そして投稿したとしてもあまり納得いかないことが多くて悶々としてしまいます。
では、本編です。
再び歩き始めた。
行くあても無い……
そろそろ日が沈みそうで、夕焼けがやけに美しく見えた。
黄昏れ時だ。
ヒュッ!!
と風が吹く。
文も学習したなぁ……
オレが気付いて逃げ出すよりも早く来るもんだから、逃げようがないじゃないか……
ボォ〜っと空から降りて来る文を見てた。
「速いな……流石ににげれない」
「逃げれると思ってる所がアホなんですよ」
ロボットみたいに冷淡に文が答えたので、冷や汗をかく。
そりゃ、怒ってるよね。
「何の用?」
気不味いのでこちらから話した。
「忠告です、最近、人里で妖怪の臓器を抜いて薬等に加工して販売する事が流行ってるみたいです」
文は表情一つ変えずに言った。
とうとう目も合わせてくれなくなったようで、恐ろしいほどに冷淡だった。
「ああ、生肝信仰とかいうクソみたいな迷信でしょ?」
「なんだ、知ってたんですか……説明する手間が省けます」
「オレの見立てだと、高位の妖怪の臓器ほど価値があって効能もあると思うんだけど……どうかな?」
「そうですね」
「…………天狗の生肝って、どんな効能があるの?」
表情一つ変えずない文に心底ビビりながら恐る恐る聞いてみた。
「不老長寿……1000年は生きられるらしいですよ?」
「かぁ〜アホらし……」
まぁ、オレたち天狗はかなり高位の妖怪だし、人間相手に負ける事なんてないから、それくらいの効能はあって当然か……
「まぁ、そういう事なんで人里に行く時は気を付けて下さいね」
「わざわざありがとう、教えてくれて」
ニッと笑って言ったけど、文は顔さえ向けてくれない。
少し落ち込んで聴こえないようにため息を吐いた。
「天狗で人里に行くような奴は貴方くらいしか居ないでしょ?」
「文だってそうじゃん?」
「私は貴方ほど人間に対して弱くないですからお構いなく」
「そ……そっか、お互い気を付けなきゃね、まぁ天狗に襲いかかって来る阿呆なんていないと思うけど」
「お互い?気を付けるのは貴方だけで充分です、二度も言わせないで貰えます?私は貴方ほど弱くない」
「心配だから……」
「ハッ、どの口がそれを言うんです?貴方に人を心配する資格なんてないでしょう?」
「そうだね……でも、オレは……文が怪我とかしたら……」
「へぇ……伊織の次は私にすがるんだ……」
呆れた様に文は言った。
「えっ……」
「うざったいな……そりゃ、そうよね、ずっと人間に依存してきて、天狗になったせいでそれができなくなった、それでも諦めきれなくて、伊織に依存して……それもだめだったから、次は天狗の私に依存する訳か……」
「いや、違う!!」
「結局私は2番目か……別にいいけど……」
ボソッと文は俯いて呟いた。
言っていることの意図が読めなかった。
けれど、文は、今までに見たことがない程暗い表情をしていた。、
「そういう問題じゃない!!オレはただ……」
「もう無理して天狗やらなくて良いですよ、人間に戻る方法でも探せば良いんだ……天狗になれたのだって、どうやったのか知らないけど
奇跡みたいなもんです。だったら戻る方法だってある筈でしょう?」
「………………」
「クロ君はどうやって天狗になったんですか?状況から察するに不本意なんでしょうけど、きっと私と関わっちゃったからなんでしょう?本当は後悔してるんじゃない?」
「後悔なんてしてない!!オレは……」
「あの時……妖怪の山で私と会わなかったら……貴方はこんなに苦しまなくて済んだんじゃないですか?」
「違う!!」
必死で否定したが文には届かなかったようで、文は更に続けた。
「私は、貴方が苦しんでるのを見るのが辛かった……私も苦しかった……だから、貴方の力になりたかったのに……ねぇ、クロ君……貴方にとっての私って何だったのかな?私にとっての貴方は……うん、もう遅いのかな……」
そう言い残して文は飛んでった。
ポツンと取り残された。
なんだか、体と魂が分離したかの様な……変な感覚を覚えた。
思考が追いつかない……
ただ、呆然と立ち尽くす事しかできなかった。
目に涙を浮かべた文の顔が頭から離れない。
ずっとずっと脳裏に浮かぶ。
頭が痛い……
なんでだろ?
体からドッと力が抜ける。
大剣の重さと重なって、暫く動けそうにない……
ごめん、文……
馬鹿だ……オレは馬鹿だ……