する。

 

的確な処置である……彼は医者?それとも薬剤師だろうか?

 

その道に精通した男なのは確かである。

 

 

「特製の鎮痛剤打ってるから痛みでショック死もないんだぜ?オレって優しいだろ?そんな能力なんだよ……名付けるなら『処置する程度の能力』かなぁ……オレが処置したら何したって死なねぇんだわ……ずっと楽しめるんだよ……失血死も無い……餓死だってさせない……ショック死もない……あるのは苦痛だけだ……」

 

 

「止めてくれ……」

 

「ん?なんだって?」

 

 

「止めてくれ……頼むよ!!オレになら何したって構わない!!だから……この子のだけは……この子だけは頼むからこれ以上傷つけないでくれ!!!」

 

 

「なんかムカつくから次は左手の指を切り落としてしまお〜」

 

 

再び妹ちゃんの咆哮にも似た悲鳴を聞いた。

 

ごめん……オレの所為で……

 

 

「お願いします!!オレっなんでもしますから!!ちゃんと悲鳴あげます、貴方が満足するような反応をしますから!!!どうか……どうかこの子だけは!!!」

必死に懇願する青年を見て、阿武路は今までにない至極の快感を覚えた。

楽しい……気持ち良い……

そんな快感が彼の全身を駆け巡った。

 

「今の反応が一番楽しいわww思った通りだ……お前……自分よりも他人が大切な奴なんだな……ばかみてぇ……よ〜し次は足の指全部行こうか〜こいつが達磨になるまで生きてるといいなぁクロ君よぉ……」

 

 

 

「止めて!!!お願いします!!止めて下さい!!!」

 

ごめん……ごめん……ごめん!!!!

妹ちゃんは全ての指という物を失った。

 

オレの所為で……オレの所為で……オレの所為でオレの……

オレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレのせいだオレの……

 

青年はブツブツと何かを呟きだした

 

完全に目が死んでしまった。

もう、何処にも光など無い……

完全に死人の目になった。

 

いつもの哀しい目とは訳が違う……

 

 

「ああそうだ……お前が喰ってたエサだけどさぁ、美味かったか?子ども達の肉……」

 

 

「えっ……」

 

 

「死んじまった子ども達の肉を捨てるの面倒だからお前に処理して貰ってたんだよ……美味しかったろ?このカニバ野郎が……」

 

 

「うっ、嘘だ……嘘だ……嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だァァァ!!!!!オェェェゲェェェ……」

 

思い切り吐いた……吐いても吐いても止まらない……終いには胃液が尽きて血液が出てきた。

 

それでも止まらない……止まらない……

 

オレが……喰った?

喰った……喰った……喰った……

 

最低だ……本当に人喰いの化け物だ……

 

 

死にたい……死ななきゃ……死ななきゃだめだ……

化け物なんて生きてちゃダメだ!!

 

「ギャハハハハ!!!良いねぇまだそんな顔できるんだ?これは堪らねぇよ!!さ〜て次は肘と膝の関節から下全部行こうかぁ」

 

 

「やめろっ……やめろ……やめろおおおオオオオオオ!!!!!!」

 

青年の絶叫も虚しく。

 

 

 

青年はただ、何もできずに妹ちゃんの悲鳴と、大量の血しぶき……ボトボトと落ちてゆく身体の一部だった物を見る事しか出来なかった……

 

おかしくなってく……

 

頭がグルグル……

 

耳はキンキン……

 

傷口がズキズキ……

 

関節がキシキシ……

 

心臓はドクドク……

 

脳裏に浮かぶのは妹ちゃんの思い出。

そんなに長くつきあってないのに……

 

クロにぃちゃ〜

あっ、ありがとうクロにぃちゃ……

ビシッ……

あめだま〜あめだまーわーい

 

パキッ……

あげる〜クロにぃちゃー

 

あははは〜

 

パキパキ……

 

 

 

『イ タ イ ヨ 助 ケ テ クロ ニィ チャ 』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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