そろそろ心理描写入れたかったので。
多分修正入れるかも知れないです。
では、本編です。
目が痛い……
フラフラする。
疲れてるんだろうな……
逃げなくちゃ……
どうにか落ち着ける場所を探して再び妖怪の山に戻って山の洞窟の中に息を潜めている。
哨戒天狗辺りにバレてるから、すぐにでも追っ手がくるだろうか?
それとも、みんな我関せずと情報を紫達に出さないか……
どちらだっていいさ。
右目を触るとやはりザックリと斬られて潰されていた。
このままにしておくと腐りそうだ。
だから……
抉り出した。
グチュッグチュッと生々しい音がして、伊織に見られない様にする事に必死になってた。
それに、痛いのは慣れているせいかちょっと気が遠くなっただけでそんなに痛くない。
抉り出した右目はその場に捨てた。
出血が思ったよりも多い。
なので服の袖を千切って出血を止めて、それをそのまま眼帯にした。
隻眼は不便だ。
距離感が全く掴めない。
さっきから伊織が必死に「痛い?痛い?」と聞いてくる。
言葉になっていないけれど、オレにはちゃんと伝わってる。
痛くない、本当さ……
オレは、お前を失う方が痛いんだ。
だから、オレは大丈夫だよ。
血も止まってきたので、追っ手も来そうだからこの場を後にした。
何処へ向かおうか?
風の赴くままに、何処までも君と逃げようと思う。
風で思い出したけど、文に見つかるとヤバイな……
あいつ、すっ飛んでくるだろうな。
早いとこここから立ち去った方が良さそうだ。
伊織を抱えて走った。
飛ぶのは目立つからだ。
暫く走ると、目の前に森が広がっている。
魔法の森だっけか?
知り合いが住んでるんだ。
こんな所によく住めるよな、えーと誰だっけ?
霖之助のところによく来る泥棒……
「探したぜ!!」
上から声が聞こえた。
思い出した、魔理沙だ。
この変な魔女みたいな帽子、恥ずかしくないのかな?
「探さないでよ、オレは逃げてんだ」
「お前、これからでっかい異変を起こす気だろ?私は霊夢より先にそれを止める為にお前を探してたんだ」
「大した事じゃないじゃないか……表面上では人攫いだぜ?異変っていうか事件だよ」
「もっととんでもない事企んでないか?」
なんの事だか……
魔理沙は、キッと睨みつけるように言ってきたが皆目見当がつかない。
まぁ、確かに何をしでかすか分かりゃしないだろうけどね。
オレはみんなにとっては人里で人を襲ってはいけないと言うルールを破った妖怪だ。
「だから私はあんたを止めるぜ!!」
そう言って魔理沙はこちらに弾幕を向けてくる。
舌打ちして伊織を避難させて応戦する。
煩わしいな……
魔理沙さん、あんたなんか勘違いしてないか?
オレがお前らの弾幕ごっことやらで闘うと思ってんのか?
こっちは命賭けてんだぜ?
勝負はすぐについた。
だって魔理沙さん、オレを殺す気じゃなかったから
「これ、遊びじゃないんだよ?」
幾らかの光弾のやり取りの後、一気に距離を詰めてピッと魔理沙の喉元に大剣の刃を突き付けて言った。
「私だって遊びのつもりでやってないさ!!本気で止めるつもりだよ」
「ふぅん、そっか、魔理沙さん人間だもんね……そういうことか」
妙に納得した。
自分も人間だったから分かる。
もしオレが人間だった頃、文と本気で弾幕をごっこに興じたら死んでるかも知れない。
ごっこだから死なないとは思うけれど。
そういう事だ。
「なぁ、クロ……お前、私が人間だから弱いって思ったろ?人間だから負けても仕方ないかって納得したろ?」
不敵な笑みを浮かべて魔理沙はこちらを見た。
「舐めんな……」
魔理沙は低い声を出して素早く懐から何かを取り出しこちらに向ける。
「不用意に近付き過ぎだ!!」
魔砲「ファイナルスパーク」
スペルの詠唱が聞こえたすぐに、目の前が真っ白になった。
吹っ飛ばされて森の木に身体を打ち付けられた様だ、背中が痛い。
衝撃で肋が何本か逝ったかも知れない……
懐から何か出そうとした時点で首を刎ねてやれば良かったのに……
それはできなかった。
魔理沙は、弾幕ごっこで本気で戦ってるんだ。
殺し合いじゃない。
土俵が違う。
弾幕ごっこじゃオレの負け……かな?
知らんけど。
でも、魔理沙さん、あんたに止められる訳にはいかないんだ。
パラパラと舞う木の葉と、森の土の匂い、それと自分の血の匂い。
腹から血が上ってきてゲホッと少し血を吐いた。
あまり体調が良くないみたいだ。