東方風天録   作:九郎

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この辺の話は無理矢理過ぎて書いてて苦しいですけど……

いや、本当ごめんなさい。

少しずつ善処していきますんで許して欲しいです。

では、本編です。


ジレンマ

青年は帰る為に元来た里の道を歩いている。

 

怖い顔してた……か……

 

それがオレの本性なのかもしれないね……

本当は殺したい癖に……

 

血生臭い殺し合いがしたいんだろう?

楽しくて仕方がなかったもんな……妖夢ちゃんや大蛇、又八さんと戦った時さぁ……

体が疼いたろう?ワクワクしたろ?

 

違う!!

そうじゃない……確かに楽しくて仕方がなかったさ!!

 

でも、殺したいとは思ってない!!

 

あっ……分かった、オレ、死に場所探してるんだ……

華々しく散りたいんだ…… 戦って死にたいのかな?

本能的に……う〜ん、違う気がするけど……

本能じゃない……でも、戦って散りたいという願望はいささか、間違ってない

 

なんだか良く分からない……

 

誰かの為にこの命を散らしたい……

そんなところかな?

 

頭じゃ生きるべきだと思ってるのに……おかしいな……

何が正義の味方だよアホらしい……

ガキのヒーローごっこ?

違う違う…… 根本的におかしいよ

 

『ただ、好きな相手を守りたかったんだ 』

その為に今まで生きてきた。

で、それが出来なかったから全てが虚しくなった。

 

ヒーローとか、正義の味方とかじゃないよ

 

ただそれさえ出来れば十分だったんだ……

それさえ出来なかったから苦しかったんだ……

 

やっと理解した。

 

どこで勘違いしたかなぁ

ガキの頃からだろうな……

気付いてたら、もっと違う形になったろうに……

理解してたら、もっと違う努力の仕方があったのに

 

間違った方向に努力し続けたオレの人生は……

 

クソだ……

 

オレがなりたかったのはヒーローじゃない……正義の味方でもない!!

 

ただ、大好きなの人達を守りたかったんだよ!!

 

それなのに……ヒーローとか正義の味方という心地よい言葉に囚われて……自分を見失ってた……

 

死にたい……

 

ジレンマだな……死にたいけど、死にたくない……

殺シタイのに殺したくない……

 

ガンッ!!

 

青年は里の民家の柱に頭を打ち付けた

 

「おかしいな……」

 

ガンッ!!

 

「違うそうじゃない……オレは……」

 

ガンッ!!

 

「冷静ニナラナキャ……」

 

青年の頭から血が流れている。

 

ガンッ!!

「アレレ……アレ、オカシイ……変ダナァ……@/_/#&&_/5÷+:8」

 

ガンッ !!

 

「5°5」2イ°2〒♪1タgfvおれは…cjtシw"」殺2ヲ06人*を4rjm守vdyりra@xtoたい」

延々と頭を打ち付ける青年を陰で見ている少女が1人……

 

「なっ、なにやってんのよクロ君……」

 

やはり監視の役目だけは果たさないといけない

どうしようもない奴だけど、見捨てておけなかった。

見捨てた方が楽になれるだろう、でもきっと後悔する。

 

だって私はあの時、クロ君の真っ直ぐな瞳に心を奪われたから

 

あれから自分自身がよく分からなくなった。

 

口では大嫌いと言ってしまうのに……

 

大嫌いだけど、大好きです。

 

気が付いたら目で追っていた、貴方の姿を……

貴方に心の底から笑って欲しい、これ以上貴方は傷付いて欲しくないのに、気が付いたら私は貴方を傷付けるような事を言った。

 

貴方の真っ直ぐな瞳が好きなのに……私は貴方の眼をはっきりと見ていられなかった……

 

変だなぁ……

 

ポンっと肩を叩かれた。

 

「気になるの?僕のトモダチ……」

 

コイツは知っている、クロ君と道場で戦ってた奴だ。

綺羅さんだっけ?

 

「別にどーでもいいですよ……」

 

まただ……どうでもいいなら放っておけばいいのに……

 

「嘘つき……こんな可愛い子に想われるクロ君って幸せ物だね〜それにクロ君も君を……フフフッ、楽しそうだなぁ……」

 

 

「だからどうでも良いって言ってるでしょう!?」

 

 

「ふーん、じゃ僕と付き合ってよ……僕なら君を見てあげられるよ?ずっと君の側にいてあげる……彼みたいに突き離したり、自分の心に嘘を吐いたりしないもの……正直さぁ、一目惚れってやつ?僕……君の事好きだよ?」

 

 

「えっ!?なっ……何を……」

少女は顔を赤くして困惑している。

 

「その表情も魅力的だ……ずっと見ていたい……」

ギュッと綺羅は少女を抱きしめた。

 

「えっ、チョッ……離して……」

 

アレ……体が動かない……

何で?

 

「後ろ……見てごらん……大丈夫、首は動くから……」

綺羅は少女の耳元で囁いた。

 

「えっ……」

少女は振り向いた。

 

そこには、頭から血を流してこちらを見ているクロがいた。

 

「あっ、クロ君!!僕とこの子、付き合ってるんだよ?知らなかったでしょう?ねっ、そうでしょ?」

 

ニコッと綺羅は少女を見た。

 

「ちっちが……」

 

 

「興味無いね……どーでもいいやもぅ……全部」

暗い顔で青年は言った。

 

なによそれ……

酷くない?私がどれだけ貴方を……

 

「ハイ、そーですよ〜実は最近ですけど私はこの方とお付き合いしてたんです!!ねっ、綺羅さん……だーい好きです!!」

ニッコリ笑って少女は綺羅を見た。

綺羅も笑って少女を見ている。

 

どうだ!!これでも興味無いって言えるの?

少しくらい動揺しなさいよ……

妬いてよ……ねぇ、妬いてったら!!

 

私を見てよ……

「良いんじゃね?お前らお似合いだよ、イケメンと美少女だもんな……幸せになりなよ」

 

青年はニッコリ微笑んでいる。

 

なによ……なんで笑ってんのよ……

ムカつく……ムカつくムカつく!!

私は妬いてたのに……

 

クロ君の周りの女みんな吹き飛ばしてしまいたかったのに……

 

なによ……

 

「じゃっ……お邪魔虫は消えます」

ヒラヒラと手を振って青年は去っていった。

 

「もういいかな〜」

 

フッと少女の体の自由が利くようになる

 

ドンっと少女は綺羅を突き離し、嫌悪感に満ちた表情で綺羅を睨んだ。

 

 

 

「なっ、何をするんですかいきなり!!」

 

 

「ん?クロ君の反応見たかったんだぁ〜最高だったよ……あはははウフフ……」

 

 

「最低ですね!!貴方、クロ君の友達じゃないんですか?」

 

 

「最低だね、君はクロ君の事好きだったんじゃなかったの?顔に書いてあるんだけど…… 」

 

少女の言った事をそのままの意味で返した綺羅は嬉しそうに少女の表情を見ている。

 

まるで、新しいオモチャを買ってもらった子供のように、目をキラキラ輝かせている。

 

「うっ……」

 

何も言い返せない……

妬いて欲しかったんだ私は……クロ君に……

そうですよ貴方の言うとうりだ……好きですよ……クロ君の事……

ずっとずっと、気にしないようにしてたけど……

 

だって……

 

貴方は私の新聞を好きだと言ってくれた。

大会で一度も陽の目を見たことのない私の新聞……

 

誰も見てくれない……

同僚にさえ笑われる文々。新聞……

でも、貴方は違ったじゃないですか……

ちゃんと真面目に目を通して、ちゃんと新聞として扱ってくれた……

 

そらで、私がどれだけ救われたか分かりますか?

 

真っ直ぐな瞳で私の新聞を見てくれた。

 

だから、その瞳で私を見て欲しかった……

私だけを見て欲しかった。

 

それが、私の本音……

 

素直になれない私の本音です……

 

汚いな……私は……

なんて自分勝手な女だ……

振り向いて欲しいから、別に好きでもない人に大好きと言って……

 

自分に吐き気がする……

身勝手過ぎる、何がクロ君に幸せになって欲しいだ……

自分が幸せになりたいだけ……クロ君を自分の物にしたいだけなんだ……

気持ち悪い……こういうの知ってる……邪恋ってやつだ……

汚いな……最低だ……自分を殺してやりたい……

 

自分自身に憤るって初めてだなぁ……

誰かを好きになったのも初めてだったからかな?

 

ちゃんと自分に向き合わなかった私が悪いな……

 

「クロ君の事なんて忘れて僕の物になっちゃえば?さっき言った事……嘘じゃ無いんだぜ?」

 

飄々としている綺羅に、少女は殺意を覚えた。

でも、得体がしれない……

さっき体が動かなくなったのは何でだ?

感覚そのものが無くなったような……

 

コイツの能力?

気持ち悪い……

 

逃げよう……

 

ヒュッと少女は飛び去った。

 

「う〜ん、今止めることできるけど……まだ泳がせとこうかなぁ……あはっ、もう君は僕の物だ……それにしても、死人のような目が更に死んだね……クロ君……最高だよ……今まで見てきた人間の絶望した表情の中で飛び切りだ……たまらない……勃っちゃったよヒャハッ……フフフッあはっ、あはははアハハハアハハ!!!!」

 

狂ったような綺羅の笑い声は延々と続いた。

 

 

 

 


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