安心し下さい生きてます。
ただ、ネタが切れてるんですよね〜
では、本編です。
あれから平穏な日々が続いた。
俺と、文と、伊織と……
三人で暮らして
時々俺と文が喧嘩する。
勝つのはいっつも文だ。
伊織は、その様子を笑って見てる。
こんな何でもない日々が幸せだという事を、俺は知った。
「伊織、ちょっと出かけてくるな〜」
「う〜」
「行ってらっしゃい〜」
文と伊織は、手を振って見送る。
別に仕事に行くわけじゃない
けれど、文には仕事に行くと嘘を吐いた。
本当は、里の様子を伺うつもりだ。
あまりにも俺達の生活が平穏過ぎるから
もしかして、里のみんなは俺が人を伊織を攫った事を忘れたのだろうか?
それとも、伊織の家族が嘘を吐いて俺に人攫いの濡れ衣を着せたとこを里のみんなが知ったのか?
淡い期待をして里への入口まで翼を隠し、人間のフリをしながら到着した。
そして、そんな淡い期待は、脆くも崩れ去った。
バチバチバチ!!!
全身が痺れる、身体の力が抜けていく
「なんだ……これ……」
「私の結界よ……」
スキマから紫ともう一人、知っている顔が現れた。
すぐさま逃げようと思い翼を広げて飛び立つも、結界に阻まれてこの場から逃げる事は出来なかった。
背後から光弾が飛んでくる
「チィッ」
舌打ちして躱した。
「貴方が聞く前に、理由を言うわね?貴方、里の中で人に危害を加えてはならないという掟を破ったでしょう?」
紫が静かに口を開く。
「危害なんて加えてないんですがね……」
キッと紫を睨みつけた
「それは貴方一人の主張でしょう?証拠なんて存在するの?里の人間は、みんな貴方が里の子どもを攫ったと言っているわ、貴方の主張と里の人間達の主張……どちらが信用できるかなんて、火を見るよりも明らかな事でしょう?つまり……『そういうこと』になってるの……」
冷たい視線で紫は意味深に言う。
なるほど……紫は、幻想郷の賢者として掟を破った者に何らかの罰を与えなければならないわけだ……
そうしないと体裁が整わないから
たとえそれが、真実でないとしても。
けれど、濡れ衣着せられて罰を受ける、下手したら殺されるなんてたまったものじゃない
だから、俺はこの人を倒してでも伊織との生活を守る事にした。
ヒュッと背中の大剣で紫に斬りかかる
無意識のうちに峰打ちになっていた。
そして、峰が紫に届く前に紫は、スキマの中へと消えた。
ドゴォッ!!
脇腹に衝撃が走る
どうやら脇腹を蹴られたようだ。
「お前の相手は私がする、里の人間達は私が守る……かかって来い人攫いの妖怪め!!」
知っている顔の女はそう言った。
頭に角が生えているが鬼ではない
確か……ハク……タク?
っていう妖怪なんだっけか?
狼男とかそういった類だ。
名前は確か、慧音さん
この人とはあまり話したことは無い。
文が取材する相手程度にしか認識がなく、そしてこの人に対して俺が抱いている印象は、クソ真面目な熱血教師……
そんな印象である。
さしずめ、里の人間、そして紫に俺のした事を歪曲して伝えられたのだろう。
「ここから先は通さない、そして、出す事もな……お前は里の人間を傷付けた、ましてや子どもだ……絶対に許さない」
慧音は、そう言ってこちらを睨む
角が生えたこの人を初めて見た。
満月の夜に角が生えて性格が変わると聞いたが
なるほど……きっと結界の所為だろう。
身体の力も抜けてゆくし、早いところ終わらせないとまずい事になる
そう思って大剣で慧音を薙いだ。
慧音は、それを受け止める
大した物だ、素手で受け止めるなんて……
「これで……これで斬り殺したのか?」
「はぁ?」
慧音の問いかけに対してこちらも疑問符で答える。
「これで、里の子どもを斬り殺したのかぁあああ!!!」
「ガハッ!!」
慧音は、大剣を振り払い渾身の右ストレートの拳をこちらに打ち付けてきた。
脳が揺れてよろける
そこへ、次から次へと慧音の拳が叩き込まれてゆく
「厄介な奴だよお前は……能力が効くならお前の存在そのものを消してやれるのに!!」
マウントポジションを取って殴る慧音は、言い放った。
「消されて堪るかよ、きっとアンタに何を言っても聞く耳持ちゃしない、だから、俺もただでは消えてやらないよ」
身を捩った拍子に慧音の頭部目掛けて空中で回し蹴りを食らわせる
慧音は、よろけるも直ぐに此方に襲い掛かってくる。
嫌な予感がする……
紫は、何故慧音をオレに差し向けた?
何故逃げた?
まさか……あいつ、伊織のところに……
文、伊織、無事でいてくれ!!