書き直すかもしれないです。
からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ
からたちのとげはいたいよ
靑い靑い針のとげだよ
からたちは畑の垣根よ
いつもいつもとほる道だよ
からたちのそばで泣いたよ
みんなみんなやさしかつたよ
からたちの花が咲いたよ
白い白い花が咲いたよ
クロは好きで好きだよ
あやも好きで好きだよ
クロは痛い痛いよ
痛いけど泣かないよ
みんなみんな大好きだよ
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「伊織……」
幼子を抱き抱えて青年は妖怪の山への道を行く。
青年は消え入りそうな声で呟いた。
「ごめんな……ごめん」
瀕死の状態で、ドクドクと血を流して青年は言う。
「なんで……こんな事に……なったんだろ……」
幼子は、青年をギュッと抱きしめて、耳元で囁いた。
青年は、ハッと目を見開いて、一瞬崩れ落ちそうになった身体を元の体制に戻した。
青年は、深く深く、まるで奈落の底でも見てきたかのような暗い表情を浮かべる。
「うん、うん、わかってる……わかってるよ、言ったろ?例え世界が終わってもオレはお前を離さない……うん、約束だもんな」
「いいよ、側に居るさ、ずっと側にいてやる……なんでって、理由を聞くなよ……愛してるんだよ……お前のこと」
何かを諦めた様な表情で青年は幼子に言った。
少し歩いて開けた場所に出る。
草も木も生えていない寂しいところだった。
あーあ、そういえばこれ、オレが大剣振り回してこんなにしちゃったんだっけ?
青年は、苦笑いして辺りを見渡し、そして天を仰いだ。
曇り空で今にも雨が降りそうだ。
嫌な天気……
「たぶん、ここなら誰も居ないと思う……オレとお前の2人だけ……
死ぬには……良い日和だ……」
フッと青年は笑う。
今にも泣き崩れそうなのを堪えて笑う。
「うろ……あい……あと……」
「うん……」
「うろ……あいあと」
「うん、うん」
「うろ……だい……す……き」
「そっか……」
静かに青年は目を閉じた。
ドクンドクンと必死に生きようとする音が幼子から聴こえる。
チッチッチと、終わりの音が確かに聴こえた。
「ごめんな……幸せにしてやれなくて……ごめんな……」
「うろ……」
ドォン!!!!
伊織は爆ぜた。
大きな音を立てて
青年を巻き込んで爆ぜた。
辺りが煙に包まれる。
肉と骨の焼ける匂いが充満する。
「………………」
煙の中から人影が現れる。
黒焦げの男が立っていた。
青年は何故か死ななかった。
ほぼ間違いなく死ぬはずだったのに、青年は辛うじて生きていた。
意識も朦朧として、身体の傷は更に抉れそして、青年の頭に二本、尖った物が生えている、
幼子の中に仕掛けられていた物の破片が頭に突き刺さったのだ。
まるで鬼の角のようだった。
「なんで……」
青年はポツリと呟いた。
「死にたかったんだけどな……」
俯いて青年は言う。
青年の目には光は無い。
ギュッと歯を食いしばり、今にも倒れそうな身体を無理矢理立たせていた。
「伊織、やっぱさ……お前が幸せになれない世界なんて……終わらせてしまった方が良いと思うんだよ……他の奴らなんて知らない、ただ、ただ、お前が幸せになって欲しかった。たったそれだけだったのに……」
青年の周りを、黒い旋風が包み始める。
そして、嵐が吹き荒ぶ。