東方風天録   作:九郎

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頭使うなぁ……
頭使うけど、ミスること多いんですよね〜

てか、そこらかしこに伏線張ってたりするんですけど、露骨過ぎますかね?
逆に分かりづらいですかね?


彼岸花を摘んだなら……

「それでは、オレはここで……」

 

青年は伊織を抱え幽香の家を出ようとした。

 

「貴方、やっぱりその大剣は捨ててしまった方がいいわよ?」

 

哀れむように幽香は言った。

 

青年はピクッと肩を動かし、そして数秒間を置いて答えた。

 

「捨てられないんですよ……これはオレの『業』だから……」

 

困った様に青年は微笑んだ。

 

それを見て幽香は、遠い目をする。

 

「悲しい人ね……そして、とても愚かな人……」

 

「人?違うな……天狗です」

 

青年は自嘲気味に答えた。

 

「そうだったわね……」

 

「間違えないで下さい、もう戻れやしないんだから」

 

「だから、その子に執着するのね……どうやったって手が届かない物だから……」

 

「さぁ?どうなんでしょう?」

 

フッと青年は困った様に笑う。

 

ピッと首筋に日傘の先端を当てがわれる。

青年は眉1つ動かさずに幽香を見つめていた。

 

「ここで貴方を摘んでしまった方が……良いのかも知れないわ」

 

冷淡に幽香は青年を見つめた。

日傘の先端に彼女の妖力が集中し始めたのを青年は感じた。

 

「…………」

青年は何も言わなかった。

ただ、静かに幽香を見つめていた。

 

「死ぬわよ?今度こそ本当に」

 

「打てば良いのに……」

 

青年がそう呟いた時、幽香は自身の首筋に青年の大剣の刃が添えられる事に気づいた。

そして、ゾォッと木枯らしが吹いた様な寒気を感じた。

 

「貴方……」

冷や汗を垂らして幽香は青年を見た。

 

「オレは花じゃない……」

氷の様に冷たい目で青年は幽香を見て、そして背を向けてさっていったか。

 

青年は立ち去った後……

 

幽香はストンと尻餅をつく。

 

「あの子、私を本気で殺すつもりでいた……幼子を守る為に……クロ……貴方は……」

 

青年は本気で幽香を殺すつもりでいた。

だから、幽香に殺意を向けた。

 

もう青年は止まらない。

 

全ては伊織を守る為。

 

ただそれだけの為に……

 

強くなった。

 

強くならざるを得なくなった。

 

そして……

 

青年は伊織を抱えて野原を歩いていた。

下手に飛ぶと誰かに見つかるかも知れないと危惧した為である。

 

 

「悪かったな、情けない所見せちゃって……大丈夫だよ?もう倒れたりなんかしない、もう二度と負けたらなんかしない……」

 

青年は伊織に微笑んだ。

 

伊織は無垢な瞳を青年に向ける。

 

「何にも怖くなんてない……」

 

青年はそう呟いて視線を下にやる。

 

伊織が何かを見つめていたからだ……

 

そこには、真っ赤な彼岸花が咲いていた。

 

「伊織、知ってる?彼岸花って外国じゃ、『ハリケーンリリー』って呼ばれてるんだってさ、嵐が起こる前に咲く花だからだそうだ……つっても、この世界で外国のこと言っても無意味かな?」

 

ハハハと青年は笑って彼岸花を摘んだ。

 

摘んだ瞬間……彼岸花は枯れた。

 

「ッ!?」

 

青年は驚いた自分の手を見た。

特に変わった所はなかった。

 

なんで……枯れたのかな?

 

と青年は考えたが、なんだか気味が悪くなってその場を離れた。

 

 

 

 

 


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