東方風天録   作:九郎

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アドバイスくれた方、ありがとうございます!!

参考にさせて貰います。この話はなってないかも知れないけど…
2章は、つまらないですよ、ただ暗い話なので

そろそろ、次話に明るい話混ぜようと思います。
流石に暗いだけは書いてて嫌になりますんで

アドバイス本当にありがとうございました。

では、本編です。



魔弾の射手

「さて、オレはもう行きます。」

 

「すげぇなお前……傷が……」

目を皿のようにして大男は、青年を見つめていた。

なので、困ったような顔して、青年は微笑んだ。

 

「バケモノなんすよ……オレ、んじゃオレ行きますね〜おっと……」

 

青年は、ポケットに入れていた今の全財産の半分をワザとらしく落とす。

ジャラジャラと音を立ててお金は転がってゆく

 

「おいおい、お前何して……」

 

 

「捨てたんですそれ、オレには多過ぎる……それで、娘さんの葬式なり墓なり建ててやって下さい……返さないで下さいね捨てたんですから、所有権の放棄です……では、これで」

 

ニッと青年は笑って去ろうとする。

 

 

「……ありがとうな、オレっ又八《またはち》って言うんだお前は?」

 

 

 

「クロ……もうオレ行きますね、また会いましょう、ちゃんと犯人見つけなきゃ……」

 

青年は、又八に背を向けて答え、去っていった。

 

「クロ……か……変な名前だな、猫や犬みたいだ……」

フッと又八は、笑った。

その顔は、生気に満ちた表情だった。

生きようという意思が、その顔一杯に感じられた。

 

なので青年は、嬉しかった。

 

あとは……任せて下さい……

又八さん……

 

さて、もう怪しいやついねぇな……

困った……

 

「あっ……クロさ〜ん!!!」

タタタッと小さな子どもが駆け寄ってきた。

 

「よっ、久しぶりっ元気してたか?」

 

 

「うん!!僕も妹も元気だよ!!」

元気一杯に男の子が答えるので、青年はニッコリ笑う。

 

子どもは、好きだ……純粋だから。

可愛いしね。

 

「今さ、悪い奴を探してるんだ……」

 

「やっぱり!!クロさんはヒーローだもんね!!最近、起きてる行方不明事件の犯人を追ってるんでしょ?」

 

 

「オレはヒーローじゃないよ……で、最近起きてる行方不明事件ってのは?どういうこと?」

 

ヒーロー……か……違うのに……

オレはヒーローじゃない……

 

でも、君の前ではヒーローでいたいものだな……

 

「ん?最近、子どもがよく行方不明になるんだよ大人もたまに行方不明になるけどさ〜最近だって、よく遊んで貰ったお姉ちゃんが居なくなっちゃったし……寂しいな……生きてると良いけど……これはきっと妖怪の仕業さ!!きっと人を攫って食べてるんだ!!クロさん!!退治してくれるんでしょ?ねぇそうでしょ!?妖怪なんて大嫌いだ!!」

 

 

「子どもが!?へぇ〜そうかい、退治……しなくちゃな……ゼッタイニ……任せとけよ。でもお前も危ないぜ?気を付けとけよ?」

 

 

 

 

「大丈夫!!僕の宝物……見せてあげるね!!すっごいんだよこれ!!さっき鳥を撃ったけど、小さいのに凄い威力なんだ!!」

 

スッと男の子は、懐から拳銃を取り出した。

 

おい、オイオイオイオイ!!

そんなもん持ってんじゃねぇよ……いや、こんな世界だ……護身用なら悪くもないかな……

 

よぅ……久しぶりだな、ナンブちゃん……

 

オレの嫌いな相棒がそこにあった。

どうにも音が好かない。

嫌でも身体が反応してしまう……上司からは恐銃症と言われたっけ……

 

持ったら身体が震えてしまう。

指一本で人を殺せるんだぜ?そんな物大嫌いだ……

 

「お前……これどこで?」

 

「拾ったの!!」

 

「へぇ、弾は全部で何発あったよ?」

 

「えっと……7発!!もう4発使ったから残りは3発だよ!!」

 

そんなに撃ったか……やっぱこんなガキに持たすもんじゃねぇな……

 

 

「捨ててこいそんなもん……」

 

 

「嫌だ!!」

べぇ〜と男の子は、あっかんべーをして反抗する。

 

怒るとこなのだろう……

でも、それさえも愛おしく思えてしまった青年には、男の子を叱る事などできなかった。

青年にとって子どもは、天使に見えた。

可愛くて仕方がない。

でも、この子の為に……怒るところは怒らなきゃ……

青年は、そう思った。

 

「捨てろ!!」

青年が強い口調で言った為かビクッと男の子は怯え、涙目になった。

 

「嫌だよ!!これは僕の宝物なんだ!!これさえあれば僕だって……僕だってヒーローになれるんだもん!!悪い妖怪が来たってこれさえあれば怖くない!!僕は、コイツで弱い人達を守るんだ!!クロさんみたいに……なりたい……から……」

 

 

馬鹿たれ……オレみたいになるな……

オレに憧れるな!!

やめろ!!やめろ……胸が苦しい……

 

そんな物なくたってお前は勇気があるだろうが……

そんな物に頼らなくてもお前は強いのに……

 

 

7発か……そうだ……そうだ嘘をつこう。

 

「勝手にしろ……でもそれ、呪われてるぜ?悪魔が憑いてる……ザミエルって名前のな……」

 

 

「嘘だそんなの!!絶対に捨てないからね!!」

 

 

「まぁ、聴けよ……その銃の弾は魔弾って言って魔法の弾さ、お前の好きなように飛んでくよ……自由に飛んでくよ」

 

 

 

「すっごい!!どうりで一つも外さない訳だ!!やっぱり捨てない!!」

 

 

 

「でも……7発目は欺く……」

 

 

「欺くって?」

 

 

「フフフッ……」

青年は、微笑んで男の子の耳元で囁いた。

 

「7発目はお前の大好きな人に当たるよ……きっと当たる……7発目はザミエルが撃ちたい人に当たる……それはお前のお母さんかな?それともお父さん?はたまた、妹かも知れないな……」

 

青年は、ニイッと不気味な笑みを男の子に見せる。

先程までムスッとしていた男の子は、青年の顔を見て少し怯えたような表情に変わった。

 

 

「おっ脅かしたって怖くないもん!!7発目を撃たなきゃ良いんだろう!!そうすりゃ良いんだ……僕はクロさんみたいに弱い人達の為に頑張る人になりたいんだよ!!分かってよ……クロさんは、僕のヒーローだ!!カッコいいヒーローなんだよ!!だから……僕もヒーローになりたい……」

 

内心怯えているのだろうか?男の子は、震えながら言う。

ちょっと、脅かし過ぎたかな?

まぁ、このくらいが丁度いいさ……

そいつは危険だ……大体、お前みたいなガキが持ってる事自体が異常なんだ……

 

 

「良いよ捨てなくて……護身用になる、でも一発でも何の罪も無い人に撃ってみろ?ワザとじゃなくてもお前とは絶交だ…………」

 

 

 

「わっ、分かったよ……」

 

男の子はシュンとして俯いた。

 

それを見て青年は、微笑んで男の子の頭を撫でる。

 

 

「まぁ、お前はそんな事にコレを使わないだろうな……お前、いい奴だから、それで……お前の大切な人達を……守ってくれよ……オレはできなかったから……」

 

いい目をしてる……絶対に曇らすなよ。

お前はオレみたいになるな……

 

「うっうん!!!コイツさえあれば僕だって……クロさんみたいに強く……」

 

 

 

「あっ、そうそうお前と遊んでくれたお姉ちゃんな?遠い所へ行っちまったよ……旅に出るんだってさ、もう、帰ってこないかもしれない……」

 

 

「帰ってこないの!?酷いよ……もっと遊んで欲しかったのに……酷いよ酷いよ!!お姉ちゃんの馬鹿!!綺羅《きら》さんが居るのに!!きっと綺羅《きら》さん……泣くだろうな……」

 

男の子は、悲しそうに言って、そばにあった石ころを蹴飛ばした。

 

この子はどうせお姉ちゃんはいつか帰ってきて会えると思ってるんだろうな…… だから怒ってるいや、不貞腐れてるんだ。

ごめんなぁ……

もう、お姉ちゃんとは会えないよ……

ハッキリ教えてやれないオレを恨んでくれ……

 

 

「ん?誰そいつ?」

 

 

 

「お姉ちゃんの恋人だよ!!凄く仲良しだったんだ……かわいそうだなぁ……綺羅さん、お姉ちゃんのこと本気で好きだったから……」

 

 

 

「ふぅん……その人に会ってみるか……」

 

 

「会えるかな……その人、お姉ちゃんが居なくなってからずっと家に閉じこもってるんだ……寂しいんだろうな……」

 

 

 

「尚更、行かなきゃな。じゃ、また会おう……怪しい奴いたら教えてくれよ……間違っても自分で退治しようなんて思うなよ!!約束だからな……」

 

 

「うん、じゃあね〜クロさん!!」

男の子は、青年の背中に手を振った。

 

背を向けて青年は、ヒラヒラと手を振る。

 

むず痒い……

オレはヒーローなんかじゃないよ……期待すんなよ……

 

オレはガキのヒーローごっこしてるだけさ……

お前と大して変わらない、ただのガキさ……

 

誰一人守れないんだから……

 

 

でも、今回は違うぞ……

 

キッと青年は、前を向き走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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