もっと心に突き刺さるような描写したいんですけど、今が私の限界なんでしょうね〜
では、本編です。
「ふっ……ふふふ……」
右目を潰された青年は笑った。
「なっ、何がおかしいんだよ?」
妖夢は刀を構えて言う。
意図せず青年の右目を潰してしまった罪悪感から、カタカタと妖夢の刀は震えている。
「右目で済んで良かったと思ってさ……」
ニッコリと青年は笑う。
妖夢はそれを見てゾッとする。
自分の身体の一部が欠損したというのに喜ぶ青年の事が不気味に思えたからだ。
「馬鹿かお前……目玉を潰されたっていうのに……」
動揺しながら妖夢は青年を見た。
しかし、青年はまだ笑う。
「もっと大切な物がここにあるから……」
青年は伊織をチラッと見る。
伊織は、青年を見ると驚いて
「いあい?いあい?」
と青年に教えて貰った言葉を精一杯言う。
本人は自分の声さえ聞こえていない、しかし、伊織は精一杯青年に伝えたかった。
「痛くないよ、平気だ……」
ふっと青年は伊織に微笑みかける。
それでもなお、伊織は青年に言葉を掛け続けた。
伊織に微笑みかける青年を見て、妖夢は悲しくなった。
「なんで……そんなになってまで……」
気がつくとそんな言葉を口にしていた。
「よく分からないけれど……きっと愛しているからなんだと思うよ」
困った様に青年は笑う。
それを見て妖夢はガクッと構えていた刀を下げた。
「斬れない……止めないといけないのに……」
「んじゃオレは逃げるな」
それを聞いて青年は伊織を抱えて飛び立とうとする。
「やっぱり私はお前の事が大嫌いだ!!殺す気なかったろ?峰打ちばっかりして!!それに全然痛くなかった!!当ててるだけだったじゃないか!!真面目に立ち会えよ!!」
妖夢は立ち去ろうとする青年の背中に向かって叫ぶ。
ピタッと立ち去ろうとしていた青年は足を止めた。
「知るかよ……勝手にそうなるんだから、それに、お前が死んだらオレは悲しいから……多分だけど、そう思ってるから無意識に峰打ちになるんだと思うよ」
そう言い残して青年は飛び立つ。
空に飛び立つとそこは曇り一つない空だった。
この子の目と一緒だ……
青年は、フッと笑う。
そして残された妖夢は、ブンブンと暴れるように刀を振り回していた。
「クソッ、クソッ、クソッ!!ド素人のくせに!!剣技だって私の方が上だ!!それなのに……私が幾らあいつをぶった切ろうとしても、あいつはそれをすり抜ける、まるで風みたいだ……私があいつを心配したって……いや、他の誰かがお前を心配していても、お前はそれをすり抜けていくんだろ?エゴだ……エゴだよそれは……」
ギュッと妖夢は拳を握り締め、ポツンとその場に立ち尽くしていた。