東方風天録   作:九郎

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更新遅くて申し訳ないです。

話考えるのにかなり時間食ってます。


では、本編です。


少女の独白

空が綺麗だ……

 

伊織の目の色と一緒……

アイツの目の色と一緒……

 

あんまり綺麗だから、パシャッと一枚写真を撮った。

 

私は綺麗な物が好きだから。

 

それを切り取って自分の物にしてしまいたいんだ。

 

クロ君の事だってそうだ。

 

私はクロ君が心配だとか、なんでもかんでも抱え込んで可哀想だとか言うけれど

 

本当は同情とか、力になりたいとかじゃなくって……

 

彼を自分の物にしてしまいたくて仕方がないんだ。

 

だから、妖怪になったのに人間の事ばかり気にするクロ君にイラついて……

私がどんなに心配したって聞いてくれないのに腹が立って。

 

クロ君にとっての私の存在って何なのか、気になって……

不安になって……

 

そして、またイラついてクロ君にそれをぶつけるんだ。

 

きっとクロ君は、人間を捨てられない。

 

ずっとずっと無理して妖怪になろうとしてる。

 

私なんかと関わったから……クロ君は天狗になりきろうとしてるんだ。

 

クロ君が伊織に執着する理由だって分かってる。

 

人間が人間を愛するなんて至極当然のことだから……

 

結局、私は2番目……

 

クロ君にとっての『妖怪』という括りの一つでしかなくて、それが悔しくて、そんなの認められなくて、許せなくて……

 

だって……だって、私にとってのクロ君は……

 

 

ヒュウと春風のような優しい風が頬を掠めた。

 

ああ、きっとクロ君が来たんだ。

 

さて、掴まらないように逃げよう。

クロ君はノロマだから、私を捕まえることなんてできやしない。

 

これは、ちょっとした仕返しだ。

 

こうやって突き放したら、少しは私の事、気にしてくれますか?

 

その、秋晴れの空のように澄んだ目で、私だけを見てくれますか?

 

ねぇ、クロ君……

 

貴方はいつだって悲しい顔をしてる。

 

本当は今にも泣き出しそうなのにグッとそれを耐えている。

 

強がったって無駄ですよ?

 

分かるんですから!!

 

貴方が人間だった頃からずっと、貴方は1人で全てを背負おうとするのが癖になってるみたいだ。

 

でも、貴方は1人じゃない。

 

 

「ッ!?」

 

木枯らしの様な風が吹いた。

 

一瞬ゾッとした。

 

 

どうしたのだろうか?

気のせいか?

 

物凄く嫌な予感がする。

 

むしの知らせという奴だろう。

 

どうか当たらないで欲しいけれど……

 

これ以上、クロ君を傷付ける事は起きないで欲しい。

 

私は……クロ君に何もしてあげられないのだから……

 

私はクロ君に必要とされてない。

 

彼に必要なのは伊織だ。

 

あの子がいるからクロ君は誰よりも強くなれるし、幸せになれる。

 

きっと、私なんて要らない。

 

悔しいけれど、ただの人間の子どもに嫉妬してるつもりは全くないけれど……

 

私は2番目だから……

 

 

 

 


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